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24 3日目 - 午後(7)

クリックありがとうございます(^^)

今年の紅白にはアニメ枠が無いのを知って愕然としているひとりぼっちの桜ですw


ではどうぞ、今回のお話もお楽しみ下さいませ♪



 ――思い出すのは鼻をくすぐる甘い香りと小雨が土を打つ音。


 ――自分よりも年が5つは若いのに高級な香水を付けた女の子の横顔。


 ――悲しみが支配する空間でその横顔は凛とし、自分のほうが年下な気がした。


 ――震える私の手を握ってくれた小さな手、その手は冷たく、でも震えてはいなかった。



 『なら―お前が私を守れ』



 ――交わされた約束は一方的なもの。


 ――でも。


 ――私はこの人の為に生きようとその時、誓った。





 も言われぬ恐怖はあった。


 死ぬことに恐怖は無い。

 むしろあの方のために死ねるのであれば死すら名誉なことだ。

 恐れていたのはマリアンヌとの繋がりを断たれてしまう事。

 マリアンヌがいない自分の人生に意味は無い。

 それはイコール、マリアンヌという存在がいて初めてカーナ・マキシマムという人間が完成するという意味。


 負けてしまったら…。

 きっと私は…。


 だからそれだけは決して失いたくなかった…。



            ×              ×



 カーナの瞳に色が戻る。


「っ、かはっ!」


 意識が戻ると同時に顔が激痛に歪む。

 目蓋を無理あり持ち上げると視界が擦れて黒い網のようなものがチカチカと点滅する。

 そして喉の奥からは小さなうめき声が漏れ出た。


「ぁぁ、ぁ」


 呼吸が上手く出来ない!?

 喉が締め付けられる!


 いけない、このままだと意識がとぶ!

 耐えろ、耐えるんだ!


「クッ…」


 硬い石畳の上で身体が発するSOSを瞬時に感じ取ったカーナ。

 脳が痛みから逃れるために意識を遮断する寸前でグッと下唇を血が出るほど強く噛んで気を失わないように耐える。

 そして念じる。


 ここで気を失ったらマリアンヌ様の命令を全うできない!



【明後日の御前試合は父上の前であの男を完膚なきまでにのしてやれ】

【明後日の御前試合は父上の前であの男を完膚なきまでにのしてやれ】

【明後日の御前試合は父上の前であの男を完膚なきまでにのしてやれ】

【明後日の御前試合は父上の前であの男を完膚なきまでにのしてやれ】

【明後日の御前試合は父上の前であの男を完膚なきまでにのしてやれ】

【明後日の御前試合は父上の前であの男を完膚なきまでにのしてやれ】



 それは自己に暗示をかけるように。

 頭の中で何度も何度も呪文のように繰り返す。

 言葉を血液にして体中に行き渡らせるように。

 何度も、何度も繰り返す。


「っ!」


 なら、それ以外の未来なんてありえない。

 あってはならないんだ。


 無理矢理にでも息を吸い込む。


「はっ…ぁぁぁぁ」


 何をしている私!

 早く起き上がって敵を倒さないと!


「そ、、、れに…あの、、方に…」


 神に敗北など味あわせるわけにはいかない。

 あの方に。


 勝利を。

 絶対的な勝利を。


「だから、私が負けていいはずが……無い」


 消えかかったロウソクのような声だった。

 でも次に口にした言葉は確かに火の灯った力強い声だった。


「マリアンヌ様を敗北者に、、させてたまるかぁ!」


 カーナは力ずくで意識を留めた。



 平常時のカーナなら避けれていただろう。

 もちろん戦いにおいて、たらればなど存在しない

 しかし判断の遅れがなければこんな無様な結果にはならなった。


 0コンマ数秒の判断の遅れ、その結果が今の情けない姿。

 咄嗟とっさに後ろに飛んで衝撃を和らげる、そんな余裕すら無かった。


 そんな止まることのないifを殴られた腹を苦悶の表情で押さえながら後悔する。


「くぅ、ぬぅぅ」


 カーナは食い縛った歯の間から掠れた声を絞り出しながら、リングの隙間に指をかけてそのまま腕を突き立てる。

 ゆっくりと持ち上がっていく身体、しかし依然として力はうまく入らない。

 肩で大きく息をしながらペタンと座り込む。

 すると徐々にぼんやりとする視界が徐々に鮮明さを取り戻していった。


 視力が薄っすらと取り戻した瞳がふと、先ほどまで倒れていた床を映し出す。

 見えたのは赤い雫。

 おもむろに口元を手の甲で拭う。

 するとそれは血であった。


「私の…血か?」


 そこで初めて心の底から理解した。

 自分が…自分こそがマリアンヌの最強の臣下であると疑わなかった、その自分がダメージを負ってしまったという事実。


「そんな…バカな」


 その認めたくない現実を脳が直視してしまったからこそ発した発言。

 分かっているのに

 でも気が狂いそうになる。


「あは…はは…は」


 引きつった頬で自虐気味に笑うと胸の下辺りがズキズキと痛んだ。

 おそらく肋骨ろっこつ辺りが折れてしまったのだろう。

 そして折れた骨が内臓を傷つけたといった所だろうか。


 しかし、そんなことはどうでもいい。


「コフッ!」


 咳をしたらまた血を吐いた。

 飛沫となってリングの上に散らばる血は自分の髪の色と同じ赤。


「………」


 立ち上がりたくないな。

 胸の奥が焼け焦げて吐きそうだ。

 上を見上げたくない。

 見上げた先にはマリアンヌ様がいる。

 どんな顔をすればいいのか分からない。


 カーナは思う。


「2、3分前に戻りたいです」



閲覧ありがとうございましたm(_ _ )m



もうすぐクリスマスですね……何か去年も同じようなことを言っていたような(笑)

今年はひとりぼっちの桜は鍋パーティをしようと思っています。

ジャパネットでカニも購入済み、後は当日を迎えるだけです(。>∀<。)


え?誰と鍋パーティをするかですって?


1人ですけど…

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