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転生無双  作者: 平朝臣
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第五十七話「三人の新しい服」


 瑠璃が目を覚ますまでの間に各所に伝令を送っていた。そこでジェイド達が逆十字騎士団の残党を始末したと報告が返って来ていた。カライで捕えた逆十字騎士団の者に確認させたところ確かに逆十字騎士団だと確認できたと言っていた。捕虜が嘘をついている可能性もないとは言い切れないがそれはジェイド達の調査を信じるしかない。俺達の方に瑠璃達が襲い掛かってきた時期といい連携しているのは間違いない。仮に本当に全て逆十字騎士団の者だったとすればこれで九十七人の逆十字騎士団の者を始末もしくは捕虜にしたことになる。約百人前後のはずの逆十字騎士団。九十七人は判明しているとしても微妙な数字だ。これで全てだろうか…。まだ残党がいるかもしれない。人神は長く生きているだけのことはある。こういう撹乱は得意なのだろう。


フリード「うぅ~ん………。」


 フリードが目を覚ましたようだ。のそのそと起き上がってくる。


フリード「俺は一体………。」


シルヴェストル「アキラに平手打ちされて死に掛けたのじゃ。」


フリード「………あ~。そうか。そういえばそんな気がするな。」


 フリードは頭を振りながら気を失う前のことを思い出そうとしてるようだ。


アキラ「俺のせいじゃない。フリードが悪い。」


フリード「あんなの不可抗力だろ…。」


 確かに不可抗力の部分もあるしシルヴェストルの言う通り無性だから見たとしても何の意味もない。だが理屈で理解できるのと感情とは別物だ。俺の嫁であるシルヴェストルの裸をじろじろ見たとあっては感情としては許せない。


アキラ「ロベールやパックスが事故で偶然俺の裸を見たとしたらお前は笑って許すのか?」


フリード「俺ですら見たことないのに許すわけないだろっ!」


アキラ「それと同じことだ。」


フリード「うぐっ…。でもそれならせめて普通に見ても体が見えない服を身に着けてくれよ。今の状態じゃ普通に視線を向けただけで見えてしまうぞ。」


アキラ「それはわかってる。ティアも薄い水のような衣だし他の男にじろじろ見られるような状態にしておくわけにはいかない。」


ティア「アキラ様………。」


 ティアが俺の胸に抱きつきシルヴェストルは俺の膝に乗ってくる。ただし俺の膝の上には瑠璃の頭もあるのでいつものようにシルヴェストルが独り占めというわけにはいかなかった。


フリード「それでそっちはまだ気を失ったままか。」


 フリードが瑠璃に近寄って覗き込もうとした瞬間瑠璃の体から神力の刃が撃ち出された。


アキラ「―――ッ!フリード下がれ!」


フリード「ッ!」


 瑠璃から撃ち出された神力を俺の神力で防ぎながらフリードを突き飛ばして引き離す。ある程度距離が離れると瑠璃の攻撃は止んだ。


アキラ「意識がなくとも自動的に反応するようだな。」


フリード「カライの街で感じたのと同じ感じがした。あの時と同じだとすれば俺はバラバラになっていたはずだ。アキラが守ってくれたのか?」


アキラ「あ?ああ…。今回はそうだがあまり不用意に瑠璃に近づくな。瑠璃は身を守るために意識がなくとも自動的に近づく者に攻撃するようだ。」


ミコ「う~ん?でも私はルリさんに触っても平気なのだけれど?」


 ミコが瑠璃の横に座って頬っぺたをぷにぷにと突っつく。


瑠璃「うぅ~ん………。」


 ミコに頬を突かれている瑠璃は眉間に皺を寄せてうなされていた。


アキラ「そういえばそうだな。俺やシルヴェストルもすぐ近くに居たり触れても問題ない。」


 師匠やガウ、五龍将達も近づいても特に何もなかった。フリードとロベールには攻撃が飛んでくる。パックスは外で待機しているので試していない。男にだけ反応するのか確かめるためにアメリアとエマを呼んできて近づいてもらったらこの二人も攻撃された。


アキラ「単純に性別で判断してるわけじゃないようですね。」


狐神「アキラと縁の深い者は大丈夫なんじゃないかね。」


アキラ「俺と縁が深い?」


狐神「わかりやすく言えばアキラとアキラの力を受けている者ってところかね。」


 確かに俺と心が繋がっている者は俺の力を受け取っている。五龍将も俺の力を受けて進化したような存在なので俺と近い存在だろう。


アキラ「ですがそれだとティアとシルヴェストルはどうなんでしょう?」


 この二人はまだ心が繋がっていない。


狐神「確かに魂はまだ繋がってないだろうけどアキラの力は多く受け入れてるだろう?」


アキラ「う~ん………。でもそれだとフリードやロベールも十分俺の力を受け入れてると思いますが…。」


狐神「それはそうなんだけどね。ただアキラの系譜に連なる者っていうのとそれ以外の者がなんとなくあるんだよ。ルリに触れても大丈夫な者は皆アキラの系譜に連なる者さ。ルリの攻撃が来るのはそれ以外の者だよ。」


アキラ「そんなものがあるんですか?っていうかそれがわかるんですか?」


狐神「ああ。他の者はどうか知らないけど私はなんとなくわかるよ。」


ミコ「あっ!私もちょっとそれわかるかも?」


フラン「そうですね。何となくそんな感じがします。」


 どうやら俺の嫁達は何となくそういう物がわかるらしい。


ミコ「あれ?もしかしてキツネさん…。今までアキラ君のハーレムに入れてた人って?」


フラン「あっ!そういうことですか。」


狐神「うんうん。そういうことだよ。」


 三人で顔を見合わせてウンウンと頷いている。最近よくこういう光景を見かける。


アキラ「俺にはさっぱりわからないんですけど?」


ミコ「えっと…、つまりね?」


狐神「おっと。だめだよミコ。アキラに教えちゃだめだよ。」


 師匠が後ろからミコの口を塞いでしまった。何だか気になる。


フラン「(アキラさんの系譜に連なる者になれそうな人もなんとなくわかるんです。キツネさんはそういう人だけをアキラさんのハーレムに入れているんですよ。)」


 フランが小声でこっそり教えてくれた。まぁ師匠には筒抜けだけど。


狐神「あぁ!フラン!どうしてアキラに教えるんだい!」


アキラ「逆にどうして教えちゃだめなんですか?」


狐神「それはもちろん………。………なんだろうね?面白いから?」


アキラ「いや俺に聞かれても………。」


 それがわかったところで俺には俺の系譜に連なる者だとかなれそうな者だとかはわからない。結局のところ師匠達がそうだと教えてくれなければ俺には誰がそうなのか知る術はないのだ。だからこれを秘密にしていても教えてくれても連なる者の判別はしようもない。


フリード「………。そういえばカライの街で切り裂き天使と出会った時にかなり近くまで寄られたが攻撃は飛んでこなかった。確か『あっくん?』とか何とか呟いてそのままいなくなってしまったんだ。」


狐神「なるほどねぇ。アキラが渡した魔力水晶とやらのせいだろうね。そこに込められたアキラの力を感じたからだと思うよ。」


フリード「なるほど…。それで魔力水晶を失ったから今は攻撃されると…。」


 フリードが師匠の仮説に納得していると下の方から声がかけられた。


瑠璃「………あっくん?」


 俺に膝枕されている瑠璃が俺を見つめていた。


アキラ「瑠璃。目が覚めたのか?」


瑠璃「………ん。」


 体を起こしながら瑠璃が答える。


アキラ「自分が誰だかわかるか?」


ルリ「…ん。ルリ=ナナクサ」


 そうか…。もう七種瑠璃ではなくルリ=ナナクサなんだな。


アキラ「俺が誰かわかるか?」


ルリ「…ん。あっくんはあっくんだよ?」


 あの時別かれた俺とは随分違う姿になっているはずだがルリは迷うことなく俺をアキラ=クコサトだと答える。


アキラ「これまでのことを思い出せるか?」


ルリ「………。あっくんと離れてから?怖い手が伸びてきてどうしていいかわからなくなった。そしたら目の前が真っ赤になった。それからは何度も怖い手から逃れるために目の前を真っ赤にしてきた。…今日気がついたらあっくんがいた。よかった………。あっくん………。」


 そう言いながらルリが俺に抱き付いて来る。俺もルリを抱きとめる。俺と正面から向かい合って話していても前よりはマシになっていたが今でもやはりルリの視線はどこを向いているのか若干視線が合わない。精神も未熟なのだろう。知能が低いわけではないが精神的に幼く言葉も拙い。ルリの記憶の一部を見た俺には言いたいことがわかったが普通に聞いていては抽象的すぎて要領を得ないだろう。


 その後も聖教皇国や逆十字騎士団について色々聞いてみたりしたが何もわからないままだった。ルリは何もわからないままただ言われた通りに敵と戦わされ続けていただけだった。


 いくつかわかったことを整理してみる。まずルリは完全な神格を得ていない。肉体の老化は止まっているし隠さず発している時の神力は神格を得ている者と同じように神々しい神力に包まれている。だが師匠が言うにはそれは不完全な状態で神格を得るまでには至っていないとのことだった。だから神になることも出来ない。フリードの話も加えて推測してみるとルリは完全な神格を得ることが出来なかった。だから勇者として祭り上げられ神になることがなかった。その結果逆十字騎士団の一戦力としてずっと戦わさせられていたのだろうということだった。


 そしてルリの神力の刃による攻撃だがこれは完全に無意識であり止める方法はないらしい。記憶を見た時に出てきた村のようなところで初めて出来るようになって以来近づく者には全て自動で撃ち出してしまうとのことだった。当然この力は聖教皇国や人神に教えてもらったものではない。ルリ自身が自分の身を守るために咄嗟に身に付けたものだ。そして攻撃するために意識的に飛ばすことは出来るが身を守るために勝手に出るものを止める方法はない。きっと力を手に入れた時にあの男達から身を守ろうと必死だったからそれに適したように出来ているのだろう。そしてそのお陰でルリはこれまで無事にこの世界で生きてこられたのだ。俺達がこの能力を封印したりすることは簡単だがルリの身の安全のためにもこの力はこのままにしておいた方がいいだろう。


 聖教関係のことや人神についてはルリは詳しくは知らなかったようだが一つだけわかったことがある。ルリが召喚された時に近づいてきたいやらしい笑みを湛えた男はカルド枢機卿と言うらしい。


ミコ「え?ちょっと待って。カルド枢機卿?ルリさんが召喚されたのは三十年以上も前なんだよね?」


フリード「ああ。今からで言えば三十一年前くらいだな。」


ミコ「その時にいたのがカルド枢機卿?私達が召喚された時もカルド枢機卿がいたよ?とてもそんな年には見えなかったよ!」


 三十年以上前にいてもまだ生きていることは普通にあり得るだろう。だがミコが言うにはそんな年には見えなかったという。念のために確認してみる。


アキラ「フリード。ペンと紙をくれ。」


フリード「ほいよ。」


 フリードが俺に羽ペンと羊皮紙のような物を手渡してくれる。当然その手に向かってルリの攻撃が飛んでいるが俺が防いでいる。ルリの身の安全のためにはこの能力は大事だがなかなか面倒だな…。とは言え三十年以上もルリの身を守ってくれていた能力だ。大切にしなければならない。この能力がなかったらルリがどうなっていたのか想像もしたくないのだから。


 俺は受け取った紙にペンでカルド枢機卿の似顔絵を書いてみる。前の俺も別に美術が苦手だったわけではないが似顔絵が得意ということもない。何より描く対象が目の前にないのに記憶を頼りに精密に描けるような能力は当然なかった。だが今の俺は一度記憶したことは正確に覚えていられるし手も器用になっている。あっという間にまるで写真のように精密な似顔絵が出来上がった。


ミコ「この人だよ!私達が召喚された時に居たのもこの人!」


フリード「ああ。俺もこいつには会ったことがあるな。でもこれがカルド枢機卿?カルド枢機卿という名前は何代も継いでいるそうだし今のカルド枢機卿はもうかなりの高齢だと聞いていたが?」


 ミコとフリードの反応でだいたい察しがついた。


アキラ「つまりカルド枢機卿は少なくとも神格を得ているレベルなんだろう。そしてそれを隠すために代替わりして地位と一緒に名前も継いでいるということにしていた。召喚者達の前に堂々と姿を現していたのもそういうことだろうな。」


 いくら召喚されたての者達はそれほど大きな力を持っていない確率が高いとは言っても絶対に何の力もないとは限らない。それこそルリが目覚めた時のように急に力を使えるようになるかもしれない。そんな相手の前に堂々と姿を出せたのは自分の方が力が強い自信があり何かあれば自分が召喚者達を抑える役だったからだ。


 それから人間社会ではいつまでも若い姿でいてはおかしいとすぐにばれる。だからある程度年数が経てば高齢の偽物と交代していたのだろう。その高齢の者を死んだことにするか実際に死んだあとで名前を継いだといってまた自分が出てきていたのだろう。召喚者達は聖教皇国に忠誠を誓わせて囲ってしまうか言う事を聞かない者は始末してしまう。だから本物の自分自身の姿を見せて自分に従うようにさせていたのだろう。


 皆も大筋で俺の想像と同じような意見だったようだ。その後も少しルリに話を聞きながら情報を整理していった。



  =======



 今日は色々とあったのであまり移動しないことになった。もちろん戦闘のあったすぐ近くでは死体が転がっているため少し離れて移動したがそこからは動くことなく休むことにした。まだ日は高く時間は十分にあるのでまずはテントを張ってからルリ達の着替えをさせることにした。


 まずはルリだ。ワイシャツにネクタイ。タイトスカートに袖のないベストだ。………うん。なんていうかなんだこれ………。どこかの企業の制服か?っていう感じだ。ルリは胸があまりない少女体型だがそれがまたえも言われぬ色気がある。特にこの腰からお尻にかけてのラインが………。


ミコ「アキラ君。今やらしいこと考えてるよね?よね?」


アキラ「いや…。そんなことはないぞ、うん。」


 じろりと嫁達に睨まれてしまう。


ルリ「………あっくん。」


 ルリは俺に抱き付きもたれかかってくる。何だかかわいいぞ………。


 次はシルヴェストルだ。ギリシアのヒマティオンかローマのトガかという感じだ。両者の違いについては俺は詳しく知らないのでわからない。だがこれは服なのか?前は外套のように体に羽織っていただけだから今のように体に巻きつけているだけマシにはなっているが現代日本人の感性を持つ俺からすれば服という気はしない。まぁそれでもシルヴェストルがこれを着ているとギリシアの女神のようで様になっている。一応体に巻きつけているので前のようにチラチラと見えてはいけない部分が見えてしまう心配も少ないだろう。


シルヴェストル「ど…どうかの?」


アキラ「ああ…。神話に出てくる女神のようでよく似合ってるぞ。」


シルヴェストル「はうっ!女神などと照れるのじゃ!」


 シルヴェストルは真っ赤になって両手両足をバタバタさせながら俺の膝の上に乗りゴロゴロと転がりまわった。


 最後はティアだ。これは何と言う衣装なのか俺にはわからない。一言で言うならばバレリーナが着ている衣装のような感じだ。上はチューブトップのようになっており腰の部分に巻いているスカートのような部分は完全に外に広がっている。地球の妖精のイメージ図やバレリーナの舞台衣装のような感じだ。その上に水の衣のようなものが流れている。不思議な感じだ。衣装は濡れることなく水が表面を流れ続けている。ただこれは下着のような物が見えている。だってスカート部分は真横と言っても過言ではないほどに立ち上がって広がっているのだから…。


ティア「あの…アキラ様。いかがでしょうか?」


アキラ「えっと…。うん。俺の前ではまったく問題ない。とってもかわいいよ。でもそれって下着が見えているんじゃないのか?」


ティア「え?これは下着ではありません。見せても大丈夫なものだとキツネ様が言っておられました。下着じゃないから恥ずかしくないもん!」


 そう言いながらティアは俺の周りを飛び回る。俺の前を通り過ぎるたびにスカートの中が丸見えになってしまい俺の方がドキドキしてしまう。


アキラ「あまりギリギリなことを言うな。っていうか何でそんなものを知っている?!」


 地球でも見せパンなどと呼ばれるような見られても良い履物というのがある。そういうものだと思えば良いのだろうか。とりあえずその下に本当の下着を履いているそうなので良しとしておこうと思う。


 三人をざっと見返してみる。今回の服ももちろん全て師匠の手作りだ。………。師匠何これ?どういうセンス?


狐神「ふっふっふっ。喜びのあまり声も出ないようだねアキラ。神山での五日の間に丹精込めて作り上げた甲斐があったよ。」


アキラ「え?!神山の庵で滞在してたのってこれを作るためだったんですか?」


狐神「あん?そうだよ?」


 ………。確かに庵に居た間に師匠は機織機を出すように要求し何かを織っていたのは知っている。俺はてっきり皆の修行のために滞在していたのだと思っていた。だが師匠はこれを織るためだけに滞在するように言っていたのか………。


狐神「ルリを見たのはあの時が初めてだったからね。ルリの体型に合わせて作るのはあのタイミングしかなかったんだよ。」


 それはそうかもしれないがだからあの時神山で数日滞在するように要求したのか………。俺と師匠では物の考え方や着眼点はまるで違うのだと改めて思い知らされたのだった。


ブリレ「主様!主様は最近ティアとシルヴェストルばかり可愛がりすぎだよ!ボクも可愛がってよ…。」


 ブリレがすりすりと俺の足に擦り寄ってくる。


ハゼリ「ブリレのことなどどうでも良いのです。主様、ハゼリのことを可愛がってくださいませ。」


 ハゼリも一緒になって俺にツンツンしてくる。この二人が俺に擦り寄ってきたため残りの三人もソワソワしだした。


フラン「確かにそうですよね。私は最近忘れ去られているような気がします。」


 フランが俺の腕を取って抱き付いて来る。


ミコ「そうだねぇ。アキラ君はモテモテだもんね。」


 ミコも逆の腕を取って抱き付いて来る。


狐神「ミコはいいじゃないかい。最近アキラに慰めてもらってばっかりだろう?私なんて放ったらかしさ。まったく…。アキラは私のことを忘れてるんじゃないかい?」


 師匠が後ろから俺を抱き締める。


ガウ「がうがうっ!」


 ガウは状況をわかっているとは思えないが皆が俺にくっついてくるので一緒になって俺の膝の上にダイブしてくる。もちろんシルヴェストルは避けているが膝の上の大部分をガウに占領されてしまった。


ルリ「………駄目。あっくんはルリのあっくんなの。」


 ルリがガウの上を越えて俺に抱き付いて来る。俺の胸とルリの胸が密着して顔が近い。このままフラフラとキスしてしまいそうになる。


アキラ「ひぁっ!」


 ガウが下から俺とルリの胸を弄りまわす。俺は思わず変な声を出してしまった。


ガウ「がうがう。」


ミコ「アキラ君………。かわいいっ!」


狐神「アキラは相変わらず敏感だねぇ。まぁそういう初心なところがかわいいんだけどね。」


フラン「アキラさん。私も初心者ですから一緒に上達していけば恥ずかしくありませんよ。」


 ぎゅっと抱き締められ皆の抱きつく力が少し強くなる。っていうか一緒に上達って何の練習だ?フラン!


シルヴェストル「ぐぬぬっ!わしはアキラとそういうことが出来ぬのじゃ。」


ティア「甘いですよシルヴェストル様。体の大きさが違ってもこういう風に…。」


アキラ「あっ!こらっ!やめろティア!だめだって!ぁっ…。やめ………。」


 ティアが俺の体を弄繰り回す。敏感な俺の体はビクビクと反応して変な声が出てしまう。


 ふと顔を向けたテントの入り口でフリードが目を見開いて鼻血を垂らしながらこちらを一心不乱に凝視していた。


アキラ「キ………。」


狐神「キ?」


アキラ「キャーーーーッ!!!!」


 ………

 ……

 …



  ~~~~~フリード視点~~~~~



 アキラの嫁?達の着替えをすることになり天幕を張って休むことになった。着替えが終わったということで俺達も天幕に入れるようになって入ってみるとアキラが新しい衣装に着替えた者達を論評していた。そしてなぜかいつの間にかアキラ達が組んず解れつ戯れていた。


フリード(ここは天国かっ!)


 アキラの嫁達がアキラの体を撫で回し弄繰り回す。アキラの艶かしい吐息が漏れる。俺は目が乾くのも構わず必死にその姿を脳に焼き付ける。その時アキラが俺の方を向き固まった。


アキラ「キ………。」


キツネ「キ?」


アキラ「キャーーーーッ!!!!」


 元々ほんのりと赤く色づき火照った顔をしていたアキラは俺と目が合った瞬間に一気に真っ赤になった。そしてアキラの悲鳴と共に大爆音が鳴り響いた。そこで俺の意識は途切れた。



  =======



 意識を取り戻した俺が見たのは地獄だった。辺りは森の奥深くだったはずなのに木の一本ですら残ってはいなかった。どんな力で抉ったらこうなるのかと思うほどに地面は抉れ空気は焼け風が渦巻いて全てを巻き上げていた。これでもマシになった後らしい。俺が気を失っている時はもっとひどい有様だったのだとアキラの嫁達の話を聞いて知った。毎度のことながら俺が瀕死の重傷を負った以外は皆無事だったらしい。アキラは我を忘れて力を暴走させてもいつもきっちり皆を守っている。俺だけが死ぬ寸前な大ダメージを受けるだけだ。


 でも俺はそれを悪いこととは思っていない。泣きそうな顔で必死に俺の傷を治してくれるアキラがかわいい。何より俺がこういう目に合わされる時はその前に良い思いをしている時だ。アキラの艶姿が拝めるのならこれくらいのリスクはあって当たり前だろう。


 もしこの次にまた瀕死の重傷を負う代わりにアキラのああいう姿が見られると言われたら俺は即答で命懸けでもまた見ると断言できる。


 ともかくこの辺りにはいられなくなった俺達はここで休む予定を変更して安全な位置まで移動してから休むことになったのだった。



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