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11話

良かったら最後まで見てください!

「失礼します」


そう言って、瀧宮は戸惑う様子もなく、生徒会へ入った。


「どうぞ座って」


桜木の指示で瀧宮は客席用の椅子に座った。

そして、さっそく瀧宮が口を開いた。


「それで、これはなんの呼び出しですか?」


どうやら、瀧宮は要件を知らされてないのか、なぜ呼び出しをくらったのか分からないようだ。

まぁ、さっきの一人目も二人目も知らされて無かったようだし、大体予想はついていたが……


「そうね、じゃあ、あなたを生徒会室に呼び出した理由から説明しましょうか」


桜木はそう言い、説明を始めた。


「瀧宮さん。あなたは今この学校で起きてる盗難事件について知っているかしら?」

「はい。噂程度ですが……」

「それで十分よ。それで昨日、その盗難事件に合った被害者達と話し合いをしたわ」

「それと、私が呼び出されたことと関係あるんですか?」


もし、瀧宮が犯人なら、桜木の今までの話を聞けば、少しは動揺してもおかしくなかったが、瀧宮は全く動揺していなかった。


「もちろんあるわ。なぜなら、その話し合いで一番犯人の可能性が高いと言われたのがあなただからよ」


桜木は容赦なく、そう告げた。


「……え?」


唐突にそう言われた瀧宮は、何がなんだか分からず動揺していた。

さすがに、いきなり犯人と言われれば、犯人じゃなくても動揺するだろう。


「じょ、冗談ですよね?私が犯人の可能性が一番高いって……」

「冗談じゃないわ。被害者達は盗難が起きた日、あなたを見たという証言が複数あるわ」

「証言?」


桜木は、一膳先輩が話し合いの時に書いていたメモ用紙を手に取り、それを見ながら解説をした。


「影山くんと倉科くんの証言で、盗難にあった日に、瀧宮さんにぶつかってしまった。と、言う証言があるわ。でも、その時、何にやら急いでいたそうだけれど、なぜ急いでいたのかしら?」


「それは……」


瀧宮はすぐに思い出せないのか、言葉に詰まっていた。


だが、オレはもうこの時、瀧宮が犯人である可能性がゼロに等しくなっていた。

なぜなら、今回の犯人は計画的に動いている。

もし、何も考えずに犯行していたら、今頃、先生に見つかっているだろう。

つまり、犯人はそこそこ頭の切れる奴ってことだ。

瀧宮は補習受けていて、あまり頭は良くないはずだ。

しかも、言葉が詰まるのは、一見怪しく見えるが、計画的に動いているなら、それもすんなり返してくるはずだ。


このことを言えば、今の状況も少しだけ変わるだろう。

だが、オレは瀧宮を助ける気なんてない。

女子だからと言うこともあるが、オレの正体を瀧宮に知られたくないことと、助けてもあまりメリットが無いからだ。

オレがそんなことを思っていると、瀧宮は、


「あっ!思い出しました!確かあの時は、補習を受けた後、補習で出た課題を終わらせて先生に提出しに行ってました。急いでたのは、先生が帰りそうだったからです」


桜木は「分かったわ」とだけ言い、続けてもう一つ質問をした。


「それともう一つ、町田くんの証言で、テニスコートら辺をうろちょろしていたと証言してるわ。なぜ、テニス部でもないあなたがそこに居たのかしら?」


「えーと……確か、あれも補習の課題を提出しに職員室に行ったんですけど、先生が居なくてテニス部まで行って提出しに行っただけです」


今回も言葉が詰まったものの、さっきよりはマシだった。

ていうか、こいつどんだけ課題あるんだよ。


「なるほど……」


桜木はそう言い、考え込んだ。


「私本当に盗難なんてしてません!信じてください!」


瀧宮は必死に犯人じゃないことをアピールしていた。

まぁ、そのアピールは逆効果だと思うが……


「私は恵を信じます!」


すると、これまで何も発言しなかった、雛川がそう言い、続けて、


「恵はちょっと馬鹿でおっちょこちょいな所もあるけど、そんな人じゃない。だから華、まだ結論は出さないで」


どさくさに紛れて、酷いこと言ってね?

本人は気づいていないっぽいけど……


「分かってるわ。まだ証拠が足りないし、瀧宮さんと断定した訳じゃないもの。けれど、怪しい事には変わりないわ。それだけは忘れないで」

「はい。分かりました」

「とりあえず、盗難事件が終わるまでは毎日生徒会に来てもらうからそのつもりで」


……え?毎日?普通に嫌なんだけど。

しかし、生徒会メンバーは誰一人文句を言わず、頷いていた。

オレは瀧宮を助ける気は無いが、さすがに、毎日生徒会は行きたくなかったので、オレは、自分の意見を桜木達に言うことにした。


「ぁ……ぁ……」


言えねぇ〜。桜木ならギリギリ言えるかもしれんが、他の生徒会メンバーと瀧宮がいると何故か喋れない。


仕方ない。多少ヤバい奴だと思われても良いからとりあえず、話しかけるんだ。

オレは体を壁の方へ向け、こう言った。


「た、瀧宮さんは本当に盗難をしてないんだな?」


オレが急に喋ったことに驚いたのか、シーンとした空気が流れた。

やめてこの空気、ちょ誰か喋って。


「はい…絶対にしてません!……けど、なんでこっち向かないんですか?」


まぁ、そこ突っ込まれますよね。

どう答えるか悩んでいると、桜木が話始めた。


「気にしないで良いわ。氷室くんはこうでもしないとまともに女子としゃべれない可哀想な人なのよ」


おいおい、女子としゃべれないのは事実だが、可哀想な人は余計だろ!


それを聞いた瀧宮は、


「なるほど……可哀想な人なのですね」


いや、なんで可哀想な人だけで納得した感じになってんの?おかしくね?

色々言いたいことはあったが、弁解するコミュ力もないので、話を戻すことにした。


「それで、もう一度聞くが、瀧宮は盗難してないんだよな?」


瀧宮は「はい!」と答えた。

オレは一瞬、瀧宮の表情を見た。


「そうか……じゃあもう帰っていいぞ」

「え?」

「あとは、桜木がどうにかしてくれるようだ」


オレがそう言うと、桜木は


「ちょっと、何言っ……」


桜木が喋ろうとした時、オレは桜木に目で合図を送った。

それに気づいた桜木は、一度咳払いをした。


「そうね。あとは私がやっておくわ。瀧宮さんは帰って大丈夫よ」

「わ、分かりました。失礼します」


瀧宮は半信半疑のまま、生徒会室を後にした。


「で?氷室くん、一番犯人の可能性が高い瀧宮さんを帰らせて何がしたかったのかしら?」


桜木は瀧宮が生徒会室を出たのを見て、すかさず聞いてきた。


「いや、犯人じゃない人をいつまでも、生徒会室に居させても意味無いだろ?」


オレの発言に、生徒会メンバーは驚いたような顔をしていた。


「それはどうゆうことかしら?氷室くん」


桜木の質問にオレは少し間をあけ、こう言った。


「瀧宮は犯人じゃない。なぜなら、犯人は被害者の中にいるからな」

最後まで見てくれてありがとうございます!

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