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好きだと言わせ続ければ、僕ルートのフラグが立ってくれるかもしれない

作者: 鬼桜

もしかしたら、僕ルートのフラグが立ってくれるかもしれない···

なあ、勝負をしようぜ!


なに?ゆうと、私から合法的に殴られたいの?だったら遠慮しないでよね?


なわけあるか!あれだよ、勝負に負けたほうが何でも一つ言うことを聞くってやつだよ。あれをやりたい。


···ふーん、いいわよ。···べつに。私が勝ったらゆうとが一生私のために働く催眠術を掛けるから。で、何で勝負するの?


え、俺、この勝負に一生掛けるの?ま、まあいいけど···じゃあ勝負方法はじゃんけんでいいか?


···あなた、

自分の命運を掛けた勝負でじゃんけんを選ぶって、ほんと...だからゆうとは残念な人間なのよ


おい! じゃあシキが言ってみろよ!俺の持てる語彙力全てで煽ってやるわ


うーん、···じゃあゲームセンターのパンチングマシーンで勝負するとか···


はいーーー、独善しましたーーー、自分の得意分野に持っていって勝ちに行くとかそれ何処のヤンキーだよ、勝ちたい欲が出ちゃったかーーー、てかわざわざゲーセンまで行くとか...趣旨的に周辺でやるのが普通、

痛い痛い足蹴にしないでごめんなさい許して言い過ぎました


···意外と勝負内容を提案するのって難しいのね。どうするの?


ひーんいたぶられた···

じゃあもう相手を納得させるアイデアを出したほうが勝ちでいいんじゃない。体痛いし動きたくない。


それって本末転倒じゃないの?まあいいけど無駄な時間になる未来しか見えないわ···




········································




いやいや、流石に今の案は良かったでしょ!


何が走り絵描き走よ!走るの意味が二重になっているじゃない!


走ってお題を書いて走るんだから合ってはいるだろ!そしてシキは缶蹴りって何世代前の遊びだよ!今は機械に向かって語りかけるのが遊びの主流だろ、流行に乗れないJKってそれもうおばあちゃんじゃん!


うっさいロリコン!もう決着がつかないのはわかったでしょ、じゃんけんでいいからはやく始めましょう!


あ、認めたよ、やっぱりじゃんけんでいいんじゃないか〜、今までの時間はいったい···


そもそもゆうとが始めた掛け合いじゃない、文句なら自分に言いなさいよね。




閑話休題




じゃあ始めるぞ。


一回勝負ね。掛け合いはどうする?


しなくていいだろ。俺はお前と出会えるくらいには運がいいし負ける気がしないからな!


···なにいってんのよ


···だって俺、お前以外のまともな友達居ないし、


··あ、そう。


でもシキといる時は毎回楽しいからさ、俺は幸せもんだ。シキは最高の親友だな!


······バカ


ん? なんか言ったか?


うっさい!さっさと始めるわよ!最初はグー、じゃんけん、ポイ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


うっしゃあ!勝ったったぜおらー!


···チッ、私達の友情を断ち切るチョキを出したって言うのに··


え、あぶなっ!じゃあこのグーは守りきった証ってことだな。

よしよし、さて何をお願いさせてもらいまひょうか、ぐへぐへ


きゃあー、たすけて〜〜


や、やめて、冗談だから、シキの声はよく通るから、声小さくても聞こえちゃうから、ここも無人じゃないから、お願いします


ま、いいわ。で、なに?あなたから始めたのだから望みがあるんでしょう?聞ける範囲で聞いてあげるわ。


じゃあ、俺の望みは、

俺の望んだタイミングで好きと言ってほしいんだ。


···は? え?


いやぁ〜、よく創作界隈で何をしたからどうなるみたいな検証があるじゃん、だから俺は『友人に好きと言わせ続けたら好きになってくれるのか』的なことをありのままにしりたいなー、って思いま し て ってあの、織奈(しきな)さん?


ふーん、あ、そう、貴方は、()()さんは、そんな実験のためにたった一人の友人を失いたいんだ、そうなんだ、


え、いや、駄目なら良いんだよ?元々駄目元だし、最初の勝負も保険みたいな物だから。こ、断ってもいいんだよ?そ、そうだよね、人を実験体みたいにしちゃっているもんね。ご、ごめんね、


···まあ、いいわ。約束しましたし、ね。わたしは、あなたのたった一人、初めての友人ですもの。友達との関わり方を知らないゆうとくんには優しくしてあげるわよ


あの〜、ありがたいし、憐れみの目を向けてくるところ悪いけどシキはべつに初めての友達じゃ···


··············


あ、ごめんなさい、ありがとうございます!許して!敵意の目を向けないで!せめて物理的に殴ってほしい!精神責めはやめて!効くから!


···お互い様よ。

さあ、これで痛み分けね。これから身体を好きなようにさせられるんだわ。しくしく


あ、ありがとう。というわけで、ぐへぐへ、好きだと言ってもらおうか!


···好きよ


····


·····


······なんか、 しょっぱい


何よ!私が本気でやっていないとでも言うつもり?!


いやー、なんというか、上澄みをそのまま言葉に乗っけた感じで心がこもっていない感じがするんだよなー。

なんて言うんだろう、抜けていく好き?


···何よそれ。なんであんたがそんなことわかるのよ、


それはもちろん好きだと伝えたことがあるからだな。


···なに?好きな子が居たの?どこの誰?


いやいや、昔コミケでね?推しの作家さんと会ったときに感情を抑えられずに好きって言っちゃってね?告白っぽい感じになっちゃったから、その時の感覚を思い出したら今のは違うかなって。


··その人は女性なの


···男の人なんだけど、少しダンディな感じのイケメンさんでさ、男の人にもよく告白されるからって、僕も隔離させられて今じゃそのブースでの要注意人物扱いなんですよ ハハハ


··いやー友人がホモだなんて困っちゃうなー。だから好きだなんて異性に言わせられるんだー。ゆうとはほんと酷いやつね!


··違うわ!ほ、ホモじゃねーし?イケメンを見ると羨ましかったり?隣に侍らせたいとは思うけど?別にホモじゃねーし?ノーマルだし?


うわー、マジならちょっと引いちゃうかも知れないけど、ゆうとが望んでいるなら応援するよ!頑張って!


やめて、違うから!俺はちゃんとシキのことも可愛いと思えるし、萌え萌えキュン!、しているしっ!


···え、か、可愛い? 私が?


え、いや、可愛いんじゃないか?


そ、そんなこと急に、言わないでよ!


痛い!叩かないで!なんかした?俺?理不尽な!




閑話休題




···で、私はどうすればいいの。ゆうとの言うとおり、好きにも言い方があることはわかったから、それで私はどうすればいいの?


そうだな、···じゃあ段々と語尾を上げて好きって言ってほしい。


えーっと、こういう感じ?

·· ···

好き、好き、好き 好き 好き!好き!


うんうん!そう、そう!じゃあ次は回数問わずに続けて言ってほしい


うん、わかった

好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好、き、


···─────────


···ねえ、これって私がやる必要あるの?微妙に恥ずかしいんだから。あ、そういえば、妹ちゃんがいたわよね。その子に手伝ってもらえばいいんじゃ──


··あの子、最近冷たくなってさ。まともに口聞いてくれないんだよ。話せたときもさっきのシキみたいに怖いんだよね。...構ってくれよ〜みうー


いや、それはゆうとの性格が問題じゃないの?


···え ?..そ、それって、例えばどういうところっすか?


いちいちふざけていてノリがダルい、鈍感で人の琴線に触れることを無自覚に言う、へこむと塞ぎこむくせに大概失礼、ロリコン、オタク、

こんなところかしらね


···ぐっ、ぐふっ!クソ野郎、散る...


そういうオーバーリアクションも真面目に話してたら嫌なんだけど?


あ、はい、すみませんでした


ま、まあ、だから?そんなゆうとにも優しい私に感謝しなさい、


·····え?優しい?


あぁ?


ごめんごめん。嘘だよ。本当にいつも感謝しているんだ。ありがとう


··フフ、フ、フン!ほんと、しょうがないんだから。

私が付き合ってあげるわよ。次は何?


ああ、助かるよ。そうだなぁ、じゃあ俺の目を見て言ってほしいな。


え、


だめなのか?


いゃ、い、いいけど···ほ、ほんとにそのシチュエーションがいいの?


そうだ。


···わ、わかったわ、


·············


···っ、!



···裕翔(ゆうと)、私はあなたのことが、


··············


··っ!

好きよ!


···そっか、


··············


目を、逸らした、よね?


··う、うん。


···なんか、悲しいな。


·····え?


で、だってさ、目を逸らすってことは何か俺に対して疚しいことがあるんでしょ?···親友なのにな、なんでなの?


··え?は?


あ、れ、さっきまでこんな気持ちじゃなかったのにな、難癖つけたくなっちゃうな、おかしいな、親友だからさ、飾らずに言うけど怖いな、怖いな、最後は、ホントは少し目を逸したら疚しい気持ちでもあるんだー、って茶化したかっただけなのに、シキが優しいからかな、おかしいな、おかしいな、


··ゆうと、


ぼ、僕ってさ、ホントは怖がりなんだ、こんな空気も、こんな気持ちも全部が怖いんだ、だって、空回りが続いたら怖いんだもん、だから空回りしないところまで頑張って続けるんだ。喜んでくれたら嬉しいと思ってさ、でもさ、自分のことを聞いたらさ、全部が空回っているように聞こえてさ、なんだかさ、シキがホントは嫌いなのかもって思っちゃって、親友だからって、親友だからって、


··ゆうと!


だけどだけど、今の言葉ですごく安心したんだ!好きって言葉は凄いね!心がポカポカするんだ!、安心していられるんだ、嬉しいんだ!言葉って凄いんだ!、みうもよく言ってくれていたから僕は今まで幸せだったのかな?でも今はそれ以上に幸せなんだよ!どうしたんだろ、あれ?あれ?あれ?あれ?あれ?────────


裕翔!


し、シ キ?


私は、貴方を見捨てない!絶対に否定しない!だから私を信じて!私は、貴方のことが好き!


シ、キ?


あの頃のこと覚えている?あの頃って言っても一年くらい前のことだけどね。

あの頃は貴方が嫌いだった。クラスのお調子者で、面白くないもことを大声で話して、リアクションは大きいけど、その心のこもっていない演技みたいな、間抜けな姿が嫌いだったの。

でも、あの時、私が姿に見合わずとか、性格のことを言われながら、絵を描く趣味を馬鹿にされたとき、貴方は真っ先に目の前に立ってくれたわよね、俺を見てくれ、とか、長座体前屈、とか言って自分に興味を向けようとしてた。


···うん


そして、あの人たちが呆気に取られているときに、その絵可愛いね、って言われて私は凄く嬉しかった。でもそのせいで貴方は次の日から友達にハブられていた。あの人たちを貴方のお友達だなんて呼びたくもないけどハブられてた。私のせいで。

最初は罪悪感と、褒められた嬉しさから貴方に話しかけたの。ようはあの人たちと一緒で、自分のために貴方に近づいた。

でも貴方との日々は素敵で楽しくて、毎日が幸せだった。突飛なあなたの行動に笑わせられて、一緒にオタ活だー、ってアニ○イトに出かけたときも楽しかった、今日みたいに学校の空き部屋で話している時間もとっても幸せ。

貴方が小さい子の絵をよく書くって言った時は、私も少し怖くなった。その怖さと向き合って、私は貴方のことが好きだって確認できた!

今日も私は貴方のおかげで楽しいの!

だから、私を信じて!


しん、じて?


うん!信じて!


僕はシキを、しんじていいの?


もちろん!


嘘じゃない?


嘘じゃないわ


···わかった。信用するよ!


そう、よかったわ···って、それは何?


え?録音機。


は?


フハハハハハハ、言っただろう?これは、検証なのだ。つまり検証結果は形としてなければならない、つまり僕はこれを学会に提出しなければならな──


...ゆうと、それを渡しなさい


い、イヤだ!僕はこれを機関に渡した共同費で親友と高跳びするんだ!


その親友は誰よ!


シキだ!


なんでよ!


だって好きだから!


え?


親友として!


は?


だから、僕はシキとずっと一緒に居たいんだよ!


···ほんと、面倒くさいやつね、そういうところも···いや、やっぱ嫌いかも、


···え?


·····嘘よ、

..とはいえ、そのレコーダーを渡さないと貴方を殺すことになるわ、


ふふふ!いやだね!」






そう言って、宮藤(くどう)裕翔(ゆうと)は空き教室を飛び出す。目尻は赤く、口元は精一杯の笑顔を浮かべる彼はこの日の主人公だった。


後ろから赤鬼が追いかけてくる。怒った顔を真っ赤にしているあの娘は、名取(なとり)織奈(しきな)、彼の大親友だ。


今は放課後の、それも下校時刻近く。とはいえ、人は(まば)らだがいるにはいる。

だが、誰も水は刺さない。お節介をかけるような関係ではなさそう。そう空気を読むものが多い中、


「おーい、廊下は走るなよ〜」


巡回中の先生が掛けた声に、律儀にも彼は止まる。

理由はわからない。わからないが、探していたのかもしれない。


「裕翔!··乙女の純情を奪った代償は重いわよ...」


「あ、あははは····ヤバ──」

 


その言葉と共に、彼は彼女に連れさられ、人知れず消えていった。


奇しくも夢の高跳びは実現されるようだった。




もしかしたら、分岐ルートが書かれるかもしれない···

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