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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第4章】 初陣!三日月峠の戦い

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32 裏話 帰り道

クリックありがとうございますm(_ _"m)ペコリ


先日、友人(既婚者)に「好きなタイプは?」と聞かれ「桐谷美玲」と即答したら「うん!少しハードル下げようか」って言われたひとりぼっちの桜ですw

…なぜハードルを?解せぬ(´・ω・`)


それはそうと今回は裏話になります(^^♪

前回までと違って肩の力を抜いて読んで頂けるものになったと思います。

ちなみに今回は「03 敗走の将」でマリアンヌが母親の言葉を思い出した、その言葉の完全版を入れています。


では、どうぞ~(^・^)


 馬車の車輪が軽快に回る音と小気味よい振動が身体を揺らす車内。

 マリアンヌは上から押し潰されそうな重力を持った空気そのものを跳ね除けるように叫んだ。


「空気が重いわっ!!!!」


 マリアンヌがこう叫びたくなる気持ちになるのも仕方ない。

 崩壊したダイアル城塞を後にして3時間、高級な装飾品があしらわれた馬車の中にいるカーナとムンガルは一切喋ることも無くただ黙って目の前で座っているのだから。


 ではそもそもなぜムンガルがこの場にいるかと言うと、それはただのマリアンヌの気まぐれだった。

 面白い余興を見れたねぎらいもかねて、ムンガルを馬車へ迎えた。


 でも間違いだった。

 置物のように正面に仏頂面ぶっちょうづらで並んで鎮座する2人、内1人に関しては完全武装ではないしても、その屈強な肉体だけで圧迫感が危険値の値を示す男。

 最初は無視して本を読んでいた。

 が!もう限界だ!


「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


 これが馬車が走り出してからムンガルとカーナの全会話内容です。

 なんだろう、こう…淀んだ空気?やめてくれない?


「空気が重過ぎて読書も出来ぬ。 というかこれから先、われを守るお前らがこんな状況では困る」


 少しの間を置いてムンガルは視線だけをカーナに向ける


「おい、メイド。マリアンヌ皇女殿下が空気が重いと仰っておられるぞ」

「…………」

「おい」

「…………」

「おい、カーナとやら」

「話しかけるな、このゴミ野郎、八つ裂きにして犬の餌にするぞ」


 空気にでっけぇ亀裂が出来たよ。

 腕を組み、腹の中で舌打ちをするムンガル。

 そしてそれを正面で見ているマリアンヌのほうがいたたまれなくなってきた。


「カーナ、お前いつからそんなつんけんした性格になってしまったのだ」

「いえ、マリアンヌ様よりムンガル卿とは会話するなと言われておりましたので」

「は?そんなことわれ、言ったっけ?」


 初めて聞いたような顔をするマリアンヌにカーナはつつましく頷く。


「はい、森の中で」

「そういえばマリアンヌ皇女殿下は仰っておられましたね」


 よく覚えていないけども、それは”その時だけ”とかそういうニュアンスだったんじゃないのか?


 自分の思い通りにいかない状況に苛立ったのか、マリアンヌは有無も言わせぬ口調でカーナに言う。


「じゃあ、それ無しで、もう今から喋ってよいぞ。 それとカーナ、お前の言葉遣いに品が無い、聞くに堪えない不愉快だ、これからはずっと敬語で喋れ」

「え、あ…すいません。分かりました」

「うむ、分かればよろしい♪」


「………」

「………」


 無言っ!?


「おい、お前ら、喋っていいってこのわれが言ってるのだぞ」


 命令が聞けないのか?と目を尖らせるマリアンヌに対面する2人は次々に口を開いた。


「いえ、別にムンガル卿と会話したいことがありませんので」

「このムンガルも右に同じです」

「えっ、ああ、そっか」


 あいたたたぁ。

 これは、思ったよりも重症だな。


 このあと半日、この状態が続きました。



 ………

 ……

 …


 軽く昼休憩を挟んだ後、再び馬車は動き出そうとしていた。


「ん?カーナは」

「さぁ、探してきましょうか?」


 お前、まだ乗り続けるつもりか?

 そう口にしようかと思った頃、カーナは遅れて馬車に乗り込んできた。

 その手に持つのは銀のトレー、上にはトレーと同じ銀素材でできたドーム状の丸いカバーが被せられた。


「マリアンヌ様、遅れて申し訳ありません」

「別に構わぬが…何、それ?」

「これはマリアンヌ様の為に先ほどお作りしたものです」


 そう言ってカーナが丸い銀で出来たカバーをパカっと開ける。

 すると出てきたのは温かい湯気、そして胃袋を掴むほど強烈な食欲を掻き立てる香り。

 なんと銀のトレーに乗っていたのは、きつね色の薄い衣を纏った、おいしそうなソースのかかったカリッと焼かれた肉料理であった。


 何の嫌がらせのつもりかと目を細めるマリアンヌにカーナは自信満々に答えた。


「安心してください、これは新鮮なお肉で調理しました」

「っ!?」


 これは新鮮な肉で調理しました

 これは新鮮な肉で調理

 これは新鮮な肉


「………」

「マリアンヌ様、大丈夫ですか?」

「…えっ?ああ、すまない。 ちょっとこの世の言葉とは思えぬ甘美な響きに意識があっちの世界にトリップしてた」

「本当に大丈夫ですか?」

「そんなことよりカーナ、お前ってやつは…」


 今まで耐えていた空腹が涙になって、一気にあふれ出るほど嬉しかった。

 っていうか、ちょっと涙がこみ上げてきた。

 真正面を向きなおすと震える唇で感謝を口にする


「カーナ、お前が私の物で…本当によかった」

「そんな勿体無きお言葉、私などに」

「カーナ、貴公は今マリアンヌ様に物って言われたんだぞ。感動するところか?」


 カーナは真横を向いて口を尖らせる。


「ムンガル卿、それは小さな問題ですよ!マリアンヌ様が喜ばれている、それだけでよいのです」

「小さいか?」


 場の流れについてこれないムンガルを置き去りにするようにマリアンヌはカーナに息荒く問いかける、しかし視線は料理から微動だに離れない。


「カーナ、いつ、いつ獲物を取ったのだ?」

「つい先ほど近くにいたので、サクッと♪」


 近くに?

 ああ、なるほどな。

 どうせこいつのことだ、木の上にいたか上空を飛んでいたということか。


「何にしても、よくやった! お前はこの軍において今日1の仕事をしたなカーナ!われはお前を信じていたよ!」

「ありがとうございます。マリアンヌ様」


 今日本当に色々あったのに1番これか~と物思いにふけるように遠くを見るムンガル。


 あまりの感動にマリアンヌはナプキンを首に巻き、更にもう1枚を膝に乗せるのも忘れてナイフとフォークを手に取った。

 今ばかりはテーブルマナーという概念は放り投げよう。


「それでは!!はむっ!!」


 そして飢えた獣のように口を開けてかぶりつくマリアンヌ。


 カリッとした薄いころもが魅力的な音を立てて口の中に放り込まれる。

 するとジューシーな肉汁と鳥特有の弾力のある食感、そしてバターの風味の効いた鳥の油が口の中いっぱいに広がった。

 噛む力が必要無いと言わんばかりに少しの力でホロホロと口の中で溶けていく新鮮な肉。

 一口、噛むごとに身体全体に栄養が行き渡っていくのが分かる。

 今ばかりはうるさかった腹も完全に押し黙って料理を楽しんでいるようだった。


 やばいぞ、、、どんどんと幸せが満ちていく


 幸福そうに瞳を閉じて味を噛み締めるマリアンヌ。


「っ!?」


 その時、マリアンヌの閉じられたまぶたの裏には確かにある風景が映った。


 サクサクした衣が育った豊かな田園風景

 バターソースの鼻を抜けるにおいがかもしだす涼やかな草原地帯

 しなやかな肉質を持つ鳥が今まさに大自然を羽ばたいている姿が…


 気がついたら一筋の涙がマリアンヌの頬を伝っていた。


「う、、、うまい」

「な、泣くほどですか?」

「ムンガル、お前にわれの気持ちが分かるものか。毎朝、毎昼、毎夜、食事の匂いが空間に漂いながらも食べることは叶わず、うるさいまでに鳴る腹の音、しまいには夢にまで食事が出てきたこのひもじい思いを」

「我慢せずに食べればよかったのではないですか?」

「…お前はわれに、お前たち同様に腐った物を喰えと申すか? そんな物を食うぐらいなら死んだほうがマシだ」


 もう何とな~くマリアンヌの性格が分かってきたムンガル

 目を遠くして「ああ、なるほど…」と相づちをうつ。


「そう言えばマリアンヌ皇女殿下、1つ教えていただきたいことがあるのですがよろしいですか?」

「ん?なんだ?」

「なぜマリアンヌ様は三日月峠の下に空洞が有ることをご存知だったのですか?」


 あ~それね。


 マリアンヌは左手にフォークを握ったまま、空いた右手でサイドに積み上げられた本の山から1冊の本を抜き出した。

 そして抜き取られたことで崩れる本の山を横目にムンガルに手渡す。


「これは?」

「母上の日記だ」

「ほほう、リーシャ様の」

「と、言ってもただの日記ではなく母上が駆け抜けた戦の全てが書いてある本、その1冊だ」


 ムンガルが視線を走らせながら感慨深そうに頷く、そしてあるページでピタリとページが止まった。


「ほほう、発見当時は三日月峠ではなく半月峠と呼ばれていたのですね。このムンガル、まったく知りませんでした。確かにこれは発見した当時に立ち会った者のみが知っている情報というわけですな」

「いや、重要なのはそこじゃない。その本の最後のページを見てみろ、そこにわれへのメッセージが書いてある」


 マリアンヌの指示のままページをめくると最後にこう書いてあった。



【最後にマリアンヌ、もし未来のあなたがこれを読んでいたのならお願いがあるの。 先で書いた通りこの峠は非常に危ないわ、念のために洞窟に穴はしたけれどそれもいつ壊れるか分からない。だからもしも、あなたが大きくなって可能なら三日月峠を壊して欲しいの、私の見つけて造った物で多数の未来の命が奪われる前に…。おねがいね、私の愛する心優しいマリアンヌ】



「なっ!全部書いてあったのだ、だから我は知っていたのだよ。そして母思いのわれは母上の思いをくんで多数のプルート人が死ぬ前に壊してやったのだよ、アトラス人を巻き込んでやってな」


 大声で笑うマリアンヌにムンガルは少し思案してパタリと本を閉じる。


「文脈を見るにこれはプルートとかアトラスとか、そういう意味では無く、自分の造った物で多数の被害を出るのが嫌だから、全ての人を救って欲しいという意味ではないでしょうか」

「へっ?そっち?」


 てことは

 母上的には今回の事態は…


 カーナが異議を申し立てるようにムンガルに顔を向ける


「何を言ってるんですか!ムンガル卿! リーシャ様がマリアンヌ様の幸せを願っていないわけが無い! つまり、これはマリアンヌ様が助けたい人間を救ってくれという意味に決まってます!」

「ほら、カーナもこう言ってるし」

「いやいや!この女はマリアンヌ様の言うことは全て肯定するではないですか」


 え~、マジッすか…



 ………

 ……



「それにしても本当においしそうですな」

「やらんぞ」

「いりませんよ。私は先ほど食べましたし、そもそもこのムンガル、そのような意地汚い真似はいたしませぬ」

「私がマリアンヌ様の為に用意した物を食べたらいくらムンガル卿でも殺しますよ」

「お前はもうちょっと冷静になれ。本当に皇族の方の食事に手を出すわけが無いだろ。お前はこのムンガルをなんだと思っているんだ」

「野蛮なゴリラ」

「よし、一度プルートに帰ったら2人で話そうか」

「嫌です、2人きりなんていやらしい。何をするつもりですか」

「私には妻と子供がおるわ!変な想像するな!」

「妻と子供もいるのに2人きりなんて…やはり不潔です」

「だからそういうことじゃなくてっ!」


 2人とも仲良くなってよかったな♪


 腹が満たされていくにつれて心も満たされていくマリアンヌ

 穏やかな表情を浮かべ、その眼差しは親鳥が小鳥のたわむれを微笑ましく見ているものになっていた。


 何か、今だったらあのかんに障る愚兄ロキの言葉も軽く聞き流せる気がするよ。


「ちなみにカーナ」


 今考えれば、質問なんかしなければよかった。

 いや、そもそも気にしなければよかった。


「これモチモチしてるけどモモ肉か?」

「モモ…というか胴体ですね」

「胴体?はっはっは、カーナお前も面白いことを言うな~♪ 胸肉とかそういうことをきいてるんだよ。お前はものを知らぬようだな♪」


 上機嫌で笑い飛ばすマリアンヌ

 カーナは指先数本でこめかみを押さえる動作をして悩んだ表情を見せる。


「胸肉と言えば胸ですけど…体の大部分が胴体の生き物なので、あれを胸と表現していいものか…」

「体の大部分が胴体? 何それ、そんな鳥いたっけ?でも想像するとちょっと可愛いな♪」


 チラッと横を見るとムンガルも首をひねる

 するとカーナは言った。


「鳥じゃないですよ。 それに可愛くも無いですよ、まぁ”おたまじゃくし”の時は幾分か可愛いですが」


 ふぁっ!?

 えっ?

 何言ってんの、こいつ?


 おたまじゃくしって…何?

 そんな鳥いたっけ?

 記憶の中をさぐってもそんな鳥はおらぬぞ

 ということは、おたまじゃくしというのはもしかして、もしかすると


「お、お前、もしかして…」


 口にするのもおぞましそうにマリアンヌの黒目がこれ以上内ほど大きくなる。

 既に目の前の皿にはほとんど料理は残っていない。

 カーナの隣で話を聞いていたムンガルも薄々想像がついた。

 そして顔面は蒼白となり、息をすることすら忘れて池の中の鯉のように口をパクパク上下運動だけしているマリアンヌを気遣ってムンガルがぼかすように


「カーナよ1つ聞くが…。その肉は…もしかして…地上をジャンプする、なんと言うか…小型の…両生類の、アレか?」

「はい!森の中にいた大きなカエルです」


 気を使ったムンガルの言葉をスルーするようなカーナの自信に満ちたハキハキとした声。

 マリアンヌの黒々とした瞳の瞳孔が大きく開く、そしてそのまま馬車の中で叫んだ。


「お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!何してくれてんだぁぁぁぁぁ!!!!!! うグッ!?」


 指を喉の奥に突っ込んだわけではない。

 ましてやこんなに長旅をこなしたマリアンヌが今さら馬車に酔ったわけでもない。

 にも関わらず、胸の奥から競り上がってくる嗚咽感


 カ・エ・ル


 たった3文字言葉だった。


 それでもこの呪われた言葉は、お腹に入ってきて今まさに消化しようと動き始めたマリアンヌの胃の動きを巻き戻して内容物を喉までせり上がって、口、それも歯の近くまでやってこさせた。


「っっっっっっ!?!?!?」


 マリアンヌは手に口を当てながら馬車の窓を勢いよくあけた。



             ×              ×



 長い大名行列のような一団、その中心にマリアンヌの乗る馬車がある。

 その姿が少し見えるぐらいの位置、後方にはこの部隊においての一番守らなければならない存在であるマリアンヌを護衛するためにヒナタ、シグレ、アプリの3人の爵位持ちの姿があった。


「シグレ帰ったらどうする?1杯やらないか?」

「もう疲れたから寝たい」

「付き合い悪いな、アプリは?」

「俺は酒より飯が食べたい、そしてゆっくり寝たい。本当に疲れた」


 3人の爵位を持つアプリ、シグレ、ヒナタは世代も同じということもあり、敬語など無く友達同士のように語り合う。

 その中、シグレが呟くように言った。


「今だから言うが、俺はムンガル将軍の考えに反対だった」

「っ!?」「っ!?」


 プルートにおいて上官に対して反対意見を持つこと事態がとんでもないこと、それを特にこの部隊においても軍律に厳しい男が口にするとは…。

 確かに、周りにいる部下達に聞かれないような声だった、それでもヒナタとアプリは目を丸くした。


 シグレは胸元から一冊の本を手に取る。

 それは皇帝陛下や皇族の素晴らしさを永遠とつづられた物、プルートでは誰もが持っている皇族に対する信仰を意味する物であった。

 そしてそれを自分の心臓の上にあてがう。


「俺たちは皇帝陛下に命を捧げる、それが当たり前なのに裏切ったあの男…それを許すなど納得できるものか」

「それは裏切り者が出た部隊は全員処刑の可能性があったから、内内にして隙をついて副官を暗殺しようと」

「アプリは本当にムンガル将軍があの男を殺す気があったと思うか?」

「というと?」

「ムンガル将軍は味方に甘い、特に部下にはそれが顕著に思える。 俺は、マリアンヌ様が背中を押さなかったらムンガル将軍はあの男を殺せなかったと思っている」


 それには納得の他2人

 黙ったまま肯定する


「だからこそ今回のマリアンヌ様のムンガル将軍に問いかけた言葉、その一字一句全てに俺は共感した。俺の代わりにムンガル将軍に言っているようにすら聞こえた。そして全てが終わった後、俺はあの方になら命を捨ててもいい…いや、違うな。あの方に皇帝陛下になって欲しいと思ったんだ」

「俺もシグレと同じで皇族の中で、皇帝陛下になられるのだったらマリアンヌ様がいいと思う」

「おお、お前もそう思うか!ヒナタ!」

「ああ、なんと言っても美しい。あれは神々しいなんて言葉では言い表せないほどの美しさだぞ」


 それを聞いたアプリとシグレ、張り詰めていた空気が一気に和らいでやれやれと首を振る。


「お前が惚れっぽいのは知っているが流石に皇族に手を出すと死罪は免れないぞ」

「そんなつもりあるか!俺だって身分は弁える!そもそもシグレ、その言葉自体が不敬だろ!」


 必死に違うと弁明するヒナタの傍らで、アプリはでも…と続く


「でも確かにヒナタの言う通り、あの美しさは神に愛されていると言ってもいいかもしれないな」


 アプリの言葉に規律に五月蝿うるさそうなシグレですら、マリアンヌの整った顔つきを思い出して納得するように頷く。

 その時だった。




『お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!何してくれてんだぁぁぁぁぁ!!!!!!』




 何事かと周りにいた兵が馬に乗りながら視線をやる。

 もちろん3人の爵位持ちも馬車に顔を向ける。


「なんだ、今の声!?」

「どうやらマリアンヌ様の乗られている馬車で何かがあったようだな」

「何かって…まさか、敵か!?」

「我々が周囲を警護しながら進んでいるからその可能性は無いだろう、それに万が一賊が乗り込んできたとしてもあの馬車にはムンガル将軍が乗られている、安全に決まっているだろが…」

「そうは言うがシグレ、何かがあってからでは遅い!俺が馬車の近くまで行って確認してくる!」


 馬をひと蹴りして前方に進んでいくヒナタ。

 それを鼻で笑いながらシグレとアプリは互いを見合い、2人揃って軽く肩で息を吐いた。


「待て、ヒナタ。俺たちも行く」

「お前だけ抜け駆けして女神様に会いに行くのはずるいぞ」


 軽口を叩きながら部下を掻き分けながら進む3人

 そして3人が馬車の近くまで馬で駆け寄った時、勢いよく窓は開けられた。


「マリアンヌ様、どうかされましたか?」


 そう呼びかけるヒナタ、しかし女神こと、マリアンヌに返答は無い。

 それどころか窓から出てきたのはマリアンヌの顔に血の気は無く、更に伸ばして上半身全て、後ろでカーナが支えないと落ちてしまうといった危ない状況。

 その中マリアンヌは防波堤ぼうはていのように口の前にクロスしていた両手を解き放った。


「オロロロロロロロロロロ!!!」



(えええぇぇぇぇぇぇええぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええ!!!!!)



 あまりの自体に目を丸くする3人。

 神に愛されたような整った顔つきから吐かれる嘔吐物。

 馬車の中では額に手を当てて「お前さすがにマリアンヌ様にカエルはダメだろ」と首を振るムンガル。

 馬車から上半身を乗り出すようにしてぐったりするマリアンヌの背中をさするカーナは車内からパニック状態の声を張り上げた。


「マリアンヌ様!大丈夫ですか!?何が!何が問題だったのですか!?」


 マリアンヌからの返答は無かったそうな…


「オロロロロロロロロロロ!!!」



閲覧ありがとうございました(*ゝω・)ノ アリガ㌧♪


次回、もう1話裏話を追加しようかと悩んでおります( ̄へ ̄|||) ウーム

いいのを思いついちゃってwでも時間軸的に次回に入れるか悩み中ですよw


では、また次回\(^o^)/




私、ネーミングセンスが無いんですよね…(ーー;)


今、気になっている、変更しようと思っているのは…


マリアンヌの母親の名前「ヴァルキリー」←ヴァルキリープロファイルっていうゲームが好きだから付けましたが、小説内で名前が出てくるたびに、これは無いかな?と思ってますw


2つ目は10英雄が現在「ヴァリアント・ジェネアロジー」と呼ばれている所。

…正直、自分でも覚えれない(笑)あとカッコよくないよぉ(;´Д⊂)

もう、10英雄で統一しようかなぁ(>_<)個人的にはコードギアすみたいなのがいいんですけどね(ー。ー)

あれすごいですよね!「ナイトオブラウンズ」ですよ!ネーミングセンスの塊かって思うぐらいカッコよすぎる(w´ω`w)ポォォ

あのセンスの1%でも私にあったならな~

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