25 平穏な日々・プルート編
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ストレス社会で生きる皆様の一服の清涼剤……になれるかどうかは別として、こんにちはひとりぼっちの桜ですw
以前から終盤の見せ方は色々工夫していると言っていたのですが、今更ながら読んで頂いている皆様がこんがらがらないか不安いっぱいです(。•﹏•。)
出来る限り分かりやすくしていくつもりですのでお付き合いいただけると嬉しいです。
そして今回のお話は普通に話が進んで「21 重罪」の後、ムンガルが連行された後になります。
それでは、どうぞご覧くださいませ。
1日目 - 爽やかな晴れ
小鳥達がさえずるそんな1日の始まり
朝、マリアンヌはいつものように桶に溜めた水を手で掬い取り顔を洗う。
するとここ数日は風呂に入っていないにも関わらず、それを一切感じさせない銀に輝く髪が肩からサラサラとこぼれ落ちた。
「ん~~~!」
背筋をぐーと伸ばす
昨夜から一睡もしていない
眠気というものはピークを超えていた
しかしそれでもマリアンヌの身体は睡眠を必要とはしていなかった
それは計画が予想以上に…いや、マリアンヌの頭の中で思い描いた通りに遂行していたという事実があったからだろう
しかも今となってはムンガルの事すらプラスに働いている節もある
だから上機嫌にもなるし、鼻歌だって歌いたくもなる
「ん~ふ~ふ♪ 今日も爽やかな朝で何よりだ」
空を見上げると昨夜までの黒々とした殺し合いが嘘のように太陽が輝く晴天であった。
うららかな日差しが降り注ぐ、過ごしやすい1日にの始まりだ。
ちなみにその頃にはマリアンヌは寝床にしている馬車周辺10mから移動しなくなっていた。
理由はエネルギー消費を最小限に抑えつつ、光合成のように光を浴びて空腹感がかんわされるから!(気がする)ということに気付いたから。
そして気持ちよさそうにもう一度、背を伸ばすとタイミングを見計らうように1人の兵士が近づいてきた。
片膝を折り、頭を垂れる兵士
「マリアンヌ様。ご命令通り、森の中にいたアトラス兵およそ300の首をダイアル城塞から見えるような場所に横一列に並べ終わりました」
「うむ、ご苦労♪」
上機嫌で返すと背の低い椅子に腰掛けた
「どうだ?アトラス軍のやつらは驚いていたか?」
「驚いていた…というより、怒り狂っていたという感じです」
「それはよい。我も近くでやつらの表情を見てみたいものだ」
快活に笑うマリアンヌ、兵士は心配そうに顔を上げる
「あの…このようなことをして大丈夫でしょうか?」
「ん、何か不満な事でもあるのか?」
「いえ、私の身分で皇族の方に不満などめっそうも無い! ですが…このような非道な…いえ、突拍子も無い事をすれば敵を挑発してしまうのではないかと、現在ムンガル将軍もいない状況ゆえ、もしも戦闘になれば些かこちらは不利ではないかと」
その兵士の発言は非常に的を射ていた、実際そう考えるのが自然だとプルート軍のほとんどがそう思っていたほどに
しかし、だからこそマリアンヌは不安という言葉をせせら笑う
「ムンガルという戦力はもういらん、というより個の戦力などもはや必要な場面は過ぎている」
というより用済みだ
この後、誰がどう動こうが、もう我の策は止まらない
「そ、そうでなんですか。ですが、もしも敵がこの森に総攻撃を仕掛けてきたら―」
「敵は攻めては来ない」
断言した
そして続ける
「それどころか、あの城塞から出てくることも無く、静観し続けるはずだ」
「それは…なぜですか?」
恐る恐る問う兵士
マリアンヌは自信気に口元を緩めた
「お前たちの話を聞く限り元副官と言われている人間は優秀だからだよ」
マリアンヌはその細い指先で自分の髪をくるくるといじりながら、遠く離れた場所にいる、会ったことも無い元副官の心を見透かすように言った。
「最善で最短、一番効率のいい方法を選び続ける。 元副官を一言で表すとそんな印象だ」
「ええ、その通りです」
兵士の何気ない肯定を意味するその一言
それを確認するとマリアンヌの口の端がまるで何かを確信したかのように大きくつり上がる
そして一気に喋り始めた。
「ムンガルと違って仲間でもどこか近づきづらい空気を持っている、もちろん自分の悩みを打ち明けるようなこともしてこない、言葉の全てがどこか空空しさすら感じる、向上心が非常に強い、自分に絶対の自信を持っている、しかしその一方リーダーシップを取るようなことは苦手としていて出来ることなら部下にやらせる、おそらく敬語を多用して部下にも敬語を使う事も多いな、酒はあまり飲まない、ギャンブルのような賭け事も嫌う。 以上の特性を鑑みて性格は冷静沈着、秘密主義、堅実、慎重…かな?」
息つく間もなく紡がれる言の葉
マリアンヌは「どうだ合っているか?」と、顎を突き出して問いかけると兵士は驚き顔で頷いた。
「そ、そこまでムンガル将軍にお聞きになられたのですか?」
そんなわけないだろと首を振るマリアンヌ
「ムンガルに聞いたのは少しだけだ。 あとは元副官の戦歴、経歴などの資料と照らし合わせて分析した」
マリアンヌは「昔からこういうのが得意でね」とひけらかすわけでもなく平然と言う
でも実際の副官を知っているその兵士からすると、その分析はまるで長年共に戦場を駆けた人間が知りえる真実そのものとしか言いようが無かった。
「す、すごい、ですね。そんなことまで…でも、なんで資料を見ただけで、その…酒をあまり飲まないことまで分かるんですか?」
「経歴を見る限り元副官は幼少のときに1人で故郷を発ってこの国で成り上がってきた、そんな人間が向上心が無いなんて事は無いだろう、そして過去の偉大な実績はそのまま自信へと繋がる、過去に彼が行った戦術の中に奇を衒うようなものは1つも無い、慎重で堅実な戦運び、こんな人間が賭け事なんてするとは思えんな、プルートにおいて爵位まで手に入れた人間が脇が甘いわけがない、そしてそれはそのまま秘密主義という人格を形成する、しかし長く戦場を駆けて来たにも関わらず自分の秘密を言わない人間は仲間から空々しいと思われる。 ここまで言えばお酒は分かるだろ? 酒というのは飲んでいる間はいいが、飲まれてしまえば自分の本音が出てしまう危険がある、そんなリスキーな真似はこの男は決してしない。 以上だ」
「す、すごい」
さっきからその感想ばかりだな、語彙が少ないやつ
つまらんやつだ
「ただの暇つぶしだ、ここはやることが無さ過ぎる。 ちなみにそういう性格の手合いと戦う際は実に厄介だ、なんと言ってもチェスをノータイムで打ち返してくるようなものだからな。 こちらが考えれば考えるだけ先手を取られていく、こちらは後手に回らざる得ない、だがそんな完全無欠そうな性格にも弱点はあってな」
「弱点ですか?」
マリアンヌは立ち上がると首を巡らせるように上空を見上げた
「思考が死ぬほど読みやすい」
元副官とやらは、今頃こう思っているだろう。
首をこれ見よがしに並べる行為
これは自分達を挑発してダイアル城塞から攻めてこさせる罠だ
こんな非情なマネをするのはプルート軍も攻めあぐねているからに違いない
つまり自分達はこのままアトラスからの増援を待てばいい
と
「まぁ、お前たちは何も考えず我の言う通り動けばよい。さすれば勝利の美酒のおこぼれぐらいは堪能させてやろう」
「はっ!申し訳ございません! 我が身を御しきれぬ差し出がましい発言、お許しください!」
地に伏して謝罪の為に更に深く頭を垂れる兵士
許可があるまで見上げることすらしない姿
マリアンヌは再び椅子に腰掛けると見下ろす
そして肘立てに立てた手に顎を置きながら
「よい、我は今寛大だから許してやる。 面を上げろ」
「ハッ!」
「…お前はなかなか見所があるな。お前の名は確かアプリだったな」
「いえ、それはあちらの焚き火の前にいる男であります」
そう言うと兵士は少し遠くにいる別の兵士を指差した
指された先に顔を向けると、火のかけられた鍋の前で食事を口いっぱいに頬張って、幸せそうにしている少し小太りの兵士がいた。
「えっ!?あぁ、そう。 …じゃあシグレか、あ~そうだ、思い出した、すまなかったな」
「それはあの…木陰で本を読んでいる男ですね」
またまた兵士は少し遠くにいる別の兵士を指差す
マジですか…とまた指された方向に顔を向けるマリアンヌ
視線の先にはみんなの輪から離れた大樹の側で、木と同化するように背を預けて1人静かに本のページをめくる男がいた
「あっ、そう」
せっかく気分がよかったのに締まらないにもほどがあるな
苦笑いの1つでもこぼしたくなる
でもそうなると我はお前のことを思い出せる気がしない、ギリ3人いた内の1人という印象しかないのだから
「お前…誰だっけ?」
結局、聞くことにした
爵位を持つ3人の中では一番身なりがキチっとしているせいで大人びた印象の男は言った。
「ヒナタです、マリアンヌ皇女殿下」
騎士の象徴たるヘルムを外したヒナタ
顕になった短髪は金色に輝いていた
3人の中で一番整った顔つき
中肉中背
まぁ何が言いたいかと言うと、マリアンヌにとっては数いる兵士の1人にしか見えないということだ
話の流れを変えるように口を開く
「覚えておいてやる、ありがたく思え」
「ありがたき幸せ」
「で、お前は元副官をどう思っている?」
「っ!? …言葉の意味が分かりません」
唐突に質問を投げかけた瞬間、その涼しい顔に備え付けられた整った眉がピクリと反応した
マリアンヌは続ける
「なに、空腹感を紛らわすただの雑談だよ、気軽に答えよ。 お前は、お前たちを裏切った元副官を恨んでいるか?」
「プルートに住まう騎士として私怨で戦闘に赴いたことはありません」
マリアンヌは「質問とズレているな」と目の裏側まで見透かすように視線を飛ばす
堪らず視線をそらすヒナタ
「では騎士としては無く、1人の人間としてはどう思っているね?」
尋ねる声は心の中を覗き込むような声質だった
ヒナタの心の奥にしまい込んだ感情が上気していくほどの
長い、とても長い沈黙
そしてゆっくりと開かれる口からは黒々とした感情のこもったものだった
「憎いです、殺したいほどに」
その回答をいたく気に入ったのだろう
マリアンヌは手のひらで優しく口元を押さえると上品に笑った
「面白い!お前は実に面白い!ヒナタよ、お前には特別に我の策を少しだけ教えてやろうかな、この後起こることを」
上機嫌なマリアンヌ
自分の頬をわざと見せ付けるようにうっとりとした表情で撫でる
それを間近で見たヒナタ
生唾を飲む渇いた喉はゴクリと鳴った
マリアンヌはそれを見て弄ぶように言う
「変化からしか物事は進まぬ、これは我の潰えぬ野望の第一歩目の変化、ヒナタ、お前は変化を受け入れるかな?」
2日目 - ドーナツのような曇り空
あの雲、モクモクしててドーナツに見えるな
手を伸ばせば届くかな?
雲っておいしいのかな?
何味だろう?
って雲味だっつーの!
って雲味って何味だ!?
これは食べてみるしかない!
そうだ!それしかない!!
よし!食べよう!!
――キュゥゥ~~
その音と腹部を締め付ける感覚で正気に戻ったマリアンヌ
そのまま見上げた顔で、雲に向かって呟く
「そもそもドーナツじゃないし、手とか届かないし」
みぞおちの下が締め付けられすぎてキューという音がキュゥゥゥ~になってきた
内臓がゴロゴロと転がっているのが分かるのだ
その音が此処に来て音量が上がった気がするのだ
計画通り事が運んで安心したからかもしれない
そこに駆けて来たヒナタが声を荒げてやって来た
「マリアンヌ様、大変です!ダイアル城塞の立つ崖の下部分から水が!」
「…水の色は?」
「色ですか? 普通の透明な―」
「はい、おやすみ~」
「あの我々はどうすれば…」
「引き続き待機だ。 だが事前にお前らに言ったとおり、万が一敵がダイアル城塞を出て三日月峠を下りてくるようなら全勢力を持ってこれを撃退せよ、下りてきたアトラス兵を1兵卒であっても逃すな、分かったな」
「ハッ!了解しました!」
「そしておそらく直に水の色が茶色に変わるだろう」
「茶色ですか?」
あれ?昨日そこまでは説明しなかったけ?
断片的にしか言わなかったから、どれを言って、どれを言ってないのか分からぬな
マリアンヌは時間を確認するように森の中から上空に浮かぶ太陽を見上げる
「実際には泥色だな、川の勢いと太陽の位置から時間を計算すると…あと数時間もかからんだろう。 そうなったらもう一度報告しに来い」
「はい、分かりました」
去っていくヒナタの背を見て思い出したかのように「ちょっと待て」と声をかける
しかし大声ではなく空腹だったため空気の抜けたような声
ヒナタも「えっ?何か?」と聞きなおすほどの
「本国より持ってきた投石機の組み立ての進捗状態はどうだ」
「組み立ては昨夜の内に全5機、完了しました。 今は森の中に隠しております」
「大変よろしい」
3日目 - この戦場で見る最後の晴れ
その日も1日目と同じで降り注ぐ太陽の暖かい日和だった
その頃にはダイアル城塞の真下では大量の泥水が崖の隙間をどんどんと出て外に泥の山を形成していた。
「水の色はどうなった?」
呼び出されたヒナタは跪く
「昨夜泥水になって、先ほど再び透明になりました」
「よし!」
マリアンヌは膝をポンと叩くと立ち上がる
足に力が入らないせいかちょっとふらついたが気にしない。
「準備完了だ、さぁ地獄の幕間劇を興じよう。 ヒナタ、至急ムンガルを連れて来い」
「ハッ!」
マリアンヌは今から起こることを想像する
そして興奮気味に上擦った声で言った
「さて、アトラスの人間はどんな歌を我に奏でてくれるであろうか」
最後まで閲覧ありがとうございましたm(_ _"m)ペコリ
今回ぐらいからでしょうか、、、ペンがのっている気がするですww
書きたいところに近づけば近づくほどにペンが止まらない現象ですね(笑)
次回は平穏な日常のアトラス編になります、色々今回のプルート編と連動しているのでよかったら次回も読んでいただけると嬉しいです(人'w'●)
ではまた~(^^)/~~~
新しいゲーム何を買おうかな~って考えていたんですが、いいものを見つけました(`・д『☆』
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