1章2話世界
どういうことだ。俺はそんなに欲張りに見えるのか?
「うん。そう見えるね。」
おい、人の心読むんじゃないぞ。
「読めるものは仕方ないよ。」
プライベートを考えてくれ…
「ごめんわかったよ。」
「てか、神様さ名前教えてくれないか?」
「僕ら神様には名前がないんだよ。勝手に呼ばれることはあるけどね。」
神様に顔が少し暗くなった。
「クリットだ。」
神様は俺の言っている意味がわかんないと首をかしげる。
「お前の名前はクリットだ。」
「僕の名前をきめてくれたの?」
「神様じゃあ読みづらいからな。」
「ありがとう。」
そこから放たれる笑顔は、まさに男の娘だった。
「さっさと送ってくれ。」
「じゃあ、またね。」
そうして今に至る。
言葉がわかるのは助かる。だけどこれはないだろ。
「ばぶー‼︎(なんて日だ)」
俺は今、ハーレムなのだ。普通の男子なら嬉しいだろうが全然嬉しくない。俺の周りにいる女性は全員メイドさん。そう、俺の家は貴族だったみたいだ。
「ばぶばぶばぶばう。(本を読ませろ)」
俺は本が読みたい。てか、魔法を早く覚えたい。
「どうしたのかしら。トイレしたいの?」
だよな。通じる訳がないことくらいわかっている。仕方ない、本があるところに行くしかないか。
「たー。(どこだー)」
メイドの目を盗んで走り出す。しかし、屋敷は大きい…そんな簡単に見つかるはずもなく、メイドに捕まる。毎日、これの繰り返しだ。でも、今日は違った。メイドは追ってくる様子はなく、やっと本のあるところを見つけた。下の方にあった絵本を取って広げる。
《魔法
魔法が存在する前の話。帝国には勇者と呼ばれる少年が居ました。彼は、他人のことをよく考えたくさんの人を助けていました。そんなある日、勇者の元にある手紙が届きました。開けてみると、
『汝、力を欲するか?』
書かれていた言葉に勇者は頷いた。その瞬間、MPが新たに人々の身体に生まれた。これは、神の力であると信じ神を崇めた。》
あー、だからこの世界の神への信仰が前世と比べて高いんだな。確かに、ここでも食べ物を食べるときには、『この世界を生み出してくださった神様に尊敬の念を称していただきます。』って言うからな。やっと、納得がいった。しかし、どういうことだ?ここでの言葉は違うものなのだと思ったんだけどな。
「ばぶー。(気になるな)」
一生懸命考えていたせいで周りの監視を疎かにしてしまったようだ…
「センカ様、本が読みたかったのでですか?読みたい本あったら言ってください。でも、まだ本なんて読める訳ないよね…」