13話
良かったら最後まで見てください!
今回は少し長めです!
しばらくして、オレは教室へと足を運んだ。
スマホである操作を完了した後にオレは教室の戸を開けた。そこには、オレの予想通り倉科がオレの席の前に立っていた。
倉科は一瞬驚いた顔をして、何かを自分のポケットの中に入れていた。その後、すぐに何事もなかったかのような顔に戻った。
「あれ?氷室、生徒会は終わったのか」
「ちょっと早く終わったからな」
倉科は誤魔化すように話を振ってきた。
「……それで、瀧宮さんが犯人だったのか?」
「いや、違かった」
「そうか……」
オレがそう言うと、何故か倉科は少し、複雑な顔をしていた。
「ところで、倉科、何でお前三組にいるんだ?」
倉科のクラスは2組のはずだ。仲間と居るならまだしも、一人でここに居るのはおかしい。
「忘れ物を取りに来たんだ。ついでに雄二に俺のも取ってきてくれって頼まれたんだ」
「そうだったのか。じゃあなんでオレの席に居るんだ?」
「え?この席氷室の席なの?雄二がこの席って言ってたんだけどな……」
倉科はあくまでも影山にいわれてやったと言っていた。
「影山の席ならあっちだ」
オレは廊下側の席を指さした。倉科は影山の席に行き、ユニホームのようなものを取っていた。
どうやら、影山に頼まれたと言うのは本当らしい。
「サンキュー氷室。じゃあ俺部活戻るわ」
「あ、そうだ。ひとつ言い忘れてた」
帰ろうとする倉科にオレは声をかける。
「ん?なんだ?」
「盗難の犯人が分かったんだ」
「え?まじで?誰?」
他人事のように聞いてきた倉科にオレは
「お前だ。倉科」
そう本人に告げた。
さすがに動揺を隠せなかったのか、目を見開いて明らかに驚いていた。
だが、いきなり犯人と言われれば誰でも動揺するだろう。実際、瀧宮もそうだった。
「な……何言ってるんだよ!俺被害者だぞ?なんで俺が犯人になるんだよ!?」
まぁ、流石に認めないよな……
めんどくさいが説明するしかないか。
「なら、一から説明するか……」
オレは軽くため息を吐き、説明を始めた。
「お前は被害者5人のサイフから金を盗んだ時点で、生徒会が会議をすると宣言していた。それを知ったお前は被害者になり、安全な場所から犯人を他の誰かに擦り付けようとした。
だから、影山の金を盗み、自分も盗まれた事にして会議に参加したんじゃないのか?」
オレは倉科の表情を見ながらそう言った。
「そ……そんなわけないだろ!ていうか、最初に瀧宮さんを疑ってたのは雄二だったろ?」
やっぱりそう来たか……
「いや、違うな。お前は影山を利用しただけだ」
「どうゆうことだ?」
「そうだな、例えば……会議の時、二人でじゃれ合ってたら……って言ってたが、これはお前が影山をわざと押して、瀧宮にぶつけたんじゃないか?そしたら嫌でも記憶に残るはずだ。後は、影山の発言を待ち、自分はその発言に乗ることで、疑われないポジションで犯人を擦り付けることが出来る。違うか?」
「俺がそんな事する訳ないだろ!」
そう言っていた倉科の目は少し泳いでいた。
「そ、そもそも俺監視カメラに映ってなかっただろ?そんなんでどうやって校内に入るんだよ」
確かに監視カメラがある昇降口から入らないと、校内に入る出入口はない。だが、一つだけ通路がある。
「簡単だ。お前はバスケ部だろ?だったら体育館から校内に繋がる通路があるはずだ。そこから入れば監視カメラに映らないで校内に入ることが出来る」
倉科の表情はだんだん険しくなり、明らかに動揺している。
「……じゃ、じゃあどうやって盗んだって言うんだよ。それにオレは部活中だぞ?」
「部活はトイレとかで抜けられるだろ。盗んだ方法は知らんが、被害者達の部活は体育館の近くだ。それに吹奏楽部やダンス部は音楽で多少の物音には気づかないだろう。テニス部に関しては部室が隣だ。盗むのはそう難しくはないはずだが?」
一瞬、回答に困っていたがすぐにこう答えた。
「な……なら、証拠はどこにあるんだよ!?」
いや、その聞き方ほぼ犯人のセリフなんだけど……
倉科は動揺しているせいか、冷静さを失っていた。
「証拠ならあるぞ。お前のポケットの中にな」
オレは倉科のポケット辺りに指をさし言った。
図星をつかれた倉科は一言も言葉を発しなくなった。
「そのポケットの中にはオレのカバンから取った一万円札が入ってるはずだ」
オレは今日の朝、櫻井との会話をわざと倉科に聞こえるように話し、一万円くらい持っていることを知らせた。
しかも、オレは生徒会の呼び出しでしばらく居なくなり、カバンを教室に置いていった。
これでオレは、盗みやすい状況を作り出した。
そしたら、倉科は見事に罠に引っかかってくれた。
後は、みんなが教室から居なくなる時間帯に来る倉科を現行犯で証拠を掴めば良いだけの話だ。
そんな事を考えていると、倉科はやっと口を開いた。
「そ……そうだよ。氷室の言う通り一万円は盗んだ…」
倉科はやっと自分がやったと認めた。
しかし、付け足すように倉科はこう言った。
「でも、詰めが甘いな氷室。このことは氷室と俺以外誰も知らない。なら、これは徹底的な証拠にならないだろ?それに、ここで氷室に金を返せば無かったことに出来るしな!」
勝ち誇ったような表情をして、そう言っていた。
だが、オレはこんな茶番に付き合うほど暇じゃない。
オレはポケットからスマホを取り出し、その画面を倉科に見せた。
「この画面、何だか分かるか?」
そのスマホには、録画中の画面が映っていた。
そして、録画時間はもう数分が経過していた。
「こ……これは……」
倉科は恐る恐るそう聞いてきた。
「オレは教室に入る直前に録画ボタンを押して入ってきた。だから、俺らの会話は最初からずっと録画されてたという訳だ」
そう言うと、倉科はまさに絶望したような顔をしていた。
「そんな……お前本当に氷室か?」
まぁ、流石にここまでやれば疑うよな。
だが、オレはそれを無視し、話題を切り替えた。
「さて、この録画を先生に渡したら倉科、お前は確実に退学だろうな」
「や……やめてくれ!頼む!」
倉科は縋るようにそう頼んできた。
「じゃあ聞くが、お前は何のために盗難をしたんだ?」
そう聞くと、しばらく沈黙が流れ、その後に倉科は
「い……妹の入学祝いで妹が欲しい物を買おうとしたんだ。けど、それが意外と高かったんだ。だから、バイトをしようと思ったけど、部活と勉強で忙しくてそんな時間が無かったんだ。だから……」
「盗難をしたのか?」
言うと、倉科はそうだ。と短く答えた。
確かに、倉科はバスケ部の練習が約週六であり、学年トップの成績をキープするために、復習や予習をしているのだろう。だから、バイトする時間がないかもしれない。だが……
「その盗んだ金で妹に物をプレゼントしたら、何も知らない妹は喜ぶかもしれない。だが、お前はその罪悪感を一生背負って行くことになるぞ」
オレの言葉が効いたのか倉科は、
「悪い。俺が間違ってた。盗んだ金は後で返す」
反省した倉科は先に、オレから盗んだ一万円札を返してきた。
一段落して、時間を確認すると生徒会を出てから20分程度だった。
あと5分掛かるとしても間に合うな。
そんなことを考えていると、
「……氷室頼む!どうか退学だけは……」
倉科は藁にもすがる思いでそう言っていた。
まぁ、退学にするつもりは無いが……
だが、次の瞬間、倉科はこんな事を言った。
「なあ、俺ら友達だろ?もう二度としないから……頼む!」
友達……か……。
それを聞いたオレは過去の記憶が少しだけフラッシュバックされた。
『なあ、氷室俺ら友達だよな?ここ教えてくれよ』
『友達なんだから、この位良いだろ?』
『友達ならこれくらいして当たり前だよな?』
そんな記憶だった。
「倉科、オレはお前を友達だとは思っていない」
「……え?」
倉科は目を見開いて驚いていた。
だが、それは倉科に限っての話ではない。櫻井も佐々木も影山もただのクラスメイトだ。友達では無い。
『友達』と言う言葉は人を利用するだけ利用し、使えなくなったら捨てられる。それが友達と言うものだ。
だからこそ、オレは友達を作らない。
そう。二度とあんな思いをしないように……
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