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17 3日目 - 午前(4)

クリックありがとうございますm(_ _ )m

今期のオススメアニメは「ハイキュー」ひとりぼっちの桜です♪

第3シーズン、白鳥沢編、アツい展開の連続でかなり面白い(^^♪皆さんもよかったら是非♪


それではどうぞご覧ください(T_T)/~~~



 後悔先に立たずという言葉をご存知だろうか?

 どれだけ悔やんでも決して時間は撒き戻らないという、運命の女神からの無慈悲な最後通告。

 抗えないのだ、その絶対的な力からは…。


 そして、その言葉を現在進行形でマリアンヌは体感していた。




 左右を大理石で囲まれた部屋

 椅子に座って項垂うなだれるマリアンヌ。


 そわそわ、きょろきょろ、していたのは数十分前までの自分。

 今では悟りを開いたかのような目をしていた。

 まぁこれを悟りとみるか、諦めとみるかは人次第だが。


「まだ、帰ってきませんね」


 ムンガルの言葉にはどこか諦めが含まれていた。


「時間は?」

「…あと10分です」


 それを聞くとマリアンヌは盛大な溜め息を漏らした。

 視線の先、磨き上げられた大理石の床に映っているのは自分。

 マリアンヌは椅子から勢いよく立ち上がった。


「神はわれを見捨てた!!」



             ×             ×



 ――1時間20分前



 昼食として給仕が持ってきたのは大きな骨付きのリブロースであった。

 室内に肉汁と、香草、ワインソースの食欲沸き出させるにおいが充満してテラスの外に抜ける。

 しかしまだトラウマを拭いきれぬマリアンヌにとって、肉特有のにおいは獣臭にしか感じなかった。


「肉か」


 ちょっと嫌だな。

 いや、だいぶ嫌だな。


 すぐに下げさせようとしたマリアンヌに持ってきた給仕の男は言った。


「今回のお食事は皇帝陛下自ら、皇族全員に振舞われるように仰られた一品です。どうぞお召し上がりください」


 ならば仕方ないか…

 マリアンヌはしぶしぶとナイフとフォークを手に取った。


「………」


 その肉は硬く、とても硬かった。

 これ以上力を入れると明日は愉しい筋肉痛だ。と、いうぐらいナイフが通らない。


「カーナ」

「はい」


 カーナに小分けに別けさせ、サイコロサイズになった肉をワインソース漂うソースと共に口へ。


「はむっ、もぐもぐ…もぐもぐ? もぐもぐ……」


 硬い

 硬いぞ


 まず、前提としてこのまま噛み続けるとあごが確実に外れる。

 ってことで吐き出した。


「不味いな、何だこの肉? 今までに食った事の無いような肉だぞ」

「この肉は昨夜闘技場で倒れた魔獣、ヤタの肉になります」

「ヤ、ヤタ?」


 何、その聞きなれない生き物の名前は?という目をするマリアンヌにもう一度、給仕の男はその名を呼んだ。


「はい、ヤタです」

「ヤタですって言われても…」


 またゲテモノのにおいがするな。


「有名…なのか?その、、ヤタとやらは」

「魔獣の中でも指折りの強さを持っていると言われています。 昨夜まで闘技場で戦っていたのは小さな個体でしたがそれでも今までに20名以上の猛者をあの世に送っております」

「旨いのか?その…肉的なアレは」

「凶悪な魔物です」

「ああ」

「その肉は強靭きょうじんで引き締まった筋肉で覆われ芯の部分まで硬く、もしも食べる際は…」


 もしも?


「捌いてすぐに叩いて叩いて叩いて親の仇のように叩いた先に到達する、まさに勝者肉質です」


 全く食欲の沸かない補足説明をどうも。


「不可だな、硬くて喰えたものではない。色々と言いたいことはあるが味も濃すぎる、これを旨い旨いと言って喰ってるやつの気が知れぬわ」

「あの…この料理を皆様に振舞うようにおっしゃったのは、先ほども申したとおり皇帝陛下なのですが。付け加えるように昨夜この味を大層、気に入ったと仰っておられました」

「ああ、、、そう」


 どうやら老人にはこれぐらいの濃さでないと味を認識出来ぬようだ、そうはなりたくないものだ。いつまでも若い自分のままでいたい。


「カイル」

「ん?」

「それ不味い、お前にやる」


 マリアンヌが皿を手渡すと「マジか!」と、その場でお面を外すそうとするカイルにランが「ボスに殺されるわよ」と後ろを向けと手振り。

 面倒くさそうにしながらも皿を手に足の方向を壁に向けるカイル。

 そしてむしゃむしゃと、更に「うめぇ、うめぇ」と皿に乗っていた骨付きのリブロースに手をつけ始めた。


「カーナ今から何か買ってまいれ」

「はい、喜んで」

「お待ちくださいマリアンヌ皇女殿下」

「なんだ、ムンガル?」

「もう試合まで時間がありません。ここでカーナを使いに出すのは止められた方がよいと思います、何ならこのムンガルが行ってまいりましょう」

「お前にわれの好みが分かるのか?」

「こう見えても娘が2人おりますので、年頃の女性の好みは何となく分かります。それに試合観戦時の食べ物といったら最早鉄板とも言えます」


 強固な胸板をドンと叩いて主張する。

 マリアンヌは念のために聞いた。


「ちなみに何を買ってくるつもりだ?」

「焼きスルメです」


 つっこむのすらアホらしい。

 顔の向きを背後の朱色のカーテンへ

 そこにいたのはグロエ、彼は黙って背の高い鉢植えのように動かない。


「グロエとやら、試合開始までどれくらいある?」

「1時間半ほどございます」

「楽勝ではないか。カーナ行ってらっしゃい」


 ひらりと舞うメイドのスカート

 タタン♪と大理石を靴底で叩くような音を立てて、足取り軽くカーナは厚いカーテンから出て行った。


 出て行ったのだ…

 軽快に…

 ほんの1時間20分前の出来事



             ×             ×



 ――残り20分。


 手すりの遥か下方からは「まだか?まだか?」という、もうじき始まる試合に対しての期待に満ちた民衆たちの声がせり上がってくる。

 どこかアリーナ全体も熱を帯びてきている気がする。


 しかしマリアンヌからは熱どころか血の気も引いていっていた。

 上空に見える晴れ空とは異なり、完全に曇り模様の表情でマリアンヌは綺麗に平らげられた皿を見詰める。


「遂に神はわれを見放したか…」


 小腹が減っていたが、不安というストレスが胃袋に入った事で今では食欲すら湧きません。

 過度なストレスを与えると腹は減らない。

 そんな知りたくも無い現実を知っていしまった。


「マリアンヌ様、皇帝陛下を含めた皇族の方々が手すりから下に向かって手を振っておられますよ。 マリアンヌ様もされてはどうでしょう?」

「興味ない。お前が代わりにやってろムンガル」

「えっ!私ですか!? …このムンガルにそのような大役できるかどうか」


 何、まんざらでもないみたいになってんだよ。と胸ぐらを掴む元気はもちろんありません。

 有るのは溜め息、重く長い溜め息だけ。

 そんなマリアンヌを見かねてムンガルは言った。


「何か厄介事に巻き込まれたのでしょうか?」

「たぶん、それはない」


 カーナならどんな厄介事に巻き込まれても自力で突破するだろう。

 それは先の魔道具使いとの戦いでも明らかな戦闘能力を持ってる、それにカーナならわれの命令を優先させる。

 おそらく時間のかかる厄介事に巻き込まれたら逃げる選択を取るだろう。


「もしくは道に迷った」


 これだけ心労を幾重にも重ねた結果がそんなつまらないオチなわけがないであろう。


「神なんかこの世におらぬ、今分かった。いや、われが神みたいなもんだからいるのか、、うん、じゃあいるんだ」


 座った状態で地面を見ながらブツブツ念仏を唱えるマリアンヌ、するとグロエが小走りで戻ってきた。


「今、下で聞いてまいりましたが、相手のラムゼスも遅れているようです」

「神はおったのか!?」


 よかったぁ、と、両手で喜びを表現するマリアンヌの傍ら、ムンガルはグロエに不思議そうに問う。


「ラムゼスも遅れているのか?あの悪ガキは昔から時間にだけは厳しい男だったのに…、理由は?」


 分かりませんと首を横にするグロエ。

 続けて


「ラムゼスだけでなくスレイン、ファルヴィ、クロト、決勝進出した3名とも連絡が取れず下では騒ぎになっていました」

「皇帝陛下にはお伝えしたのか?」

「いいえ、まだ」


 いたく楽しみにしていた皇帝に「選手2人ともいない」などと伝えに行く役目、誰も引き受けたがらないからだろう。

 誰もババ抜きのババは持ちたくない。


 でもそんな粗末な事どうでもいい♪とマリアンヌはご機嫌な表情で手すりから民衆に向けて手を降り始めた。


「喜んでおられるところ申し訳ないのですが、皇女殿下よろしいですか?」

「何だ、ムンガル君♪」

「失礼ながら、相手選手が来ていないだけでなぜそこまで喜ばれているのですか? カーナはまだ帰ってきていないという事に変わりはないんですよ」


 マリアンヌは、バカ♪バカ♪バカ♪、と軽い調子で笑った。

 そして手すりに手を置いたまま顔だけ振り返る。


「相手に少しでも非があったら、こちらの非などだれが認めてやるものか。 われが是可否にでも全責任を相手の負わしてやる」



 ――残り5分


「すいません、帰りが遅れました!」

「マリアンヌ皇女殿下、カーナが今戻りました!」


 よし!と拳を握るマリアンヌ。


「よく戻ったカーナ。色々状況が立て込んでいる、とりあえずお前はすぐに着替えて所定の場所で待機していろ。これで相手が来なかった事を”逃げた”という事にしてこちらはずっと準備して待っていたと言い通せる」

「あの…これクッキー」

「ああ?いらんわ!」

「えぇぇ」

「あまりこのムンガル、小言のようなことは言いたくないが。 カーナよ、マリアンヌ様を心配させるような行動を取るのは感心せんな」


 その発言にピクリと反応するカーナ。


「言い訳はしたくありません、ありませんが」


 振り返るとムンガルの正面に立つ。

 そしてゴツイ顔に目をやると何か言おうとした。しかし直後、何かを思い出したかのように息を呑むと、黙って人差し指をムンガルの視線の先に持って行く。


「今回の事に関してはあなたにだけは言われたくない。でも私がいない間、マリアンヌ様を守っていていたことについて素直に感謝しますムンガル卿。 しかし、しかしですよ!

覚悟はしておいて下さいね、あなたはじき私に対して多大な感謝の言葉を述べなくてはならなくなるので!」


 疑問符を浮かべるムンガル


「ん?それは、どういう」

「いや、もういいですよ」


 カーナはそう言い終わると、メイド服を慣れた手つきで脱ぎ始めた。

 まずは指を引っ掛けるようにして自身の胸辺りにあるリボンをスルスルと外す、するとリボンと連動するように小さめのエプロンが地面に落ちる。

 落ちたエプロンとリボンは部屋の隅っこへポイッ。

 次にふわりと広がるスカートの腰に手をやると一気に下へ。


 カーナの一連の流れるような動きは実に流暢りゅうちょうであった。

 脱ぎづらいメイド服が嘘のようにどんどん脱がれていく。


 ムンガルは目の前で口を半開きになって固まっていた。

 そしてそのままカーナは上着のすそに手をやると、胸元までめくり上げた。

 ムンガルは目を丸くする。


「ちょ!まっ! お前!ここで着替えるのか!?」


 カーナは恥ずかしがる事無く、脱ぎかけた上着裾にてをやったまま無表情でこくんとうなすいた。


「ああ、はい。時間が無いので」


 その実に男らしい回答に、自分の感性がおかしいのか?と一瞬戸惑うムンガル、しかしすぐに首を振る。


「いやいや!年頃の娘だろ!もっと恥じらいみたいな」

「じゃあ、向こう向いていてください」

「ええ!?ええ、ああ、わ、分かった」


 ………


 ……


「準備完了しました」

「ん、じゃあすぐ帰ってくるかもしれないけど、とりあえず行ってらっしゃ~い」

「はい、マリアンヌ様」



閲覧ありがとうございましたm(_ _"m)ペコリ


また改稿しましたよ♪改稿したのは【第1章】 第一皇女 マリアンヌの「05 さぁ、殺し合いを始めましょう」です。

ちなみに改稿し始めて、とんでもないことに気づきましたです。

改稿前、私、小説内で絵文字を入れてやがった(>_<)


まぁ小説にルールとか無いから別にいいけど、それにライトノベルだし、、、でも、流石に1年半前の自分に驚愕ものですよww

よく皆さんここまで我慢して読んでくれましたね^^;ほんと感謝しかないですw

『やったぁぁぁぁ\(^o^)/』っていう文章を見た時に、やったぁちゃうわ!ってツッコミましたよ(笑)

って事で、以前よりだいぶかなり、いい感じに改稿できたと思ったのでよかったら読んでくださいね(^^♪


ではまた次回お会いしましょう(^0_0^)

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