表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生無双  作者: 平朝臣
164/225

第百四十話「どんどん回収」


 西大陸に転移して出ると何か皆てんやわんやな状況になっていた。


ティア「あぁ~!わたくし達は一体どうすれば良いのでしょう!」


 ティアは頭を抱えて右に左に飛び回っている。いつも以上に落ち着きがない。


シルヴェストル「むぅ…。先ずは精霊族の残った戦力を結集して……。いや…、しかし………。」


 シルヴェストルは一人瞑想でもしているのか空中で胡坐をかいて眼を瞑ってブツブツと言っている。


エアリエル「はい。ポイニクス様あ~ん。」


 エアリエルは何故かポイニクスにべったりだ。どこから出したのか小さいケーキをあ~んしている。


ポイニクス「あっ!ママ!ママ~~!!!」


 ポイニクスはすぐに俺に気付いて抱き付いてくる。………と思ったら俺達の前でうろうろとして中々抱き付いてこない。


アキラ「……どうしたポイニクス?」


ポイニクス「ママが四人もいるぅ~!」


 ………?何だって?四人?ふむ………。ポイニクスは俺と玉藻とミコとフランの前をうろうろして様子を窺っている。


 どうやら俺の力が流れ込んでる嫁達が全員俺だと感じるようだ。見た目が全然違うじゃないかと思うところだが、恐らくポイニクスにとっては見た目で判断しているのではなく神力か精霊族特有の気配感知で相手を確認しているのだろう。


 だから今俺の力が流れ込んで基本的に俺と一体になっている嫁達が全部俺と同じだと感じているのだと思う。


アキラ「これでどうだ?」


 俺は火の精霊王の気配を解放してみる。


ポイニクス「あっ!ママぁ~~!!」


 するとすぐにポイニクスが俺の胸に飛び込んできた。


アキラ「うむうむ。愛い奴じゃ。」


エアリエル「あのぅ…。火の精霊王様。」


 エアリエルがおずおずと俺の前にやってきた。何を言いたいのか大体分かってるが一応エアリエルの言葉を待つ。


アキラ「どうした?」


エアリエル「あの…。………私の火の精霊王様への愛は変わっておりませんが、ポイニクス様のことも愛してしまいました!どうか私とポイニクス様の結婚を認めてください!」


 勢い良く一気に捲くし立てるとガバッと頭を下げた。予想通りの話だ。いくらかはティアとシルヴェストルを通して見ていたからな。


アキラ「ポイニクスとエアリエルが望んでいるのなら好きにすればいい。俺は止めない。ただ無理やりや納得してないのにというのなら駄目だぞ。二人でよく話し合ってきちんと合意してからにしろよ。」


 二人が愛し合っているというのなら俺が何か言うことじゃない。親として子供の幸せを願うくらいだ。


 だが恐らくだがポイニクスはそういうことをまだ良くわかっていないだろう。ポイニクスが良くわかっていないのをいいことに丸め込んで無理やり結ばれようというのなら止める。


 だからもし本当にエアリエルがポイニクスを愛しているというのなら、まずそれを理解させて説得し自分のことを愛してもらうところからやるべきだろう。


 その上で両者が愛し合ったのならばもちろん俺は二人を祝う。


エアリエル「はい!ありがとうございます!」


アキラ「うむ。前途多難だとは思うが頑張れよ。」


 俺は今のポイニクスに愛だの恋だのを理解させるのは中々難しいと思っている。それでもそれにめげずに頑張ってポイニクスを射止めたいと言うのなら俺は応援しておくよ。手は貸さないけど。


ティア「え?アキラ様?……アキラ様っ!!!」


シルヴェストル「むっ!アキラ!」


 自分の世界にトリップしていた二人もポイニクスとエアリエルの騒ぎを聞いてようやく俺に気付いたようだ。二人して俺に向かって飛び込んでくる。


ティア「アキラ様ぁ!アキラ様ぁぁぁ!!」


アキラ「よしよし。泣くなよ。」


ティア「だってだってぇ!お母様も水の精霊神様も火の精霊神様もぉ!」


 どうやらウンディーネが死んだことがショックらしい。それはそうか。俺だって過去の映像で九尾の女神とスサノオが死んだ場面を見た時はそれなりに辛かった。


 もう過去に死んでるとわかってる者を映像で見ただけでもそうだったのだから、目の前で生きていた母親が死ぬ所を見れば相当ショックだろう。


スイ「まったくよね!ウンディーネったら…。さっさと生まれ変わってきなさいよね!」


エン「無茶言うなよ。俺達は偶々だって…。」


ティア「………え?水の精霊神様?火の精霊神様も?」


 スイとエンが話しに割り込んできたことでティアはようやく二人に気付いたようだ。死んだと思ってた二人が今目の前にいることに気付いて理解が追いつかないという顔をしている。


スイ「ひどい目に遭ったわよ!ブレスレットを忘れてるなら忘れてるってちゃんと教えてよね!」


 無茶言うなよ…。いくら仲間でも他人のことまで全て見て管理しているわけじゃない。何か意図や理由があってそうしている可能性もあるのに横から他人が何か言うなんて無理だろ。


ティア「えっと?ごめんなさい?」


 ティアは意味がよくわかっていないがとりあえず謝っておこうという作戦らしい。頭には?マークが浮かんでいるのに反射的に謝っていた。


シルヴェストル「もう生まれてきたのかの?二人揃って?そんな偶然があり得るのかの?」


 シルヴェストルは良い所に気付いた。もちろんそんな都合の良い偶然などあるはずもない。この二人がすぐに、それも俺の目の前に生まれ変わってきたのは俺と繋がっていたからだろう。


 それは魂の繋がりほどはっきりした強い繋がりではない。だが確実に繋がっている。それはこの二人だけじゃない。親衛隊達もそうだ。


 一番強い繋がりなのはもちろん嫁達だ。今ではその魂が一体化しているとすら言える。その前の段階の魂の繋がりでも他の誰よりも強い繋がりだった。愛妾達もここに近いだろう。


 その次がバフォーメや五龍神やムルキベルだろう。こちらも魂の繋がりという点では嫁達と同じだが絆の種類が違う。


 そしてその下がフリードやクロだろう。こいつらは俺との愛情や絆というわけじゃない。ただ単に俺の力と繋がっていて循環しているからというだけだ。決して俺に男色の気があるというわけじゃない。


 最後に親衛隊やシュリやエンやスイ等のような他の仲間ということになる。こいつらとは魂の繋がりのようなものがあるわけではないが、それでも確かに何かが繋がっている。


 俺の予想だがもしかしたらその身に俺の力を大量に受け入れているからそれが擬似的な繋がりになっているのかもしれない。


 ともかくこいつらは紐付きだと言える。だからその紐を辿って俺のもとへ生まれてくる可能性は十分ある。その辺りの説明をさらっとしてみる。


シルヴェストル「なるほどなのじゃ。」


ティア「それではお母様も!」


アキラ「いや…。ウンディーネやノームは俺との繋がりがほとんどない。エンやスイのようにはいかないだろう。」


 まぁ俺が干渉すれば特定の精霊族を生まれさせるなど容易いことではあるがそれを言う必要はない。それは摂理に反する。俺達の都合だけで摂理を曲げるような真似をする気もさせる気もない。


ティア「そうですか………。」


 ティアは明らかに落胆している。いや、その目にはうっすら涙を浮かべている。


ティア「………お母様がまた生まれてこられるまで待っています。」


 ………顔を上げてはっきりとそう言い切ったけどその顔は明らかに無理をしている。


アキラ「ティアおいで。」


ティア「?」


 俺が手招きするとフラフラとティアが目の前まで飛んできた。そっと手を伸ばすとこちらから干渉してティアを人間サイズへと変化させる。


ティア「えぇ!どうして急に体が!」


アキラ「今の俺とティアは一体だからな。こちらから干渉してティアの力を引き出すくらいわけない。」


 本当は今の俺の力があれば繋がりなど関係なく相手に干渉することなど容易いがそれも言う必要はない。魂が一体になっているお陰で楽に干渉出来るのは事実だし、そう思っておく方が嫁達が喜んでくれるのだからそういうことにしておけばいい。


アキラ「ティア。今は無理しなくても泣きたければ泣けばいいんだぞ。」


 人間サイズになったティアの頭を俺の胸に抱き寄せる。


ティア「わたくしは………。………うぅっ。ぐすん…。うわぁ~ん!」


 最初は遠慮したのか泣かないように我慢しようと思ったのか耐えていたが、とうとう耐え切れずに声を上げて泣き始めた。俺はティアが泣き止むまでそっとその頭を撫で続けたのだった。



  =======



 泣き止んだティアが顔を上げる。


ティア「アキラ様!他のお嫁さん達とキッスをしたのはわかっていますよ!わたくしともしてください!」


 泣き止んだティアはそう言って唇を突き出して目を閉じた。ちょっと無理してるんだろう。空元気だと思うがそれでも頑張って乗り越えようとしているティアを応援してあげたい。俺はそっとティアと唇を重ねた。


ティア「ん!」


アキラ「………。」


 軽く唇を重ねて少しだけじっとしておく。暫くそうしてから唇を離した。一部の嫁達みたいにディープなキスはしない。


ティア「………。」


アキラ「ティア?」


ティア「………。」


 駄目だこりゃ。赤い顔で半眼を開けてうっすら口を開けたまま惚けている。どうやら軽く唇を重ねるだけのキスでもティアには刺激が強すぎたらしい。


シルヴェストル「次はわしなのじゃ!」


 ティアと少し離れるとその間にシルヴェストルが飛び込んできた。そのままキスしようとしてくるからちょっと止める。


アキラ「慌てるなよ。初めてのキスなんだから落ち着いてしよう。」


シルヴェストル「むぅ……。」


 完全に惚けているティアから離れてシルヴェストルと向かい合う。シルヴェストルは早く早くと言わんばかりにソワソワしている。


アキラ「シルヴェストルもティアみたいに大きくなるか?」


シルヴェストル「何じゃと!そのようなことが?」


 出来るだろうな。試していないがそれくらいなら簡単だと思う。もちろんティアの場合は自分の能力の一つとして本当に本体が大きくなれる。


 俺がシルヴェストルにするのは俺の力で仮初の肉体を大きくするだけだ。それでもいいのなら簡単に出来る。


アキラ「ただ俺が干渉した仮初の肉体で俺とキスしたとして、それが果たして本当に俺とシルヴェストルがキスしたことになるのかどうかは判断が分かれる所だろう。どうする?仮初の肉体でも俺と同じ大きさになってじっくりキスするか。それとも大きさは合わなくても本当に自分の本体のままキスするか。シルヴェストルの望む方でいいぞ。」


シルヴェストル「うむむっ…。アキラと同じ大きさでじっくりしたいのは確かなのじゃ。じゃが初めての時は本体でしたいのじゃ!」


アキラ「そうか。それじゃこのままでいいな。」


 俺もシルヴェストルの気持ちがわかる。俺の力で作られた体とキスしても何か自分一人でしてるみたいで空しい。


シルヴェストル「えっと…。体の大きさが合わない分愛を囁いてキッスして欲しいのじゃ!」


アキラ「わかった。………シルヴェストル。種族が違おうとも、体の大きさが合わなくとも、性別がなかろうとも、俺はこれからも永遠にシルヴェストルを愛し続けるぞ。」


シルヴェストル「アキラぁ~…。んん。」


 そっとシルヴェストルと触れ合う。俺の唇に少し触れているだけだがそれでもシルヴェストルにとっては十分なのだろう。暫く触れ合っただけで離れたシルヴェストルの顔は満足気だった。


シルヴェストル「ありがとうなのじゃ。これでわしは満足なのじゃ。」


 本当にふにゃふにゃになってるシルヴェストルはそう言った。その言葉は本心なのだろう。だがその可愛い姿に俺の方が我慢出来なくなりそうだ。


エアリエル「うわぁ!」


ウズメ「うわぁ!」


 エアリエルとウズメが同じポーズで同じ台詞を口にする。こいつらを気にしていたら時間がいくらあっても足りないのでスルーしておこう。


アキラ「おいイフリル。」


イフリル「はっ!お呼びでございましょうか?女王陛下。」


 俺が何もない空間に呼びかけるとイフリルが出て来た。もちろんまだ西大陸は精霊族の空間移動は封じられたままだ。だがイフリルは現れることが出来た。その理由を俺はもう知っている。


 過去の映像を観ていた時にイフリルの最後はスサノオに空力を注がれて昇天していた。つまりイフリルも純粋な精霊族ではなく空力が混ざっている状態だ。だから空間移動は出来なくても空間転移で移動することが出来る。


アキラ「ポイニクスとイフリルは力を合わせて西大陸を守れ。」


エアリエル「火の精霊王様。ポイニクス様を見捨てられるのですか!?私達だけでは戦いようもありません。」


 俺の言葉を遮ってエアリエルが俺の前をうろうろと飛び回る。エアリエルはもっと落ち着きがあったはずなのに今ではティアとあまり変わらない気がする。慌てている時は皆こうなるのか、それとも本来エアリエルもこういうタイプだったけど精霊王として落ち着いた振りをしていたのか。


アキラ「まだ話の途中だ。………イフリル。ウゥルカヌスとゴーレム部隊の使用を許可する。」


イフリル「はっ!かしこまりました。」


 ゴーレムを造ったら手違いで強力すぎて普通には使えなかった。だからザラマンデルンの地下に半封印状態で寝かせていたが今こそ使う時だろう。強力なゴーレム達だからこういう時に役に立つ。


アキラ「それからダザーとゴンザ。お前達は西大陸に残って精霊族と協力し敵を撃退しろ。」


ダザー・ゴンザ「「ははっ!」」


 この二人も装備のことを説明したら快く引き受けてくれた。親衛隊二人にあのゴーレムが三百体いれば西大陸は大丈夫だろう。


アキラ「それでは俺達は次に移動するぞ。」


 ティアとシルヴェストルを加えて俺達は次の目的地へと転移したのだった。



  =======



 南大陸へと転移するとすぐ前からガウとキュウがこちらへ向かってきていた。他にもゾロゾロと引き連れているな。


キュウ「え?アキラさん?」


ガウ「がうがう!ご主人なの!」


 ガウが思いっきり飛び掛ってくる。ある程度予想してたから身構えていて助かったが今のガウが遠慮なしに思いっきり飛び込んできたらかなり大変なことになる。


 そもそもガウは前と同じつもりでやっているが、実際にはかなり大きくなっているのだ。子供が抱き付いてくる程度と大人が思いっきりタックルしてくる違いと言えばわかりやすいだろう。


 とは言え身構えていればそれほど大したことでもない。それよりもこうして素直に甘えてくる所は可愛い。


 それにしてもガウは随分変わったな。まず背は嫁達の中で一番大きいし胸も大きい。それなのに腰は折れそうなほど細くお尻は丸い。でもただ細いだけじゃなくうっすら筋肉が見えていてとても健康的だ。


 その見た目だけで言えばエロい。色々悪戯したくなってくる。だけど残念ながら頭の中は子供のままだ。いくら体は大人になっていると言っても中身が子供のガウにやらしいことは出来ない。


ガウ「がうも皆と同じのするの!」


アキラ「え?ちょっ!ガウ…、ん。待…、んんっ。」


 ガウがブチュブチュと俺にキスの雨を降らせる。挨拶程度の軽く触れ合うキスだがとにかく何度も何度も、場合によってはキスする場所も変えて頬にも額にも鼻の頭にも、とにかく顔中にキスの雨を降らせてくる。


キュウ「ああ~~!!何をしているのですかぁ~~!!私も!私も混ぜてください~!」


 こちらも暗黒力のせいでちょっと変になってるキュウが混ざってくる。


キュウ「アキラさぁ~ん。んんっ!アキラさん~~。むちゅ…。」


ガウ「がうがう!」


アキラ「ちょっ…、待…。……んっ!それやめ…、んん…。」


 もう駄目だ。揉みくちゃにされてる………。それにちょっと気持ち良い。キスももちろんだけどキュウと大人状態のガウという俺の嫁の中でもムチムチの体の二人が俺を挟んで両側から体を擦り付けてくるんだ。


 どっちも柔らかいし気持ち良い。天国とかあったらきっとこんな感じだろう。


玉藻「ちょっと!二人ともやりすぎだよ!」


ミコ「アキラ君!」


ウズメ「うわぁ…。うわぁ…。あかん。うちはようついていけへん。」


ツクツミ「ほんとにね………。往来のど真ん中でこんなことするなんてどういう神経してんだか。」


 何か周囲から散々な言われような気がする。


ツクツミ「って、うわっ!ウズメじゃないか!どうしてここに?!」


ウズメ「そういうツクツミこそ何で?何してんの?」


 ふむ…。どうやら向こうの話を纏めておいた方が良さそうだな。


ティーゲ「あぁ~…。ガウ様ぁ~…。」


 それから向こうだ。ティーゲとティーゲが引き連れて来た獣人達が恨めしそうな顔で俺を睨んでいる。そんなにガウが好きか?でもお前ら如きにうちの娘はやれん。


 っていうかもう娘じゃなくなってきてるよな。俺はもう普通にガウを一人の女として意識し始めてるし………。


アキラ「ガウとキュウは一旦ここまで。まずはあっちを収拾するぞ。」


 名残惜しいけど二人を振り切って阿鼻叫喚になっている向こうを何とかしなければならない。


 そこで先ずはツクツミに事情を説明させる。俺はある程度わかっているが他の者は知らないからまずはツクツミがどういう立ち位置なのか教えておく方が良いだろうと思ったのだ。


ウズメ「せやったんか。人質取って言うこと聞かせようやなんてどっちの者かなんて関係なく悪いこっちゃなぁ。ほんならツクツミはうちらを裏切ってこっちへついたんやなくて最初からこっちやってんね。」


 ウズメは物分りが良い。その上至極真っ当だ。そりゃ敵だろうが味方だろうがツクヨミのやり方は許せないことだ。


ツクツミ「別に国津神にもつこうとは思ってなかったけど…。でも当然天津神にもつくつもりはなかったから、今こっちについたからって裏切ったって言われる筋合いはないね。」


 ツクツミも結構歯に衣着せぬタイプみたいだな。けど結構サバサバしてるからあまり嫌味には聞こえない。ちょっと雰囲気は玉藻に似ているだろうか。


 一応言っておくがツクツミとのルートはないぞ。確かに玉藻似の性格をしているが俺は人妻に手を出すような真似はしない。それじゃツクツミが独り身だったら手を出したのかって?それはどうだろうな?何とも言えないがたらればに意味はない。今ツクツミとのルートがない。それだけが全てだ。


ツクツミ「そもそもウズメだってこっちにいるじゃないか。あんた天津神を裏切ったのか?」


ウズメ「えっとぉ…。まぁ裏切ったって言われたら裏切ったようなもんなんやけどなぁ…。でもちゃうねんで?うちは好きな人ができてん。その人の傍におるためにその人の側についただけやねん。裏切ったとか寝返ったとかそんなつもりはないねん。」


 それって結局男を取って仲間を裏切ったって言うんじゃないの?って気はするけど無理に突っ込むこともないだろう。ウズメがそれで自分の罪悪感を薄めているのだとすればそこを突いて悲しませたり怒らせたりする必要はない。


ウズメ「まぁ…、うちは本当はどっちでもよかってんけどな!アマテラス様の方におっただけでほんまはうちどっちが正しいとか間違ってるとかどうでもええねん。」


 ………どうやら罪悪感どうこうとかではないようだ。ウズメはあっけらかんとしている。本当に昔からアマテラスに仕えていたからそのままアマテラスの言うことを聞いていただけとかそんな理由なのだろう。


ツクツミ「ふぅ~ん?私のことをとやかく言わないなら私もどっちでも良いよ。」


ウズメ「ほんならこれで仲直りな!」


 ウズメが手を差し出す。ツクツミは一瞬驚いた顔をして固まったがすぐに笑顔になってウズメの手を握った。どうやらこの世界でも握手は割りと普及しているらしい。


ウズメ「ほんでうちとツクツミとどっちから先に食べる?」


 ウズメがちょっとだけ俺の手を握りながらそんなことを聞いてきた。


アキラ「はぁ…。ツクツミとは何もしないから………。俺は人妻に手を出したりしない。」


ウズメ「そっかぁ………。ん?『ツクツミとは』?『人妻に』?ほんならもしかしてうちは?」


アキラ「ウズメにはそのうち何かするかもな………。」


 自分から迂闊なことを言ってしまったのでもう開き直って本当のことを言う。


ウズメ「………。なっ!何やってぇ!あかん!ご主人様の顔よう見らへん。恥ずかしすぎるぅ!」


 ウズメは真っ赤になってミコの後ろに隠れた。あんな格好してるくせに案外初心な奴なのかもしれない。


ティーゲ「ぐおおぉぉっ!ガウ様の唇がぁぁぁぁ!しかし綺麗な二人の口付けはそれはそれで!しかし!やっぱりガウ様の唇は駄目だ!でもでも前から旦那さんだったし!うおおぉぉ!俺はどうしたらいいんだ!」


 ティーゲと獣人達は未だに頭を抱えてのた打ち回っていた。どうやら俺とガウがキスしたのが相当ショックだったらしい。


 それにしてもこいつら全員ロリコンか?今の姿のガウならば見た目だけは大人に見えるが、こいつらはガウがこの姿になる前から好きだったようだ。


 普段のガウを子供としてじゃなくて異性として好きで性の対象として見ているのなら本物のロリコンと呼んで差し支えないだろう。


 俺?俺は違うよ?俺は小さいガウを性の対象として見たことはないよ?子供として好きで可愛がってたのはあるけどね。


 それと最近は妙に男女のことについて等で大人っぽいことや鋭いことを言って俺を驚かせていたのは確かだ。だから最近のガウに男女の機微がわかる大人っぽさを感じていたのは否定しない。だけどそれがイコール性の対象というわけじゃない。


ガウ「ティーゲうるさいの!」


ティーガ「はっ!申し訳ありませんガウ様!」


 おお!?ガウに注意されると途端に背筋を伸ばしてハキハキと答えた。どうやらガウの前では良い格好をしたいらしい。今更手遅れな気はするけど………。


アキラ「それじゃ今回もソンプーとカンスイに残ってもらって俺達は移動するか。」


ソンプー「アキラ様!アキラ様の愛のお陰でこのソンプー命を長らえることが出来ました!ありがとうございます!」


 愛って何だ?………装備のことか?まぁいいや。面倒臭いから聞かなかったことにしてスルーしておこう。


アキラ「お前達はティーゲ達と連携して大樹の民を落としてこい。大獣神達の始末は確実にな。大樹の民の住民達はどうでもいい。戦闘で殺してしまっても構わないし逃がしてもいい。後で生き残った者達には相応の償いをさせるからお前達の好きにしろ。太刀の獣神はどうする?」


 こいつは俺の部下でも仲間でもない。ただ付いて来ているだけの同行者だ。だからこいつの行動については俺は指示しない。


太刀の獣神「………大樹に行く。」


アキラ「あっ、そう。それじゃまぁ頑張ってな。」


 何を頑張るのかは知らないが………。これでティーゲ達に付いてソンプーとカンスイと太刀の獣神が大樹へと向かうことになった。


 太刀の獣神の狙いがわからないのでソンプーとカンスイに一応注意しておくように言っておく。今まで結構な時間を一緒に旅してきたがこいつは未だに味方とは思えない。


 口数が少ないからとか、俺達の輪に入ってこないからとか、それだけが理由じゃない。明確な理由はないが何か胡散臭い。ただの勘だが俺はそう思ってる。


 一つだけ確実なことがあるとすれば太刀の獣神は俺を性の対象として見ているということくらいかな。それは決して俺の自惚れじゃない。


 こいつは寡黙なくせにキャラはスケベキャラだ。今まで何度も俺の風呂を覗こうとしたり下着を盗もうとしたり色々とやってくれた。これがフェイクで俺に一切興味がないのに何かを誤魔化すためにやっていたのだとすれば大したものだ。


 何しろ今でも俺の胸をガン見しているからな。この熱い視線まで偽物だったら本当に大したものだ。もしこれが全てフェイクだったら俺は素直に太刀の獣神の演技力を賞賛するだろう。演技だったらな………。


 あれ?そういや寡黙なスケベキャラってもう一人居たよな………。うん…。サバロも相変わらず遠慮の欠片もなく俺をガン見している。いや、俺じゃなくて俺の胸か?まったく………。


アキラ「それじゃ次に移動するぞ。転移する者は集まれ。」


 全員が集まったのを確認して次の目的地へと空間転移する。さぁ、そろそろ終わりが見えてきたようだな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ