表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第6章】 3日物語(裏)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/392

01 魔女の噂

クリックありがとうございますm(_ _ )m

心に大きな穴が開いてしまったひとりぼっちの桜です。何があったかについては後書きにてw


この章は【第5章】3日物語(表)を読んで頂いてから見た方が面白いと思います。特に今回のお話は【第4章】初陣!三日月峠の戦い「28 下ごしらえ」を読んでからのほうがいいと思うのでぜひw


ではどうぞ、ご覧ください(^^ゞ



 遡ること数日― 時はマリアンヌがダイアル城塞を攻略し、帰路に着こうと馬車に揺られている頃までさかのぼる。



 こんな声が酒場の中で唱えられた。


「おいおい!ほらを吹くにしても言い過ぎだろ」


 ここはプルートの城下町に門を構える酒場『ディーン』。

 主に一般市民や、身分の高くない兵士たちが楽しく飲み食いするいこいの場。

 酒場の外ではマリアンヌの勝利の帰還を祝うパレードの準備を国民たちや身分の低い兵士たちがせっせと準備していた。


 ではなぜ今、酒場の大半を占めている兵士たちは手伝っていないかというと、彼らは大臣直轄の兵士。

 今回のダイアル城塞攻略戦においてはマリアンヌのお目付け役として働いた一団だから。

 大臣の部隊は帰還すぐということもあって休暇中、と言えどもくらいはそう高くなく、爵位を持っている人もいなく給与もそう高くないので、この酒場をよく利用する。


 現在、この酒場で話題になっているのは三日月峠の戦いの顛末てんまつ

 一足早く帰ってきた大臣の部隊、戦闘よりもマリアンヌのお目付け役の為に派遣された部隊だった彼がプルートの大勝利を伝えたことでえらい騒ぎを巻き起こした。


 ほんの数日前、マリアンヌ率いるムンガルの隊が奪還されたダイアル城塞を崩壊させた。

 憎むべき敵国に最前線である重要拠点を奪取され憔悴しょうすい仕切った国民たちが数日後に取り返すどころかダイアル城塞ごとアトラス軍を壊滅させた。

 こんな痛快な話題があろうものか。

 特に、軍に所属している血の気がある人間達には何よりも酒のつまみになる。

 みるみる酒は進み、次々と平らげられる料理の乗る皿。


 海千山千うみせんやませんの猛者たちと国外から揶揄やゆされるプルートの兵士、その者たちの中心にいたのが青年兵士。

 先ほどまでしどろもどろだったのに酒の酔いのせいか、口が回りテンションが上がり声も大きくなる。


「本当なんですって!」

「嘘つけよ」


 ダイアル城塞で急にマリアンヌに話しかけられてパニックにおちいり、それを先輩たちに帰路で馬鹿にされたから、その鬱憤うっぷんが堪っていたのだろう。

 青年兵士は声を張り上げた。


「確かに聞いたんだって! 皇女殿下は死にかけの人間を見ながら”腹が減ったな”って!」

「いやいやいや、それ言ってるのお前だけだろ」

「いっぱいいますよ!」

「誰さ?」


 その時、黙ったままスーと挙げられる手、挙げたのは青年の先輩であった。

 まぁ先輩といっても数年早く兵になった程度なので、マリアンヌなどからしたら大した違いは無いのだが、ここにいる人間達にとってはこの若い青年兵士が言葉を発するよりも信頼度は数倍高かった。

 そしてその手はみなが否定している言葉を否定していた。


 彼は静かに飲んでいた酒瓶を机に置く。


「実は俺も聞いたんだよ…。マリアンヌ皇女殿下は間違いなく死体を見ながら『腹が減った』と口にした」

「本当に?」

「ああ、しかもその後見計らったように俺たちは大臣様への報告のために一足先に帰された。今考えるとあの時のマリアンヌ皇女殿下の言動には違和感があった、まるで報告と護衛を担当していた俺たちには”何か見られたくないことがある”から帰したようにすら思える」


 奇妙な沈黙が訪れた。

 唾を飲み込む酒場の兵士たち。


「えっ、ってことは…本当に人間を?」

「いや、そこまでは分からないけど」


 ただこれだけは言える、そう前置きをして男は言った。


「あの後何が起こったとしても俺たちは見ることは出来なかった」

「ムンガル将軍の部隊は?聞けば分かるだろ」

「聞いて大丈夫か?反逆罪に問われるんじゃ…」

「大丈夫だろ、ちまたで噂になっている魔女の事を聞くんじゃないんだし」

「俺聞いてこようかな?」

「でも口堅いだろ、あそこの部隊は」


 ああでもない、こおでもないと口々に言い合う兵士たち。

 それを見かねたのか、「皆、情けないな!」と、若い兵士は酔いの程よく回った口で豪語した。


「ゴリ押せば何とかなるって!何なら俺がしっかりかっちり聞いてやるよ!マリアンヌ皇女殿下は人喰いなのか?ってね」


 その時だった。


「あんたちいい加減にしときな!」


 恰幅かっぷくのいい女性が手に持つ大量のジョッキを机に少し乱暴に置く。


 彼女はこの酒場の店主、奥の厨房にはひょろい身体付きをした旦那もいるが、見た目の貫禄も女房が実質の店主とかしていた。

 客への注意にしては少々粗暴だが、これぐらいの人間じゃないと色々な人間が集まる酒場でやっていけないのであろう。


「あそこ見てみな」


 小声の女将さんはチラッと視線を上げると、常連客にしか見えないように右手で2階を指差した。

 そして声のトーンを更に落とす。


「今日は上お得意様が来てるんだよ」


 それは常連客にだけ分かる隠語いんご

 ここで言う『上お得意様』とは騎士の中でも上流階級を意味する人間がいるということを意味する。

 本来そういった人間は貴族街にあるもっと豪華な酒場を利用するのだが、しかし、たまに居るのだ、好んで城下町の酒場を利用する人間が。


 城下町にあるいくつものお店では、そういう人間が来た場合に備えて、城下町では上お得意様が納得するような特別な席を用意している。

 この酒場ディーンでなら2階の空間がそれに位置する。


 金の払いもいいし、爵位しゃくいを持っている人間はそうそう問題も起こさない人が多いので、上流階級の人間が来店するのをそこまで嫌がる店はない。

 しかし、それは逆を言うと逆鱗に触れないように皆が気を使っているからに他ならない。


”皇族マリアンヌは人食い”


 もしもそんな人間たちに皇族の悪口と捉えられないこと聞かれたとするなら、その場で首を取られてもおかしくない。

 この国の絶対権力は皇帝、だがそれと同じぐらいの権力を保持する皇族、その1人を人喰いと呼ぶのだ、この場で首を落とされても文句は言えないだろう。

 1人の男が言った。


「一気に酔いが醒めたな」

「ああ、お前も調子乗るのは程ほどにしておけよ。これはここだけの話ってことで」

「え、…はい、でも俺、さっきこの事を、っ!?」


 その時、運悪く座っていた青年兵士の肩にぶつかった人間がいた。

 青年兵士の持っていたグラス、その中に入っていた安酒がその人物にかかる。


 酔っていても先輩にはあまり強くいえない気弱な青年兵士、だが自分よりも身分が下ならば話は別、彼はあごを突き出す。


「おい、気をつけろ。俺達を誰だと思っているんだ、大臣直属の部隊の兵士だぞ。汚ねぇフードぶつけてくんじゃねぇ」

「ああ?今、何て言った?」


 ゆらゆらと揺れるローブを着た集団。

 数にして10人ほど。

 もはや怪しいなんて言葉よりも恐怖を喚起かんきさせる。

 その異様な集団の中で青年兵士にぶつかったのは一際大きなローブの塊だった。


 ドスのきいた声は威圧するようにフードの奥から声を出した。


「悪ぃ、兄ちゃん。聞こえなかった、もういっぺん言ってみな」


 声を聞いただけで硬直する青年兵士。

 そもそも大臣直轄の彼らは、戦闘はそんなに強くない、ケンカになんかなったらまず間違いなく勝てないだろう。


「え、いい、いえ、あの」


 木の床をズカズカときしませながら、どんどんと距離を詰めてくる大きなローブの塊。

 近づいてくるにつれて青年兵士の目が左右に泳ぐ。


 もうダメだ!、そう思った。

 だがその進行は意外な声に止まる。


「止めなさい、ボスに殺されるわよ」


 大きなローブの男に近づいてきたのはそれよりもだいぶ小さいローブの人間。

 その後、一言二言交わす両者。

 そいて大きな舌打ちが酒場に響いた。


「わかったよ」


 フードの奥から睨む眼光を残しながら遠のいていく大きなローブの塊。

 ホッと胸を撫で下ろす青年兵士。


「私の連れがごめんなさいね」


 近づいてくるローブの人物。

 声質から分かることは女であること、あとは良い女であること。

 でもなぜか、その声は背筋を凍りつかせるような恐ろしさも秘めているように思えた。


「これはお詫びですわ。兵士様」


 口元に僅かな微笑を浮かべ、妙に色っぽい口調でそう言うと、女はこれはお詫びと青年兵士の頬にフードに包まれた顔を近づけた。

 フードの奥から香水のかおりが鼻をくすぐる。


「チュッ」


 吐息が兵士の頬を撫でる。


「っ!?」

「うふふ、それじゃあ、さようなら」


 まんざらでもない兵士を横目に出て行く女に店主は近づいて言った。


「あっ!お客さん、これよかったら」


 受け取ったマッチの表紙部分にはDの文字が印字されていた、そして中には銅貨1枚。

 女はフードからかろうじて出ている口の端を上げる。


「ウフフ、ありがとう」


 フードの一段が去った。

 少し静けさを取り戻した酒場。

 扉の外では「クソォがぁ!!!」という、大声が聞こえた。

 まるで魔獣の遠吠えのような声。


 改めて実感する。


「よかったな、俺みたいな戦闘をあまんまりしたことのない人間でもわかるぐらいさっきのやつは強いぞ」


 さっきの出来事でよいもすっかり醒めてしまい、ビクビクと様子をうかがう、いつもの青年に戻った兵士。


「あ、はい」

「そう言えばさっきの話の続きだけど、マリアンヌ皇女殿下が人を喰う、みたいな話、ここ以外ではしてないよな?」


 まさかと思うけど。それぐらい軽い気持ちで問うた先輩兵士であったが、青年兵士はキッパリ言い放った。


「いえ、果物屋のおばちゃんに言っちゃいました」

「お前、ふざけんなよ! あの噂好きのおばちゃんにそんなこと言ったらすぐに城下町中に広まるぞ!いや、ヘタしたらプルート全体広がるかもしれない。 数日後にはマリアンヌ様も帰還される、その時のパレードでもしも、、、もしもその時、人が集まらなかったら…」

「えっ、お、俺のせいですか!?」


 先輩兵士はとうとうと語る。


「当たり前だろ。俺たちは大臣様の部隊だ、戦うよりもパレードの成功のほうが重要だってことぐらい分かれよ」


 他の兵士も続く。


「この後にでも、その果物屋の家に言って口止めをする必要がある。それと町の人たちにパレードにはいつも以上に何が何でも欠席しないように言う必要もある。お前も手伝えよ」

「は、はい」


 しかし遅かった。

 彼らは知らなかったのだ、おばちゃんという生態の噂好きの壮絶さを。。

 彼らはこの後、身をもって知ることになる。

 広がっていく噂。しかも尾ひれと尾びれが付いた状態で…

 そしてそれを大臣の部下達に止めることなど出来ようも無く、パレード当日になってしまったというのは後日談のお話。


「では気を取り直して」

「ああ、そうだな!」


「「マリアンヌ皇女殿下率いるムンガル隊がほぼ無傷でダイアル城塞を攻略した栄誉にカンパー」」


 安酒をなみなみ注いだグラスを掲げてもう一度乾杯の音頭おんどをとろうとした、まさにその時。

 鳴ったのはグラスのぶつかる音では無く。

 代わりに予想外の声が彼らの頭上から降ってきた。


「おい!そこのお前!今の話は本当か!」


 その声は2階から。

 急な呼びかけに身体を強ばらせて視線を向けた先には手すりから乗り出した、モミアゲ 男とその後ろに薄っすらと見える3人の人影であった。



閲覧ありがとうございました。


さぁ、始まりましたね☆1章丸ごと複線回収に当てるというひとりぼっちの桜にとっての挑戦回。

(表)と時間軸を合わせたり、合わせなかったり、もう頭がこんがらがりそうです(笑)

8割の回収を目指すでござるw(・ω<)-☆ ではまた次回♪




このお話、実は2週間ほど前にほとんど出来ていました。

でも最後の完成に至る寸前から全くといっていいほどペンが動かなくなりました…φ(・ω・。*)ピタッ

理由は…ええ、チェンクロVです。


2週間ほど前になるでしょうか、、いつものように私はチェンクロVにアクセスしました。するとゲーム画面の端に黒い背景に白い文字でこう書かれていました。


「サービス終了のお知らせ」


頭が真っ白になりました(* ・.・*)

そこから2週間、ほとんど記憶がありません。(別に証人喚問で偽証罪に問われたくないから言ってるわけじゃないですよw)

悲しかった…それだけです(´;ェ;`)ウゥ


まぁ人数の減少のしかた、アニメが始まってもCMでもVは無視され、コラボはほとんどなく、課金が見込めるキャラをドンドン実装。

さすがの私も何となくこの結果は予想していましたが、、サービス開始から2年半、ずっとログインしてきたので、もう、つらくてつらくて。。。。


というか!何で運営はこんな不吉なお知らせ方法にしたんだ!?

確かにおめでたい話ではないので、虹背景にしろとかは言わないですけど…、それでも真っ黒い背景に白文字って…なんかの呪いか( ゜ロ゜) !?

運営、さんざんユーザーに「無能運営」と言われ続けたから、何かユーザーに言いたいことあるのかな?


サービス終了はきっかり2ヵ月後、その日ひとりぼっちの桜は泣いてしまうかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ