02 第二皇女アンジェラ ※挿絵あり
クリックありがとうございます(_ _)
初めて感想をもらったテンションも相まって今回の更新となりました。
この章でアツくなるのはまだちょっと先になりますが、よかったら読んでください(*´ー`*人)
――トントン拍子とは正にこういうことを言うのであろう。
「もちろん我ら騎士団、マリアンヌ皇女殿下の命に従います!」
「うむ、そちたちの忠誠、たしかに受け取ったぞ」
思った以上にことが上手く運んでいった。
正騎士、騎士団は父上の直轄の軍のようなものである以上、我の指示にも簡単には従わぬと思っていたが、我が思っている以上に母上の威光というのは残っているのだと実感させられる。
つまりは易々と我は正騎士、騎兵団を手に入れたことになる。
「我が軍の片翼がすでに出来上がりつつある。我が少し声をかけるだけでなびくとは、皇帝陛下の威光もたいしたこと無いな」
嬉しいときとは鼻歌が自然と出るものだ。
何ならリズミカルに歌ってしまうわ。
中庭に出たところで大きく両手を広げて天を仰ぐ。
すると柔かで暖かい風が身体を通り抜けていった。
「空はこんなにも広かったのだな~空気もうまいし、言うことがない。 あっカラス、、、、不吉な」
前々から思っていたが、この大陸にはカラスはそういなかったはずだが?
というか基本、鷹が多い、まだ魔物のほうが出現率が高いぐらいだ。
にも関わらず我とカラスとの運命とも思えるエンカウント率の高さを考えると、、
もしや
「…呪われているのだろうか?」
首をかしげながら不安を胸に歩くマリアンヌ。
ちょうど中庭を通り抜けたあたりでマリアンヌの屋敷がある方へ歩いていると1人の女性に話しかけられた。
「マリアンヌ様」
「もういっそ除霊士に、ん?ああ~アンジェラ姉さまですか。 何か私に御用ですか?」
興味の対象から外れた石ころを見るようなマリアンヌとは180度違って、第2皇女アンジェラは父譲りの真っ黒な髪を弾ませながらこちらにやってきた。
「少しお話いいかしら?」
断ってもいいかしら?
「大切なお話なの」
それはお前にとってであって、我にとってではないだろ。
「お願い♪」
正直、断ってもよかったが、ここでこいつと話をしなかったことで失う時間と、寝るとき「あの話って何だったんだろ~?」と悶々(もんもん)として眠りに付くのが遅れる事を天秤にかけた結果、仕方ないので話を聞いてやることにした。
「…ええ」
御付きの兵士2人に少し離れていろと目で合図をして、アンジェラに付いていった。
マリアンヌとアンジェラは噴水の前の椅子に腰掛ける。
水滴が水面を打つ音が心地よく波音を奏でる中、マリアンヌは視線を向ける。
「で、なんですか? 少し眠いので話は簡潔にお願いします」
アンジェラはマリアンヌにはまだない大人の色香を振りまくように耳にかかった髪をかきあげた。そして平然と挨拶をするように言った。
「突然なんですけど私の夫の、いえ、私の持っている軍をマリアンヌ様に全て譲渡しようと思っているのです」
眠気が醒めました。
「それはどういう意味ですか?」
「意味?こちらとしてはそのまま受け取って欲しい言葉なんですけど」
うふふ、と子供をあやす母のように微笑むアンジェラ。
普段ならこの上から目線の態度には怒りがこみ上げるところだが、今はそれどころではない。
頭をフル回転させるように目を細める。
「くだらない冗談に付き合うほど、私は度量も暇も持ち合わせておりません」
「冗談でこんなことを言うほど私も落ちぶれてはいないわ」
正気か?
確かに冗談を言っているようには見えないが
「なら耄碌したと言い換えましょう。我に軍を預けるということは対面上、あなたは皇帝争いから降りたということを国に宣言したのと同じことです」
「預けるなんて言ってないわ、全てを譲渡と言ったはず」
「では本当に諦めるのですか?」
「女の私に皇帝は無理」
その言葉に反応するマリアンヌの表情。
けわしさを増していくそれをアンジェラはクスッと笑う。
「なんてね♪」
「はぁ?」
「そんな恐い顔しないで、せっかくの可愛い顔が台無しよ。 うふふ、女だからじゃないわ。正確に言うと私には無理」
「それだけの理由なら他の兄弟でもいいはず、我である必要はない」
「私と夫、いいえ、元々私の家についていた兵たち全てが、マリアンヌ様こそ皇帝陛下に相応しいと思っていた、ただそれだけのことです」
「理由になってませんが」
「女性が皇帝になることを拒む現皇帝陛下に考えを改めさせるだけの知力に度胸、同じ女として憧れている、、、と、いう理由ではどうかしら?」
「何が目的ですか?」
「目的なんてありませんよ」
うそつけ!!
「ただし1つだけお願いが…」
「お願いですか」
マリアンヌは腹の底で笑った。
こちらが今、喉から手が出るほど望んでいるものを提示してからのお願いなど、脅迫と同義ではないか。
だがこちらとしては要望の1つも無かったら不気味で話に乗れないのも事実。
「いいですよ、お聴きしましょう」
「実は」
「ママ~」
遠くから母を呼ぶ声が聞こえた。
そしてトタトタとこちらに近づいてくる足音。
近づいてきたのは見るからに育ちのよさそうな服を着飾った男の子。
男の子はアンジェラの足元に寄って来るなり頼んでもいないのにマリアンヌに向かってまぶしい笑顔を突きつける。
「こんにちは♪」
「あ、ああ」
マリアンヌは「子供は苦手なのだ」と言わんばかりに愛想笑いならぬ愛想返事で返した。
「ねぇ、ママ~あっちにウサギががいたよ」
「ええ、わかったわ。すぐに行くから引っ張らないで。 マリアンヌ様、今日の深夜0時きっかりに私の屋敷に来てください。この話の続きはそこで、見せたい物もありますので。そうだ、カーナも一緒にどうぞ、懐かしい顔に久しぶりに会いたいですわ」
急に出てきた予想もしていなかった人物の名前に小首を傾げるマリアンヌ
「カーナと知り合いだったんですか?」
「昔の顔なじみです。あっ、こら引っ張らないの」
そう言い残し、アンジェラは去っていった。
色々思うこともあったし
一度整理して考えねばならん今後のこともあるのだが
とりあえずは落ち着くためにもこの言葉を叫びたいと思う。
「兎と我で兎のほうが優先度が高いだと!?」
閲覧ありがとうございましたm(__)m
あっ、そう言えばチェインクロニクルVが2部に突入しましたね(^J^)
私はと言うと、相変わらずガチャ運が無いのでプラチケ集めに勤しんでおります(m´・ω・`)m
全力を出すときは「ユギギ」がいいのか「レリアン」がいいのか
それが問題だ(ーー;)