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転生無双  作者: 平朝臣
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第二十一話「平穏な日々」


 フランにペンダントを見せられてから記憶が思い出された。バフォーメに会った時といいペンダントといい単純に旅路を行けば思い出されるだけではないということか…。


 ともかくこの近辺での記憶は全て蘇ったと思っていいだろう。進むべき道もわかるようになった。あとは先に進めばいいだけだ。なぜかフランまで同行することになったが帝国との交渉が終わるまで見届けるだけだ。そのことについて他のメンバーにも伝えなければならない。俺達に宛がわれた部屋へと三人で向かう。


アキラ「ガウ、ミコ。フランが帝国との交渉を見届けるために同行したいと言っているがどうする?」


ガウ「がうはご主人の言った通りにするの。」


 ガウは相変わらず主体性がない。いつも通りだ。


ミコ「………。私もキツネさんのお陰でアキラ君の傍にいられるんだから新しい人が入っても何か言える立場じゃないのだけれど…。アキラ君手が早すぎるよ…。」


 ミコの言っていることがわからない。


アキラ「ウィッチ種にとっても帝国からの攻撃がなくなるかどうかの交渉なんだ。見届けて確認するのは当然じゃないのか?代表者がのこのこと出て行くのもどうかとは思うが…。」


ミコ「はぁ…、アキラ君はなんでも出来るし頭も良いけどそういう所は丸で駄目なんだね。」


 ますます意味がわからない。何かおかしなことを言っただろうか?


フラン「これからアキラ…さんのお世話をさせていただきます。皆さんよろしくお願いします。」


アキラ「フラン、お世話って何のことだ?」


フラン「新参で未熟者ですがアキラ…さんのお傍でお仕えさせていただくのですからそれは私の役目だと。」


 何かおかしい…。フランは帝国との交渉を見届けると言ったのではなかったのか?


アキラ「フランは俺達と帝国との交渉を見届けるために同行するんだよな?」


フラン「はい。その通りです。」


アキラ「うまく帝国との交渉がまとまるか俺達が帝国を滅ぼしたらこの村に帰るんだよな?」


フラン「アキラ…さんの向かう先がこの村になれば私も必然的にこの村に戻ることになります。」


アキラ「…俺がどこに向かおうがお前は交渉が終われば帰るんだろう?」


フラン「アキラ…さんがここへ来られないのでしたら帰りません。」


 意味がわからない。フランは一体何を言っているんだ?


狐神「フランはずっとアキラに付いてくる。それだけだよ。」


アキラ「何を言ってるんですか?村のこともある。代表者がふらふらとどこへ行こうと言うんですか?それに旅なんてしてたらドロテーの死に目にも会えないかもしれない。」


フラン「大お婆様とはすでに別れは済ませてあります。」


狐神「わかったかい?それで反対の者はいるかい?」


ガウ「がうはないの。」


ミコ「アキラ君のえっち。」


マンモン「………。」


狐神「決まりだね。」


 俺の意見は聞かれないらしい。それにえっちって何だ。俺はフランに何もしてないぞ。


アキラ「ふぅ…。師匠が言い出したらもう何を言っても無駄なんでしょうね…。」


狐神「無駄だね。わかったら諦めて受け入れなよ。」


 こうしてなぜかフランが仲間に加わった。



  =======



 ドロテーを見舞ったり魔法の練習をしたりでさらに数日が経っている。その間フランは甲斐甲斐しく俺の世話をしている。


アキラ「おいフラン。給仕の真似事までするのはお前の仕事じゃないだろう?」


フラン「いいえ!これも私の仕事です。」


アキラ「それが村の代表者がする仕事か?」


フラン「村の代表としてはこんな仕事はしません。これはアキラ…さんにお仕えする者としての仕事です。」


アキラ「お前は同行者だろう?俺に仕えているわけじゃない。」


フラン「かっ、勘違いしないで下さい。私はこのパーティーで新参者なので雑用をしているだけです。」


アキラ「だったらますますお前の仕事じゃないだろう。俺達の中に給仕をしていた者などいない。新参者として雑用をするという気概は買うが俺達のパーティーではそんなことは各自ですることだ。」


 俺は水差しからコップに水を注ごうとする。


フラン「駄目です!アキラ…さんがそんなことをしてはいけません。」


 水差しを取り上げられてフランが俺のコップに水を注ぐ。フランの同行が決まった日以来ずっとこの調子だった。


アキラ「ふぅ…風呂に入りたいな。」


ミコ「あっ!それはいいね。私もお風呂に入りたいよ。」


狐神「最近は体を拭くくらいだったからね。」


フラン「お風呂ですね。すぐに用意します。」


アキラ「おいフラン…。ウィッチ種でもそんなに頻繁に風呂に入れないんだろう?いくら村の代表とはいえ勝手に俺達にそんなことをさせたらお前が顰蹙を買うんじゃないのか?」


フラン「私のことを心配してくださっているんですね。」


 ほんのり頬を赤く染め上目遣いになっているが眠そうな目にしか見えない。きっと同行することを決めた時も何か決意を秘めた目をしていたのだろう。ただ俺が見ても眠そうな目にしか見えないので見逃していたのだ。あの時気づいていれば止めるなり、また違った道もあったのかもしれない…。


フラン「大丈夫です。お任せください。」


アキラ「いや。自分達のことは自分達で何とかしよう。どこか泉のような場所があれば教えてくれ。マンモンの見張りも必要だから二手に分かれて交互に入ろう。」


フラン「ですが…。」


アキラ「俺達はウィッチ種のお客じゃないんだ。そこまでしてもらう関係じゃない。」


 ついでにいえばこの森の全域くらい余裕で気配察知でわかるはずなのでマンモンを見張っていなくとも何かしようとすればすぐに戻ってきて止めることは容易いのだが、マンモンの方にも余計なことを考えさせないために見張っていると見せ付けておくほうがいいだろうという判断だ。いくら口で何かしようとしてもわかっているからなと言われても目の前にいなければ良からぬことを企むかもしれないからな。


ミコ「二手にってどう分けるの?」


狐神「もちろん私はアキラと一緒に入るよ!」


ガウ「がうもご主人と一緒なの。」


ミコ「えっ!えっと…、わっ、私もアキラ君と一緒に…。」


フラン「私はアキラ…さんにお仕えしているんです。当然一緒に行ってお背中をお流しします。(アキラ様と裸でくんずほぐれつ…あぁ…。)」


 誰が一緒に行くか分かれるかで大論争になっている。とても収拾がつきそうにない。


狐神「私は今までだってアキラと一緒に入ってたんだから一緒に行くよ。」


ガウ「がうもなの。」


ミコ「えっ!いつも一緒に入っていたんですか?そんな…アキラ君のえっち!あっ…でも…アキラ君が私のも見たいっていうなら私はいつでも…。」


フラン「お二方はすでに経験があるのでしたら私とミコさんが一緒に行けば良いんじゃないでしょうか?(ミコさんと一緒に私の初めても奪われてしまうのでしょうか…ああぁっ…考えただけで…んっ。)」


ミコ「そっ、そうだよね。二人だけずるいもんね。」


狐神「そういうあんた達は最近アキラと魔法の練習とか言っていつも一緒じゃないかい。こういう時くらい譲るもんだろう?」


ミコ「うっ…。それは…。」


マンモン「………。俺はすでに何かするつもりはない。それでも心配なら村の者に見張らせて全員で行けばどうだ?」


 マンモンめ。普段はだんまりの癖にこんな時だけ余計なことを言うな。全員で行けば俺の何かが危険な気がする。


狐神「そうだね。そうしよう。」


ミコ「うっ、うん。みんな一緒ならそんなに恥ずかしくないしいいよね。」


フラン「私はご一緒できるのでしたら…。」


ガウ「がう。」


アキラ「駄目だ。監視対象からの提案など受け入れられない。まず俺が一人で風呂を作って湯を沸かして一人で入る。交代で残りの四人が入ってきたらいい。」


狐神「それじゃ駄目だよ。アキラの艶姿を拝めないじゃないかい。」


ミコ「そうだよ。キツネさんの裸は見たのに私のは見たくもないっていうことなの?」


フラン「私は何があろうと絶対に一緒に行きます。」


ガウ「がうがう。」


 ミコ…そんな悲しそうな顔をするな…。ついふらふらと抱き締めてしまいそうになる。フランは三白眼で睨んでいる。ガウは何が言いたいのかわからない。何も考えてないのかもしれない。


マンモン「………だから全員で…。」


アキラ「黙れマンモン。これ以上ややこしくするな。」


マンモン「………。」


 これは最低でも誰か一人は一緒に行かなければまとまらないだろう。だが誰かを選べば後々厄介なことになるのは俺にでもわかる。かといって全員で行けばきっと俺の何かは大変なことになるだろう。主に精神力が削られるか貞操の危機だろうが…。


アキラ「いつも通り桶に水を張って部屋で体を拭きましょうか。」


狐神「却下だね。」


ミコ「不採用だよ。」


フラン「それでも構いませんがその場合は私がアキラ…さんの体を拭かせていただきます。(アキラ様の体を隅々まで…はぁはぁ…。)」


ガウ「がうぅ。」


 つい余計なことを言ってしまったばっかりに大変なことになった。口は災いの元だ………。



  =======



 結局五人で風呂に入ることになった。マンモンの監視は村の人に任せて厳重にしてある。もちろん俺達はマンモンの気配を監視しているので何かすればすぐにわかるとも伝えている。いっそマンモンが何かしようとしてこのお風呂大会が中止になる方が俺にとっては都合が良いのだがこっそりマンモンにそう言っても『何もするつもりはない』と言われてしまった。きっと普段から雑に扱っているからこの機会に復讐しているに違いない。


 俺達は五人で村の近くの泉へとやって来た。ここは魔法の練習に使っているという所とは別の泉で、滅多に誰も近づかないらしい。


アキラ「フラン…。お前だけまだ知らないから教えておくが俺は男だからな。よく考えろよ。男と風呂に入ることになるんだぞ?引き返すなら今のうちだぞ。」


フラン「男?………とてもそうは見えませんが。例えアキラ…さんが男性でも女性でもご一緒させていただきます。(男って何?どう見ても女性にしか…。あっ、男性のように私を襲うという意味なの?あぁ…。)」


 まぁそうだよな。今は肉体的には女なんだ。こんな言い方では伝わるまい。いっそ全部教えてしまうか。


アキラ「俺はある事故に巻き込まれて異世界からファルクリアに転生した者だ。異世界では俺は男であり今の肉体は女だが精神は男だ。」


フラン「………。そうですか。ですが転生して今は女性なのでしょう?(男の人に私の全てを見られてしまうんですね…んんっ…。)」


アキラ「肉体的には女性だが俺の種は女同士でも孕ませられるらしいからな。実質的には男と変わらないと思っておけ。」


フラン「孕ま…っ、わっ、私を…孕ませる…おつもりですか?(やっ、やっぱり私は襲われてしまうのですね…。ハァハァ。)」


 フランは顔が真っ赤だ。もちろん俺はフランに何かするつもりはない。だがもう一押しで諦めさせることが出来るのではないだろうか。仕えるとかどうとか言っていたが好きでもない男と一緒に風呂になど入りたくないだろう。


アキラ「もちろん今のところそんなつもりはない。だが男と女のことだ。何か間違いが起こるかもしれない。引き返すのなら今のうちだ。」


フラン「……わかり…ました。」


 うまく説得できたのかフランは顔を伏せているので表情はわからないが諦めてくれたようだ。


フラン「いつでも孕ませてください。覚悟は出来てます。(アキラ様が望むのならどんなことでも…。)」


 顔を上げたフランは決意を秘めた顔をしている…つもりなのだろう。眠そうな目にしか見えないが…。ってそうじゃない。なんでそうなる。


狐神「アキラ…。自分で説得するなんてそんなにフランが欲しいのかい?」


ミコ「私にはまだ何も手を出してくれないのに…。フランさんの方が好みなの?」


ガウ「が~う~♪が~う~♪」


 ガウだけ泉で石を積んで遊んでいる。賽の河原か?…などと現実逃避している場合ではない。


狐神「ともかくこれでアキラはーれむの四人目は決まりだね。」


アキラ「ちょっと待ってください。俺はそんなつもりで言ったんじゃないんです。」


ミコ「どう聞いても口説いていたと思うのだけれど?」


フラン「不束者ですがよろしくお願いします。(ハーレムだなんて…やっぱり皆さんアキラ様の…ああっ、私もそのうちの一人になるのですね。)」


アキラ「なんでだ?どこら辺がだ?俺がおかしいのか?俺はフランが一緒に風呂に入るのを諦めるように説得していただけだ。」


フラン「…それほど私とは一緒に入りたくないんですか?」


 三白眼で睨んでいるが目には涙が貯まっている。こういうのはずるいと思うぞ…。


アキラ「そりゃ俺だって健全な思春期男子だから女の子の体に興味がないはずはない…って何を暴露しているんだ俺は。」


 駄目だ。クールな俺が相当テンパっている。まずは落ち着け。深呼吸をする。


アキラ「…入りたいとか入りたくないということじゃない。まずフランの同行を承諾したのはお前が最初に帝国との交渉を見届けると言ったからだ。それはウィッチ種にとっても重要なことだから承諾した。だがそれが終わった後でもお前が危険を冒して、村のことを放棄して俺達に付いてくることまで承諾したつもりはなかった。」


フラン「…。」


アキラ「結局なし崩しでそれは受け入れてしまった形になったが、俺に仕えるとかそういうのは駄目だ。俺達のパーティーはみんな対等な立場だ。強さや種族や加わった順など関係ない。召使や使い魔なら俺は不自由していない。そんなつもりで仕えるなどと言うのならお前の同行許可は取り消す。仕えているから世話をするとか一緒にいるとかそんなつもりならやめろ。」


フラン「…かっ、勘違いしないでください。帝国の交渉を見届けるのはアキラ…さんの言われた通りウィッチ種にとって重要だからです。その後付いていくのは私の魔法の修行のためです。(ああ…私はどうしてこう素直に言えないんでしょう…。本当はアキラ様のお傍に居たいからです。)」


アキラ「………そうか。じゃあもう召使のようなことはやめるんだな?」


フラン「…はい。」


アキラ「じゃあ召使として背中を流すとかもやめて一緒に風呂に入るのは諦めて村に戻って待ってるんだな?」


フラン「いいえ!パーティーメンバーとして皆さんと仲良くなる交流のためにご一緒します。」


狐神「アキラ…いい加減諦めて受け入れなよ。どうせ四人目になるんだから…。」


ミコ「そうですよね…。無駄な足掻きだよアキラ君。」


 最早俺が何を言っても無駄か…。


アキラ「…もう知らん。勝手にしろ。だがフランは別に俺のことが好きなわけじゃないだろう?四人目にはならない。そもそもガウはまだ子供で本人の意思で入っているわけじゃない。師匠が勝手に人数に含んでいるだけだ。ついでに言うと好きでもない男に簡単に裸を見せるような貞操観念の低い女は俺は好きじゃない。」


 パーティーとして馴染もうと努力しているのだとは思うがフランは今まで俺に好意を持っていたことはない。義務感や使命感でやっていたのだ。


ミコ「アキラ君…アキラ君ってそんなに鈍かったんだ…。そういえば私の気持ちにも気づいてなかったんだもんね。フランさん負けちゃだめだよ。」


狐神「ここにいる皆はアキラのことが好きだから問題ないさ。」


 これ以上話をしていても女三人で結託して俺が非難されるだけなのでさっさと逃げ出すことにする。最早全員で風呂に入るのは避けられないし久しぶりにゆっくり風呂に入りたい気持ちは変わらない。


 土魔法で浴槽を作り泉の水を魔法で動かして浴槽に入れる。火魔法とは違う熱を操る熱魔法とでもいうような魔法で水を沸かしてお湯にする。湯の温度や浴槽の広さの違いで三つくらい浴槽を用意しよう。気配察知でわかるので覗きなど近づく前に気づくが一応周囲に土魔法で薄い壁を作っておく。周囲を囲んでいない完全に露天の風呂とある程度壁と屋根のある半屋内型の風呂に分けよう。脱衣所は完全に小屋を作って屋内にしておく。泉から水を取り込める機構と排水関係も整えておこう。


フラン「すごいですね…。」


 テキパキと準備を整えているとフランが声をかけてきた。


狐神「本格的だね。」


フラン「これだけの物をこんな短時間で…。一度で使い捨ててしまうのは惜しいので村の者達もあとで利用できるようになりませんか?」


 フランが三白眼で睨みながら聞いてくる。だんだんわかってきた。これは睨んでいるのではなかったのだ。申し訳なさそうに上目遣いをしているのだ。三白眼で睨んでいる眠そうな目にしか見えないが…。それにきちんと村のことも考えている。伊達に代表だったわけではないということだ。


アキラ「わかった。では後で再利用できるようにしておく。」


フラン「ありがとうございます。」


 そういってフランはぺこりと頭を下げた。


 まず全体の作りを補強しておく。そして魔法がなくとも湯を沸かしたり追い焚き出来る様に罐を作る。洗面所や洗い場も数人が同時に使えるように作っておく。水道がないのでシャワーが使えない。そこで俺は高い位置にお湯用と水用のタンクを二つ作った。魔法を使える者がタンクに魔法で補充すれば蛇口を捻ると上の湯か水が流れてくる。現代人の俺とミコには馴染みのある物だが他の者は使い方がわからないだろうと思って説明もしておく。


フラン「すごいです。これほどの物を作っていただけるとは…。村の者達も喜ぶはずです。」


ミコ「ほんとにすごいね。それもこんな短時間で作ってしまうなんて…。」


アキラ「感心してる場合じゃないぞ。フランとミコも覚えておけ。今後作ってもらう機会もあるかもしれないし魔法の練習にもなるからな。ともかく準備は出来た。早速入るか。」


 今更逃げ出すことも出来ない。覚悟を決める。それに俺だって皆の裸を見たくないわけじゃない。ただ俺自身も危険な気がするから気が引けるだけだ。脱衣所で外套を脱ぐ。


フラン「ああ、やっぱり大お婆様の言っていた通り黒い姿に九本の尻尾…。聞いていた通りの黒き救世主様そのままです。(お美しいです…。私はこれからこの方に抱かれてしまうのですね。)」


 口では感慨深そうに言っているがフランは俺の尻尾をモフモフしている。


アキラ「おいフラン。何故俺の尻尾を触る?」


フラン「あ!ごめんなさい。つい…。」


 ついで触るのか…。横からミコも無言でモフモフしている…。


アキラ「ミコ…。」


ミコ「もうちょっとだけ…。ね?お願い。」


 少しだけ妖力を込めて尻尾を長くする。二人は暫く俺の尻尾を弄り回していた。


 ミコとフランが俺の尻尾を開放してから俺はドレスを脱いで風呂に入ろうとする。


ミコ「アキラ君…やっぱり綺麗。それにその胸…。私より大きい…。キツネさんも綺麗でスタイルがよくて羨ましい…。」


フラン「本当に…美しいです。それにキツネさんもアキラ…さんと一緒なんですね。九本の尻尾が…。(もしかしてあの尻尾で責められてしまうのでしょうか…ああっ、絡みつく多数の尻尾…なんて卑猥な…。んんっ。)」


 ミコとフランは俺達を眺めながら色々と言っている。


アキラ「お前達も入るつもりならさっさと脱げ。」


ミコ「アキラ君のえっち。」


フラン「………。(ついにアキラ様に私の全てを曝け出してしまうのですね。)」


 フランは真っ赤になって固まっている。それになぜ俺がえっちということになるのだろうか。俺は一緒に入るのはやめるように言っていた側だ。お前達が一緒に入ると言ったのだろう…。ともかく俺はもうさっさと風呂に入りたいので二人を脱衣所に残して風呂へ向かう。かけ湯をしてどっぷりと湯に浸かる。


アキラ「ふぅ…。やっぱり風呂はいいものだ。」


ガウ「がうぅ。」


 俺が湯船に浸かるとガウが俺の前に陣取る。いつものことだ。そして後ろからやってきた師匠が俺を抱える。いつも通りの三人並びだ。


狐神「こうやってお風呂に入るのも久しぶりだね。」


アキラ「そうですね。庵の露天温泉が懐かしいです。」


 背中に師匠のメロンの感触がある。まだ庵を旅立ってからそれほど経っていないはずだが本当に懐かしい。


ミコ「あっ!キツネさんずるいです。私もアキラ君と…。」


 ようやく覚悟が出来たのか遅れてミコとフランもやってきた。ミコは思ったより引き締まった体をしている。胸は俺より少し小ぶりな感じだ。フランは少女のような体つきで胸はミコよりさらに小さい。だが綺麗なボディーラインで芸術品のようでもある。


フラン「あまり見つめないでください。(ああっ、アキラ様の野獣のような目が私を食い入るように見つめています。それだけで私はもう…。)」


ミコ「っ!アキラ君のえっち!」


 俺が観察していることに気づいた二人は慌てて手で体を隠そうとする。だがその姿のほうがかえって男心をくすぐるだろう。ミコはここのところ『アキラ君のえっち』しか言ってない気がする。お風呂の好きな某ヒロインのようだ。


狐神「おっぱいの大きさは私、アキラ、ミコ、フラン、ガウの順だね。」


ミコ「うぅ…。」


フラン「大きければ良いというものでもないんです。特に私の情報ではアキラ…さんはあまり大きくない方が好きなのではないかと。」


 どこの情報だそれは…。


狐神「えっ!そうなのかい?アキラ。散々私のおっぱいを弄んだくせに…。」


アキラ「弄んでません。重要なのはどんな胸なのかではなく誰の胸なのかです。」


狐神「そうかい。それじゃアキラは私のだから弄んだんだね。」


アキラ「あくまで既成事実化するつもりですか?弄んでませんからね。」


狐神「それじゃ私がアキラのおっぱいを弄ぶよ。」


 そういって師匠に弄り回された。その後ミコやフランやガウまでもが参加して俺はもみくちゃにされた。体も何人もで代わる代わる洗われてまるで本当にハーレムのようだった。師匠の計画通りなのだろうか…。



  =======



 風呂も終わって部屋へと帰ってくる。俺が風呂を村に譲って開放すると言ったのでフランは村人に風呂のことを知らせていた。マンモンは憎憎しいほど大人しく部屋で待っている。


マンモン「風呂は楽しかったか?」


アキラ「スリッパ。」


 パカンッ


 と良い音がした。空中にスリッパが現れマンモンの頭をはたいたのだ。スリッパとは俺が作り出した魔法で名前の通り魔力で出来たスリッパを出現させて相手の頭をはたく魔法だ。物理的ダメージはほとんどない。


マンモン「………何をする。」


アキラ「うるせぇ…。お前のせいで大変な目に会った。」


マンモン「風呂のことを言い出したのはアキラだろう?」


 確かにその通りだ。口は災いの元だ。


アキラ「もうお嫁にいけない…。」


フラン「その心配には及びません。私がアキラ…さんと夫婦の契りを交わせば良いのです。」


 いつの間にかフランが来ていた。


ミコ「ずるいよ!私だってアキラ君と夫婦になりたいんだから。」


狐神「だから全員アキラはーれむに入っているんだから皆アキラの嫁だろう?」


ガウ「がう。マンモンはお風呂入らないの?」


 ガウだけ何かずれているがいつものことなので気にする必要はない。今日は疲れたのでもう寝ることにする。



  =======



 寝る時もいつもの騒動が起きる。ガウは俺が寝ている上に乗っている。傍から見れば俺はぬいぐるみを抱いて寝ている少女に見えるかもしれない。俺とガウはすでに定位置だ。問題は俺の両隣である。毎晩毎晩寝る時に誰が隣に寝るかで揉める。三人なので一人余るのだ。だが最近は徐々にローテーションが出来てきたのか比較的スムーズに決まる。今日は両隣はミコとフランで師匠は余ったので俺の頭を膝枕している。


 毎晩美女美少女に囲まれて抱き締められて寝ている俺が羨ましいと思う奴もいるかもしれない。しかし俺としてはゆっくり寝られない…。何事も過ぎたるは猶及ばざるが如しなのだ。


 こうして一時の平和は過ぎていった。



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