金貸しの女1
東京歌舞伎町のとあるバーにて
「なあお前聞いたか?」
「なにが」
「月島和希の噂」
「月島って・・金貸しの?」
「ああ。それが、凄い綺麗で若い奥さん貰ったらしいぜ」
「まじかよ!月島ってたしか50代だろ?いいなぁ」
「ああ。たしかFizとかいうキャバ経営してるらしい」
「俺会いに行こうかなぁ」
「やめとけ・・あの月島の女だぞ?貧乏人の俺らが払える額じゃねぇよ」
「それに、噂だがえぐい取立てするらしいぜ」
「まじ?」
「ああ。流石金の鬼と呼ばれた男の嫁だな」
その会話を盗み聞きしながら微笑む一人の女。。。
「あらぁ・・褒めて頂き光栄ですわ・・」
ピピッ・・・
目覚まし時計の音が鳴り響く
「んっ・・」
私はうるさい目覚ましを止めて体を起こす
時間は朝四時
「もう朝なのね・・」
そおっと起きて
まだ暗い部屋で朝の準備を始める
隣ではまだ和樹さんが寝ている
極道の妻である私、月島市模は常に美しく居なければならない
夫であり我が組の一番頭である月島和希の為にも
薄暗い中鏡台の前に座り長い髪をセットし口紅を引く
纏め上げられた髪の毛
赤い和服に黒い帯
真っ赤に塗られた唇
・・準備完了
長い廊下をぬけて台所へ向かう
「あら、及川。なにしてはるの」
「ぎくっ・・姐さん・・」
台所に行くとうちの居候の若いのが冷蔵庫を覗いていた
「いっいやぁ・・なんか目が覚めちゃって・・」
「まぁだからってそんなはしたない・・今朝食作りますから」
「はい・・」
まったく、うちに居る若造共はやんちゃなんだから
そう思いながら朝食を作る
うちの者は若いのが数人と和希さんの分と私。。一食分でも時間と金がかかりますなぁ
・・まあええわ。金なら腐るほどあるさかい、そんなこと考えんでよろし
「・・さあ朝食が出来ましたわよ」
「あっ!姐さん!おはようございます!」
「あら松野。おはよう。ちょうどええ、朝食ができたからみんなをよんできてもらえる?」
「わかりやした!」
「よろしく。私は和希さんに朝食を届けてくるわ」
「はい!」
和希さん起きてるかしら
コンコン・・・
「市模です。和希さんおきてはりますか」
「ああ。飯か?」
中から和樹さんの声が聞こえる
「ええ。」
襖を開けると和樹さんが着替えていた
「今日は鯖か」
嬉しそうに言う
「ええ。煮付けにしてみましたの」
「いいな。そういえば、市模」
「なんでしょ?」
「新しく刺青を入れようと思うんだが」
「まあ、いいですねぇ。今回はどんなのを?」
「なんかお勧めあるか?」
そういわれると、市模は和服から肩を肌蹴させて
「・・私と同じ・・青い椿なんてのはどうかしら」
和希はその姿を見て
「・・ああそうしよう。俺に合うかわからないが愛するお前となら」
「ふふっ・・ええそうですわね」
「さあ・・ごゆっくりどうぞ。わたしは松野達の面倒見てきます」
「ああ。」
お座敷の一室にて
「姐さん!おかわりお願いします!」
「はいはい~」
「俺も!」
「はいよ~」
ここ月島家には五人の居候が居る
一番年上 23歳の青葉 徹
二番目 21歳の及川 瞬
三番目 19歳の松野 誘起
四番目 17歳の雪村 彩兎
末 15歳の赤村 翼
青葉と及川は家を無くして住み着いた
松野と雪村は高校の下宿先として
赤村は中学にも行かず親にも見捨てられて居た所を和希さんに拾われたのだ
「あんた達、食べ終わったらちゃんとかたずけなさいよ~」
「は~い」
そこに
「おお お前らちゃんと食ってるか」
「あら和希さん」
「兄貴・・!ちっす!」
「青葉、かたずけ中か?」
「はい!」
「そうか。そういえば市模」
「なんでしょ?」
「今日店に行く前ここに取り立てにいくの手伝ってくれないか」
そういって紙に書いた住所を見せる
「あら・・ここってこの前の・・まだ支払ってないんですか。あきまへんなぁ」
「ああ。もう一ヶ月も待ってんだ」
「それはそれは・・・でしたら今日はアレもっていきましょか」
「ああそうしてくれ。まあこいつは行く先短いじじいだ。なんとでもなる」
「あらそうですか。もしアレでしたら私一人で行きましょか?」
「ええんか?仕事もあるんだろ?」
「すぐすませますから。いったいいくらですの?」
「元金百万だ。あと利息600万。あわせて700万だ」
「わかりました。しっかり回収させてもらいますわ」
「よろしく頼むよ。」
「ええ。」
さぁ時間もあらへんし、早いとこ済ませましょか
「青葉。ちょっとお金の回収いって来るわ。そのまま店に向かうからそのつもりで」
そういうと、雪村は振り向いて
「わかりやした!お気をつけて!」
「ええ。」
「さてと、アレはどこやったかしら」
市模は敷地内の大きな倉庫に来ていた
「最近の客さんはちゃんと返してくれてたから・・油断してたわ・・もぉ~う・・どこいったのかしら」
しばらくごそごそしていると、奥から大きな電動鋸が出てきた
「あったあった。・・ちゃんと動くかしら・・まあいいわ。あんまり時間もないし。行きまひょ」
そういうと、真っ黒なセンチュリーに無理やり電動鋸を乗せると、ハイスピードで飛ばしていった
メモに書かれた赤木俊夫という男の元に・・・
短くて申し訳ないです。もっとがんばります。