30 地獄の釜
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今回からは前回盛り上がった(私の中ではw)場面のマリアンヌ視点、もう少しでこの章も終わりなのでよかったら最後までおつきあい頂けると嬉しいです。
ではどうぞ
炎が緩やかに勢いを失っていく、しかし完全に失われたわけではもちろんない
ガレキの山は静まり返っていた
時折、聞こえるのはパチパチという”何か”が燃えている音だけ
「ふぅ、暑いな」
燻る炎は熱を帯びて周囲の温度を上げていく
頬を伝う汗
いつもならお断りな状況だが今は違う
度重なる空腹、汚れたドレスにその身を通し、艱難辛苦の末にやっと目の前に豪華な褒美が待っていると分かっているこの場面、その歩みを止めるわけにはいかなかった。
「近づくと良いにおい…では、ないな」
既にほとんどの人間は人間としての形を成していない。
例えるのなら死体は子供の遊び道具としてぞんざいに扱われた後の人形のような状態だった。
奥に行けば行くほど地獄のような瘴気が漂い、ガレキの隙間から轟々(ごうごう)と火が上に向かって燃え上がる
「ど、どんどん…暑くなるな、臭いし」
周囲のガレキが赤く染まっていた
折り重なるようにガレキと死体が並ぶ
カーナはそれらを慎重に見極めながら一歩ずつマリアンヌの手を引く
「マリアンヌ様、やはりこのような足場の悪い場所を歩かれるのは危険です。今からでも遅くはありません、引き返して100%の安全が確保できた後に行かれたほうがいいのでは?」
心配げなか細い声
マリアンヌはそれを聞くと足元の凹凸激しいガレキの隙間から飛び出している死体をあえて踏みつけながら、いたずらっぽく声を躍らせた。
「それだとせっかくのラストステージを見逃してしまうではないか、それにこの世に100%安全なんて場所などありはしない」
「ですが、、、もしここが崩れなどしたら…」
「ならお前が我を守れ、もちろん守ってくれるのであろう?」
「もちろんです!」
「うむ、よい返事だ」
しかしもし崩れた時、どうやってこいつは我を助けるつもりだ?
崩れたら最後、我々は一巻の終わりのような気がするのだが…
う~~ん、分からん!!
まぁいっか、こいつなら何とかするだろう
「そろそろ着きます」
「おっ!ついにか!」
そう言うとマリアンヌは再びその細く美しい足を前へと進める
すると目の前にはムンガルの部下達が集まっていた
マリアンヌが近づくとサッと兵たちがその場から離れた
そして出来る1本の道
視線を飛ばすと横たわる何かが見えた
先に到着していたヒナタがマリアンヌの前で頭を垂れる
「危険ですので、お気をつけください」
軽く手をあげて「うむ、分かっている」と示すと、足をもう1つ、2つ先へ
「それで副官とやらは…こいつか、どれどれ~♪」
上から覗き込むようにするマリアンヌ
血だらけで横たわっている人間は視線を伏せたままピクリとも動かなかった
「カーナ、生きているのかコレ?」
マリアンヌには…いや、常人には聞き取れない呼吸音に耳を傾けるカーナ
少し、間を置いて答えた
「吐息から推測する絶命までまだ少し時間があるかと」
吐息、聞こえますかな?
若干自分の耳に疑心暗鬼を覚えそうになるが、たぶんこいつが異常なだけだろう。
そしてカーナの言う通り確かにこの人間は生きていた
ナメクジのようなゆっくりとした速度で顔を上げていくと目を丸くした
「バカな…なぜあなたが、こんなところに」
そして見上げたまま時間が止まったかのように動かない
時を置いて言ったのは
「マリ…アンヌ、第一…皇女」
という、うわ言にも似た言葉であった。
そんなに驚いてくれるとこちらも危険を承知で来た甲斐があったというものだ
その顔を見ているだけで心がウキウキ♪してくるぞ
「おいおい、様ぐらい付けたらどうだね」
思いのほか驚いてくれたことで気分を良くしたマリアンヌ
礼節を重んじると言わんばかりにひょいっとお辞儀をした
「初めまして、優秀な副官君。我が名はプルート国、第一皇女マリアンヌ・ディ・ファンデシベル。 ありはしない以後にどうぞお見知りおきを」
閲覧ありがとうございました(^^♪
次回が最終話にしようとおもっているのですが(裏話は除く)、どうしよう…ペンが走ってページ数がヤバい(・・;)別けようかな、でも流れ上別けると…う~ん
ではまた次回\(^o^)/




