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転生無双  作者: 平朝臣
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第百四十二話「愛妾達の唇」


 大転門でカムスサへと戻ってきた……、のはいいがこれは………。


イチキシマ「………アキラ様?」


アキラ「ああ…、うん…。ごめん。わざとじゃないんだけど………。」


 俺が出たのはイチキシマが座っている上だった。椅子の上に座っていたイチキシマの膝の上に俺が跨って向かい合って乗っかるような形で現れてしまった。


 イチキシマの頭は完全に俺の胸に埋もれてた。必死に胸から顔を上げて俺の顔を確認した時のイチキシマのきょとんとした顔はちょっと可愛かった。


タキリ「アキラ異母姉様!」


タギツ「あぁ~!何してんの!タギツも入れて!」


 俺とイチキシマが抱き合ってることに気付いた周囲がざわめき、残りの二人が我も我もと抱き付いてくる。


イチキシマ「これがご褒美だったのですねぇ…。」


 何かイチキシマはうっとりした顔になって俺の胸に顔を埋め始めた。ご褒美って何だっけ?何かそんなことを言った気はするけどこんなことをご褒美にする気はまったくなかったんだが……。まぁ本人がこれでいいならいいか………。


 暫く『これが私へのご褒美なんです!』というイチキシマに付き合って好きに抱きつかせてあげることにした。タキリとタギツは二人揃って『ぐぬぬっ!』と言っていたが、イチキシマの邪魔をすることはなかった。


 こいつらは口では色々言うが節度を守り、譲り合って、弁えるべきところはきちんと弁えている。だから他人を押し退けてまで自分が代わりにそこに収まろうとまではしない。ちょっと好感が持てる所だ。


ウズメ「うわぁ!うわぁ!うちもそのうちご主人様にこないにされるん?ひゃぁ~!恥ずかしいわぁ…。」


 あっ…。そう言えば一緒に転移してきた他の者達を放置したままだった…。そろ~りと後ろを振り返ると嫁達の白い視線が突き刺さって……、はいなかった。


 あるぇ~?それどころか何か温かい眼差しで見守ってるみたいになってるぞ?やっぱり異母妹だからか?姉妹がじゃれあってるみたいなもんだと思ってるのか?


ヤタガラス「何故ここに天津神がいる!」


 ようやくヤタガラスがウズメに気付いて戦闘態勢をとる。こいつが何で今までウズメに気付かなかったのか。それは俺とイチキシマが乳繰り合って…、じゃないな。別に乳繰り合ってはいない。抱き合っているのをガン見していたからだ。


 時々イチキシマが俺の胸を触ったり動いたりするのに合わせて形を変えるのを見て軽く鼻血を流していた。この世界では鼻血は出やすいものなのか?地球では漫画等でわかりやすいようにオーバーな表現としてそういう描写はあったが、実際に鼻血を噴く奴はこの世界に来て初めて見た。


ウズメ「いや~ん。ご主人様ぁ~。うち怖いわぁ~。助けて~。」


 全然怖がってない棒読みで俺に後ろから抱き付いてくる。ただ俺に甘えたかっただけだな。ウズメはこうしてふざけているような、軽い感じを装っているが実は違うということを俺は知っている。


 本当は一途で純情で照れ屋だ。恥ずかしがりなので本当ならこうして俺に抱き付いてくるなど出来ない。ただこうして冗談のような振りをして精一杯のスキンシップをしてきているのだ。そういう所が可愛い。


 そもそもミコにどうすれば俺とスキンシップをとれるか相談してこういう風にしてきているわけだが、俺とミコは一体になっているからミコに相談すれば俺に全部筒抜けだ……。


 ついでに言えば仮に魂が一体になっていなくてミコの見聞きしたものが伝わってこないとしても、俺の耳と気配察知で二人が相談している内容など全て聞こえてしまう。


 ミコはそれに気付きながらもウズメにアドバイスしていたようだが、ウズメはそんなことに気付くこともなく必死でミコに相談していた。何か乙女の秘密を覗き見しているみたいで俺の方が後ろ暗い。


 まぁそれはいい。とにかくウズメは敵ではないのでヤタガラスにも伝えなければ面倒になるな。


アキラ「ウズメは俺の愛妾になった。敵じゃないから落ち着け。」


ヤタガラス「はぁ?………え?!愛妾?どういうことですか?何故天津神が!」


 三女神も口々にどういうことかと問い詰めてくる。嘘を付く必要もないし、誤魔化す理由もないので全てありのままに話した。


ヤタガラス「それではそちらのツクツミも愛妾になるのでしょうか?」


 ヤタガラスがちょっと離れてこちらを見ていたツクツミのことも聞いてくる。


アキラ「いや。ツクツミは違う。あっちはあっちで複雑な事情でな。」


 ということでツクツミの話も皆にしておく。天津神のウズメやスパイだったツクツミに対して国津神達はあまり良い感情を持っていなかったり、まだ疑ったりするかと思っていた。


 けどまったくそんなことはなかった。ツクツミには『苦労したんだねぇ。』『皆で子供をきっと取り返そう!』なんて声をかけている。


 ウズメに対しても『アキラ様の素晴らしさがわかるなんて見る目がある!』『これからは一緒に頑張ろう!』『アキラ様の愛妾になったんだったらアキラ様のこと色々教えて!』なんて言ってる。


アキラ「なぁ…。連れて来た俺が言うのも何だけど、こんなに簡単に信用していいのか?こっちに入り込むための嘘かもしれないぞ?」


ヤタガラス「アキラ様が認められたのならば国津神に逆らう者はいません。また仮にこれらが嘘であってもどのような手を使ってこようとも我らが必ずアキラ様をお守りします。」


 ふむ…。俺が言ってるからって全面的に信用されても困るが…。まぁ嘘で何か狙ってても全て阻止する自信があるから好きにやらせているのだと言うのなら俺から何か言うことはない。


タキリ「アキラ異母姉様…。」


イチキシマ「……。」


タギツ「ぶーぶー!」


 三女神がそっと俺の周りに纏わり付いてくる。どうやら自分達を差し置いてウズメを愛妾に加えたことが気に入らないらしい。だけどお前らは異母妹だから…。妹として可愛がることは出来ても女として可愛がるわけにはいかないだろう………?


アキラ「はぁ…。それで今どの辺りだ……。ふむ…。ブレーフェンの近くだな。」


 気持ちを切り替えようと俺はカムスサの現在地を確認する。ブレーフェンの沖50kmほどというところか。


 ……って、あっ!このままブレーフェンに突っ込んだらやばくね?いや…、被害はないと思うけどね?だけどブレーフェンにいるはずのフリードのガレオン艦隊とぶつかるんじゃないか?


 ガレオン艦隊に積んでいる大魔砲程度じゃカムスサに傷一つ付けられないとは思うが、一応は味方同士なのに無駄に弾薬を消耗させることもないだろう。


アキラ「このままじゃガルハラ帝国の艦隊とぶつかる。攻撃されてもこちらに被害はないと思うが味方同士で同士討ちになりそうだとわかっているのに指を咥えて見ていることもないだろう。というわけで俺は一足先にブレーフェンに行ってこちらを攻撃しないように言ってこようと思う。」


 ウズメとツクツミの件も落ち着いてきたので俺は作戦指揮所にいる者達に説明する。


玉藻「そうだね。ガルハラ帝国なんて何の足しにもならないだろうけど、一応はこの戦争に参加してる同盟国だしねぇ。」


 その通りだけどそう言うと身も蓋もないな…。


ヤタガラス「今度こそアキラ様に先頭を行かせるわけにはいきません。俺が行って交渉してきましょう。」


アキラ「お前ブレーフェンに行っても誰とも顔が通ってないだろ?俺はこれでもフリードを通じてガルハラ帝国の高官達やブレーフェンの地方官達にも顔が通ってる。お前が行っても不審者として門前払いだ。俺が行く。」


 もっと根本で言えば今の俺に心配など無用なのだが、それを差し引いても顔と名前の通っている者がいかなければこの戦時に不審者が訪ねて行っても門前払いだろう。


アキラ「というわけで、誰もまともな意見はないようだから俺が行ってくる。タマとミィはどうする?故郷だしブレーフェンに残るか?」


 俺達の傍の方が安全だとは思うが、ただ安全な場所に保護すれば良いということではない。俺達が一生タマとミィの面倒を見るのならばそれでもいいだろう。


 だがそうじゃない。今は成り行きで一緒に行動することになったが、タマとミィはこれから自分達の力で生きていかなければならない。だから自分の行動を決めるのは自分自身だ。


 仲間や顔見知りとして多少の手助けはするが、二人は自分で決めて自分の力で生きていかなければならない。


タマ「ううん。俺皇太子様と師匠のところに行く!だから一緒に行かせて!」


ミィ「えっとぉ…。タマちゃんと一緒にいるぅ~!」


アキラ「………そうか。それじゃブレーフェンには俺一人で行くか。」


 今回は別に敵地のど真ん中ではないので俺一人で十分だろう。というわけで俺は一人でブレーフェンへと転移したのだった。



  =======



 俺がブレーフェンに着くとすぐに大歓迎された。やはり俺の顔を知っている者が大勢いたからだ。それからどうもデルリン周辺の部隊と合流したフリードがあちこちに伝令を出しているらしい。


 当然フリードにとって重要拠点であるブレーフェンにも伝令はきており、俺に全面的に協力するようにフリードから指示が出ていた。


 そのお陰でこうして無事にガルハラ帝国の部隊とは争いになることなく合流出来たわけだが少しだけ問題もあった。


 それはフリードの指示は全艦隊をデルリン方面へと移動させよというものであるということだ。つまりブレーフェンには艦隊がいなくなる。それはすなわちブレーフェンに残る者にとっては防衛部隊がいなくなるということを意味する。


 そこでまず意見が分かれる。フリードの指示通り艦隊を進めるべきと言う者とブレーフェンの守備部隊を残すべきという者だ。


 そしてブレーフェンの守備兵力に不安があるのならば皆艦隊に乗って行けば良いじゃないかという話になる。だが役人や軍人は全員乗れるが町の住民まで全て乗せることは出来ない。


 ならば住民達は見捨てるのかという話になり、それならばやはり町の防衛に艦隊を置いておくべきという意見が盛り返してくる。そしてそれではフリードの命令に対する命令違反だと言われて皆押し黙る。


 この堂々巡りで一向に結論が出ない。こういう速い対応が重要な時に人間のこの意見調整型会議のようなものは時間の浪費になる。


 ワンマンで全て決めてしまうのも、それが悪手であっても誰も止める者がいないというデメリットはあるが、決断を下すまでに余計な議論は必要なく素早く動けるというメリットがある。


 逆にこのような集団による意思決定では、今のように時間が勝負の時にも無駄に議論して決められないというデメリットがある。こうして時間を浪費している間にますます事態が悪くなることなど日常茶飯事だ。


 ただし意見調整されるために極端に悪い決定をする可能性は低いというメリットもある。また急に指導者が死んでもすぐに代わりが選出されたり、指導者空白のままでも滞りなく政治が進むというメリットもある。


 だが今はこれは害悪でしかない。今も最前線で援軍の到着を待っているであろうフリードが討ち取られては何の意味もない。味方が耐えている間に援軍が到着しなければ各個撃破されるだけだ。


アキラ「このまま指を咥えて見ている間にフリードが討ち取られて国がなくなってもいいのか?ブレーフェンの町と住民も確かに大事だろう。だが一番大事なことが何かを履き違えるなよ。今すべきことは何だ?」


役人達「「「「「………。」」」」」


 俺の意見に全員が押し黙る。ここにいる役人達は無能者でも私利私欲に走る悪人でもない。フリードに仕える有能な部下達だ。ただ純粋に町の住民達の安全と自分達が仕えるフリードの命令の両方を何とか守る方法はないかと考えているのだ。


 だが国がなくなれば町の住民達も無事では済まない。攻められるかどうかもわからない町を守るために今も前線で戦っている味方を見殺しにして国が滅んでは全ては無意味になる。


役人「………フリードリヒ皇太子殿下のご命令通り全艦隊でデルリンへと向かう。異論のある者は?」


役人達「「「「「………。」」」」」


 皆が押し黙る。町の住民達を見捨てることになるかもしれない。苦渋の決断だっただろう。だが今は敵を倒し国を守ることが一番重要だ。俺はこの者達は英断を下したと思う。


 決断すれば後は速かった。さすがはフリードの子飼いの者達だ。あっという間に出港準備を整えた艦隊はカムスサと並んで中央大陸沿岸を北上しデルリン方面へと向かって行ったのだった。



  =======



 さて、無事にブレーフェンの艦隊も合流して出港したわけだが俺はこのままデルリンに向かうのか?それは違うだろう。


 俺の敵は聖教皇国と旧バルチア王国王都パルにいる。デルリンはこの艦隊や海人種達に任せて俺は聖教皇国へと向かおうと思う。


アキラ「というわけだがどうだ?」


ヤタガラス「承諾出来るわけないでしょう!奥方様を迎えに行かれるのは黙認しましたが敵地へは乗り込まないと言われたからです。今回は話が違います。」


 ですよね~。ヤタガラス達が反対することはわかっていた。けど勘違いしてもらっては困るのは何も俺一人で乗り込もうと言っているわけではないということだ。


アキラ「別に一人で突撃しようって言ってるわけじゃないぞ。俺についてこれる奴がいないから誰と行ってもどうせ足手まといにしかならないが、海人種の部隊も連れて行こうと思っている。」


ヤタガラス「さぁ!すぐ向かいましょう!にっくきツクヨミとアマテラスを打ち倒しましょう!」


 おい…。いきなり態度が正反対になったな…。海人種達ではアマテラスとツクヨミの相手は手に余るだろう。この二人クラスの敵があとどれほどいるのかは知らないが、もしそんな奴が出てきたら俺か嫁達しか相手に出来ない。


 だから強敵は俺か嫁達が受け持ち、並の敵は海人種達に任せようと思っている。そんなに大勢で乗り込む気はないがそれなりの精鋭で数が欲しい所だ。


 ちなみに言っておくが俺は海人種の兵士達まで必死に守ったりはしない。わざわざ見殺しにしたり、あえて死ぬようにもっていったりはしないが、だからと言って積極的に誰も死なせないように守るだとかそんなことはしない。


 兵士として従軍するというのならばそれくらいの覚悟は持っていて当たり前だろう。いざとなれば俺は兵士達の安全よりもターゲットを殺すことを優先する。それだけは理解しておくようにと伝えた。


ヤタガラス「アキラ様…。いくらアキラ様と言えどもそれは兵士達への侮辱です。我らは皆戦士です。当然その程度の覚悟など戦士になった時に済ませています。」


アキラ「ああ、それはそうだろうな。だがお前達に死ねと命令する俺はそれを確認しておかなければならない。」


ヤタガラス「アキラ様っ!アキラ様が我らの命に責任を持つ必要などないのですよ!?………ですがそのお心遣い…、感謝致します。」


 ヤタガラスの言葉と同時に作戦指揮所に居た者達全員が俺に跪いた。だからそういうのが困ると言っているわけだが…。


アキラ「とにかく俺はまず聖教皇国に出現した地中都市ゲッカを攻めようと思う。一緒に向かう部隊の選抜は任せる。」


 もう大まかな作戦は伝えてある。俺達が突入した後の周辺の警備や新たな敵が背後から追ってこないように入り口を守る部隊と、突入した先で出てくる敵を抑える部隊を整えておくように指示をしてある。


 俺達は極力そういうことに煩わされずに、恐らく最深部にいるであろうツクヨミのもとまで辿り着くのが目標だ。


 残念ながら俺達とツクヨミの戦いには海人種達はついてこれない。だからそこでは見ているだけで余計な手出しはしないという約束をしている。……破って干渉してくる可能性もあるけどな。


 そこまで疑っていては何も話が進まないのでそこは信じるしかない。もし約束を破って俺達とツクヨミの戦いに割り込んできたらその時考える。


 というわけで後は部隊の選別を三女神とヤタガラスに任せて俺達は一度作戦指揮所を出て休む。これが最後の休憩かもしれないからな。


 まぁ…、すぐに戦争を終わらせるつもりだから戦争が終わってゆっくり休めるようになるのもそう遠くないがな。


 カムスサのいつもの社へと戻ってきた。基本的にはいつもと変わりないメンバーだ。ただ今は親衛隊は居らず代わりに新しく加わったウズメと他に行き場がないからここに来ているツクツミが増えている。


 駄メイドと変態メイドにタマとミィはこのままカムスサに乗ってデルリンへと向かう。ここで一旦お別れだ。


 嫁達と五龍神とムルキベルにウズメとツクツミは俺と一緒に地中都市ゲッカに向かう。各地の戦争もうまくいっているようだし一見順調に見える。


ブリレ「むっふっふ~。あ・る・じ・さ・ま~。」


 ニヤニヤと何か変な笑いをしながらブリレが椅子に座っている俺の足にしな垂れかかってくる。何かあまり良い予感はしないがこのまま無視しておくことも出来ない。


アキラ「………どうした?」


ブリレ「奥方様達としたんだから今度はボクとだよね~?」


 やっぱりか…。そういう色気と雰囲気満々でこんなことをしだしたからそのことだろうとは予想していた。


ハゼリ「主様?次はハゼリとですよね?」


 うっ…。今度は後ろからハゼリがその慎ましい胸を押し付けてくる。クニュクニュと形を変えて気持ち良い……。っておい!こいつ普段はサラシを巻いているはずなのに今は巻いてないだろう!いくら俺でもこれだけ柔らかい感触があったらわかるぞ。


アキラ「おいハゼリ。男達もいるのにサラシを外して肌を見せたんじゃないだろうな?」


 俺以外の男が俺の嫁達や愛妾達の肌を見るなんて許せないぞ。


ハゼリ「もちろん主様以外になど見せておりません。ハゼリは全て主様のものです。」


 うむ…。駄目だな。この誘惑には勝てない。俺は普通に嫁や愛妾達に骨抜きにされている。殷の紂王と同じだと言われても否定出来ない。


 ただし紂王は王妃に誑かされて国を滅ぼしたと言われているが俺の嫁や愛妾達はそんなことはしないので心配はない。


 だが嫁達とですらついさっきしたばかりなのにいきなり愛妾達とそんなことをして良いのだろうか?俺はチラッと嫁達の様子を窺ってみた。


ミコ「どうしたのアキラ君?してあげないの?」


 ふむ。全然怒ってない。気にもしてないように見える。


玉藻「別に愛妾なんだからブリレともハゼリともオルカだってしてもいいんだよ?それよりも早く皆として二周目にして欲しいんだよ。」


 ………なるほど。玉藻が言うにはどうやら嫁達は愛妾達としても気にしないらしい。それよりもローテーションに含まれているからさっさと全員として二周目に入れと催促されているくらいなようだ。


ブリレ「ね?奥方様達の許可もおりたんだからボクとしよ?」


 うっ…。小首を傾げながら笑顔で迫られる。可愛い…。ふらふらとブリレとしそうになったら後ろから引っ張られて止められた。


ハゼリ「序列順です!ハゼリとしてください!」


 どうやらハゼリが自分が先だと主張しているらしい。俺がどちらが先か選ぶと色々揉めそうだと考えていると思わぬ答えが返って来た。


ブリレ「うんいいよ。それじゃハゼリが先にど~ぞ。」


 何とブリレが引き下がったのだ。いつもならハゼリと張り合うのに一体どうしたんだ?


ハゼリ「………そうですか。わかれば良いのです。さぁ主様。ハゼリとしてください。」


 一瞬面食らったハゼリだったがブリレが納得したのだから何も遠慮することはないと前に回って俺に唇を突き出してきた。


 俺はそっとハゼリの肩に手を置いた。それだけでビクリと体を震わせる。緊張でガチガチだ。そのままそっとハゼリの薄い唇に俺の唇を重ねる。


ハゼリ「んっ!」


 するとまたしてもビクリと体を震わせてますます固くなった。だから俺は唇を重ねたままそっとハゼリを抱き寄せる。最初のうちは緊張で体を固くしていたハゼリも次第に蕩けて俺に体を預けてくるようになった。


ハゼリ「んぁ…。主様ぁ~。」


 唇を離すとハゼリがさらに迫ってくる。


オルカ「はい。そこまでで~す。次はわたしとして下さいご主人様!」


 オルカがさっとハゼリの口を後ろから塞ぐ。チラリとブリレの方を見るとまたしても驚きの言葉が出て来た。


ブリレ「オルカも先にしたいなら先でいいよ。」


 ブリレは何か変なものでも食べたのか?ニコニコと機嫌良さそうにハゼリどころかオルカにまで順番を譲ってしまった。


オルカ「ピィ!ブリレさん今夜のご飯は大盛りにしますね!ご主人様!さぁ!してください!孕ませてください!ピィピィ!」


 オルカは異常な興奮状態だ。ちょっと怖いくらいにぐいぐい迫ってくる。


アキラ「キスで子供は出来ないからな?」


オルカ「ピィピィ!それくらい知ってます!さぁ!はやくぅ~!ん~っ!」


 オルカの方から唇を突き出して迫ってきた。って突き出しすぎだ。完全にひょっとこ顔になっている。


アキラ「ほら落ち着け。折角の可愛い顔が台無しだぞ?」


 俺はやんわりオルカの顔を抑えて抱き締める。


オルカ「ひぁぁっ!駄目です!ご主人様のお顔が見れません!ピィピィピィ!!!」


 すると今度は一転オルカは顔を真っ赤にして両手で覆ってイヤイヤと頭を振り出した。どうやら恥ずかしいのを勢いで済ませてしまおうとしていたらしい。


 その勢いを俺に止められたから静かになると途端に恥ずかしさが戻ってきたのだろう。だけどここまできて俺が引き下がるわけがない。そっとオルカの手を握って隠れている顔を覗き込む。


アキラ「ほら。オルカ。」


オルカ「ピィ…。」


 すると観念したのかおずおずと手をどけて目を瞑った。ただの変態女だと思ってたけどこうしてると滅茶苦茶可愛い。我慢出来なくなった俺はそっとオルカと唇を重ねる。


オルカ「ピィ…。ピィ…。」


 ………何かピィピィ啼かれると何かの動物の子供をいじめているみたいな気がしてくる。俺が気にしすぎか?


アキラ「ん…。んん?」


オルカ「ピィ。」


 オルカがピィピィ啼くせいで口と舌が動いてディープキスのように舌を絡めあうようになっている。俺はいいんだけどあまりディープキスしてると周りが我も我もと言い出しそうだから気付かれないうちに唇を離す。


オルカ「ピィ………。」


 俺が唇を離すと腰が抜けたようにオルカが崩れ落ちた。もちろん俺が抱いてたんだから倒れてはいないが完全に体に力が入っていない。


 仕方がないので俺が座っていた椅子に座らせて最後の一人と向き合う。


ブリレ「ふっふっふっ~。何故ボクが最後にしたかというと~……、最後だと次を気にしなくて良いから主様とじっくりゆっくりなが~く出来るからなんだよ!さぁ主様!いっぱいいっぱいしてね!」


アキラ「あぁ…。うん…。そういうことね。確かにそれを言わなければそうだったかもな。でも今聞いたら他の者と差が出来ないように気をつけるから無意味だったぞ?」


ブリレ「えぇ~!…って言うと思った?甘いな~。ボクだってちゃ~んと考えてるよ?例え他の人と一緒にしようと思ってもこの後何の用もなくてボクとの口付けが気持ち良ければ主様も我を忘れて口付けに夢中になっちゃうよね!」


 あぁ…。知られようが何だろうが自分のテクニックで俺を骨抜きにしようと?なるほど。確かにその後に何の予定もない方が没頭しやすいよな。予定があったらそっちに気が行くからな。


 作戦自体は悪くない。だけど問題は本当にブリレが俺を骨抜きに出来るだけのテクニックがあるのかどうかということだ。そしてそれはもうすぐわかる。というわけで俺はそっとブリレを抱き寄せる。


ブリレ「ぁ…。えっと…、その…。」


 んん?あんなに強気だったブリレが抱き寄せただけで真っ赤になってモゴモゴと口ごもり出したぞ?もしかして実はブリレもシャイなんじゃないのか?


アキラ「ブリレ。」


ブリレ「ぁ…、んんっ!」


 ちょっと軽く触れ合うだけのキスをする。それだけでブリレは体を固くして動けない。俺を骨抜きにするんじゃなかったのか?そう思った俺はちょっと舌をブリレの唇にツンツン当てる。


ブリレ「あ…。んんんっ!」


 ちょっとブリレが唇を開いた瞬間俺は舌を差し入れる。するとそれだけでブリレはビクビクと体を震わせた。あっ…。やばい。やりすぎた。軽く達したようだ………。


 まさかブリレがあれほど敏感だったとは………。とにかく何とか愛妾達全員とキスをして目出度く一巡終了した。ブリレがすごい状態になってしまったがそれは見なかったことにする。


ウズメ「うちは?うちはまだ?」


アキラ「ウズメはまだ正式な愛妾じゃないだろ。もっとちゃんとお互いを知り合って愛を育んでからな。」


ウズメ「愛!ひぇ!あかん~!恥ずかしいぃ~!」


 ウズメは何もしていないのに真っ赤になって両手で顔を覆って蹲った。


 さぁ…、これで最終決戦までにしておくことは全てしたな。後は敵地に乗り込むだけだ。休憩と準備を終えた俺達は作戦指揮所へと戻っていったのだった。



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