第四十三話「神同士の戦い」
俺達はウィッチの森へと侵入したが以前帝国の攻撃を警戒して森の端に待機していたウィッチ種はこの辺りには一人もいない。
フラン「そんなっ!どうして誰もいないんですか!まさか………。」
アキラ「心配するな。ウィッチ種は誰も犠牲になっていない。村の方へ向かうぞ。」
フラン「………はい。」
俺の言葉を聞いてもまだフランは不安そうな顔をしている。だが全員無事なのは気配で察知している。魔の山にいる強力な気配はウィッチ種や悪魔達にですらまだ何もしていない。恐らくではあるが俺達を挑発するためにわざわざ山頂に陣取り気配を発しているのだろう。『お前達の仲間はこちらの手の内にありいつでも殺せるぞ』と言わんばかりだ。何が目的なのか何故こんなことをしているのかは俺にはわからない。
アキラ「俺と師匠以外は全員固まってお互いカバーし合え。能力制限している者はいつでもすぐに解除できるように備えておけ。」
ガウ「がう!」
五龍将「「「「「はっ!」」」」」
ミコ・フラン「「はいっ!」」
ジェイド「おう。」
マンモン「………。」
なぜかジェイドまで返事をしてくる。俺はジェイドとマンモンのことなど知ったことじゃないんだが…。
ティア「あの…、わたくしはどうすれば…?」
アキラ「ティアは今のところはそこにいろ。」
ティアはずっと俺の胸の谷間にいる。守るのなら俺の側が一番楽だろう。
狐神「アキラの側が一番安全だからね。黒の魔神程度じゃアキラに傷一つ付けられないよ。」
ティア「はいっ!ここはわたくしの席です!」
アキラ「………そこは誰の席でもない。俺の胸だ………。」
マンモン「………アキラは確かに強い。だがこの気配の強さは桁違いだ。アキラが神に届きそうな強さなのは認める。だがこの相手は上位の神そのものだ。お前達の勝てる相手じゃない。」
アキラ「今日はやけに饒舌だな。」
マンモン「………。」
別にマンモンに俺達の力を説明してやる必要はない。もしこの気配の持ち主が争う気がなければこちらの力を見せずに済むのだ。見せなくて済むかもしれないものをわざわざ見せてしまうことはない。
フラン「そんな…。村にも誰も…。」
村に着いても誰もいない。だが当たり前だ。ウィッチ種達は皆別の場所にいる。
アキラ「フラン心配するな。例の泉の裏だ。」
フラン「………はい。」
俺達は前の俺が造った滝の裏の結界へと向かった。
ヘラ「フラン!」
フラン「お母様。大お婆様は?」
俺の作った結界内に全てのウィッチ種は避難していた。ここならば山頂の気配の主でも侵入することはできない。
ドロテー「お帰りフラン。玄孫はどこだい?」
フラン「大お婆様!そのようなことを言っている場合ですか!?」
ドロテーは随分余裕なようだ。
ドロテー「ここは黒き救世主様がお造りになられた場所だよ。ここより安全な場所なんてないさ。」
フラン「ぅ…。ですが…。」
フランは俺とドロテーを交互に見て困ったような顔をしている。ウィッチの森にはこの場所があり俺が守っているも同然なのでそれを心配するということは俺の力を疑っているということになる。フランはそう考えているのだろう。だが例え絶対安全だと思っていても家族に危険が迫っているかもしれないと思ったらフランのように家族が心配になるのは当たり前だ。そもそも俺の力もあまり過信されては困る。………今の俺ではあの時俺の体を支配していた闇の気配と最高神にはまるで歯が立たないのだから…。
アキラ「ウィッチ種全員の安全は確認できたな。俺は山頂へ向かうが他の者はここに残るか?」
山頂の気配に対抗できるのは俺と師匠だけだ。もし戦闘にでもなれば他の者にはリスクが高い。
ミコ「付いていくよ。」
フラン「もちろん私もです。」
ガウ「がうがう!」
ティア「わたくしは絶対にこの谷間から出ません!」
いや…、付いて来るのはいいが谷間からは出ろよ…。どうやら誰も残る気はないようだ。とはいえそれほど心配していない。俺か師匠が戦うことになればもう一人の方がパーティーメンバーを守ればいい。十分抑えられる。
アキラ「それじゃ山頂へ向かうぞ。」
ジェイドとマンモンも残らないので結局全員で山頂へと向かった。
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バフォーメ「主よ。申し訳ありませぬ。主命を守ることが出来ませんでした。」
山頂に近づくと洞穴の外で向かいにいる男に最大限の威嚇をしているバフォーメとその威嚇を受けても悠然と佇んでいる紺色の髪の男がいた。腰までありそうな長髪でミコと似た髪色で長さも似ている。ただミコのさらさらのストレートヘアーと違い少しボリュームがあり髪が広がっている。瞳は真っ赤で左右の頭から二本の角が出ている。整った顔で優男に見えるが良い体格をしている。
???「ようやく来たか。狐神。」
狐神…。師匠が狙いか。
フラン「え?狐神?きつね…キツネさん?………えええぇぇぇ!キツネさんは狐神様だったんですか?」
ティア「あわわわ。」
マンモン「!!!」
ジェイド「そんなまさか…。」
皆驚いているようだ。
ミコ「えっと…。私は最初に会った時に狐神さんって聞いてたけれど…。驚くところだったのかな?」
ミコが小声で聞いてくる。師匠はミコにしか狐神と名乗っていない。それ以外の者にはいつもキツネと名乗っていた。その理由は今の皆の反応の通りだ。この世界の者は本来縁のない神であったとしてもその名を聞けば自然とその者が神であると知ることが出来る。例えば俺が今○○神として神になったとする。当然ここにいる者以外はその存在など知るはずはない。だがその知るはずのない者達に会い○○神ですと名乗るとまるで昔から知っていて当たり前のように神として認識されてしまう。なぜそういう現象が起こるのかは俺にはわからないがそれでは折角神力を隠していてもすぐにばれてしまって意味がない。だから師匠は狐神とは名乗らなかったのだ。ミコは地球人なのでその現象が起こらない。ミコにだけ名乗ったのはそういう理由だ。
アキラ「地球人にはこの世界の神の名前を聞いても何も起こらない。だがこの世界の住人は神の名前を聞いただけでその者が神だと認識できる。だから皆驚いているんだ。」
ミコ「そうだったんだ…。」
狐神「それで私に何か用かい?黒の魔神。」
師匠はこいつと顔見知りのようだ。師匠が黒の魔神と呼ぶ以上はこいつが黒の魔神なのだろう。
黒の魔神「何か用かだと?白々しいな。こんなところにこれほどの使い魔を置いて、さらにソドムの街まで壊滅させた。一体何を狙っている?」
黒の魔神の神力が開放される。戦う気だ。
狐神「それは私じゃないんだけどねぇ…。こんなところで戦る気かい?盟約違反だよ。」
黒の魔神「盟約を破っているのはお前の方だ。問答無用!」
狐神「やれやれ…。聞く耳なしかい。…アキラ、あれの相手は私がするからそっちは任せたよ。」
アキラ「はい。バフォーメ来い。」
バフォーメ「はっ!」
バフォーメが黒の魔神の向かいから俺の隣へと空間移動し跪いている。
バフォーメ「申し訳ありませぬ。この山と森を守ること叶いませんでした。」
アキラ「いや、よくやった。お前がいてくれたお陰で助かった。」
バフォーメ「とんでもございませぬ…。」
バフォーメはますます恐縮しているようだ。俺と魂が繋がってから俺の神力が流れ込み前までより強くなっている。それでも黒の魔神には通用しない。今回ばかりは相手が悪かった。ガウですら敵わないのだ。闇の気配と最高神は別格としてそれを除けば今まで出会った誰よりも強い相手だった。
黒の魔神「………。なぜその使い魔の悪魔はそっちの小娘に跪いている?」
狐神「だからこの使い魔は私のじゃなくてアキラのなんだよ…。」
黒の魔神「ふざけるな。その悪魔の方が圧倒的に強い。悪魔が自分より弱い者の使い魔になどなるはずはない。………だが主をその小娘にしていてもお前が悪魔のコントロールをしているのならあり得るか。そんな邪法は聞いたことがないが妖怪族にはそんな方法があるのかもしれん。」
俺達は能力制限をちょくちょく上げているので今の俺達の制限は前に会った時のバフォーメくらいまでは制限を緩めている。そこからさらに神力を隠しているがこの黒の魔神はその隠している能力までは見破っている。だが今のバフォーメは俺から流れ込んだ神力によりさらに強くなっているのでこの制限のままであれば黒の魔神の言う通りバフォーメの方が格上になるだろう。ただし全ての術を使って良いのなら俺は今の制限のままでも格上のバフォーメに勝てる。単純に能力の高さだけが強さではないのだが黒の魔神にはそこまでは読めないようだ。
狐神「一回ぶっ飛ばさないと話も出来そうにないね。それじゃアキラ頼んだよ。」
師匠は外套を脱いで能力制限を解除する。師匠と黒の魔神の強大な神力が周囲を満たしてく。だが師匠はまだまだ本気を出していない。黒の魔神もまだ全力ではないようだが俺が探れる範囲ではどう考えても師匠の方が黒の魔神より強い。俺も少しだけ制限を緩めて結界を張る。このクラスの神が地上で戦えばあっという間にいくつかの大陸が消え去ることになる。師匠が俺に任せたのはそれを防ぐことだ。
黒の魔神「(このレベルの結界だと…。まさかあの小娘本当に?まぁいい。おかげで力が出せる。)いくぞ!」
狐神「じゃちょっと行ってくるよ。」
師匠と黒の魔神は空へと飛び上がる。神同士の戦いが今始まった。
フラン「これが…狐神様と黒の魔神の力なんですか…。」
ティア「ぶるぶる…。」
ミコ「ほんとに…すごいね。私も随分強くなったつもりだったのだけれど…。」
ガウ「がうがう。ししょーの方が強いの。」
皆師匠の強さと黒の魔神の強さに驚いているようだ。ガウの言葉は当たっている。よほど何か隠し技でもなければ師匠の勝ちは揺るがないだろう。
マンモン「………帝国はこれほどの者を敵にしようとしていたのか。」
マンモンは今更ながらに師匠の力に気付き前回いかに自分達が危うかったのか悟ったようだ。
ジェイド「………。」
ジェイドは立ったまま気を失っているのかただ呆然と空を眺めていた。
アキラ「ガウ、五龍将、バフォーメは万が一に備えておけ。」
五龍将・バフォーメ「「「「「「はっ!」」」」」」
ガウ「がうがう。」
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二人はまだ肉体のみで戦っている。拳、脚、爪などに神力を纏わせ相手を殴りつける。当然受ける方も神力を纏い防御するのでお互いダメージはない。ただ神力だけが削られていく。
黒の魔神「たかが第七階位のお前が第五階位の俺に勝てるつもりか!」
狐神「はぁ…。階位や神力量だけが強さだと思っているのかい?だったらあんたはガウにも勝てやしないよ。」
師匠は第七階位、黒の魔人は第五階位らしい。本来であればこれは絶望的な差だ。少し階位について補足しておく。
神は強さによって階位で分けられる。第十階位は元の値がいくらであっても神になった者全てが含まれるので強さの下限が存在しない。だから強さにばらつきがあり一番下と一番上では大きく強さが異なる。だが第九階位以上にはその階位になるための最低限の強さの値が決まっている。第九階位が10~19、第八階位が20~29という具合だ。ただし実際に神の階位はこの例ほど易しくはない。第九階位の最低限の強さの者と第八階位の最低限の強さの者が争えば一つ下の階位の者は百人掛かりでも勝てない差なのだ。
しかしこれは単純に能力値等が100倍ということではない。一定以上の力量差があれば格下の攻撃はほとんど通用しなくなるのだ。だから百人掛かりでも敵わない。わかりやすく言えば単純な能力値は100倍も差がないのに大人が赤ん坊に100発殴られても死ぬようなことはないのと同じことだ。
第九階位の一番上の者と第八階位の一番下の者同士ならば百人分の差はないだろう。だが師匠と黒の魔神は二階位分の差がある。第五階位の最低限ぎりぎりと第七階位の最低限ぎりぎり同士の戦いならばまさに一万人掛かりでも敵わない。もし師匠が第七階位の一番上でもうすぐ第六階位レベルだったとしてもやはり百人分以上の差がある。本来ならまるで勝ち目がないことになる。
………しかし本当にそうか?師匠が第七階位?黒の魔神程度が第五階位なのに?俺には師匠の方が黒の魔神を上回っているとしか思えなかった。
黒の魔神「俺の下に付け狐神。そうすれば命は助けてやる。」
狐神「お断りだよ。」
黒の魔神「…そんなに死にたいか?」
狐神「馬鹿言うんじゃないよ。まだアキラと何もしてないのに死にたかないよ。」
黒の魔神「ならばなぜだ?」
狐神「なぜも何も…。あんたじゃ私を殺すことなんてできやしないからね。あんたに従わなきゃならない理由はないよ。」
黒の魔神「そうか…。もう手加減は必要ないようだな。出でよ魔剣レーヴァテイン!」
黒の魔神の神力が掌に収束されていく。そこには一振りの炎の剣があった。
アキラ「あれはなかなかの剣だな。」
マンモン「………なかなかだと?あれは神剣だ。一振りで北大陸がなくなるぞ。」
確かに俺の結界がなければ北大陸は消し飛ぶかもしれない。そもそも素手で殴り合っていた時の衝撃波一つだけで魔の山一帯はウィッチの森まで含めてなくなっていただろう。だが俺の結界を破れるほどの力は感じない。
狐神「それは素手じゃ痛そうだね。しょうがない。」
師匠は尻尾に妖力を込めて長く伸ばしていく。
黒の魔神「はぁ!」
狐神「ほい。おっと。ほいほいっと。」
黒の魔神が神速で剣を振るう。上段から斬りかかってきた剣を尻尾で叩き落とす。師匠に流された剣を強引に止め横薙ぎに切り払う。今度は師匠は尻尾を真下から打ち上げ剣を上に弾き飛ばす。跳ね上げられた勢いそのままに後ろに宙返りした黒の魔神は一回転し下から師匠に斬りかかる。その攻撃は受けずにするりと身をかわす。完全に遊んでいる。
黒の魔神「そこだ!ヘルファイヤ!」
宙返りの途中の姿勢のまま黒の魔神は魔法を使う。身をかわした師匠に向かって黒い炎が襲い掛かる。だが俺の黒い炎とは違う。あの時の俺の炎は黒いというよりも闇そのもののような炎だった。黒の魔神の使った炎は黒く見える炎という感じだ。
狐神「狐火の術。」
師匠は青い炎の狐火の術を使って迎撃した。二人の間で大爆発が起こる。その衝撃と広がった炎を隠れ蓑にして黒の魔神が師匠に突進している。
黒の魔神「死ね!」
黒の魔神の渾身の突きが師匠の胸元を捉える。しかしその剣は師匠に突き刺さることはなく両側から尻尾に挟まれてその動きを止めている。真剣白刃取りだ。……尻尾で。
狐神「二本も尻尾を使わせるなんてやるじゃないかい。少し舐めてたようだね。」
黒の魔神「その舐めた態度が命取りだ。サンダーブレイク!」
黒の魔神の剣から雷が迸る。触れている師匠にその雷が流れる…ことはなかった。
狐神「招雷天衣の術。」
招雷の術を身に纏った師匠の雷に飲み込まれ黒の魔神の雷は全て吸収された。
黒の魔神「ちぃ!」
狐神「お返しだよ。」
黒の魔神「ぐぁ…。」
逆に剣を伝って雷を流された黒の魔神は短い悲鳴をあげた。慌てて捕まえられた剣を引き抜き距離を取る。しかしすでに師匠は黒の魔神の目の前まで迫っていた。
狐神「ほらほら。ぼーっとしてんじゃないよ。」
黒の魔神「くっ!ぐはっ…。うぐっ。」
師匠が尻尾を振り回す。黒の魔神は剣で受けるが尻尾の動きが速過ぎて受け切れない。三発に一発は対応が間に合わない尻尾の攻撃を受けている。師匠が尻尾を二本使ったのは白刃取りの時だけだ。一本の剣と一本の尻尾で打ち合っている。それでも黒の魔神は対応し切れていない。もし九本全ての尻尾を使っていればこの程度では済んでいないだろう。
黒の魔神「はぁぁぁぁ!」
黒の魔神は神力を周囲に撒き散らし師匠を一度離した。師匠ならば離れてかわさなくともあの程度でダメージはなかったはずだがあえて離れてやったのだろう。すでに勝負は見えている。黒の魔神はすでに体力神力とも大きく消耗しており師匠の攻撃を防ぐこともできなくなってきている。神力での防御力が足りていないのでダメージを受けているのだ。それに比べて師匠はほとんど体力も神力も使っていない。当然ダメージも一切ない。圧倒的だった。
黒の魔神「出し惜しみはなしだ…。これでケリを着けてやる。はぁぁぁ!」
黒の魔神の神力が増大していく。最大最強の一撃を放つつもりだろう。これはちょっと危ない。もちろん師匠がではない。今の俺の結界のことだ。この黒の魔神の一撃だけでも今の結界を破ってしまいかねない。さらに師匠が同程度以上の力で迎撃すればその二つが合わさった破壊力は格段に上がってしまう。俺はもう少し制限を緩めて結界を補強しておく。
狐神「そういうのは余力のあるうちにやっておくもんだよ。瀕死になってから頑張ったってもう勝ち目はないよ。」
黒の魔神「ふんっ。偉そうに講釈を垂れていられるのも今のうちだけだ。」
魔剣が黒の魔神の神力を吸い取り大きな炎へと昇華されていく。
黒の魔神「破滅の杖!!!」
剣を頭上に掲げた黒の魔神はそのまま体ごと一つの巨大な炎となって師匠に突進していった。これは結構危ないな。もう少し緩めて結界を強化しておこう。俺も黒の魔神を少し見縊っていた。あの魔剣の性能のお陰もあるのだろうがこの威力では一撃で世界の半分くらいは消し飛びそうだ。伊達に第五階位ではない。
狐神「それは厄介だね。狐火九頭竜の術。」
師匠も大技だ。長く伸びた九本の尻尾に青い狐火が纏わり付き九頭の龍となった。
黒の魔神「うおおおぉぉぉぉ!」
狐神「せいぜい死なないように気をつけなよ。」
二人がぶつかった瞬間、世界の色も音も消え去った。
………
……
…
あまりに大きすぎる二人の力の衝突により溢れた光で世界は白一色になる。あまりに大きすぎる音にまるで何も聞こえていないかのように音が聞こえなくなる。光と音が収まった時には上空から一つの影が落ちてきていた。
ミコ「すごすぎてよくわからないよ…。」
フラン「そうですね…。私達ではまるでついていけません。」
ティア「何が起こっているのか…。すごいとしかわかりません。」
ガウ「がう。ししょーが勝ったの。」
マンモン「………我らではレベルが違いすぎる。」
ジェイド「マンモン将軍で違いすぎるなら俺は何なんでしょうね…。」
ブリレ「ちぇ…。ボクじゃ太刀打ちできないなぁ。これじゃ主様をお守りできないよ。」
タイラ「口惜しいが我らでは敵わぬ。我らはまだ弱い。」
ハゼリ「五龍将にガウ様とバフォーメ殿がいれば…。」
アジル「それでも難しい。」
バフォーメ「然り。我らは主の盾にすらなれぬ。」
サバロ「………。」
皆が口々に感想を述べている。ていうか五龍将やバフォーメは強いから…。お前らはどこへ行こうとしているんだ?相手は罷り成りにも第五階位という上位に位置する神だ。比べる相手を間違えている。こいつらはすでに俺が見た精霊神達を遥かに上回っているのだ。
しかし五龍将以外は神格を得ていない。五龍将は元々魚っぽいので魚の限界などとうの昔に超えているだろう。バフォーメは悪魔だ。悪魔に神格があるのかどうかはわからない。魚に神格があったことも驚きではあるが魚にも神格があるのなら悪魔にもあるのかもしれない。仮に悪魔にも神格があったとしても元々の性能が高いためまだ神格を得られるほどのレベルではないのかもしれない。ムルキベルはゴーレムだ。ゴーレムにも神格があるのかどうかわからない。ポイニクスはすでに精霊神を遥かに上回っている。だがポイニクスも神格はない。恐らくではあるが俺が力を与えて生み出した者なので普通の精霊とは基準値が違うのだろう。ガウはなぜ神格を得ていないのだろうか。大神種が神格を得る基準値がいくらかはわからないがガウはすでにかなりの強さだ。俺や師匠が神格を得た頃の強さから考えれば大神種は妖狐種よりも必要値が高いのかもしれない。
ドサッ
落下していた影が地面に落ちた。それは確認するまでもない。当然の結果だが黒の魔神だ。
黒の魔神「げほっ…。」
狐神「まだ生きてるかい?」
師匠も地上へと降りてきた。黒の魔神は生きている。師匠が絶妙な力加減で殺さないようにしていたからだ。師匠の全力の狐火九頭竜の術を受けていれば万全の状態だったとしても消し炭も残らず燃え尽きていただろう。
黒の魔神「お前の勝ちだ…。」
狐神「はぁ…。言われるまでもないよ。最初からわかってたことじゃないかい…。」
狐神と黒の魔神。神同士の対決は狐神玉藻の勝利で終わった。




