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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第4章】 初陣!三日月峠の戦い
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27 最高級の幕間劇

クリックありがとうございます(^^)


本来、このお話は「25 平穏な日々・プルート編」のラストに入っていたものなのですが、書いているうちに凄くペンがノッてきたというのと、「26 平穏な日々・アトラス編」を挟むことによって引き立つかなと思って別けました。

皆様に少しでも…ほんの少しだけでもいいので喜んで頂けると嬉しいです(^^♪


では、どうぞご覧ください。



 ――やぁ、よく来てくれた。


 そう柔らかな笑みを浮かべたマリアンヌ

 牢屋ろうやから連れてこられたムンガルに、こちらに来るように黒く塗られた爪を猫のようにして手招きをした


「ようこそムンガル君、昨夜はよく眠れたかな?」


 目の下に出来た深い色のくま

 疲労で顔色も悪い

 一目見たら誰しもが眠れていないのが分かる状態であった

 しかも食事を与えていないのか、頬もこけ、足取りもすこしおぼつかない


 しかしムンガルは黙ったまま視線を別の場所に向けたままだった

 そんなムンガルを見たマリアンヌ「そんなに並べた首が気になるかね?」と言わんばかりにムンガルに向かって妖しく微笑む


「どうだね?いい見晴らしであろう?」 

「………」

「ちなみに10英雄であるシェリーの首の前に魔道具を置いたのはわれの案だ♪ ダイアル城塞から遠くて、誰が誰だか見えないと思って配慮してみたのだよ。どうだ、いい案だろ?」


 無邪気に父親に対して褒めてもらおうとしている子供のような言葉

 ムンガルは並べられた生首を横目に居心地の悪そうに答えた


「あまりいい趣味とは思えません」

「チッ!」


 マリアンヌの真後ろでお茶のポットを持ったカーナの舌打ちが激しく「同意しろよ!」と言っているようであった。


「おや?これは手厳しい発言だなぁ~お前には合わなかったか。まぁ、だがそれもよいだろう」


 まるでその答えをあらかじめ予想していたかのように軽口でそうあしらうと、自分の横に置かれた空席の椅子を指す


「そんな事よりもお前には特等席でわれついえぬ野望の第一歩目を見てもらおうと思っておったから呼んだのだ、まぁそこに座りたまえ♪」


 素直に従い、力なく座る巨体

 マリアンヌは前方に視線を残したまま真横にいるムンガルへゆっくりと語りかける


「今から何人、何千人が死ぬのであろうな。 憎むべき敵国とはいえ、あそこに篭城ろうじょうしているのは我らと同じ構造を持った人間だ、感情もあれば心もある」


 に服すように肩を落とすと銀線の髪がマリアンヌの表情を覆い隠した

 そして震え始める両肩と声


「く、国に帰れば家族も、い、いるだろう。恋人が子供が帰りを待っているかも知れない。そんな者たちを今から、今からわれは無慈悲に残酷に…こ、殺す、それを想像するだけでわれわれでいられない。正気を保っていられない!じ、じ、実に…」


 すると突然、空腹を忘れて大笑いするマリアンヌ


「楽しみだ!楽しみすぎる!まるで心が躍っているようだ!!ムンガル!今から最高のショーが見れるぞ!!ハッハッハッハ!!!」


 その目はこの上ない殺意と狂気きょうきに満ちていた


「マリアンヌ様、準備が整いました!」

「うむ!さてムンガル、今からお前に見せてやろう、われにとって城塞攻略など赤子の手をひねるのと大差ないという事を」


 ムンガルに向かってそう口にすると、おもむろに立ち上がった

 全兵士たちは一斉にマリアンヌへと視線を向ける

 そして抜けるような青空の下、満員の観客に目の前を見よ!と砦を指差す


「お前たち、やつらの情けない姿を見てみよ。見ていて腹がたつほど情けない、少し自分達が劣勢だと思うや否や援軍到着まで亀のように引きこもって出てこようともしてこない、弓を構え、敵に矢を引く勇気はあれど、弓を向けられる覚悟が無い証拠だ、そのような腰抜け共と戦っていたかと思うと死んでいった者達が浮かばれようも無い。 だからこそ、そんなゴミ共の死は…誰よりも残酷でないといけない。そうだろう?お前たち」


 背後の森から晴天の空の下に出てくる5台の投石機

 そのそなえ付けられた4つの車輪部分はガラガラと重圧な音を地面に響かせながらマリアンヌたちの横を通り過ぎていく


「さぁ~今からお前たちに最高級の幕間劇まくあいげきを見せてやろう~。そしてアトラス軍を処刑台へいざない、やつらに教えてやる」


 屈強な兵士たちが巨大なスプーンのような投石機の打ち出される部分に次々と大岩を積んでいく

 それを横目で確認するマリアンヌ、城塞を背にするとゆっくり太陽が昇っていくような速度で片手を挙げると感情の欠落したような声で言った


われに歯向かったら、どんな結末を迎えるのかをな」


 その時、マリアンヌの整った顔つきは完全に狂気に染まっていた


「やれ」

「ハッ!!了解しました!!」


 マリアンヌの指示を受けて動き出す投石機

 どんどん大きくなる木製の歯車の不気味な音

 そしていよいよと言わんばかりに動物のけんなど利用したバネが力強くしなった。

 カタパルトとも称されるそれは、強烈な風切り音を発しながら放物線を描きながら凄い勢いで岩石をダイアル城塞に向かって飛ばした。


 正直、ここに居たほとんどのプルート兵にとってはまだ勝利に対して半信半疑といった心持があった。

 しかしマリアンヌは、ただ1人確信を持っていた。

 この後の惨劇すら「全て計算づく」と口角を上げる



 時を置かず、次々と放たれる岩石群


 1つ目の岩石はダイアル城塞下、数十メートルの岩壁に当たると力強く跳ね返った。

 2つ目、3つ目と、岩石は同じような高度で近い場所へ、1つ目と同じように強く跳ね返り、大きな振動と共に地面に落下する。

 4つ目、跳ね返り方は今までよりも弱く感じた。

 それが続くこと数回


 明らかな違いが生じたのは10を超えた辺りだった

 投げ込んだ岩石の内の1つが壁面に沈み込むように衝撃を与えると目で見て分かるほどダイアル城塞が揺れた。


 そして次の瞬間、皆呆気に取られた

 衝撃が波打つように伝わっていくのが目で確認できるほどの揺れが起こり、三日月峠は重い荷物に押し潰されるようにその雄大な姿を崩壊させたのだ。


「「っ!?」」


 かなり距離が離れているにも関わらず起こる大地震のような揺れ

 素肌を通り越して骨に直接伝わるような振動

 森の動物達が何事かと騒ぎだし、鳥達が森の木から慌てて飛び立つ

 まるで大火事のように縦に舞い上がる土煙

 鼓膜こまくを破るような音


 それがほぼ同時に目の前で起こったのだ


「………」


 耳を塞ぐのも忘れて口をあんぐりと開けているムンガル

 いや、ムンガルだけじゃない、このようなことが起こった理由をあらかた知っているヒナタ、カーナまでもが目の前で起こった現象に口をぽかんと開けて棒立つしかなかった。


 息を飲む事さえ忘れるプルート軍の兵士たち

 一面の視界が土煙で包まれ、ここまで土ぼこりが遅れて風圧と共にやってきた

 突風のような向かい風に銀線の髪が舞い乱れる

 その髪の主であるマリアンヌは時が静止した空間で1人ケラケラと笑った


「あははははは!皆の者、見てみろぉ!楽しいなぁ!!」


 人の命が散っていくさまを心から悦ぶマリアンヌ

 整った顔つきが狂気に染まり、らんらんと輝く目

 そしてマリアンヌはまるで無邪気な子供のように口を大きく開けて、崩れ去るダイアル城塞に顔を向けた


「ざまぁ見ろ!愚かものどもがぁ!! これは神に逆らった罰だ!!!」



 その日、マリアンヌは一生分とも思えるほど笑った

 それはアトラス軍の兵士たちの死にゆく悲鳴は確かにマリアンヌの耳を通して心の奥深く刻み付けられたからに他ならない

 そしてマリアンヌは心から思った


”世界はなんと美しいのだ”と



閲覧ありがとうございました(^^)


ついにマリアンヌがえらい台詞を言い出しましたねwいや、前からか(笑)


ちなみに「黒い背景が少し読みづらい」という感想を頂いたので背景を変えてみたのですが、、、いかがですか?読みやすくなりましたか?

自分ではもう客観性を失われているのか、よく分からなくなってしまいました(つωi。)

私的には黒の方が内容と合ってるし、インパクトがっていいかなと思っていましたが…読みづらいなら変えた方がいいですしね(´≡ω≡。)

もし、他の色がいいとか、あったらお気軽におっしゃってくださいねw


まぁ、もしかしたらまた変えるかもっていう「伏線?」みたいなものなので、変わっても驚かないでねww

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