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「よし、花園先輩の問題は、専門家に任せよう!」


 俺は元気よく天女に言った。

 天女は白目を剥きながら「はぁ?」と呟き、


「なんでよ!? あんたが請け負った相談なのよ!? いつもみたいに、ぱっと解決してみなさいよ!」


「俺は請け負ってないんだが……?」


 俺と天女が何を言い争っているかと言えば、先ほどの三年生女子からの依頼についてだった。

 今は、生徒会室。ここにいるのは、俺と天女だけ。

 花園先輩は俺が渡した制服を受け取ると、彼は仕事の引き継ぎをしてから、そそくさと帰っていった。

 そして、早見も先ほど、バイトの時間ということで帰っていた。


 ほとんど生徒会業務をする時間は無かったわけだが、今日中に終わらせないといけない仕事は、ほとんど花園先輩が終わらせてくれていたため、それを引き継いですでに終わらせていた。


 俺が無言のままでいると、天女が「はぁ~~~っ」ととてもウザったく溜め息を吐いていた。


「……繊細な問題だから、簡単に首を突っ込むべきではないだろう」


「……それじゃ、諦めるっていうの!? 普段から思ってるけど、花園さんの事務能力は、抜群に高いのよ! 普段から生徒会室に来て事務をしてくれてれば、仕事はあっという間に片付くでしょ? それになにより、完璧美少女の私が、一度請け負った依頼をほっぽり出すなんてことが、許されると思うの!?」


 天女は鬼気迫る様子で言った。清々しいほどの駄目人間だった。


「だから……お願いよ、司さま!! どうか――この通り!」


 この通りと言いつつ、いつも通り土下座をする天女。

 呆れるほど軽い頭だな……。


 俺が無言のまま彼女の後頭部を見下ろしていると、いつも通り高圧的な態度で天女が言う。


「な、何よ!? あたしが失敗したら、あんただって困るでしょ!? どうせ解決するつもりなんだったら、勿体ぶってないでさっさとどうにかしてくださいよ、この……司様!!」


 土下座をしながら俺をなじる(?)天女に、俺は呆れて溜め息を吐くのだった。



「あ、司君! 話って何だったの?」


 ファミレスにて、俺の姿を見つけた花園先輩が、笑顔を向けて手を振った。 

 俺はそのまま、彼の席の対面に座った。


 俺は天女と話をした後、すぐに花園先輩に連絡をしていた。

 どうやら、彼は自宅最寄り駅に着いたばかりだったようだ。

 俺は少し話がしたいと連絡して、駅近くのファミレスで待ち合わせをすることにしたのだった。


「……ちょっとお願いがありまして」


 なんと切り出したものかと迷いつつ、俺はそう言った。


「お願い? 僕に? なんだろ……あ、ドリンクバーの割引券あるから使う?」


 花園先輩は俺にドリンクバーの割引券を渡した。

「どうもです」と答えてから、俺は店員さんを呼び、ドリンクバーを頼んだ。


「あ、なんか飲む?」


 花園先輩の言葉に頷き、一度ドリンクバーで飲み物を入れてから、席に戻る。

 グラスに注いだウーロン茶を一口飲んでから、俺は告げる。 


「さっきのお願いのことなんですが……。花園先輩、これから生徒会室で仕事をしてもらいたいんですが」


 俺の言葉を聞いて、花園先輩は「え……」と惚けたように口を開き、呟いた。


「そ、それはヤダよ……。なんで急にそんなことを言うの? 僕の女性恐怖症は、司君も知ってるでしょ?」


「その、女性恐怖症について、ちょっと聞かせてもらいたいんですけど……いいですか?」


「え、う、うん。別に良いよ」


「どうして女性恐怖症になったんですか? なにか……きっかけが?」


 俺のド直球な質問に、戸惑いつつも嫌な顔を見せない花園先輩。


「あー、僕は5人姉弟の末っ子なんだけど、男の子は僕だけなんだよね。それで、小さい時から4人のお姉ちゃんたちにいつもいじめられてて……。それで、いつの間にか女の子みんなが怖くなってたんだよ」


「……大変だったんですね」


「うん、そうなんだよ。……髪の毛も、ホントは短くしたかったんだけどね? 『短くすると可愛くないでしょ!』って言われて、髪の毛を切らせてもらえなかったんだよね」


 トホホ、と肩を落として言う花園先輩。


「じゃあ、女装とかもその姉ちゃんたちにさせられてたんですね」


 花園先輩は少し考えてから、首を横に振った。


「ううん、そういうわけじゃないんだよね。女装をしたら、お姉ちゃんたちの意地悪が無くなって、ちょっと優しくしてもらえたから。女装は、僕にとって自分を守る鎧なんだよ」


「……だから、セーラー服にも着替えた訳なんですね」


「気分的には無理矢理着替えさせられたようなものだよ!」


 ぷんすか頬を膨らませる花園先輩。


「でも、女装したおかげで天女さんと早見さんとも少し話せたし、悪いことばかりじゃなかったかも。流石に、副会長として、コミュニケーションは取っておかないといけないな、って。思ってたし」


 俺の後ろから早見に向かって話しかけたことが、コミュニケーションとカウントされてる……!


 しかし、その言葉を聞いて、俺はもしや、と思い。


「花園先輩、一つ提案があるんですけど……」


 ちょっと残念な提案をするのだった……。


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[気になる点] 女だらけの家にいる時はどうなっているんだろう? 部屋から出ない? [一言] 先輩 親父さんいないと居場所なさそう
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