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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第1章】 第一皇女 マリアンヌ
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06 裏話 その後

個人的に私は、映画や小説、アニメ、漫画のその後みたいな裏話が大好きなので私も書いてみることにしました。

て、ことで今回はマリアンヌが「兄弟で殺し合いをしましょう」と言って、部屋を出た後の話になります。

どうぞお楽しみください。


                                  (改稿済み。2016.11/08)



 上機嫌な鼻歌だった。

 両手を後ろに回しながら、軽くステップも織り交ぜたマリアンヌは長い廊下を歩いていた。

 曲名などは特に無く、今、即興そっきょうでマリアンヌが作詞・作曲したものではあるが、聞いているのがすぐ後ろを歩いてくるカーナのみということで、時折聞こえる歌詞部分「馬鹿どもを~騙すのは~いとおかし♪」や「われ以外は~全て木偶人形♪」など、好き勝手酷い内容であった。

 それでも何となく歌っぽくなっていたのはマリアンヌが音程を一切外すことの無いほど上手かったからだろう。


「マリアンヌ様、さすがです!!」


 キラキラとした目で急にカーナはそう言った。


 捨て台詞を吐いて、王の間のドアを出て少ししてから、マリアンヌの即興歌がサビ部分に差し掛かる頃。

 ちょうど自室へと帰る長い廊下の中腹辺り。


「何がだ?」

「あの短期間で臣下を集めていた手腕です!私は、私は」


 上ずった声に、握られた両手、見上げられる信託を待つ瞳。

 マリアンヌは危機感が通り過ぎた表情で


「マジか」


 あっ、思わず口に出てしまった。


 マリアンヌは手で促すようにこまねいて、足早に自室へ戻ってドアを閉めた。


「お前、ずっとわれとおったよな」

「はい」

われは誰かと接触したか?」

「いいえ」

「カーナよ、今の帰る道しがら何か気付かなかったか?」

「いいえ、何も」


 短い沈黙が会話に挟まれた。


「………」


 マリアンヌは沈黙に耐えかねるように言った。


「そろそろ嘘だと気付けよ」

「嘘、だった…のですか?」

「…お、おう。 その期待をしている目を裏切ってごめんな」 

「いいえ、滅相も無い!!私のようなノミ虫にお気を使わないでください!その言葉を頂けただけで、もう生来せいらいに悔いはありません」


 割と軽いな、お前の命


「お前ほどの人間が隠れている人間に気付かないなどありえんだろ、ましてやお前なら外に兵士のような人間を多数配置させているとわれが言った時点で嘘だとわかりそうなものではないのか?」

「ええ、ですから、よほど手練てだれの集団が扉の外や、窓の外にいるのかと」


 何、その解釈?

 もっと自分を信じていこうよ。

 それに窓の外って、あそこ4階だよ。


「そんなこと出来る集団がいるなら今、喉から手が出るほど欲しいものだ」

「私ならマリアンヌ様のために出来ます!」


 話、聞いてた?

 集団、しゅうだん、人の集まり。


「ではマリアンヌ様はあの場にいた全ての者を騙しきったというわけですね。 名だたる騎士や将軍がいたにもかかわらず、さすがです!」

「いや、おそらく何人かは気付いていただろうよ。だが”もしかしたら”という疑念があったから確信は持てなかった、というところだろう。 まぁわれがあの場で騙さなければいけなかったのは剣を振りかざす将などではなく、基本温室で過ごしている皇帝や皇族のやつらだけだからな。 第2皇子ロキとて戦場に出たとは言っても、どうせ最前線では無いであろうし、敵将と対した時は周りには護衛という名目で名だたる将がいたのであろうから、そんな愚兄が気配に気付くなど思えんかったからな」 


 フフフ

 思い通りにいったと、マリアンヌの口が緩む。


「そもそもあの髪の長さだぞ!戦場に出たことの無いわれでも戦いを馬鹿にしているとしか思えんではないか」

「まぁ確かに私も長髪が戦いに向くとは思えませんね」

「だろ!百害あって一利なしだろ」

「あえて利を挙げるなら、振り向きざまの目潰し」

「それは百害に目をつぶってまで会得する必殺技ではないだろ」


 マリアンヌは椅子に座り、組んだ足の先を小気味良く動かす。


「しかしそんな愚兄であっても実質、われよりも皇帝レースには優位な位置にいる。それが認めざる得ない現実というもの」


 振り子のように勢い良く椅子から立ち上がるマリアンヌ。


「だからこれから嘘を真実にするために作らなければならぬのだ、われの野望を体現する軍隊を、まだおぼろにしか見えておらぬ幻影を形ある物へ。 まだ1っ歩目すら踏み出しておらぬがな」 


 そしてカーナに向かって腕を前に


「付いて来てくれるか、カーナ?」


 伸ばされた手にひざまずき、カーナは手をそっと置く。

 そしていつものように言った。

 聞かれるまでも無く、答えは決まってるのだ。


「はい喜んで。 我が神、マリアンヌ様」



閲覧ありがとうございました。


今回で第1章が終了になります、次からは第2章だ。

頑張っていこうと思うです(沙*・ω・)

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