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転生無双  作者: 平朝臣
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第百三十九話「嫁回収」


 元々近い位置に移動したんだからあり得ないということはなかったけどすぐ後ろに玉藻達がいた。


アキラ「玉mっ!!!」


玉藻「アキラぁぁぁ~~~!!!」


 俺が声をかけようと思ったら玉藻が飛び掛ってきた。


アキラ「うぐっ……。」


 内臓が口から飛び出るかと思った。第一階位を超えそうなほどに力を増している玉藻が思いっきり力を加減せずにタックルしてくるんだ。一体どれほどの威力かわかるだろう。


 もちろん俺が全力を出していれば第一階位なんて大した力じゃないが、俺だって普段から常時気を張ってるわけじゃない。周囲にも影響を与えてしまうから普段は力を抑えている。


 そんな状況で玉藻の全力タックルだ。そりゃどれほどの衝撃を受けるかわかると思う。


玉藻「アキラっ!アキラぁ~~!!よかったよぉ~。」


アキラ「え?玉藻?泣いてるのか?」


 俺にタックルしたまま抱き付いてる玉藻の声が震えてる。体も小刻みに震えてるし嗚咽が混じってる。


玉藻「泣いてなんかいないんだからね!」


アキラ「ああ…、うん…。そうだね………。」


 明らかに泣いてるのにそこまで言い切られたらもうそう答えるしかない。


 俺はそっと玉藻の顔に手を添えて俺の方を向かせる。


玉藻「え?アキラ?」


アキラ「ごめんね玉藻。心配かけた。愛してるよ。」


 そう言って俺はそっと玉藻の唇に自分の唇を重ねた。


玉藻「んっ!んんっ!………んぅ。」


 最初は驚いて体を硬くしていた玉藻も次第に俺に体を預けてくる。そのままぎゅっと玉藻を抱く。まだ俺の方が小さいけど前よりも身長差がなくなってるからキスもしやすい。


ミコ「えっ!アキラ君?ってキツネさんと何してるの!?」


 一瞬事態が飲み込めてなかったミコは少し遅れてから驚きの声を上げた。名残惜しいけどそっと玉藻から唇を離す。


玉藻「あん…。アキラぁ。もっとぉ~。」


 玉藻がもっともっとと縋り付いてくるけどいつまでもこうしてるわけにはいかない。


アキラ「また後でね?今は色々やることがある。ミコもおいで。」


 俺は空いた片方の手でミコを手招きする。


ミコ「アキラ君…。アキラくぅ~ん!!!」


 ミコも俺に飛び込んできた。ミコは一応力加減してくれたようだ。玉藻の時よりは勢いも少ないし俺も身構えていたからそれほどの衝撃はなかった。


ミコ「アキラ君!アキラ君!」


 ミコが俺の顔中にキスの雨を降らせる。一瞬口にもしそうになったが目が合うと恥ずかしそうに顔を逸らして大人しくなった。


 どうやら俺からして欲しいらしい。でもミコは前にもしたからな。皆順番にしないと嫁同士が喧嘩になったら大変だ。


アキラ「ミコはもう前にしたからな?次は他の嫁達とした後でな?」


ミコ「うん。わかってるよ。皆同じじゃないと後で喧嘩になったら大変だもんね?………待ってるからね?」


 モジモジしながらそんなこと言われたら俺が我慢出来なくなるじゃないか…。ちくしょう。可愛いなぁ…。


玉藻「アキラぁ~。もっとぉ~。」


アキラ「玉藻は一旦落ち着こうか?」


 玉藻はまだトリップしたままらしい。いきなりキスしたのは刺激が強すぎたかな?玉藻は実は結構初心だからな………。


ミコ「ところでアキラ君。どうしてそんなに大きくなっているの?」


 ようやくそこに突っ込みが入った。普通一目見て明らかにでかくなってるから最初に言う所じゃないのか?


アキラ「成長した。」


ミコ「へぇ~。そうなんだ。」


 おい…。俺の周りは素直な奴ばかりか?もっとこう…。何ていうか…。ボケたんだからツッコミを入れてくれ!


アキラ「冗談はともかく見ての通り大きくなってしまってな。玉藻。俺に合う服がないか?」


ミコ「あっ、冗談だったんだ?」


 おいおい…。神格を得ている俺が成長するわけないだろ…。まぁ実際大きくなってるから成長してるわけだが………。


玉藻「―っ!駄目!今こっち見ちゃだめだよ!」


 あれ?玉藻が顔を隠して向こうを向いてる。何だ?チラッと覗き込んでみる。


玉藻「見ちゃだめだって言っただろ!お願い!見ないで!」


アキラ「あぁ~…。トリップから戻ってきたら急に恥ずかしくなったんだね。よしよし。」


 どうやら玉藻はさっきまでのトリップ状態の自分を冷静に思い出して恥ずかしくなったらしい。俺はそっと抱き寄せて頭を撫でる。


 前までなら身長差のせいでかがんでもらわないと頭を撫でられなかったけど今は何とか届く程度にはなっている。


玉藻「うぅ~~!!!もうアキラの顔が見られないよ………。」


 俺の胸に顔を埋めて呟いてる。そんなに恥ずかしいことだったのかな?


アキラ「そんなに気にすることじゃないよ。さっきの玉藻も可愛かったよ。」


玉藻「ああぁぁ~~!だめ!忘れて!さっきのはなし!」


 その後玉藻が落ち着くまで暫くかかったのだった。



  =======



 かなりの時間を置いてようやく玉藻が落ち着いてきた。これでゆっくり話しが出来そうだ。


アキラ「落ち着いた?それで俺に合う服を何とかして欲しいんだけど?」


玉藻「うん……。一先ず着ておくならアキラのぼっくすの中に入ってる服があるんじゃないかい……。」


 まだちょっと本調子じゃないようだな。ソワソワと落ち着きがないしこっちは見てくれないし話し方も変だ。


アキラ「それじゃ箪笥を出すよ?」


玉藻「あっ!………うん。」


 俺がそっと玉藻の手を握ると一瞬驚いた顔をしてから恥ずかしそうに顔を逸らした。可愛い…。


 それから玉藻が織った服が入ってる箪笥を出す。どこに何が入っているのかは玉藻本人しかわからない。別に特別大きな箪笥でもないし全ての引き出しを開けて調べれば誰でもすぐわかるけど………。


 その中から玉藻が俺の服を見繕ってくれる………。


アキラ「って、待てぇい!それビキニじゃん!そんなの着れない!」


 玉藻が引っ張り出したのは滅茶苦茶布面積の小さいビキニだ。普通のビキニでも着れないのにあんな小さいのなんてもっと着れない。普通に動いただけであれこれポロリしてしまう。


玉藻「え~…。じゃあこれ。」


アキラ「無理!それも無理!」


 次に出してきたのはスリングショットってやつだ。それって最早紐じゃん!っていうかまず水着から離れようよ!何で海やプールでもないのに水着を着てうろつかなきゃならないんだ?昔のビキニアーマーか?


 この後女達皆でああでもないこうでもないと玉藻の箪笥をひっくり返して俺の衣装を選んだのだった。


アキラ「はぁ…。結局このスタイルか。何か懐かしい気がするし慣れてるからいいけど……。」


 結局散々箪笥をひっくり返してようやく決まった服装は黒と白を基調としてフリルをふんだんに使ったドレス。そう。ゴシックアンドロリータ、所謂ゴスロリだ。つまり俺が昔から着てたスタイルとよく似ている。


 もちろんドレス自体は別のものだ。サイズが違うから前のは入らない。玉藻お手製の服はある程度本人に合わせて変化するはずなのに何故か俺にはうまく合うように変化してくれない。何かの力の影響だろうと皆の意見は一致している。


 それでサイズ違いのゴスロリドレスだが正直なところ俺にはあまり違いがわからない。もちろんドレス自体のデザインやフリルの付き方なんかが違う別のドレスだということはわかる。


 だけど黒と白のフリルが付いたドレスだ。ほとんど違わない気がする。白地に黒い文字で英語がプリントしてあるプリントTシャツでプリントしてる文字が違う!とか言ってるのと大差ない気がする。結局どっちも英語のプリントTシャツじゃん、と思ってしまう。


 まっ、この服装自体には慣れてるからそれはいい。それよりも………。


アキラ「おい。何かしれっと混ざってるけどお前は違うだろ。」


 そうだ。玉藻とミコについて一人関係ない奴がしれっと混ざってる。


ウズメ「え?うちのこと?」


アキラ「そう。ウズメ。お前のこと。」


ウズメ「えっ!何でうちの名前知ってるん?」


 そりゃ魂が一体化してる嫁達とある程度の記憶や見聞きしているものを共有してるからな。当然玉藻とミコとウズメの戦いに関して多少は知っている。もちろん完璧に全てを知っているわけじゃないがな。


 それから嫁と俺は共有されていても嫁同士の共有はされていない。つまりミコと俺は共有されてるが、ミコと玉藻は共有されていないということだ。


 ただしこれは抜け道はある。つまりミコと俺が記憶を共有して、ミコから得た記憶を俺が玉藻と共有するという方法を使えば一人の嫁の記憶や見聞きしたものを全員で共有すること自体は可能だ。


 でもそれだとそれぞれの嫁のプライベートまで流れてしまう恐れがあるので、俺が嫁と共有したことを他の嫁に流すようなことは基本的にはしない。敵の情報などのような限定的な記憶だけ流して共有するに留めている。


アキラ「俺に知らないことなどない。」


 本当は前述通り玉藻とミコの記憶を知ってるからだが、ちょっとハッタリで見栄を張ってみる。


ウズメ「ええ!さすがうちのご主人様や!全知全能なんやね!」


アキラ「………はい?何で俺がお前のご主人様なんだ?」


 ちょっと何言ってるか意味がわからないですね~。


ミコ「ウズメもアキラ君のハーレムに入るんだよ。だから可愛がってあげてね。」


玉藻「嫁は駄目だからね。愛妾だからね。」


 ………はい?何で天津神のウズメが俺の愛妾になるんだ?本当に意味がわからない。


玉藻「どうせもうどうしたってアキラの愛妾になるんだから無駄な抵抗はやめて受け入れなよ。」


 俺が何か言う前に玉藻に釘を刺されてしまった。そんな気はしてるから反論は出来ない。ウズメは可愛いしスタイルも良い。巨乳爆乳ってことはないけど日本人らしい慎ましくもバランスの良いスタイルをしている。


 だからウズメ自体は嫌いじゃない。何より一言で言えばエロい。エロかわだ。だけど問題がある。それは俺がビッチは嫌いだってことだ。


アキラ「俺は誰にでも股を開くような奴は嫌いだ。」


ウズメ「せやったら問題ないで!うちはこう見えても未通女おぼこや!口吸いもしたことないペッカペカの新品やで!」


 どやぁっ!と言わんばかりに胸を反らして宣言されてしまった。


アキラ「けどその衣装で裸を見せびらかして生きてきたんだろう?俺はそうやって簡単に肌を晒す女は嫌いだ。」


ウズメ「これはうちの舞台衣装やもん。アマテラス様に言われて着てたんやし仕方ないやん。ご主人様がやめれて言うんやったらやめるで!だからお願いや。うちも囲ってぇ~。」


 ウズメが俺にしなだれかかってくる。………色っぽい。伊達に芸能の神様じゃないな。これが演技だったとしても騙される。


玉藻「アキラ。どうせ無駄だってば。もう諦めなよ。」


アキラ「………愛妾にするかどうかはまだ決まってません。けど仲間として受け入れるのはいいです。その後でお互いに納得すればそういう仲になることもあるでしょう。」


 玉藻が言うようにどうせもう何だかんだでウズメはハーレム入りしそうな気はする。けど手順っていうのは大事だ。だからそれだけは釘を刺しておく。


ミコ「やった!さすがアキラ君だね!よかったね。ウズメ!よかったね!」


 ミコはウズメの手を取ってクルクルと回り始めた。


ウズメ「ああぁぁ~。うんんん。ありがとととな。ミコ。ご主人様もありがとう。」


 ウズメはミコにクルクルと回されながらも必死にそう言った。ちっ…、本当に可愛いじゃねぇか…。こりゃそのうち俺が誑かされるな………。


 こうして俺の服の問題も解決して新しい仲間も加わったのだった。



  =======



 さて…、最初の問題は片付いたからついでに折角来た中央大陸の問題にも手を打っておこう。


アキラ「ケンテンとシンライはこのままフリード達のところへ向かえ。向こうだけでも何とかなるだろうけど危なそうならお前達も手を貸してやれ。」


ケンテン「え?ですが俺達だけじゃ力不足じゃ………。」


 ん?何か俺とこいつらで認識に差がありそうだな。


アキラ「何でお前らだけじゃ力不足なんだ?」


ケンテン「ええ?そりゃぁ…。俺達はウズメとかと戦った時も役立たずでしたし…。」


 ふむ…。どうやらこいつらはまるでわかってなかったようだな。


アキラ「おいケンテン。お前腰にさげてるそれでちょっとあの雲を斬ってみろ。」


 俺はケンテンに空の上を漂う雲を指差してそう命令する。


ケンテン「そんな無茶な…。俺にそんなことできるわけないですよ…。」


 ぶつぶつ言いながらもケンテンはしぶしぶ剣を抜いて構える。あまりやる気のなさそうな感じで軽く剣を振るうと………。


ケンテン「げぇぇ!何っすかこりゃぁ…。」


 ケンテンが振った剣筋上にあった雲は真っ二つに切り裂かれていた。それも別に周囲には何の被害もない。周囲の雲が切られた衝撃で吹っ飛んでなくなったってこともない。狙った場所だけが綺麗に切り裂かれている。


アキラ「お前らに渡した十束剣とつかのつるぎがあれば多少の敵には梃子摺ることもないだろ。」


 俺はケンテンが振るった威力を満足気に見つめながらそう答えた。


ケンテン「はい?………え?これってただの剣じゃなかったんですか?」


アキラ「お前らは俺がお前らにただの剣を渡すような奴だと思ってるのか?その剣はお前らの鎧と同様ヒヒイロカネに俺の神力を大量に流し込んで鍛え上げた一品だ。多少の実力差があってもその剣があれば勝てる。ちなみに誰かに奪われても奪った相手はその剣を使えない。その剣は持ち主を選ぶからな。」


ケンテン「それならそうと早く言ってくださいよ~。アキラ様もお人が悪いなぁ。鎧のことも知らなかったしオオミヤノメの攻撃を受けた時は心臓が止まるかと思いましたぜ。」


 ケンテンとシンライがヘナヘナと腰が抜けたようにその場に崩れ落ちた。どうやら俺が渡した装備のことをわかってなくて苦労したらしい。まぁ俺の知ったことじゃない。自分の装備を確認しない本人達が悪い。


アキラ「その剣と鎧があればお前らでも第一階位の下くらいなら何とか戦えるくらいにはなるだろ。一人じゃ勝てないだろうがすぐに殺されるようなこともない。お前達はこのままフリード達の方へ向かえ。」


ケンテン・シンライ「「ははっ!」」


 うむうむ。どうやら最後は上手く纏まったようだな。こいつらが居れば中央大陸の方も負けることはないだろう。


ウズメ「うちはどないしたらええん?」


 ウズメがちょっと不安そうな顔で俺の袖を掴みながら上目遣いで俺の顔を覗きこんでくる。むぅ…。可愛い………。三女神は異母妹で手出し出来ないからちょっとムラムラが溜まってるからな。こりゃすぐにウズメに手を出してしまいそうだ………。


アキラ「ウズメは俺の愛妾候補なんだろう?当然俺と一緒に来てもらう。」


ミコ「それじゃ私達はどこへ行くのかな?」


 ミコは他の大陸の状況がわからないから次にどうすればいいかわからないのだろう。


アキラ「フランがちょっと困ってるみたいだ。フランの所へ行こう。」


ミコ「うん。アキラ君がそう言うならそれが一番良いんだもんね。」


 …。ミコさん?ちょっと怖いんですけど?またちょっとヤンデレ入ってませんか?ミコにあまり暗黒力を使わせるのは控えた方がいいかもしれない。何かヤンデレっぽくて怖い。


 ともかくこうして俺は玉藻とミコを加えてさらに移動することにした。一緒に行くのは五龍神とムルキベルに駄メイドと変態メイド、それからタマとミィに赤ん坊のスイとエン、そして新たに加わった玉藻とミコとウズメだ。


アキラ「それじゃ皆集まったな?行くぞ?大転門。」


 全員がいるのを確認してから転移する。現れた先はスサノオが作った異空間だ。神が造れる異界とはまた違う。界渡りの秘技を極めれば出来ることであり、俺のボックスに入れた物が収納されている中にも、俺が造ったこのような空間がいくつかある。


フラン「え?え?アキラさん?」


 うん……。どうやらピンポイントでフランの目の前に出たらしい。目の前っていうかもう抱き寄せてるくらいの距離だ。


アキラ「フランよく頑張ったな。ご褒美はここでするか?それとも後で二人っきりの時にするか?」


 もちろんご褒美とはキスだ。それって俺のご褒美なんじゃないの?って思うだろ?そうですが何か?嫁とキスして何が悪い!


フラン「アキラさん!」


アキラ「んっ!」


 おっと不意打ちだ。フランの方から俺に抱き付いてキスしてきた。一番大人しそうなフランが一番積極的とは女の子はわからないものだな。


フラン「ぷはっ。アキラさん!んんっ!アキラさん!むちゅっ。」


 おおぅ…。フランのキスの嵐だ。悪い気はしないけど何だか恥ずかしい気がしてきたぞ。


ウズメ「うわぁ!うわぁ!うちもそのうちご主人様にこないにしてもらうんやねぇ…。」


玉藻「私の時より多く長くないかい?」


 何か後ろから不穏な空気を感じる。あまりフランの唇を楽しんでる場合じゃないようだな。


アキラ「フラン?もういいだろう?続きはあとにしよう?」


 とにかくフランを落ち着かせるために少し顔を離して宥める。


フラン「もう!もう!アキラさんの馬鹿!心配したじゃないですか!それにこんなところで一人で怖かったんですよ!」


 フランがポカポカと俺の胸を叩く。もちろん物理的に痛くはない。だけどフランの思いが伝わって心が痛い。


アキラ「ごめん。もう大丈夫だから。な?」


フラン「うぅ~……。」


 とうとうフランは俺の胸に顔を埋めて泣き出した。暫くフランの背中を撫でながら落ち着くのを待つ。


マンモン「………アキラ…、なのか?」


 マンモンが驚いた顔でこっちを見てる。


アキラ「あ?他に何に見えるってんだ?」


バアルペオル「いやいやいや…。たったこれだけの間に成長しすぎでしょ…。そんなにおっぱいが大きくなってたら普通気付かないって。」


 おい…。バアルペオルは女を胸の大きさだけで判別してるのか?まぁ確かに俺の胸はかなり大きくなっている。前でも十分ロリ巨乳だったが今では師匠より少し小さいくらいだ。もう爆乳の域に達していると言っても過言ではない。


マンモン「………おっぱい?………ぶっ!」


 えぇ…。何だ?マンモンはバアルペオルの言葉を聞いて一瞬俺の胸を凝視したかと思うと鼻血を噴出した。ちょっと尋常じゃない吹き方だ。そのまま失血死するんじゃないかって勢いだぞ。


クロ「アキラ抱っこ!」


アキラ「お前は後回しだ。まずは嫁が先だ。」


 クロが俺のスカートを引っ張るけど無視する。クロよりも先にフランの方が大事だ。


アキラ「変わりなかったかリカ?」


リカ「うぇ!ひゃ、ひゃい!何もありませんでした!」


 俺の突然の振りにリカの声が裏返る。何か疾しいことでもあるんですかねぇ?


アキラ「うんうん。フランにリカのパンツを思いっきり見せたり、手で頬擦りしたり、指を舐めようとしたり、何もなかったよな。」


リカ「すんませんっした!」


 DOGEZAだ。俺の言葉が終わる前に流れるようなフォームで綺麗にジャンピングDOGEZAした。


アキラ「ああ。怒ってないから気にするな。」


リカ「え!?本当ですか!」


アキラ「うん。だけどフランに手を出したら例え親衛隊でも生まれてきた事を後悔させてやるから気をつけておけよ。」


リカ「ひゃっ…、ひゃいっ!!!」


 リカはダラダラと冷や汗を流しながら背筋をピーンと伸ばしている。お仕置きはこれくらいでいいか。これ以上エスカレートして本当にフランに何かしたら宣言通りに生まれてきたことを後悔させてやるが、これだけ言っておけばこれ以上エスカレートはしないだろう。


 ちょっとフランが好きなくらいなら別に俺がとやかく言うことじゃない。ただ無理やりフランに何かしようとすれば許さないだけだ。そこを弁えておけば一切話すな接触するなとは言わない。


フラン「アキラさん。それってやきもちですか?」


 いつの間にか俺の胸から顔を上げていたフランがちょっと期待したような顔でそんなことを聞いてくる。ちくしょう。可愛いなぁ。俺の嫁達って何でこんなに可愛いんだ?


アキラ「ああ。やきもちだぞ。フランは可愛いからな。変な奴が言い寄ってきたらそいつを殺すかもしれない。」


フラン「それではこれからきちんと守ってくださいね?」


アキラ「ああ。もちろん。」


 今では俺の方がフランより大きくなっている。そっと二人で抱き締めあう。あぁフラン。小っちゃくて可愛い。


クロ「アキラ抱っこ!」


アキラ「あぁうるせぇな。折角可愛いフランとイチャイチャしてんのに邪魔するなよ…。」


フラン「黒の魔神さんも大変な思いをして頑張ってくださったんですよ。」


 うっ…。フランに上目遣いでそんなこと言われたら無下には出来ない。


アキラ「はぁ…。ごめんなフラン。ちょっと待っててな。ほらよクロ。」


 俺は断腸の思いでフランから離れてクロの前にしゃがむ。


クロ「アキラ!」


アキラ「うぐっ…。もっと手加減してこいよ……。」


 抱き付いてきた時に膝が思いっきり鳩尾に入ったぞ……。俺に抱かれたらすぐにクロがうつらうつらし始めた。どうやら疲れていたようだ。俺はクロを抱えたまま立ち上がる。


アキラ「さて。それじゃついでだから北大陸も負けないように対処しておくか。」


マンモン「………どういう意味だ?」


 六将軍の三人が間の抜けた顔で俺を見つめてくる。マンモン。鼻血なんとかなったんだな。そのまま死ぬかと思ってたぞ。


アキラ「フランは俺が連れて行く。お前らにはクロとリカを付けてやるよ。この二人がいりゃ北大陸に攻め込んできた天津神程度には負けないから安心しろ。」


 当然そこでリカが自分には荷が重いと言い出し剣を確かめて納得するというどこかで見た光景が繰り返された。


アスモデウス「あぁ。アキラ殿。こんなに立派になられて…。私ともっと親睦を深めましょう?」


アキラ「おい。いくら女でも気安く俺の胸を揉むな。それから立派になったって胸に話しかけるな。」


 まったく。こんな状況でもアスモデウスはアスモデウスらしい。まぁまぁ色っぽくて綺麗な姉ちゃんだけどアスモデウスとどうこうしようという気にはなれない。何が違うんだろうな?


アキラ「とにかく一旦ここから出ようか。」


 またしても全員で集まって転移する。出た先はこの異空間の入り口になっていた森の木の前だ。


アキラ「それじゃクロも預ける。おお。そうだ。アスモデウス。どうしてもっていうならクロに手を出しても良いぞ。」


 俺は抱いていたクロをアスモデウスに預けながらそう言っておく。クロはもう完全に眠っている。暫く起きそうにないから今のうちに六将軍達に預けて俺達はさっさと移動しようと思ってる。


アスモデウス「う~ん?確かに黒の魔神様も良いのですけどぉ…。何でしょう?あまり気が乗らないというか?やっぱりアキラ殿が良いのですわぁ。」


 ……どうやら割りと気に入られているらしい。ただ誰にでも色気を振りまく奴かと思ったけどそうでもないようだ。


バアルペオル「美しいお嬢さん!助かった。それじゃ達者で!」


 俺とアスモデウスの間に体を割り込ませたバアルペオルがぐいぐいと俺を押す。どうやらさっさと立ち去って欲しいらしい。


 実にわかりやすい。このキザ男はアスモデウスが好きらしい。俺とイチャイチャしているのを見るのも嫌だし、このまま俺がその気になってアスモデウスとできてしまったら困ると思って立ち去らせようとしているのだ。


アキラ「それじゃ行こうか。お前達も簡単に負けるなよ。」


 まぁ俺が対処してるからもう大ヴァーラント魔帝国自体が負けることはないと思うが、強敵が出てくれば個人的にはまだまだ負ける可能性があるからな。


 こうしてフランを加えた俺達は次の目的地に向かって転移したのだった。



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