起きた?月曜日がんばろうね、大好き!
「彼女いたんだ。」
週が明けて、偶然帰る時間が被った彼に、思わず私は聞いていた。
何かを考えるより先に、お疲れさまの挨拶より先に、言葉が口から出て行った。
「隠してたわけじゃないけど。別に言う必要もないことじゃない?俺の彼女にそんな興味ないでしょみんな。」
「興味あるから、今日1日すごい盛り上がってたんじゃない。」
先輩も後輩も同期も、こぞって彼に彼女のことを聞いていた。
その側で、後輩の女の子がその子の同期に慰められているのも同時に見た。
「お前も気にするの、そういうの。興味なさそうじゃん。」
確かに。
私はいつもそんなの興味ないし、その前にそんなこと同期との話題にしないタイプだけど。
「山中が女の子を好きになることに興味があるのかも。好きなバンドと研究しか興味なさそうなイメージだったから。」
「そんなイメージ持たれてたの?俺だって人並みにいろんなこと好きだけど。」
「あんまりプライベートな話題って話してないじゃない、私たち。他の同期のみんなも意外に思ってた。」
「そうっぽい。先輩よりみんなの方が食らいつき方がすごかった。」
小さく笑って彼は言う。
今日本当に、みんな仕事しに来てるんじゃなくて、彼を質問攻めにしに来てる感じだったのを思い出しているのだろうか。
「彼女、どんな子なの?かわいい感じ?美人な感じ?」
そんなこと、聞かなくてもわかる。
一日中彼がみんなに答えているのを聞いていたから。
「元気な人だよ、いつも。クールな美人になりたがってるけど、ちょっと程遠いくらい元気。」
また。
また、見たこともない顔をした。
「彼女のこと話してる山中、楽しそうだね。」
「そう?」
「うん、わかってないの?だからからかわれたんだよ。」
「そっか。そうかも。」
私の言葉に、少し驚いた顔をして、嬉しそうに彼は笑った。