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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第4章】 初陣!三日月峠の戦い
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33 裏話 英雄会議

clickありがとうございます(^ω^)


今季の深夜アニメ、私の1番のオススメは「ハイスクール・フリート」こんにちは、ひとりぼっちの桜です(^^♪

私の大好きな「ガールズ&パンツァー」の再来になるのでは!?と期待しています。皆さんもよかったらぜひ見て下さいね♫


前回の後書でも書きましたが、もう1つ裏話を追加することにしました!

ダイアル城砦を破壊された敵国の物語、10英雄のお話…

ブリーチの護廷 十三隊のお話とかが大好きで、いつか自分でも書いてみたいな~と思っていたので、書けて大満足です(*  ̄ω ̄)≡3


それに伴って「17 相容れぬ2人」のムンガルの台詞を一部変更しました。

ぶっちゃけ…ヴァリアント・ジェネアロジー ←覚えれんわ!ヾ( ̄皿 ̄メ)


それではこのお話でこの章も本当のラスト、どうぞご覧くださいませ(^^♪



 そこは幻想的な光に包まれていた。


 神々(こうごう)しいステンドガラス越しに七色の光が降りてくる大広間。

 50は優に超える椅子を置けるだけのキャパを持った赤く塗られた巨大な円卓。

 そこに等間隔に並ぶのは、たった10個の背もたれの高い椅子のみ。


 それは過去に在籍していた10人の英雄のみが座ることを許された椅子たち。

 このアトラスという国を守ってきた歴史そのもの。

 ただ古いのではなく、年月を獲て気品のような風格すらかもし出してる。

 そしてその椅子の1脚に座った男が、今まさにテーブルの上で頭を抱えていた。


「もう終わりだ」


 目は何日も寝ていないような隈を象り、顔全体を見ると真っ青で今にも倒れそうな病人のような表情。

 彼は震える唇で言う。


「9席のシェリーが殺られた…すぐにプルート軍がやってくるに違いない…私達アトラスの命運も尽きた…。ということはやつらが来た時、次に狙われるのは9の上、8席のわ…た、し?うわぁぁぁ!どうしよぉぉぉ!!殺されるぅぅぅ~~!!逃げなきゃぁぁ!!」


 円卓を強く「バン!と」叩き立ち上がるシルクハットにマントを羽織った男、上流階級を示すような片眼鏡の奥の眼光を鋭く尖らせる。


「そこ、うるさいぞ。仮にも10英雄たる者が慌てふためるなど情けないにも程がるぞ!」


 その2人を見ながら円卓のテーブルの一番の下手しもて、両扉の前の席で行儀悪く座り、しかも周りの人間達よりもダルダルに緩んだ服を揺らし、組んだ両足をテーブル乗せている若者が痛快そうに手を叩く。


「8席はいっつもマイナス思考っすね~来るわけ無いじゃないっすか、ここから三日月峠までどんだけあると思ってんすか? 遠い遠い、来ない来ない、だいじょ~ぶ~」


 彼は口ぶりには周りにいる自分よりも年上たちへの敬意というものは一切感じられない。

 若者というには若すぎる彼、歳の頃は16といったところ、少年と言い換えたほうが的確かもしれない。

 少年の軽はずみな発言にシルクハットを被った男の切れ長の目は強く睨む。


「おい、10席!たとえ最年少で10英雄になったとはいえ、そのような楽観的になってもらっては困るぞ! お前はもう私と同じ立場であり、そして事は一刻いっこくを争う事態なんだぞ!」

「俺っち10英雄最弱の10席なんでぇ~スイマセン」


 眉間にシワを寄せてあからさまに不満そうなシルクハット男

 不満を吐き出すように、そして仕切りなおすように1つ咳をする。


「では全員揃ったところで、これより英雄会議を執り行う」


 その発言に由緒正しきこの場において、不敬にも酒を飲みながら席に座っている大柄の男が口を挟んだ。


「あぁ~?まだ揃って(ヒック)ね~じゃねーか。2、7は遠征中だから仕方ないとしてもよ~、1席がいないってのはどうなんじゃい?」


 グデングデンに酔っ払った大柄の男はそう言うと、上座かみざに顎を突き出す。

 立派に生え揃った髭の先にあるのは、アトラスの国旗を背後に背負った1つの席、そこは確かに空席だった。

 シルクハットの男は、ばつが悪そうに視線を外して片眼鏡のズレを直した。


「1席は…遅れて来る。 それでは英雄会議を始める、今回の議題は一週間前に落とされたダイアル城塞の件だ」


 その言葉と共に9席はまた頭を抱えて机に突っ伏すようにうずくまる。


「もうほとんどの者が知っているとは思うが、1週間前にダイアル城塞どころか三日月峠自体がその姿を無くしガレキの山になってしまった。 おそらく魔道具が使用されたのであろうが、こちらの8席シェリーが殺されていたことでよほど強力な魔道具であろうことが予想される」

「強力な魔道具とやらがあったとして、あの三日月峠を地盤から崩すことができるものっすかね? 10席の俺っちが言うのもおこがましいっすけど、8席を殺すことよりも三日月峠を全壊させた敵のほうが気になるっすね。敵は誰っすか?」

「不明だ」


 不明という言葉に10席の少年は首を傾げる。


「あれ~?5席さんが増援として出向いたって聞いたんすけど?その当の本人が不明ってのはどういう意味っすかね」

「私が増援として向かった時には崩れ去ったダイアル城塞と三日月峠がガレキの山と帰していた。 生存者を探したが全て死んでから数日経過していた、念入りに全員の頭を潰された状態でな。ちなみに森に潜ませていた別働隊は全滅、シェリーも首が切り落とされていた」


 頭を抱え込むようにうずくまっていた9席の男が金切り声を上げる。


「きっとクルウェイだ!!プルートの金獅子がやったんだぁ!!やつは人間じゃない!!化物だ!!きっとここにもすぐに来るぞ!もうダメだぁぁぁ今すぐ逃げようぉぉぉ」

「うるさいぞ9席! クルウェイはその時、他の戦場に居た事はこちらで確認済みだ。 それに万が一、クルウェイ・キュートがあの場に居たとしても、やつの魔道具特性では三日月峠ごと破壊など出来ぬ」

「ということは…」


 皆を代表して10英雄で最年少の10席が口を開く


「下手すると、あのクルウェイより上のやつがいるってことっすかね」

「ああ、どうやらプルートにはまだ我らの知らないクルウェイと同クラス…いや、言い換えよう、”最低でも”同クラスの実力を持った魔道具使いがいるとみて間違えあるまい。 そして今回の議題はもちろんダイアル城塞の跡地、その奪取だ。 もちろん先の魔道具使いがいる可能性が高い」

「金獅子と同クラスかよ…。俺っち、さすがに勘弁すね」


 勝てる気がしないと天井を仰ぎ見る10席の少年

 静まる室内でシュワシュワと泡立つ酒を胃の中に流し込んでいくゴクゴクという音だけが響いた、そしてその音が鳴り止むと同時に真っ赤になって出来上がった男が潰れた声で言った。


「ワシが行ってやろうか?(ヒック!) ダイアル城塞を守っていたドドリスちゅ~人は、ワシのオジキじゃったからな、敵が誰であれ筋は通してきっちり仕返したな、気が治まらん」


 この6席の男、言葉口からは想像がつかないが、年の頃はまだ20そこそこといったところ、しかしその男らしいゲジゲジで太い眉に厳つい顔、なまった喋り癖でまったく若くは見えない。

 実際、10席に次いで若い年齢なのだが、むしろ周りにいる自分より年上たちよりも威圧感を放っている。

 シルクハットの男はなだめるように止める。


「6席のお前の実力は認める…が、念のため5席以上の英雄を遠征させろとの議会からのお達しなのだ」


 カ~~!分かってねぇ~~!と酒の入ったグラスをテーブルの上に強く叩きつける5席。


「議員のやつらに何がわかんだぁ、(ヒック!)まったくよ~戦場にも出たことが無いやつらの集まりじゃろうがぁ~。 じゃあ誰が行くんじゃけぇの?」


 シルクハットの進行役はその問いを待っていたかのように、あらかじめ決めていたかのように顔の向きを変える。

 片眼鏡の奥、切れ長の視線の先にいたのは羽のようなフワフワとした羽衣はごろもを纏う細身の男。


「おい、3席頼めるな?」


 指定された男はその申し出に無視するように自分の椅子の傍らに置いておいたバックに手を突っ込んだ。


「断わる。今月はプルートのある南南西の方角は凶とでている」

「は?」


 一切、喋りかけている人間を見ることなくバックから取り出した陶器の数々を、次々と自分の目の前に几帳面に並べていく男。

 当然、こちらの申し出を受託すると思っていたシルクハットの男はその切れ長な目を丸くする。


「え?お前、今なんて?」

「聞こえなかったか? 断わると、そう言ったのだ」

「えっ、なぜ?」

「運気が下がる」

「は?そんなことで? 国の存亡の話をしているんだぞ?」

「俺の運が下がったらどう責任を取ってくれるんだ? そんなことになったらこの国にとって大きな損失だ。ダイアル城塞の跡地のことなど捨て置け」

「捨て置ける事態じゃないんだよ!」

「では6席に頼め、先ほど手を挙げていたのだろ? 敵討かたきうちとやらも出来るのでよかったではないか」

「お前、私の話聞いてたか!? 5!・せ!・き! 5席以上の10英雄だ! 今、議会で決まったって言ったろ!?」


 そんなことは知らんと言わんばかりに、虫を払うように大声が伴う視線を手で払う細身の男


「ではお前がいけ。5席」

「私にはしなければいけないことが山ほどあるんだよ!!」

「それは俺も同じことだ」

「嘘つけ!!!」


 大きな円卓を囲んで対面するように言い合う2人

 いや、実際には3席の男は一切張り合うことも無く、黙々と作業をしているので言い合いにすらなっていないのが実情なのだが…。

 10席は痛快そうに手を叩く。


「ハハハ!3席はいっつも面白いっすね~♪ ちなみに今やってるのは何すか?」

「これは【お香】という異国の文化だ。ほどよい香りが室内に充満してリラックス効果が得られる」

「へ~面白いすね。前の侵略戦で敵から奪ったんすか?」

「ああ、その通りだ。使い方もその時に聞いた。では…」

「おい!室内で火を付けるな!」


 注意を一切聞き入れず、シュボっ!と音を立てて燃えるマッチ

 男はそれを持ち、手で風除けを作りながら言った。


「断わる。 く気持ちは運気を下げる。今、大事なのはお香をく事によってマイペースでリラックスすることだ。 つまり、それ以上でもそれ以下でもない」

「お前はもう十分マイペースだろうが!!」

「仕方ない、私が行こう!」


 その時、2人の言い合いに割って入るように両腕をガッツポーズのようにして筋肉を盛り上がらせるようにして席から立ち上がったのは4席の地位に座る”なぜか”上半身裸の男だった。

 ムキムキの腕に塗られているオイルが色黒の肉体と相まって黒光る。

 シルクハットの男は手の平を前に突き出して制止する。


「いやいや!お前は絶対にダメだ! 少しは自分の魔道具の性質を学べ!お前の魔道具は敵味方関係無しに発動するだろうが!」

「そんなことは無い!この上腕二頭筋に誓おうじゃないか!ハッハッハ!」

「前回の掃討戦を忘れたのか!? 一体味方にどれだけの損害が出たと思っている?」

「そうだったか? もう忘れてしまったな!ハッハッ!」

「忘れるなよ!!」


 その時、不意に扉の方から声が聞こえた。


『やぁやぁやぁ!みんな、元気で討論なによりだ♪』


 その虫も殺せなさそうな優しい声に、部屋の住人達は慌てて扉の方を見た。


 そこに立っていたのは1人の男。

 膝まであるロングコートのような民族衣装に身を包み、髪は丸く刈り、そこには何やら民族文字のようなものが所狭しと描かれている不気味な男。


 扉の開く音は聞こえなかった。

 ここにいる人物達は各々がアトラスを代表するような使い手にも関わらず、その気配すら感じ取れなかった。


 シルクハットの男はふう、とため息をついて扉の前の男に話しかけた。


「遅いぞ1席」


 「1席」そう呼ばれた男は、額の真ん中にある仏のようなホクロの向きを変えて周囲を見回すと、貼り付けられたような笑顔を振りまきながら自分の席となる上手の席に足取り軽く移動しながら言った。


「遅れてごめんね♪ それで突然だけどダイアル城塞を巡る攻防戦のお話はもういいよ、必要ないから」

「どういうこどだね?」


 キツく尖らせる視線の5席、向かい合う1席の笑顔の奥にある視線はどこか心が無い無機質なものであった。

 彼は優しくさとすように言う。


「そんな恐い顔しないで欲しいな5席。必要が無いと言うより、意味が無くなったんだ。 こちらの偵察の話によると、既に三日月峠周辺にプルート軍に新たな拠点を作られた、こちらが後手に回った以上これ以上深追いは出来ない」

「ではあの地を蛮族であるプルートに引き渡すということか!?」

「これ以上の戦闘によってアトラスの尊い命は減らせない、それが議会の決定だ。つまりは民衆全ての決定だ。不満があるのかい?」


 この言葉に不満があると言えるわけが無い。

 それは上級階級が服を着ているような5席なら尚のこと。

 だからだろうイライラを隠そうともせず、大きな舌打ちを室内に響かせる。


「ではもう今日は解散でよろしいか?」

「あっ、ちょっと待って、みんなに会わせたい人がいるんだ」


 そう言うと示し合わせたように扉は開かれ、空気の流れと共に1人の女が円卓の部屋に入って来た。


 他の10英雄達は全員私服だというのに、入って来た女はまるで今から戦いに赴くかのように銀に輝くシルバーメイルを身に付けていた。

 年の頃は20代半ば、艶やかな黒髪を高い位置で1つにくくり、その端整な顔つきに部屋の中にいる英雄達に対して萎縮いしゅくしている様子は無い。


 腰にぶら下げた輝く片手剣に軽く手を乗せながら、同じく銀に輝く鉄靴の音を涼しげに奏でながら1席の隣まで歩く。


「彼女が今後シェリーの後釜として10英雄に入る子、名前は”ミハル”。 騎士団に所属はしていないけど、戦闘訓練も受けていて、議会の承認も先ほど獲た。 もちろん魔道具持ちで実力も1席の僕が保障するよ、1対1の戦闘という意味でなら5席と同等クラスの力を持ってる」


 その一言を聞いて、今まで酔っ払って真っ赤になっていた6席の顔が嘘のしらふのようにひいていた。

 男は2人に向かって目をひん剥いて大声を上げる。


「なんじゃい!その言い方!? 流石に1席じゃゆ~ても言ってええことと悪いことがあるじゃけぇ!ワシがその華奢な女に負ける言うんかぁ!? ああ!?ここで勝負しよぉかぁ!」

「そんなつもりは無いよ、君の実力は僕も議会の皆も認めてるよ、ね♪」

「わたくしは別に構いませんわよ、先輩。 どうせ皆さんを倒して1席にまで成り上がるつもりですので、手間が省けますわ」


 その弓をピン!と張った様な凛とした声に、全員を敵に回すような発言、円卓に座る皆の眉がピクリと反応した。


「こらこらミハルちゃん、そんな喧嘩腰な言い方すると―」

「ほぉ~う、なるほどなぁ。自分は1席になるからワシ程度は楽に倒せると? …ハッ!やってみぃや」

「2人とも止めないか! 特に6席!10英雄ともあろう者がいちいち女の挑発如きに乗るではない!」


 仲裁するシルクハットの男は、まったく笑顔がぐらつかない男に向かってこう尋ねた。


「少しよろしいか?1席」

「なんだい?」

「そこまで彼女の10英雄入りを議会もあなたも押すということはアトラスにとって政治的に意味があるということか?」


 もちろん、と無機質な笑顔で頷く1席の男

 5席の男は考えを纏めていく、そしてほんの数秒で自分の考えを述べ始めた。


「考えるにダイアル城塞を奪ったと思ったのもつかの間、すぐにプルートに奪還されたという民衆の不満を取り除くためか。そして男女平等というのが中々浸透しないということを払拭するため。 この国を代表する10英雄に女性を起用…たしかに国民にはいい印象をもたらせる」

「さすが5席!頭脳明晰♪ だから6席、君の思うことも分かるけど、ここは僕に免じて抑えてくれないかな? この国の為なんだ、分かってよ…ね」


 温和な言い方に、貼り付けられたような笑顔

 恐れる要素は無い…

 そのはずなのだが先ほどまで怒り狂っていた6席の男は押し黙る。

 そして豪快な声を沈ませると、ぶっきらぼうな物言いで


「わかったけぇ」


 とだけ言って再び座ると、わざわざ持ってきた大樽の中に空になった木製のジョッキを突っ込んでまた酒を飲み始めた。

 1席の男は「よかった♪」と口にすると、やんわりとした声で続ける。


「彼女には10席に入ってもらおうと思っている。必然的に今の10席は繰り上がる形でシェリーのいた9席に」

「嫌っすよ」


 すぐさま否定したのは2人が入ってきてからまったく喋らなかった10席の少年。

 ばっさりと拒絶する言葉に1席の男は、「えっ?」っと戸惑う声をあげる。

 しかしその声はどこか芝居ががって聞こえた。

 少年は目を細める


「俺っちは10席以外やる気無いっすよ。それ以外ならこの称号捨てるっす」

「おや?10席。僕の言うことが聞けないのかい?」


 その時、初めて1席と呼ばれている男の貼り付けられたような笑顔が少しだけ変化した。

 いや、変わったいうにはあまりにも微少な変化、しかしその場に居た全員はその一瞬の空気の冷えに気付いた。


 今までダラけた喋り方に座り方をしていた10席、1席と交差する視線を黙って見返すと、由緒正しい椅子に深く座りなおし、瞳の色を真剣そうに変化させる。


「席の番号が小さい=強いっていうのは民主化される前の話だったはずっすよね?」

「でも実際は今でも席の番号の小ささは強さだよ。それは全民衆が知っていることだよね?」

「だから嫌なんすよ。俺っちが10英雄になるときの条件としてあんたに出したのは『俺っちを10席にさせるなら』、だったっすよね? 席が上がればめんどくさいことが増える、そんなことになるなら俺っちは一般市民に戻るっす。これは絶対に譲れない条件でし崩しに出来ない条件じゃないっすかね?」


 長い沈黙がその場を支配した。

 1席の男は流れる時間を楽しむように瞳を閉じること数秒、穏やかな速度で再び瞼を上げていく。

 そしてニコッとした瞳のまま言った。


「わかった♪君はそのままでいい。彼女には9席に入ってもらう、それなら10席も文句は無いね?」


 その言葉に10席の少年は無言で片手を軽く挙げて「あいよ♪」と返答した。

 1席の男は全員に告げる。


「うん♪それじゃあ今日は解散だね♪」

「それでは、わたくしは先に帰らせてもらいますわ」

「お疲れ様♪ 来週からの英雄会議にもちゃんと参加してね♪」

「分かっていますわ」


 そう言うとその足を扉に向ける女。

 しかしその足は扉の前でピタッと止まった。

 そしてしばし考えてから、女はこれから仲間になる人間達へのほんの手土産と言わんばかりに振り返り、1人の男を指差した。


「そこの先輩様、その場所危ないですわよ。たぶん劣化だと思いますけれど、上のシャンデリアが落ちてきますから」

「ん?何を言っているんだ?この肉体同様ガッシリと天井に釣り下がってるじゃないか!落ちそうにもない、そう!この筋肉同様ね!」


 自信満々にポーズを取りながら言う4席の男に、女は腰に下げた剣を触れながら空いた片手で扉を押しながら涼しげな口元だけをこちらに向けた。


「あと2分後にですよ…」


 その言葉はまるで”未来”を見てきたような不気味な口ぶりだった。



             ×            ×



「…どうするんすか?4席」

「どうとはどういうことかな!?少年!」

「少年は止めてくれっすよ。 …いや、、離れないんすか? 上のアレ、落ちてくるらしいですよ」

「落ちるわけ無いだろ!」


 …………

 ………

 ……


 ――2分後


「うわっ!危っ!?」

「うわ~本当に落ちてやんの、さっきの人が言った通りっすね。念のために離れてて正解だったすね」


 女が言ったとおり4席の男の頭上に吊るされてたシャンデリア”だけ”が、長年吊るされた重みに耐えかねて落下した。


「ねっ♪皆、あの子使えるでしょ?」


 1席のその発言、円卓の上に砕け散ったシャンデリアの破片に視線を落としながらその場に居た全員が目を細めるのであった。



閲覧ありがとうございました(*- -)(*_ _)ペコリ


これでこの章も本当に終わりになりますが…どうですか?楽しんでいただけましたか?

振り返ってみると、マリアンヌの初陣、魔道具の使いとの戦い、ムンガルの選択、色々ありましたね。

私の書く物語に誤読感は皆無だと思っているので、皆様に楽しんでもらえているか毎回不安です(笑)


次の章、どうしたものか…

って言っても実はもうあらかた決まってるんですよねw

次の章のコンセプトは「努力!友情!!勝利!!!」っていうどこぞのジャンプみたいなものでは流石に無いんですけど(笑)そんな感じにしたいな~なんて思ってます(`・ω・´)シャキーン


まぁ、たぶん次の章を読まれた方は「どこがジャンプやねん!?」とか言われそうですが、そこはひとりぼっちの桜が書くジャンプ風ですからご愛嬌をw


それに実は次回の物語は大きな仕掛けをしていて本当の主役は…いや、やっぱり何でも無いですww

それではまた次回お会いしましょう (o*・ω・)ノ))ブンブン!



先日、バーベキューに行ってきました♪

近くのバーベキュー場みたいな所でやったんですけど、空気も美味しいし、最高でしたよ(。>∀<。)

しかもその場所の近くにはBBQ機材がレンタルされてて(結構安かった♫)食材も売ってるんですよ~\(^o^)/

身1つで行って帰ってこれました!便利な時代になったものです(ー。ー)


え、誰と行ったかですって??


…1人ですけど


レンタル業者の店員にも1人BBQを羨ましがられましたねv(๑˃̶˂)

以下、私とレンタル業者の会話。

     ↓


「何名様ですか?」

「1人です」

「えっ?」

「1人です」

「え、ああ、はい、すいません。 え~と、1人用のコンロが無くて2人用でもいいですか?」

「はい(T_T)」

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