表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生無双  作者: 平朝臣
86/225

第七十話「ファングとの交渉」


キュウ「すっごいですぅ~~。アキラさぁん。素敵ですぅ~~。」


太刀の獣神「………。」


 赤の魔神を抱えて皆のところに戻るとキュウが大はしゃぎで迎えてくれた。太刀の獣神は化け物を見るような目で俺を見て固まっている。


狐神「アキラお疲れ様。」


アキラ「いえ。師匠こそ結界ありがとうございました。」


狐神「大した結界じゃないからいいさ。それよりアキラがちょっとはまともに戦える相手ってのはどこにいるんだろうねぇ。これじゃアキラの修行にならないよ。」


ミコ「キツネさん………。アキラ君はこれ以上修行する必要はないんじゃないですか?」


フラン「そうですね。アキラさんがこれ以上強くなってしまっては私達までついていけなくなってしまいます。」


ティア「何を言ってるのです?フラン。わたくし達もすでに普通じゃないくらいの強さになっていますよ?」


シルヴェストル「そうじゃの。今まで見てきた中でわしらでも敵わぬと思ったのは第五階位相当の実力者くらいのものじゃ。」


 実際の実力で言えばその当時では俺の嫁達より強い者もいただろうがそれはまだ何とか対処できるレベルの強さだったという意味だろう。第五階位の実力者、つまり師匠とクロの戦闘は相当ショックの大きい戦いだったというわけだ。


ルリ「………ルリはまだ弱い。」


キュウ「ルリさんは気にするほど弱くありませんよぅ。私なんてぇ、皆さんの中で一番弱いですぅ。」


 ルリもキュウもまだ俺と合流して日が浅い。さらにキュウは俺と心も繋がっていない。シルヴェストルも繋がっていないがこちらは付き合いが長いので俺の神力を多く取り込んでいる。今のところルリとキュウはまだまだ神相手には厳しい局面もあるだろうからしっかり気をつけて守らないといけない。


ガウ「がうがう。次はがうがその人と遊びたいの。」


アキラ「それはあとで本人に聞いてみるんだな。」


ガウ「がうがうっ!」


 ガウに遊ばれたら赤の魔神は話をする余裕もなくなるだろう。ここはまず事態の収拾を図っておきたい。


アキラ「さて、それじゃ………。あれ?」


 俺達を囲んでいたファングの奴らに視線を向けるがもう誰もまともに立っていなかった。俺達に向かってひれ伏したり、蹲って泣いていたり、色々垂れ流していたり、気を失っている奴も結構いるな。援軍に駆けつけた外にいた奴らももう大変なことになっている。目の前で信奉している神を一方的にぼこぼこにされたら怒って取り乱すか今のように茫然自失になるかどちらかなのかもしれない。


赤の魔神「げほっ!龍装励起のあたしを素手で殴ってこれだけのダメージを与えるなんて………。」


 赤の魔神がしゃべれるようになったようだ。地面に置いたらお腹を押さえて蹲っていたがようやくノロノロと立ち上がってきた。


 龍装励起………。なにやら妙な神力が含まれているな。これが龍力か?だがそれを見ても俺はその力を理解したり使えたりしない。龍力であったとしても赤の魔神が着ている鎧の状態なので俺は思い出せないのかもしれない。ただモヤモヤと思い出しそうで思い出せないような不快感だけが付き纏う。これはもう思い出すためには実際にドラゴン族に会ってみるしかない。


 赤の魔神がビキニブラしかしていなかったのはこのためだったのだろう。どこから呼び出したのか龍装励起とやらを使うと全身が龍の鱗のようなもので出来ている鎧に包まれた。鎧自体も赤の魔神とは別の神力を独自に内包している。その力を赤の魔神が自在に使えるのだとすれば恐らくこの鎧を着ている状態の赤の魔神は第七階位相当くらいの実力になっているだろう。それってつまり本人より鎧の方が強いんじゃね?ってことになるな。


赤の魔神「あ~ぁ。負けた負けたぁ~。さっ、あたしの負けだ。好きにしな。」


 ダメージから立ち直った赤の魔神は急にそんなことを言い出した。俺の前に仁王立ちして胸を張り巨乳を俺に突き出して『好きにしな。』とか言われたら何かやらしい意味に聞こえてしまう。


ミコ「アキラ君?」


 ミコのセンサーに引っかかったようだ。いつもの怖い笑みで俺を見ている。でも言い訳させてもらうぞ。俺は赤の魔神に欲情はしていない。胸を突き出しているとは言ってもまだ龍装励起で鎧を着ているしマッチョお姉さんは俺はあまり得意ではない。さらにこれだけしか付き合いがないが赤の魔神は姐御肌とでもいうかサバサバした性格なので女としてあまり意識できない。決して赤の魔神に疾しい気持ちはない。


アキラ「ともかくどこかで落ち着いて話をしようか?」


赤の魔神「そうだね。それじゃあたしについてきな。」


 赤の魔神についていき移動する。こうして赤の魔神と話をする環境がようやく整ったようだった。



  =======



 見張り達の拠点の建物にでも入るのかと思ったら赤の魔神はその拠点を通り抜けて遠くへと移動し始めた。どこへ行くのかとは思ったが俺達は黙ってついていく。………あの拠点で大惨事になっている兵士達は放っておいていいんだろうか?じゃあ俺が面倒を見てやるのか?というとそんな気はさらさらないが………。


 少し進むと大きな城とその城下町があった。しかし赤の魔神はその城や町へは入らず町から少し離れた所に一軒だけ建っている少し大きい程度の普通の家に入っていった。


赤の魔神「ほら。入った入った。」


 赤の魔神に促されて続いてその家に入る。まずその家に入って最初に誰もが思うであろうこと………。『汚い』。これに尽きるだろう。実際に汚れが付着しているとかの汚いではない。ごちゃごちゃと物は散乱してまるで整えられていない。脱いだものは脱ぎっぱなし。使ったものは使いっぱなし。まるで片付けというものをしたことがないと思わせるような室内だった。


赤の魔神「好きなとこに座れよ。………こんな大人数来たことないから座る場所が足りないか。じゃあこうやって場所空けろ。」


 俺達が呆然と立っているのを座る場所がないからだと思ったらしい赤の魔神はブルドーザーのようにガーッと散乱している物を押しのけて床が見えるようにした。そしてその床をバンバン叩いて座るように促す。


アキラ「ここは赤の魔神の自宅か?お前掃除とか出来ないのか?」


赤の魔神「ああ、ここはあたしの家だ。掃除とかチマチマしたことは嫌いなんだよ。」


 『チマチマしたこと』とか『嫌い』とかそういう問題ではない。掃除はそこに住む自分自身のためにするものだ。だいたいお前チマチマしたことが嫌いとか言いながら魔力の使い方はまさにそれだっただろうがっ!チマチマと器用に魔力を使って戦っていた。こいつの場合はチマチマしたのが嫌いなんじゃなくて掃除と整頓が嫌いなだけだろう。


アキラ「おい。これじゃ話も出来ない。ちょっと掃除させてもらうぞ。」


赤の魔神「あ?別に大丈夫だろ?」


アキラ「黙れ。俺が落ち着かない。勝手に人の私物を触ったり整理したりするのは気が引けるがこんな状況じゃ話もできん。いいな?」


赤の魔神「あ…ああ…。いいけど…。」


 俺の勢いに圧されて赤の魔神は承諾した。勝手に他人の物を漁るのはよくないが本人が了承したので良しとする。


アキラ「さぁ、やるぞ。」


ミコ「うっ…、うん。」


キュウ「はぃ~。」


 家事の得意な二人を加えて俺はまず赤の魔神の家の掃除から始めたのだった。



  =======



 俺達三人が基本的に中を掃除して荷物を運んだりすることは他の者に任せた。人手はかなりあるのであっという間に掃除は終わったのだった。


赤の魔神「ほぇぇ~。この家ってこんなに広かったんだなぁ。」


 赤の魔神は自分の家を見て驚いていた。どうせ俺達がいなくなればまたすぐにあの惨状になるのだろうがそんなことはどうでも良い。今俺達がいる間だけ綺麗であれば良いのだ。足の踏み場もないような状態だった家の中にテーブルと椅子を並べて皆で座り俺が出したお茶とお茶請けを堪能する。


赤の魔神「お~。うめぇなこれ。掃除に料理にアキラは何でも出来るな。あんだけ強いなら人にやらせりゃいいじゃないか?それなのに自分でやるのか?」


アキラ「赤の魔神はその人にですらやらせてなかったから家があんな状態だったんだろう?」


赤の魔神「あたしはいいんだよ。それで………。」


 その時勢い良く家の扉が開かれた。


アマイモン「ご無事ですか赤の魔神様っ!」


 アマイモンと援軍に来ていた兵士達は立ち直ったのか赤の魔神の家まで追いかけてきて包囲していた。が、俺達がテーブルを囲んでお茶をしているのを見て固まった。


アマイモン「………。ここはどこだ?赤の魔神様のお住まいに来たはずだが?」


 アマイモンは室内を見回し近くにあった窓の淵を指でつつつーっと撫でて指に埃がついているか確かめたあと一度扉を出て家の外観を確認してからもう一度家の中に入ってきた。


アマイモン「………ここはどこだ?」


 アマイモンはよほど赤の魔神の家が綺麗になっていることを信じられないようだ。まだ目を擦ったり顔をつねったり色々している。


赤の魔神「うるさいやつだな!ここがあたしの家だったら悪いってのか!」


アマイモン「ひぇぇ。申し訳ありません。」


 アマイモンは赤の魔神に怒鳴られて小さくなってひれ伏した。


赤の魔神「それより四方鎮守を呼んできな。」


???「それには及びません。」


 三人の魔人族が入ってきた。力はそこそこだな。アマイモンと同格クラス。下位の六将軍並くらいだ。こいつらが四方鎮守将軍とやらなのだろう。


赤の魔神「おう。きてたのか。アキラに自己紹介しろ。」


 その後三人の自己紹介を受ける。俺達も軽く自己紹介しておく。残りの四方鎮守将軍は予想通りオリエンス、ペイモン、アリトンらしい。完全に名前負けだな。


赤の魔神「それでアキラの話ってのは?」


アキラ「ああ、それじゃ始めようか。」


 まずは俺の目的から話した。記憶がなくその記憶を取り戻すために旅をしていること。そのためにただ通りたいだけで相手から何かされない限りはファングに興味がないことなどだ。


 それから精霊族、大ヴァーラント魔帝国、中央大陸の戦争は一応の終焉を迎えたこと。南大陸は大樹の民が俺達に敗れ大きく力を失ったこと。大獣神を倒していないので大樹の民は諦めても屈してもいないが一応の和平は結ばれていること。できればファングやドラゴン族の戦争も終わらせたいこと。色々と話した。


赤の魔神「ほ~。戦争が終わった?信じられないね。」


アキラ「個人的に従わない者や未だに戦争終結を知らずに一人で戦っているはぐれ者はいるかもしれないが国同士では条約も結んで正式に終戦している。」


赤の魔神「それであたしらにもアキラに降れと?それとも大樹の民やドラゴニアに降れと?」


 ドラゴニアとはドラゴン族の国の名前らしい。


アキラ「どちらでもない。俺達は別に戦争をしてたわけでもしにきたわけでもない。お前達がわざわざ六カ国同盟に戦争を吹っかけない限りはこのまま中立不干渉でも良い。もし同盟に参加したければ申請すれば受け付ける。受け付けるだけで承認するかどうかは同盟国の会議次第だがな。それから別に大樹の民やドラゴニアにも降る必要はない。戦争を終わらせるとしてもお前達が降って終われと言う意味じゃない。」


赤の魔神「どうも胡散臭いね。」


アキラ「胡散臭い?何が?」


赤の魔神「あたしらは負けたんだ。それなのに何のペナルティーもなしか?その上対等の同盟に入れても良い?扱いが上等すぎる。奴隷にされたっておかしくないはずなんだ。」


 こいつはどんな思考回路をしているんだ………。とはいえ地球人の感性である俺と考え方が違うのは当たり前だろう。こんな世界じゃ敗者=死や全てを奪われる、という価値観が普通なのかもしれない。


アキラ「俺は別に世界になんて興味ないんだよ。お前らがこの国をうまく運営してくれるならその方がいい。俺はただ自由に旅がしたい。だからお前らが勝手に死んだって国が滅んだって俺は面倒見ないぞ。罰も何も与えないが手助けもしない。お前達が自力でこの国を纏めろって言ってるだけだ。」


赤の魔神「アキラに負けたあたしらがそれに従ったとしても大樹の民やドラゴニアは従ってないんだろう?攻められても無抵抗に殺されろってのか?」


アキラ「大樹の民は少なくとも大獣神と会って話をしなければどうなるかわからないだろうな。大樹と今すぐ手打ちにしろとは言わない。ドラゴニアには今後俺達が向かうこともあるだろう。その時に向こうにも話を通す。それで向こうが納得すればお前達も呼んで交渉したい。」


赤の魔神「つまり今はまだ大樹の民ともドラゴニアともこのまま戦争してれば良いってことか?」


アキラ「出来ればファングから積極的に攻めるようなことはなるべく避けてもらいたいがそうなるな。少なくとも向こうから攻めてくれば身を守るなとは言わない。今後俺達が相手を説得するまでは今まで通りで構わない。ただお前達を最初に説得する機会があったというだけだ。ドラゴン族を説得してからここに来ていた可能性だってあったし別にお前達だけに何か要求してるわけじゃない。」


赤の魔神「ふぅ~ん…。よしっ!わかった。じゃあアキラを信用する。あたしらから攻めることは控えよう。アキラが説得してくるまで防衛に徹する。」


 いきなりあっさり俺の言う通りにすると言い出した。説得してる側の俺が言うのもなんだがそんな簡単に信用していいのか?


アキラ「そんな簡単に信用して承諾していいのか?」


赤の魔神「さっき言った通りだ。本来ならあたしらは奴隷か死刑かってところだろ?それなのにただ今まで通り身を守ってろって言われて断る理由はないだろ?それが罠でも言われたことに従うのが負けた者の筋だし、そもそもそんな嘘を付く必要がないだろ。アキラならあたしらを今すぐだって皆殺しにできる。」


 確かにその通りではある。サバサバした性格もあって赤の魔神は即断即決するようだ。言っていることも間違っていない。物事を冷静に見る目もあるということだろう。


アキラ「お前はよくても後ろの四人は良いのか?」


 俺は赤の魔神の後ろで跪いている四方鎮守将軍の四人に視線を向けた。


赤の魔神「あ~?こいつらはあたしの言うとおりにするだろ。」


四方鎮守将軍「「「「赤の魔神様の思し召しのままに。」」」」


 お前らがそれで良いのならそれで良いよ。俺がとやかく言うことじゃない。クロは放任主義というか無責任というか大ヴァーラント魔帝国に何の指示も干渉もしていなかったようだが赤の魔神は神になった後でも大きな影響を与えているようだ。というか将軍が居て王がいないということはまさか赤の魔神が王様か?だがそれならなぜ城に行かない?少し疑問には思ったが他国の内情なので気にしないことにした。


 大筋で話は纏まり面倒は話はこれで終わりとなった。


赤の魔神「で、何で黒の魔神はこんなことになってるんだ?」


クロ「うるせぇ。アキラに言え。」


赤の魔神「もしかしてアキラにやられたのか?ざまぁないね。」


クロ「うるせぇっつってんだろ!」


赤の魔神「はっはっはっはっ!そんなナリでやろうってのか?」


アキラ「お前ら喧嘩するな。」


クロ・赤の魔神「「はぁ~い………。」」


 俺に怒られて二人はシュンとなった。


クロ「お前のせいで怒られたじゃないか。」


赤の魔神「あんたのせいだろ!」


クロ「なんだとっ!」


アキラ「おい。もうさっきの言葉を忘れたのか?」


クロ・赤の魔神「「ごめんなさいっ!」」


 俺が殺気を込めて威圧すると二人は黙った。


アキラ「ふぅ…。恨まれてるとか殺しに来るとか言ってたわりに仲が良さそうじゃないか。」


赤の魔神「こんなナリの黒の魔神に勝っても意味ないからな。」


クロ「俺は別にこいつに何も思ってない。ただ赤の魔神が絡んでくるだけだ。」


 二人の関係はよくわからないがあまり知りたいとも思わない。厄介事に巻き込まれるのも嫌なので軽く流してあまり立ち入ったことは聞かないようにしておく。


 四方鎮守将軍も混ざりそれぞれ自由に過ごしている。赤の魔神の家なのに皆リラックスしすぎだろと思わなくもないが家主が何も言わないのでいいのだろう。やはり魔人族同士興味があるのか四方鎮守将軍と親衛隊は特に色々と話していた。


 太刀の獣神は無口だが今まで敵同士だった四方鎮守将軍達とも話していた。こいつも魔人族と戦い以外で触れ合うことになって色々思うところがあるようだ。嫁達も赤の魔神たちと色々話に花を咲かせている。


 今日は赤の魔神の家で泊めてもらうことになり食事の準備をすることにした。四方鎮守将軍は引き連れていた兵士を連れて帰っている。それはそうだ。将軍と大部隊の兵をこんなところに意味もなく置いていては国防に関わる。ファングの方から積極的に攻めるのは控えることになったようだが大樹の民やドラゴニアとの戦争は終わったわけではない。


 とはいえ俺達には関係のない話なので俺達はゆっくりと寛ぐことにする。赤の魔神の家には風呂がなかった。どこに行ってもあまり風呂の文化がない。全然入らないというわけではないが普段は桶に水を張って体を拭くだけだったり川や湖のような水辺で水浴びのようなことをするのが基本のようだ。


 だから俺達はいつものように風呂を作って入ることにした。風呂の使い方がわからないだろうから赤の魔神も一緒に入っている。言っておくが俺が赤の魔神の裸を見たくて一緒に入れさせたわけじゃないからな!


赤の魔神「へぇ。便利なもんだな。風呂には入ったことがあるがこんな変わった風呂は見たことがない。」


 赤の魔神は俺に教えられた通りにシャワーもどきを使いながら感心していた。赤の魔神は巨乳というか胸囲!って感じだな。師匠より胸板は当然厚いがバストサイズは師匠の方がかなり大きいだろう。口が大きいのがなんだかガウを彷彿とさせる。野性味溢れるところも似ているしまさかガウも将来こんな風に育つんじゃあるまいな………。


アキラ「断固拒否するっ!」


ミコ「え?何が?どうしたのアキラ君?」


狐神「いつものアキラの暴走じゃないかねぇ。」


フラン「そうですね。いつものアキラさんだと思います。」


 師匠とフランの物言いはあんまりだ………。俺はそんなに変な奴だろうか?


ルリ「………ルリは何があってもあっくんの味方。」


 何かこれは慰められているのか?


シルヴェストル「まずは何のことか確認するのが先なのじゃ。」


 シルヴェストルが俺の妄想について言及してくる。仕方がない。正直に話そう。


アキラ「赤の魔神を見ていると少しガウに似ていたからガウも将来こんな風になるのかと思ったら………。断固拒否するっ!そんなの駄目だ!俺の可愛い愛娘はもっと可愛く育てる!」


ティア「はぁ………アキラ様………。」


 ティアに憐みを込めた眼で見られた。


ガウ「がうがう。」


 ガウは何を主張しているのかわからない。ただ自分のことを言われているからとりあえず答えただけかもしれない。


赤の魔神「あたしみたいになるのを拒否するってことはつまりアキラがあたしをどう評価してるのかがわかるってことだよな?」


アキラ「一応フォローしておくと別に赤の魔神が嫌いとか変とかそういう悪い意味じゃない。赤の魔神のサバサバした性格とかむしろ嫌いじゃない。ただ俺の可愛い愛娘はもっと可愛い子に育てたい。そんな筋肉ムキムキで素手で猛獣を捕らえて生で噛り付きそうな野性味溢れるようには育てたくない。」


ミコ「アキラ君………。全然フォローになってないよ。むしろ全力で下げてるよ………。」


赤の魔神「あっはっはっ!よくわかってるじゃないか。確かにあたしは素手でそこらの獣を狩って火で焼いただけで食うよ。はっはっはっ。」


狐神「生で噛り付くのはアキラのほうじゃないかい………。」


 師匠が俺の黒歴史を引っ張り出してくる。でもそれは今の俺じゃないんだ。俺のせいではないと言い訳しておく。


キュウ「それよりもぉ、アキラさんが戦っていた時のぉ、赤いのは魔力でしたよねぇ?どういうことでしょぅ?アキラさんは獣力を使っておられましたしぃ、獣人族ではないのですかぁ?」


 キュウがその巨大な二つの丘を湯船に浮かばせながら先の戦いの話題を出してくる。すごいぞ。どうなってるんだその胸は!プカプカと完全に湯船で浮いているように見える。


ルリ「………あっくんあまり見ちゃ駄目。」


 キュウの爆乳をガン見していたらルリに目隠しされてしまった。


キュウ「いいんですよぉ?アキラさんならぁ、いくら見てもぉ、触ったっていいんですよぉ?」


 キュウの魅力的な提案にすぐにのってしまいそうになる。だがそれは悪手だ。悪魔の取引だ。それをすると他の嫁達の機嫌が悪くなる。離婚だっ!とまでは言われないのはわかっているが先にキュウに手を出してはいけない。


アキラ「キュウに先に手を出すわけにはいかない。ちゃんと順序というものがある。」


キュウ「うふふ~。いいですよぅ。私はぁ、順番には拘りません~。アキラさんのぉ、他のお嫁さん達の方がぁ、先だったのはわかっていますからぁ。私もその中に加えていただけるのなら何番でも良いですぅ~。」


狐神「それで言うと私が一番ってことかい?」


 師匠が真っ赤になりながら俺に擦り寄ってくる。


ミコ「ちょっと待ってください。それで言えば私が一番じゃないですか?」


 ミコが師匠に対抗して逆側にくっついてくる。


ルリ「………ん。二人とも違う。ルリが一番最初。」


 ルリは正面から俺に抱きつく。これはやばい。顔が目の前だ。キスしてしまいそうだ。確かに三人の主張は間違いではない。一番最初の九狐里晶の時に幼馴染であったのはルリだ。ただその当時はまだ幼すぎてどの程度の恋愛感情であったのかはあやふやだ。そのままルリが一緒に育っていれば俺の初恋がルリであった可能性は高いが『たられば』は意味がない。


 次にあの闇の意識を封じて記憶が混乱し性格の変わった九狐里晶が最初に気になっていたのはミコだろう。学園にいた頃はまだ恋愛感情とまでは言えなかっただろうがあのまま何事もなければミコと結ばれていた可能性もある。だがルリ同様たらればに意味はない。


 そしてファルクリアに転生したアキラ=クコサトが最初に好きになったのは玉藻だ。


ガウ「違うの。がうが一番なの。」


アキラ「………え?」


 俺は一瞬思考が停止した。だが確かにそう言われればそうだ。一番最初に魂が繋がったのはガウだ。それは恋愛感情じゃない。と言うのは簡単だがそうだろうか?俺はガウが好きじゃない?好きか嫌いかならば当然好きだ。だがそれは異性に対しての好きとは違う………と思うが自信がなくなりそうな気もする。こんな幼女を好きだなんて俺はロリコンか!ってロリコンじゃないんだが………。なんというか難しいが確かにただの子供としての好意だけではないのかもしれない。


 ガウはそんな難しいことまで考えて言ったわけではないのだろうが俺は今後このことを考えていかなければならないという気がした。


キュウ「アキラさぁん………。私の質問がぁ、そのままになっていますがぁ………。」


 放ったらかしにされているキュウが必死に俺にアピールしていた。



  =======



アキラ「キュウは何度も俺の体を見ているだろう?この九本もある尻尾を見てただの獣人族だと思ってたのか?」


キュウ「えっとぉ、変わった尻尾だなぁって思ってましたぁ。」


 どうやらキュウが今まで俺を見て種族について聞いてこなかったのはわかっていたのではなく気付いていなかったからだったようだ。


赤の魔神「じゃあアキラはワーキャットでもないのか?」


 赤の魔神も俺の秘密に興味津々のようだ。秘密ってほどでもないがな。


アキラ「俺は妖怪族妖狐種九尾の狐だ。」


 そこから俺はいつもの説明をすることになった。


キュウ「へぇ~。妖怪族という方々がおられたのですねぇ~。」


赤の魔神「あたしも実物なんて見たことがない。」


 赤の魔神ですら妖怪族は知らないらしい。人間族と獣人族の間では妖怪族そのものがほとんど認知されておらず魔人族でも実在するものというよりは伝説上の生き物のように思われていることがほとんどだ。精霊族も魔人族の認識と近いもので現時点で実在しているとは考えていない節がある。なぜこうも徹底して妖怪族の存在そのものが隠されているのか少し気になる。だが当の妖怪族の守護神である師匠は何も教えてくれない。あるいは師匠でも知らないのかもしれない。これは少し調べたほうが良いかもしれないな。



  =======



 風呂からあがった俺達は夕食にする。と思ったが作っておいた飯がなくなっている。今日は戦いで(たいして汚れていないが)汚れたので調理を済ませてから先にお風呂に入っていた。その間に男達が食べてしまったようだ。


クロ「おうアキラ。おかわり。」


太刀の獣神「………。」


ジェイド「ああ!すまない!止めようと思ったんだが………。」


 どうやら太刀の獣神とクロが勝手に食べ始めたらしい。五龍王とバフォーメが俺達の入浴中に周囲の警備についてこいつらを止められる者がいなかったようだ。ジェイドでは太刀の獣神には勝てない。当然親衛隊全員でもだ。そこで勝手に飯を全部食われるくらいなら自分も食おうと一緒になって食べ始めたらしい。


 ちなみに親衛隊にいる女は俺達と一緒に入浴したり寝室に入ったりはしない。当然だが家臣扱いとなっている者が他の嫁達と対等になど扱われるはずもない。ブリレとハゼリでさえそうなのだから親衛隊の者など身の程をわきまえろと怒られてしまう。俺はそれほどそんなことに頓着しないがやはり示しをつけるためにも分別をつけるのは重要なのだそうでそういう点はきっちり師匠に言われてしまう。ただブリレとハゼリは浴室にも寝室にも入る。護衛と愛妾の両方を兼ねているそうだ。親衛隊の者はただの家臣なのでそこでまた扱いが変わる。


アキラ「食ってしまったものは仕方ない。が、お前らは今晩外で寝ろ。」


 それだけ言うと俺は親衛隊やクロ達を赤の魔神の家から放り出した。何か色々言っていたが聞く耳は持たない。別に飯くらいまた作れば良いだけだし怒っているわけじゃないがこれも大事なことだ。食いたいのならそう言えばよかった。勝手に盗み食いのような真似をすればきちんと叱って罰を与えなければならないだろう。これも分別をつけるということだ。


 その後俺達だけまた料理を作って食べた。外に出された奴らにも風呂くらい入る権利はある、というか風呂にも入らず臭うような奴らを同行させたくないのでタオルだけ渡して風呂には入って良いと許可を与えておいた。クロと太刀の獣神は入らなかったようだが親衛隊は男女交互で風呂には入ったようだった。


 こうして東大陸上陸とファングとの交渉は順調な滑り出しとなったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ