29 神に頼らない生き方
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ついさっきまでサブタイトルを「少女は死体の山で1人笑う」と「独裁者が主人公でもいいじゃないか!」で迷っていたひとりぼっちの桜ですw
正直、めっちゃ悩みました(笑)
なぜサブタイトルを付けたかについては…あまり突っ込まないでおきましょうwやぶ蛇でしょうからねww
今回のお話は、この章最後の視点変化(裏話は除く)元副官の心情や過去も少し出てくるので「22 月夜の夜に・アトラス編(1)」と一緒にあわせて読んで頂くとより面白くなるように工夫しています。
少しでも皆様に楽しんでもらえると嬉しいです(。>∀<。)
では、どうぞご覧ください~
【金貨3枚】
これが私の人間としての価値だった
最後に見た村の風景は笑顔で手を振る両親の姿だった
その手にはしっかりとお師匠様から手渡された金貨が握り締められていた
その清々(すがすが)しいまでの両親の顔を見て吐き気がした。
いや、逆だな
生まれてからずっと感じていた吐き気がスーと消えていったんだ。
噂がすぐ村中に広まるぐらい小さな農村
でも農村といっても畑も痩せて、名産品も特になし、完全に見捨てられた村
私はそこで生まれた
兄弟は1人いた、妹が1人だけ…
でも年齢が11離れた唯一の妹は、冬を越すために妹が4つのとき実の両親によって売られていった
そういえばその時の両親の顔も清々しいまでの笑顔だったな
私が売られなかったのは労働力が見込めたから
ただそれだけの理由だろう
でも次の冬はどう頑張っても越せないことは、私は薄々感じていた
そして次は自分が売られるのだと覚悟を決めた16の秋も終わりに近づいた頃、お師匠様は現れた。
服装は動きやすい軽装、風を切るような尖がった帽子を被って、継ぎはぎだらけのマントを羽織っていた。
お師匠様は、フラッと立ち寄った旅人のように1人で村にやってきて銀貨1枚を気前よく払った。
『これでこの村に一晩泊めろ。食事はいらねぇ、酒だけ持ってこい』
村は騒然となった、銀貨1枚なんて3ヶ月は働いたって手に入らない大金
しかしその時はどう見ても高名な軍師には見えなかった。
どちらかと言えば盗賊だ
プルートの軍師だと知ったのは、私が酒を宿屋に持って行った時にお師匠様が口を滑らしたから。酒というのは本当に恐い
16の私は必死に懇願した。
『ア?オレの弟子になりたいだと?』
お師匠様は眉をしかめて酒の入ったグラスを力強く木製のテーブルに叩き付けた
『汚ぇガキが調子に乗ってんじゃねーぞ。オレがこんな汚ぇ村に寄ったのは弟子を探す為じゃねぇ、野宿より幾分マシだからだ、10秒以内に消えろ。明日の朝にはここを出てプルートに帰らなきゃいけねぇんだよ』
期限は明日の朝まで
そう聞いたら諦めきれるわけがない
諦め切れなかった私は家から黙って酒を何本も持って行っては懇願した
『さっきから何回来れば気が済むんだ? もう帰れよ、酒は十分にある、持ってこなくていいから、もう弟子は十分いるんだよ』
私は言った「その十分いる弟子の誰よりも自分は頭がいい」と
ピクリと反応するグラスを持つ指先
そして放たれる鋭い視線
正直、恐かったし足もカタカタと震えが止まらなかった
でも、その時初めてお師匠様は私の目をしっかりと視た気がした
『そこまで言うなら1つ勝負するか? お前、頭には自身があんだろ? チェス…知ってるか?』
もちろん今まで農作業ばかりをしていたんだから知るわけもない
私は黙って首を振った
『じゃあ、ルールを今から教えてやる。それでオレに勝ってみろ』
今思い返すとなんて大人気ない人だったのだろう
でも当時の私には、たとえそれがどんな無理難題だろうが挑むしか無かった
お師匠様は1時間ほどかけて子供の私にルールを教えていった
お師匠様の教え方は凄く上手かった、いえ、私に実に合っていたと言ったほうがしっくりくるかもしれない。
論理的かつ合理的
そこに「俺はこっちの戦略のほうが強いと思うなどといった」感情論などは一切入り込む余地は無く、基本となるルールを教えた後は、ただただ先人達が残し、磨き上げた方法を目の前で教えていく。
質問を投げかけることは許されなかった
ダメと実際に口で言われたわけじゃない
でも、聞いたら最後、私はその時点で失格になるような気がしたんだ
だから私は全神経を敏感に尖らせて聞き入った
今まではどうやったらより沢山の芋が出来るかと使っていた【農作業用の脳みそ】を【チェス用】に切り替えて聞き入った
そして私の人生を賭けた勝負は始まったのだ
滞ることなく動かされるお師匠様の駒
私は高速で頭を働かせながら先ほど教えてもらったことを実戦して応戦する
結果から言うと私は負けた
しかしお師匠様はこめかみを押さえつけたまま、勝負の終わったチェス盤を眺め呟いた
『…マジかよ、お前…本当に初めてか? いや、手順を見る限り、オレの教えた方法を素早く吸収して学習したようにしか……』
押さえ付けられていた指先がパッとこめかみから離れる
そしてお師匠様はニカッと笑った
『いいだろう、ついて来い!オレがお前を買ってやろう!』
その言葉に私は力強く頷いた
…………
………
……
それからは必死で付いていった
そんなお師匠様も流行り病で私が23の時に亡くなった
『あの時の汚ぇガキがオレの爵位を継ぐことになるとは…あの時は思わなかったな、、、、。いいか、軍師たるもの神頼みなどするな、自分を信じろ、オレを継ぐっていうのはそういうことだ』
ええ
分かってますよ、お師匠様
だから走り抜けてきた
自分の力、可能性を信じて
振り返ることはただの1度も無く
ただ、真っ直ぐに
でも今は少し、少しだけこう思ってます
これは仲間を裏切ったことに対する神からの罰なのかもしれない、と
× ×
……寒い…
朧げな意識が煙と一緒に晴れていく
一面に死のにおいが充満する空間で思い出から戻ってきた元副官はゆっくりと瞼を持ち上げる。
すると周りには火の手が上がっていた。
――起き上がれない
ほんの数メートル先にも燃えあがる炎
しかし元副官は暑いとは思わなかった
むしろ感じたのは氷付けされているような寒さ
自分の芯から寒さがどんどん広がっていく
視線を前にするとちぎれた手首が見えた
四肢が砕け散った何人もの兵士と目が合った
即死を免れた元副官はうつ伏せで横たわったまま思考を巡らす
何が起きたのか理解するまでにそう多くの時間はかからなかった
だが事態の理解が出来ても納得が出来なかった
なぜならたった一瞬で自分達がいた難攻不落のダイアル要塞が足元から崩れさろうなどと誰が納得できようか?
ただ1つ納得できることがあるのだとしたら、それは自分の考えが及びもつかないことが実際に起きた。それだけだろう
焼けた自分の皮膚のにおい、視界が血の霧で真っ赤になりながら微かに動く喉を鳴らす。
「助か、った…のか? なぜ私、、は…生きている?」
体全体から赤い血液が流れ出て止まらない
これが寒さの原因だろう
身体から下、下半身の感覚がまるでない
首が痛むから視線だけを後ろへ
すると自分の身体を二分割するように大岩が乗っていた
でも身体からのSOSと叫ぶ激痛はある
下唇を必死に噛んでいないと意識を失ってしまうほどに
痛くて指も動かすことが出来ない
「…あ゛ぁ……」
そして岩のすぐ横には息絶えている若い兵士が、まるで壊れた操り人形のように命を散らしていた。
私の部下だ
アトラスではたった1人の…
へし折れた首、その表情を見ると胸が苦しくなった
どうやら私を庇ってくれようとしたのであろう
あんな希望を抱かせることを言わなければ私を庇うなんて馬鹿な事をしなかったかもしれない。
そうしたら、もしかしたら軽症ですんだかもしれない。
この場から逃げおおせるかもしれない。
「フ…フ」
そんな絶望的な希望はありえない。
それは周囲の状況を見れば明らかだ。
おそらくこの城塞にいた人間の中で明日の日の出を拝める者など1人もいないだろう。
”もしかしたら”
そんな希望な考えは目の前に転がる、肉片の数々を見たら明らかだった。
「そういえ、ば、名前も…まだ、聞い、ていなか…ったな」
直、私も死ぬだろう
自分の体だから私が1番分かる
「*****様!ここに**した!」
何を言っているかは正確には聞こえなかったが大声が聞こえた
そして人が集まってきた
顔を上げて見るまでもない
まず間違いなく敵だろう
それだけどれだけ時間が経過しただろうか。
その悲痛な状況をあざ笑うように1つの艶めき、弾む声が近づいてきた。
「それだとせっかくのラストステージを見逃してしまうではないか、それにこの世に100%安全なんて場所などありえない」
女の声のようだった
最初は聞き間違いかと思った
こんな、いつ崩れるか分からないガレキの上を上ってくる人間、いや、それ以前にグロテスクな死体の数々に一切、臆することなく近づいてくる女などいるわけがない
元副官は「ありえない」と折れて血だらけの鼻で笑う
しかしその人物は死体を避けるどころか、「クスクス」と笑いながら人体を踏む
まだ命のある、と言っても虫の息であろうアトラスの兵がうめき声をあげた
10m
9m
8m
7m
どんどん近づいてくる「カツカツ」というヒールの音
そしてそれは手を伸ばせば届く距離までやってきた
「………」
横たわる私の目の前にぼんやりと靴が見えた
靴といっても戦場にはあまりにも不釣合いなヒールの靴
引っ張られるように視線をゆっくりと上げていく
ヒールの高い靴と黒いドレスの間に見えた透き通るような白い色の足首
華奢な腰周りに女性らしい膨らんだ胸
触れたら折れてしまいそうな首
そしてその上には…
「っ!?」
その立ち姿を血で濁った視界で確認した副官は息を呑んだ。
そして幽霊でも見たように言った
「バカな…なぜあなたが…」
最初は自分の目と、脳は、その人物を特定できなかった
そしてその後、見間違えかと自身の目を疑った
身体が硬直して呼吸がうまく出来ない
「こん、な…ところ…に」
一度だけその姿を皇居で見たことがある
見たと言っても遠くからの後ろ姿だったが
付き人を数十人連れて歩くその後姿の中で唯一、太陽の光を反射するように舞う銀線の髪、一瞬で心を奪われて、目が離せなくなっていた
だからここで見間違えるわけがないのだ
この世に銀線の髪を持っている人間など記憶の中をどう掘り起こしても2人といなかかったのだから
「マリ…アンヌ、第一…皇女」
あまりの事態に気の抜けたような声を漏らす元副官
それを聞いて目の前の少女はまるで悪魔のように微笑んだ
「おいおい、様ぐらい付けたらどうだね」
その艶やかな瞳には、周りに燻る炎が薄っすらと映り、妖しく揺れる
そして少女はドレスの両端を軽く摘むように持ち上げると、優雅に一礼した。
「初めまして、優秀な副官君。我が名はプルート国、第一皇女マリアンヌ・ディ・ファンデシベル。 ありはしない以後にどうぞお見知りおきを」
最後まで閲覧ありがとうございますm(_ _ )mペコリ
今回は全体を通してペンが走りました、少しでも皆様にご満足いただけたなら幸いです(^_^)
今日、って言ってももう昨日になるのかな?(投稿しているのが深夜なので)花見に行ってきました(^^♪
ひとりぼっちの桜という名前の私、実は桜が大好きです♪♪
咲き乱れる桜に風が吹くたび花びらが大量に舞い散る…
すごい風景でしたよ゜+。ヾ(●゜Д`q)《ヤバィッ!! 感激死にしちゃぅッッ!!))。+
桜の木の下で食べたお弁当も最高でした!わあい\(^▽^\)(/^▽^)/わあいっ
皆様もぜひ!オススメですよ!
では、また次回お会いしましょう(^.^)/~~~
え、誰と行ったかって?
……1人で、ですけど…o・_・o))
え、お弁当ですか?
……手作りですよ、私の(・・)
ちなみに2段重ねの重箱




