1話
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ロングホームルームが終わり、オレは外を眺めていた。
教室の窓から見える透き通った青の雲一つない空を見るのがオレは好きだった。
だが、そんな平穏な時間は続かず、1人の生徒が話しかけてきた。
「蓮良かったな!」
同じクラスの櫻井が来てそう言った。
「なんのことだ?」
だいたい内容は分かっていたが一応聞いてみた。
「桜木さんのことに決まってるだろ~!」
予想通りの答えが返ってきた。
櫻井は教室から去る桜木さんの姿を見ながらオレと話していた。多分、桜木さんが隣の席から去るのを見計らって来たのだろう。
「お前ほんとに恋バナ好きだよな」
「恋バナこそ俺の生きがいだからな!」
うわぁーこいつの生きがいクソしょぼいなー。もっとマシな生きがいないのかよ。誇らしげに言っていたが、むしろ悲しいヤツに見えてきた。
「で?実際嬉しいだろ?」
ニヤニヤしながら聞いてきた。
「別に何も嬉しくないし、挨拶以外一言も喋ってないぞ。こっちもしゃべる気ないけど…」
「それって桜木さんから挨拶したのか!?」
櫻井が驚いたような顔でそう言った。
「え、そうだけど。挨拶くらい誰にでもするだろ?」
「俺は桜木さん自ら男子に挨拶したとこ見たことないぞ!」
「そうなのか?」
櫻井はうんうんと首を縦に振った。その後にニヤリと笑い、
「蓮もしかしたら脈ありかもな!」
「オレがあんな美少女から好かれると思うか?」
「あはは!確かにそうだな!全く思わん!」
少しは否定してくれたって良くね?
そんな気持ちが少しはあったが、別に女子と関わることがないからどうでもいい話だ。
「そもそも女子苦手だし、まともに喋れない時点で脈なしだ」
櫻井は呆れた顔をしながら、ため息を吐いた。
「蓮は本当に女子苦手だよな、男子とだったら誰とも喋れるのに…」
櫻井の言う通りオレは女子とは全くと言っていいほどしゃべれないが、男子となら誰とでも抵抗なく喋ることができる。自分でいうのはあれだが、クラスの男子なら陽キャと陰キャの間で、どっちも仲良くできるくらい人脈があると言っても良いだろう。
「蓮ってもしかして…」
櫻井はなぜだか恐る恐るオレの目を見てにこういった。
「ホモなのか?」
「なわけねーだろ!」
何を言い出すかと思えばなんで女子が苦手なだけでホモ認定されなきゃいけないんだよ。もしオレがホモなら陰キャ全員ホモだぞ?
そんなことを思っていると、櫻井はオレの肩を2、3回叩きながら、ケラケラと笑っていた。
「冗談だって!」
そんな会話をしていたらチャイムが鳴り、次の授業が始まった。しかし、担当の先生の姿が見当たらず、隣りの席の桜木さんの姿もなかった。
クラスのみんながざわめくなか、教室の扉が開き、桜木さんが入ってきた。
「先生が来れなくなったので自習だそうよ。課題も預かってるから配るわ」
彼女はそう告げ、課題のプリントを配った。
その瞬間クラスの何人かが歓声をあげた。
何かと思いプリントを見たら、裏表あったが問題数は少なかった。これだとどんなに遅い人でも30分くらいで終わるだろう。この課題さえ終わらせれば自由時間みたいなものができる。それでみんなも歓声をあげていたのだろう。
クラスの人たちが着々とプリントに手をつけていたのを見てオレもプリントに手をつけようとした時、後ろから声をかけられた。
「レン手分けしてプリント終わらせようぜ!オレ表やるからさ!」
と、後ろの席の佐々木がそう言ってきた。もちろん男。
断る理由もなくオレも早く終わるに越したことはないと思い手分けしてやることにした。
「わかった。じゃあオレは裏をやる。間違えてても文句言うなよ?」
そう言ってオレは裏の問題に取り掛かった。
長い文章の問題だけ飛ばし、他は全て埋めて裏を終わらせた。佐々木はまだ終わってなかったので、待っていると、外から少し強い風が吹いてきた。
その風でオレのプリントは飛ばされ隣の席の桜木さんの椅子の下に飛んでいってしまった。
「やべぇ…」
そう小さく呟いた。
普通の人なら一声かけてとってもらい、「ありがとう」と言って終わりだが、オレにはそれが出来ない。
なぜなら言うまでもなく女子が苦手だからだ。だからといって、自分で椅子の下に取りに行ったらただの変態じゃねーか…。
どうしようと悩んでいると、桜木さんがオレのプリントが落ちていることに気づいて取ってくれた。
「これあなたのでしょ?」
そう言ってオレのプリントを差し出してきた。
「ア、アリガトウございます」
助かった…と思いながら彼女が差し出したプリントを掴み受け取ったはずだったが、なぜだか彼女はプリントをじーと眺めていて離さなかった。
疑問に思ったオレは勇気を振り絞って話しかけた。
「あのー…」
これが限界だった。これ以上は無理だ。でもオレの声で気づいたようで、「ごめんなさい」と一言いって手を離した。
ぼーっとしていたのか?
なぜ彼女ぼーっとしていたのかは分からないが、彼女は何かを決意したように見えた。
「レン終わったぜ〜!」
そんな時、佐々木がそうオレに声をかけた。
「オレも終わったぞ」
プリントは15分くらいで終わり残りの時間は雑談やらなんやらして授業が終わった。
オレは席を立ち、トイレでも行こうと思ったその時、隣の桜木さんから声をかけられた気がした。
いや、でも中学の時に女子に呼ばれたと思って何?って言った時「え?呼んでないんだけど」って言われて後悔した酷く悲しい過去があることからこれは反応しない方がいいなと思いトイレに行こうとした。
「氷室くん、待ちなさい」
自分の名前が呼ばれてオレは声のする方に体を向けた。
そこにはやはり桜木さんが立っていて、クラスの視線が一気に集まっていた。
「ナンデスカ?」
めっちゃ片言になってしまった。しかし、桜木さんはそれをスルーしてオレにこういった。
「放課後話があるわ。教室で待ってて」
「…え?」
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