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双子と呪われた令嬢

 私の護衛兼メイドのライラは、アイザック様が雇ってくださったとても有能な子です。今も的確にトラブル対応をしています。あら?私にぶつかった男性、顔色が悪いわね。


「貴様…うちのお嬢様にぶつかって…生きて帰れると思うなよ?」


「すいません、すいません!!申し訳ございませんでしたぁぁ!!」


「えと…ライラ」


 ライラは満面の笑みで私に返事をした。


「はぁい。なんですか、お嬢様?あ、すいませぇん、ゴミはすぅぅぐ始末いたしますから」


「…ゴミ?とりあえず、ボーッとしていた私も悪かったです。ごめんなさい…許していただけますか?」


 男性は高速で頷いている。首が疲れないのかしら?とりあえず、許してもらえて良かった。


「ちっ」


 ライラが舌打ちしたような…気のせいかしら。気のせいよね。うちの可愛いライラは舌打ちなんかしないわ。


「ライラ、行きましょう」


「はぁい、行きましょう行きましょう!」


 ああ、可愛らしい笑顔だわ。ライラは優しくて、可愛らしい自慢のメイドです。




「ハァハァ…お嬢様…今日もお美しい…」


 私はライラにいつも着替えを手伝ってもらっている。自分でやると何故かボタンがかけ違っていたり、スカートのファスナーが空いていたり、スカートをパンツに挟んでしまったりするからだ。しかも、スカートをパンツに挟んでしまった時…よりによってアイザック様にそれを指摘された。正直、死にたかった。ドジだけでなく、不運の呪いもありそうな気がする。



 ぼんやり考え事をしてたら、ライラに話しかけられた。さりげなく胸を揉まれてる気がする…いや、整えてるだけか。


「はぁはぁ…しかし、お嬢様のお胸はいつ見ても素晴らしいですね」


「…そうかしら…でもアイザック様を射止められなければ意味がないわ」


「アイザック様?簡単ですよぅ!」


 私はライラに秘策を授けてもらった!流石は私の敏腕メイド!今度試してみようっと!



 私のメイドは大変有能だが、多少欠点もある。


「お召しかえのお手伝いを」

「チェンジ」


 たまにルイルと入れ替わるのである。


「ちぇー、アイザック様はわかんないのにー」


「骨格が違うからよく見たらわかるわよ。貴方の方が筋肉もあるし、男性だから喉も…」


 するり、とルイルが接近してきた。頬を撫でられる。ルイルは猫みたいだなぁとぼんやり思った。気まぐれにすり寄ってくるのだ。


「すべすべ…」


「バレたんだから、さっさと帰れ!」


 ライラがルイルを蹴飛ばした。まぁ、年頃の女性の頬を撫でるなんて叱られるわよね。ルイルは部屋からしめ出され、私は着替えを無事済ませた。

 ちなみにライラが入れかわるのはやりたくてやっているわけではなく、賭けカードにぼろ負けしたとき、借金チャラと引き換えにかわってるらしい。勝手に主人を借金のカタにしないでいただきたい。ただしバレた時点で終了なため、実害は今のところないからまぁいいけど。





 ライラとルイルは魂で繋がっている双子で、意識や感覚の共有も出来るらしい。


「アイザック様…なかなかの肉体美でございました」


 ルイルを通してナニかを見たライラに教えていただいた。彼女は鼻血とよだれを拭いていた。ぜひ私もアイザック様の美しい肉体を見てみたい。とても羨ましい。そう言ったら、ライラが写実的なスケッチをくれた。家宝に……いや、私の…私だけの宝物にしようと思う。


 ちなみにルイルに私の裸は見られてないのかと聞いたら、絶対見せてないし見せないとのこと。ただ、念のためライラにお風呂の手伝いはやめてもらうことにした。泣かれて心が痛んだが、私の裸を見ていいのはアイザック様だけだ。

 そんな話をしていたら、アイザック様が上機嫌で私の入浴を手伝うと言ってきた。アイザック様も冗談を言うのだなぁと思った。





 私は、今ライラの秘策を実行する!さあ、練習の成果を見せるのよ、イオリア!

 お胸を強調したちらりと下着が見えるセクシーな服で、腕にお胸を乗っけてさらに寄せ、上目遣いでアイザック様を見つめた。


「…アイザック様、私のお胸はアイザック様の好みでしょうか?育ちすぎてはいませんか?触って…確かめて?」


 よっしゃ!噛まなかった!私は完璧にやりきった!そう思ったのも束の間、アイザック様は耳まで赤くなって鼻血を噴水みたいふきだして…直立姿勢のまま真横に倒れ、動かなくなった。


「きゃあああああ!?アイザック様!?アイザック様ぁぁ!?」


 ライラはこれをやればイチコロですよ☆と言っていたが…まさか、まさかの物理的イチコロだったの!?恋愛的にイチコロじゃなかったの!?


「アイザック様、死なないでぇぇ!!」


「ぶひゅっ…死なにゃいでしゅよ……」


「ぐふっ………大丈夫ぶひゅっ………とりあえず、医務室…ぐふふっ」


 何故、双子はマナーモード並みに痙攣しているのかしら。君たちも大丈夫か?しかしふらふらしつつも彼らはちゃんとアイザック様を医務室に送り届けた。


 私は心に誓った。この技は封印しよう。アイザック様は一命をとりとめたが、大変危険な技である。


「…イオリア」


「はい」


 それから数日、アイザック様は手をワキワキしながら私に声をかける…という不可解な現象が続いた。

 そのたびに双子がマナーモード的な痙攣をするのだが…アイザック様の手のワキワキと連動しているのだろうか。実に不思議である。

双子は結構笑い上戸です。

千載一遇のチャンスを…と悔やむアイザックの姿がしばらく見られたとかなんとか(笑)

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