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異世界恋愛短編集

嘘つき令嬢は悪役令嬢ではありません~嘘つき令嬢は嘘つきでもありません~

作者: 来留美

「あっ嘘つき令嬢だ。今日はどんな嘘をつくの?」

「今日はクソガキがうるさいと出てくる狼男の話をしてあげようか?」


 私は子供達に嘘つき令嬢と呼ばれそれに当たり前のように答えます。


「そんな話を聞くかよ。どうせ嘘なんだからな」

「本当は怖いんでしょう?」

「うるせぇよ嘘つき令嬢のくせに」

「なっ何よ。クソガキのくせに」

「嘘つき令嬢が怒った。逃げろ」


 そして子供達は逃げていきました。


「お嬢様。子供達に汚い言葉をお使いになるのはおやめ下さい」


 子供達がいなくなったと思ったら次はクソおばあちゃんなの?

 敢えてババアはやめておばあちゃんにするわ。

 このおばあちゃんは私の使用人さん。

 私の身の回りのお世話係の人よ。


「分かってるわよ。でも大人をバカにするから」

「貴女は子供じゃないのですよ。大人の対応をお願い致します」

「は~い」

「お嬢様!」

「分かりました」


 おばあちゃんったら怖いんだから。

 もっと優しくしてくれないかしら?


 さあ、私は誰でしょうか?

 お分かりですか?

 私は嘘つき令嬢です。

 本当の名前はエリザベスです。


 誰も私を名前で呼んではくれません。

 私は嘘つき令嬢です。

 何故、嘘つき女とは呼ばれないのかというと私は一応、身分の高い王子様の婚約者だからです。


 王子様がどれだけ身分が高いのかはよく知りません。

 興味はありません。

 それならどうして王子様の婚約者になったのかって?

 それは私には選択肢が婚約者になることしかなかったのです。


 王子様は有無を言わさず私をお城へと連れてきたのです。

 そして一言、お前は俺の妃になるんだ。

 そう言われただけです。

 王子様の名前も知らないまま私は王子様の妃になるのです。

 妃になるには準備期間がありその間は婚約者になります。


 そこで何故、私が嫌だと言わなかったのか気になりますか?

 それでは教えましょう。

 私に帰る家がなくなったのです。

 私の家は火事で焼けて跡形もなくなったのです。


 だから私はこのお城に残るしかなかったのです。

 でもこのお城の生活も嫌ではないのです。

 好きな事を毎日できるからです。

 

 一日中ゴロゴロしたり、一日中お花を眺めてお世話をしたり、一日中お城の外に出てお買い物をしたり。

 私には毎日が幸せです。


 でもそんな私にも不安なことはあります。

 それは王子様との結婚です。

 王子様とは最初に会ったあの日が最後です。

 あれから一ヶ月は経ちました。

 王子様は私の部屋に顔を見せには来ません。

 だから顔も覚えていません。


 私って何?

 そう思いませんか?

 王子様の事を知りたくても会わないのだから知ることもできません。

 だから私は決めたのです。

 王子様から私に会いに来るまで名前も顔も知らないままでいいと。


 私は王子様なんて興味ないんだから。

 王子様も私の事なんて興味ないんだと思う。

 顔も名前も知らないまま結婚も面白いかもね。



 そんなある日、私が庭から部屋に戻った時、部屋に知らない男の人がいました。

 その人は一言で言うと、とても綺麗でした。

 綺麗な装いで綺麗な短髪の金髪が風にゆらゆら揺れて光っています。

 そして私の方を向いた顔は美しい。

 その一言です。


 一つだけ残念なのは目付きです。

 私を鋭い目で睨んでいるのです。

 切れ長の目がいけないのか、彼の目付きが悪いのか。

 印象は最悪です。


 だって怖いんです。

 勝手に私の部屋に入っているのに。

 どうして私が睨まれなきゃいけないの?

 悪いのはあなたでしょう?

 睨むのは私ですよね?


「どちら様でしょうか?」


 私は一応、お嬢様なのでお嬢様風に言いました。


「この城の(あるじ)の顔も知らないのか?」


 主?

 王子様?

 こんなに美しい王子様だったの?


「申し訳ございません。一度しかお会いしていませんのでお顔を思い出すことができませんでした」

「一度でもちゃんと覚えておけ」


 何よその言い方。

 イラッとしても私は笑顔で大人の対応をします。


「申し訳ございません。次は忘れませんので」

「当たり前だ」


 折角のいい顔が台無しよ。

 どれだけ上から目線なの?

 王子様は上から目線の俺様でした。


「今日はどうして私の部屋へお越しになられたのですか?」

「嘘つき令嬢とはどんな奴なのか見たくなってな」

「王子様は私の事を知って婚約者に選んだのではないのですか?」

「ん? ただの通りすがりだ」

「えっ」

「何処かに適当に妃になってくれる人がいないか探していた時に嘘つき令嬢の話を聞いた」

「どんな風に聞いたのですか?」

「父親が誰でも分かるような嘘をついて死んで、その娘も嘘つきを受け継いでいるって言ってたなあ」


 私の名前の由来。

 嘘つき令嬢。

 それは父のせい。

 私は小さい頃は可愛いお嬢様と言われ育ちました。

 一応、父は身分の高い人だったみたいです。


 そんな父が愛する妻を病気で亡くし豹変しました。

 私だって母を亡くしたのだから悲しかったのに私の父は私のことなんか忘れて毎日のように悲しんでいつしか口にしたのです。

 嘘を。


 何故、嘘だと分かるのか。

 だって誰が聞いても嘘だと分かるからです。

 そんな父は死ぬまで嘘を言い続けました。

 だから父の娘の私も嘘つきなのです。

 でも私は嘘なんてついたことはありません。

 ずっと正直に生きてきました。

 それなのに父のせいで……。


「それで? お前は嘘つきなのか?」

「えっ」

「お前は嘘つきなのか?」

「…………」


 私は何も言えませんでした。

 違います。

 何も言えなかったのです。

 だって泣いていたから。


「えっ何で泣いている?」

「初めて言われました」

「何を?」

「私に嘘をつくかどうかです」

「誰でも聞くだろう?」

「いいえ。誰も聞いてはこないです。みんな私は嘘つきだと決めつけていたので」

「そっか」


 そう王子様は言って私の頭を撫でました。

 まるで私を子供のように扱いヨシヨシと頭を撫でました。

 王子様は優しい方なのかもしれません。

 あの目付きは今は忘れましょう。


「それで、お前は嘘つきなのか?」


 王子様は私が泣き止んだ事を確認してまた聞きました。


「私は嘘をついたことはありません」


 私は王子様の目を見てハッキリと答えました。


「そうか分かった。今日は帰る。しかし今度は夜に来る。意味は分かるだろう?」

「えっ」

「お前は俺の妃になるんだ分かっているよな?」

「はい」

「それじゃあまた今度来てやるよ」


 王子様はそう言って私の部屋を出ていきました。

 来てやるよって何よ。

 来なくていいわよ。

 絶対に来ないで。

 今度なんて来ないで。


◇◇


 王子様から夜のお誘いを受けてから私はどうやって断るか考えます。

 断ることなんてできないのは分かっています。

 でも私にはまだ心の準備ができていません。

 怖いのです。


 しかし、いつまで経っても王子様が私の部屋に来ることはありませんでした。

 私は安心していました。

 もしかしたら王子様は忘れてしまっているのかもしれません。


 王子様と二度目の出会いから一ヶ月が過ぎました。

 また一ヶ月も王子様と会っていないのです。

 でも顔はちゃんと覚えています。

 だからお城で王子様を見つけた時、嬉しくなりました。 


 王子様に声をかけようと近づいた時、王子様は誰だか知らないお姫様に笑いかけていました。

 そんな王子様の顔を見た時、胸が痛くなりました。

 私には睨み付けたのに、どうしてそのお姫様には笑いかけているの?

 何故かイライラしました。


 ずっと見ていると王子様とお姫様は話が終わったのか離れていきます。

 私はお姫様の後を追いました。

 お姫様は庭の私の好きな花達を見ていました。

 愛くるしい顔で笑うお姫様はとても可愛いお姫様でした。


「あなたは王子様と仲がいいのですね」


 私はお姫様に話しかけていました。


「王子様ったら面白い方なんですよ」


 お姫様は思い出したのか私に笑いながら言いました。


「私は王子様の婚約者なんです」

「あっあなたが例の……」

「嘘つき令嬢って言いたいのですか?」

「違いますよ」


 お姫様は困った顔で言っています。

 分かっています。

 私は嘘つき令嬢。

 王子様に忘れられた嘘つき令嬢。


「私は王子様に好かれているんです」

「そうなんですね。羨ましいです」


 お姫様は笑顔で私に言いました。

 どうして笑っているの?

 悔しくないの?

 王子様が好きじゃないの?


「嘘です」

「えっ」

「王子様に好かれているなんて嘘です」

「そうなんですか?」

「ごめんなさい」


 私は嘘つき令嬢でもないし、悪役令嬢でもありません。

 やっぱり正直に生きていくことしかできません。

 お姫様は花を観察した後、帰っていきました。

 お姫様はとても心の綺麗な方でした。

 王子様はあんな方が好きなのでしょう。


 それなら何故、私を妃にするのでしょう?

 こんな嘘つき令嬢を。

 私は落ち込みながらベッドに入りました。

 そのうち、ウトウトと夢の中へ意識を手放そうとした時です。


「まだ寝るな」


 王子様が私の部屋のドアを開け、そう言いました。

 えっと、夜に王子様が来たということはアレだよね?

 ヤバイ。

 断る理由を考えてなかった。


「寝ます」

「はあ? 前に言っただろう? 夜に来ると」

「今日はもう私は寝てます」

「起きてるだろう?」

「体は寝てます」

「それなら俺が起こしてやるよ」


 そう王子様は言って私のベッドに入ってきます。

 待ってよ。

 心の準備ができてないの。


「寝てるって言ってるでしょう」


 私は叫んで王子様に言っていた。

 王子様はニヤリと口の端を上げた。

 何?

 私、殺されちゃう?

 反抗しちゃったから。


「嫌なら嫌って言えよ」

「えっ」

「俺だって嫌がってる奴とやりたくねぇよ」


 王子様?

 やる、やらないなんてお下品なお言葉をおやめ下さい。

 もっとオブラートにお包み下さい。


「それならどうしてここにいらしたのですか?」

「その話し方、もう意味がないから」

「えっ」

「本当のお前の言葉で話せ」


 王子様にいつもの私で話したら婚約破棄されちゃうわよ。


「これが私の話し方ですが?」

「それって嘘ついてるじゃん」

「嘘じゃありません。世渡り上手と言うんです」

「世渡り上手ならやっぱりその話し方は本当のお前じゃないよな?」


 えっ。

 騙された。

 仕方ないよね。

 もう、知らないんだから。


「分かったわよ。これでいいの?」

「上出来」


 王子様はそう言ってお昼にお姫様に見せていた笑顔を私に見せた。

 笑顔が眩しい。

 ダメだ。

 私の心臓が壊れそう。


「今日は何してた?」

「えっ今日は部屋でゴロゴロして、あまりにも暇だったからお花を見に庭に行って雑草を抜いたりちょっとお世話したよ」

「そっか。花が好きなんだな?」

「そうね。お花は綺麗だから。見ていて飽きないよ」

「今度、俺も一緒に見てもいいか?」

「うん。いいよ」


 あれ?

 王子様ってこんな人だったかな?

 目付きの悪い怖い人だったよね?

 何か話しやすい。

 王子様の印象が怖い人から少しだけ優しい人に変わりました。


 その日は王子様とお花の話をしました。

 私だけ喋ってたけど王子様も楽しそうにしてたから盛り上がったと思います。

 その日はそれだけ。

 王子様は私とお話をしただけ。


◇◇◇


 お花の話をした次の日、王子様は本当に私とお花を見ました。


「綺麗でしょう?」

「そうだな。そんなに花が好きか?」

「うん。大好きよ」

「それならここはお前のモノだ」

「えっ」

「お前がしたいようにすればいい。花の手入れも好きな花を植えてもいい。庭師もいらないなら辞めさせる」

「私は見るだけでいいの。ここの花達をお世話している庭師さん達のお陰でこの花が見られるの。私は見るだけで満足よ」

「そうか」


 王子様は私の頭を撫でました。

 王子様の手から優しさが伝わりました。

 王子様の目からも優しさは伝わりました。

 私の心は王子様の優しさでいっぱいになりました。


◇◇◇◇


 ある日の夕方、使用人のおばあちゃんが私に焦ったように言いました。

 

「お嬢様。王子様が怪我をなされて」

「えっ。何処にいるの?」

「部屋でお休みになられております」

「行くわ」

「でも、男性の部屋に女性が行くのは……」

「そんなこと今は関係ないわ」

「承知いたしました」


 私は王子様の元へ走ります。

 王子様。

 大丈夫だよね?


「王子様!」


 私は王子様の部屋のドアを勢いよく開けます。

 王子様は私を見て驚いています。


「大丈夫ですか?」

「どうしたそんなに慌てて?」

「だって怪我をしたって聞いて」

「手を少し切ったくらいだ」


 私は王子様が横になっているベッドの横に座り込んでしまいました。


「良かった」

「それで? 俺の部屋に来たってことはどういう意味か分かってんの?」

「えっ今回は仕方ないでしょう?」


 この国では男性の部屋へ女性が行くのは夜を一緒に過ごすって意味なので私がここに来たのもそういう意味になってしまいます。


「今夜はお前と何をしようかな?」


 王子様はニヤリと口の端を上げて言います。


「私は帰ります」

「待て」


 私が帰ろうと立ち上がると王子様は私の腕を掴みます。


「何?」

「俺のことも考えろよ」

「えっと意味が分からないんだけど?」

「夜を一緒に過ごすはずなのにお前が帰ったら俺は男として生きていけなくなるだろう?」

「そんなことないわよ」

「あるんだ」

「いてあげるけど何もしないでよ」

「我慢する」

「我慢? 私にはそんな魅力はないわよ」

「お前には魅力しかない」

「何それ? 王子様は目が悪いの?」

「本気だけど?」


 王子様は真剣な顔で私を見て言いました。

 そんな王子様から目を離せませんでした。

 何て返事をすればいいのでしょう。


「それは私の事が好きなの?」

「好きって言ったら君は嬉しい?」

「君?」

「何でそこに驚く訳?」

「だって今までお前だったから」

「妃になる人にお前はいい加減やめないとな」

「そうね」

「それで?」

「それで?」

「何で真似するんだよ?」

「嬉しいです」


 私は恥ずかしくてうつむきながら答えました。

 だから王子様の顔がどんな顔になっているのか分かりません。

 見たいけど見れません。


「好きだよ。君が好きだ」


 王子様は私を抱き締めてくれました。

 私は幸せです。

 だって私も王子様を好きだからです。


「私も王子様が大好きよ」


 私がそう言うと王子様はギュッと抱き締めてくれました。


「好きだよエリザベス」

「えっ」


 いきなり王子様は私の名前を言いました。

 どうして知っているのでしょう?

 私は一度も教えたことはありません。

 しかしすぐに分かりました。

 だから私も王子様に言います。


「エリック王子、大好きよ」

「何で俺の名前を知ってんの?」

「それはエリック王子と同じだと思うよ」

「そっか」


 エリック王子は私の頭を撫でました。

 大きな優しい手で。


 私達は自分から名前を言った訳じゃないのにお互い何故、名前を知っていたのか。

 私達はお互いの名前を知りたかったから知ってる人に聞いたの。

 名前を知って呼びたかったからね。


 エリック王子。

 エリザベス。

 そう、いつでも呼べるようにね。


◇◇◇◇◇


 それではエンディングです。


「エリザベス。まだか?」

「ちょっと待ってよ」


 エリック王子は私を焦らせます。

 何故かって?

 今日は結婚式の前夜祭なの。

 エリック王子はこの国の王子様だったみたいです。


 だからこの国の王子様の結婚式は派手に行われます。

 誰もが祝い踊り楽しむのです。


 私は真っ白のドレスを着て、エリック王子は真っ白のタキシードを着て二人で急いでエリック王子の部屋の窓から空を見上げます。

 すると大きな音がして大きな花火が空に花を咲かせました。

 消えてはまた咲いての繰り返しです。


「綺麗だね」

「うん」

「花火のお花も大好きよ」

「俺は君が大好きだ」

「だから花火を見ないで私を見てるのね」

「今の君は本当に綺麗だ」

「ありがとう」

「早く俺のモノにしたい」

「あと一日よ」

「その一日が長いんだ。君にどれだけ触れたいのか分かる?」


 私はエリック王子の言いたいことは分かっています。

 だからエリック王子の耳元で囁きました。


「明日は好きにしていいよ」


 エリック王子はそんな私を抱き締めて優しいキスをしてくれました。



 それから何十年も過ぎました。

 私達の人生も終わりそうです。


「エリック」

「何だい? エリザベス」

「生まれ変わりを信じる?」

「君のお父上が言っていたことかい?」

「そうよ」

「君のお父上が言ったことなら信じるよ。だって正直な君の大切なお父上なんだから」

「私も信じるわ。だから生まれ変わってもまた会いましょう」

「ああ。楽しみだ。次はどんな君に会えるのかな?」

「嘘つき令嬢じゃないのは確かだと思うわ」

「そうかな? でも俺は君がまた嘘つき令嬢として生まれても恋に落ちると思うよ。だって俺は君自身が好きなんだから」

「それなら私をちゃんと探してよ」

「ああ。見つけ出すよ。どれだけ時間がかかってもな」

「うん。待ってるよ」


 私とエリックは生まれ変わっても必ず出会えるはず。

 私の父は嘘なんて言っていない。

 人は生まれ変われるの。

 信じれば必ずまた出会えるわ。

 だから私は信じるよ。



 お父様。

 私の人生はこんな感じです。

 お父様の娘で良かったです。

 嘘つき令嬢でも悪役令嬢でもない私はエリザベスです。

 お父様がつけてくれた名前。


 誰が読むのか分からない私の日記はお父様宛の手紙になってしまったわね。


◇◇◇◇◇◇


「ねえ、エリナ。何か先輩が呼んでるよ」


 私は友達にそう言われて教室のドア付近に立っている先輩を見る。

 誰?

 全然知らない人。

 何で私を呼ぶの?

 私はその先輩の方へ向かう。


「呼びました?」

「君がエリナ?」


 いきなり呼び捨てなの?

 何様よ。


「私はエリナですけど何か?」

「俺はエリナガって言うんだ」

「エリナガ先輩?」


 何だろう?

 聞いたことがあるような。


「俺は君の事が知りたいんだ」

「私もって言えば先輩は嬉しいですか?」

「うん。嬉しい」

「私もです」


 そして私と先輩は笑い合いました。

 この懐かしい感じは何だろう?

 まあ、いいや。

 だって先輩ってイケメンだから。

読んで頂きありがとうございます。

読んで頂いた方の心に残るお話だと嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 童話のようなお話で可愛かったです。 ちゃんと2人が両想いで、ハッピーエンドなのが良かったです。 素敵な作品を読ませていただき、有り難うございました!
[一言] 最初どういうお話なんだろうと思い読みはじめましたがラストは全く想像していない展開で驚きました。 「夜を一緒に過ごすはずなのにお前が帰ったら俺は男として生きていけなくなるだろう?」 王子のこの…
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