29 3日目 - 午後(12)
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PS4で最初に買ったソフトはPSストア、ダウンロード限定販売の「初音ミク Project DIVA Future TONE」ひとりぼっちの桜です。
すごいですよ!8000円ぐらい金額で入っている曲数が200曲以上!もう…これは初音ミクの決定版だ(ーー;)
ではどうぞご覧くださいませ。
「はい、勝負決まり~」
その巨体を壁に預けたカイルがつまらなそうに言った。
着けられたカラスのお面は少しずれ、隙間からあくびをしているのが見える。
「チッ、あのガキ…。クソ女が倒れた時、四の五の言わずさっさと追撃してりゃ~殺れたかもしんねぇのによ」
自分の直属の上司を敬う事の無いセリフを平気で口にするカイル。
興味なさげなマリアンヌ、少し目を細めるムンガル、その2人の傍らで黒ずくめの2人組み、背の小さい方はお面の奥でその艶やかな声で微笑する。
「それはどうかしら」
「殺れないっていうのか?」
「あのボスよ、追い詰め過ぎればおそらく、、いえ、十中八九、今の状態になっているわ。…そうなったらあなたなら何秒ぐらい持つかしら?」
無言でガンと壁を肘で叩く。
そしてカイルは不機嫌そうに地面にあぐらを掻いて座り込んだ。
「さぁな」
この国の絶対権力者にして自身の主人を前にしてあまりにも舐めた態度、この場にカーナがいたらどんな凄惨な事態になっていたか…。
カーナでなくともこの国の騎士なら目を細めるであろう。
かくいうムンガルもその1人。
こんなふざけた態度を許してもいいのですか?とマリアンヌを見るムンガル、しかし当のマリアンヌは怒るどころかその粗暴を見ようともしない。
そして、フ~、などと諦めがかったような溜め息を吐きながら頭を左右に1回、2回。
「ランよ、お前はそう言うが勝負は最後までどう転ぶか分からぬのだぞ。…我にも未来を確信した時があった、いや~あの時の我は若かったな、勝負が始まる前に勝ったと思ってしまった。でもそう思った矢先に足元をすくわれる、そういう事だな?ムンガル」
「はい、もちろん、真剣勝負というのはそいういうものです」
俯き加減のマリアンヌは更に付け加える。
「うむ!よく言ったムンガル! ということは、、、だな、、、なんというか…もうダメだ!!自分の思い描く未来なんて最初から無理だったのだ!! カーナになんて任せるんじゃなかったぁぁ!!!」
「いえ!ですから最後まで勝負は分からないという意味でして、まだ決まってはいません」
「いいえ、お姫様、カイルの言う通りもう勝負は決まっているわ」
それを聞いたマリアンヌ、自身の頭をパンと叩いた。
そしてそのまま両手で覆い被せるように抱え込む。
「ほらみろムンガル!決まってんじゃん、カーナの負けが決まってんじゃん!てことは我の計画ももう終わりだぁぁ!!どうしてくれるのだ!?」
え!?私のせいですか!? と、慌てるムンガル
ランは「フフフ」と微笑み声を含ませながらフードの奥から言った。
「いいえ、勝つのは100%ボス」
「ほらみろ!ほらみろ!ほらみろ!ムンガル!勝つのはカーナ!…えっ?カーナ!?」
あまりの驚きから肩が跳ね上がり、声が裏返る。
そして、しどろもどろで続ける。
「えっ!?あ、あ、アイツじゃなくて!?」
カーナと対戦している相手の名前を忘れてしまってテラスから震える手で指差すマリアンヌにランは「ええ」と頷いた。
「…ムンガル、カーナ勝つみたいだぞ」
「は、はぁ?そう言われましても…、現在カーナは少し反撃に成功した程度ですので劣勢は変わりないかと」
懐疑的な物言いにランは何も分かっていないのね、と含み笑う。
「断言させていただきますわ。今後あの男の攻撃は1撃たりともボスには当たらない、全て避けられる」
「全て?それは言い過ぎではないかね?このムンガル、君の事は知らないが、下で戦っているラムゼスの良く知っている、全ての攻撃が当たらないというほど動きが遅い男ではないぞ」
「確かに敵であるあの若い男は手ごわい、しかも持っている魔道具も強力」
「ならば全てというのは」
「あの女……もといボスが本気になった、それだけで相手に勝ち目なんてあるわけがないわ」
「例え戦闘能力が上回っていても魔道具はどう考える」
そう言うとランは下を見ろとムンガルを誘導する。
「もう対処しているわ、あの魔道具への対処法を私も私なりに考えてみたけれどまさか目を閉じるなんていう方法は思いつかなかったわ。 目を閉じて五感の1つを自分から捨てて、その他の器官を鋭敏にさせる…、普通思いついてもやらないわね」
「なぜもう目を閉じていないんだ?お前の説明だと、あの魔道具の速度に対応するには目を閉じていないといけないんだろ?」
戦闘に対してほぼ無知だからこそ出たマリアンヌの発言に、先んじて理由が分かったムンガルが説明しようとするとランが先に口を開いた。
「もう覚えたからよ」
「覚えた…だと?何をだ?」
「す・べ・て」
断言する。
「試合が始まってから既に20は経過しているわ、その中であの男は何度もボスに魔道具を見せた。一度見ただけで相手の限界スピード、攻撃の癖を見抜いてしまうボスに対して20分間も…、それはもう愚策としかいいようがないミスよ」
「けっこう当たってではないか」
「それはさっきまのボスは今までにないぐらい雑念だらけの動きだったけれど、今はもういつものボスの目」
「目という意味なら、勝負が始まったすぐの方がカーナの目に力が入っていたように見えたが?な、ムンガル?」
「ええ、そうですな」
2人の会話に深々と被られたフードが左右に振られる。
「いいえ、お姫様、それにそこの殿方、それは普通の人間ならというものよ。でもことカーナという人間に限っては残念ながら逆なのよ」
「逆とな?」
「ボスが一番強いのは感情が無くなった時」
言葉を曇らせるマリアンヌにランはとうとうと語る。
「ボスは簡単に自分の命を捨てれる、だから強い。死ぬかもしれない一線、それを乗り越えるのに感情なんて粗末なものは必要ない」
あまりにも浮世離れした話。
与太話とも思えるそれは、しかし、この女が言うともっともな意見として聞こえてきた。
でもそこは百戦錬磨の猛将ムンガル、横から口を挟む。
「それは自暴自棄ではないのか?経験則から言わせてもらえれば命を捨てて向かって来る相手は確かに手ごわい、だがそれゆえ単調で読みやすい、真に強い強者とは生き残る意志の強い者のことをいうものだとこのムンガルは思うがね」
実感と実績の伴った言葉。
しかし、ランは即座にそれを否定する。
「自暴自棄とは自分の命を捨てたいだけのただ自棄になっただけの愚かな行動、ボスの行動原理とは意味合いが本質的に違うわ」
冷静でやんわりとした声だった。
思わず飲み込みたくなる自然な口調だったが、ムンガルは「理由を聞くまで納得できるか!」と頷く首を無理やり振り払って食い下がる。
「何が違うというのだね?」
「人は誰しも死を恐れる、だから死ぬかもしれない状況に陥った時、それから逃れるように防御や回避行動を取る、あなたが言う単調な行動もこれに類似するわ。でもボスは違う、敵を殺すのに最善だから防御や回避を行う、そこに自分の命という勘定は入っていない」
テラス部分から外を見下ろしながら
「ボスは自分の身体の軽さからくる力の弱さを誰よりも自覚している。だからいつものボスは命を捨てるような一歩でそれを補う、自身が放つ一発一発に命がけの覚悟を乗せる。どんなに弱い人間でも命がけで挑んで来られれば強者は手傷を負う可能性が出てくる、それほど覚悟と言うものは戦闘において強い意味をなす、しかもそれを平然とやるのは弱くは無いボス。これで弱いなんてありえない」
更に付け加える。
「ボスの戦い方に恐れは似合わない、何があったかは分からないけれど、さっきまでのボスはボスじゃなかった。 消極的な攻撃に、必要以上に取る間合い、過剰なまでの敵の攻撃への反応、どれを取っても本来のボスの動きとはかけ離れている…ね?カイル。いつもボコボコにのされているあなたなら人一倍それを感じたでしょう?」
一言多いんだよ、と凄むカイル。
そして言った。
「俺は別人だと今の今まで思ってた」
ええ、私もよと同意するラン、考え事をするように被った仮面の口元に手をやった。
「何か、、、ボスの動きを鈍らせる事があったとしか思えない」
「そんなに違うのか?いつもの動きと」
他意の無いマリアンヌの純粋な質問。
カラスの面の奥、ランは目を細める。
そして「ええ」と頷く。
「”何か”があったのかしら?」
ニコニコした声とは真逆にカラスのお面の下、のランの瞳は「あなたなら知っているでしょ?」と妖しく問いかける。
問いかけられた先にいたのはマリアンヌ。
「何かとは?」
「それはボスの飼い主であるお姫様ならお分かりになるのではないかしら?」
しかし、マリアンヌはポテっとその細い首を傾ける。
「はて?我に聞いておるのなら見当違いだな、まったくもって思い当たる節が無い。ムンガル、お前はどうだ?」
「このムンガルにも全く検討つきませぬ。風邪か何かでは?」
「あいつめ…前日にしっかり休めとあれほど言っておいたのに」
マリアンヌは頭を振りつつ溜め息を吐き出した。
問いかけた質問に対して帰ってきた返答はこちらの真意を気付いていないのか実に曖昧、しかしだからと言って目を逸らしたり誤魔化したりしている風でもない。
その一挙手一投足を焼き付けるように目を見開いたランは仮面の下で呟いた。「その感じだと本当に分からないみたいね」
切り替えるように咳払い
最後にランは仮面の下に隠されている唇を大きく持ち上げて言った。
「ではマリアンヌ様、そちらの殿方もよく見ておくとこね」
そう言って被った大きめのローブの袖の隙間から指差した先、眼下ではまさにカーナがラムゼスに連続でカウンターを叩き込んでいた。
その動きは鋭利で俊敏、まるでランが先ほど言った言葉を体現しているような動きであった。
「ボスの本当に凄い所は人間離れした反応速度でも卓越した戦闘技術でもない、『死』という誰もが恐れる絶対的恐怖を易々と乗り越えてしまう所。 死という概念を捨てた戦い方、それこそが感情を殺して自分の命をゴミのように投げ捨てた化け物、カーナ・マキシマムよ」
閲覧ありがとうございました(*_ _)ペコリ
次回のアップは2月6日にしようと思っています(^_^)
理由は……いえ、この話はよしましょう。
次回でこの章も終わりにするつもりです(なぜなら次は1日で2話アップしようと思っているのでw)
ではまた次回お会いしましょう(T_T)/~~~
チェンクロVがやっと普通にプレイ出来るようになりました(><)
いや~長かったw
そういえば1ヶ月間不具合でどれぐらいのお詫びがくるのか期待したのですが、来たのは精霊石20個だけでした……ええ、皆さんのご想像の通り引退者が増えました。・゜・(ノД`)・゜・。




