24 月夜の夜に・カーナ編 ※挿絵あり
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今、放送しているアニメで一番好きなタイプは「少女たちは荒野を目指す 黒田砂雪」早くテレビ画面の中に入れる時代になったらいいのにね…
そんな生産性の無いことを、就寝前に永遠と考えていたひとりぼっちの桜ですw
今回はカーナ編になります。
「月夜の夜に」でカーナがいったい裏で何をしていたか、それを描いてみました。φ(^∇^〃)
それではどうぞご覧ください。
――討ち取ったり!!!
ふいに崖の上からムンガルの野太い声が吹き下りてくる風に乗ってここまで届いてきた。
声のしたほうに顔を向けると、続いて戦士たちの嵐のような歓声
カーナはそれを煙たそうに見上げる
ちょうど暗闇の奥、断崖絶壁の上に聳え立つダイアル城塞がある辺りを
どうやら上では戦いが激化しているようだ
しかしここからでは真上を見上げても、その戦況を窺い知ることは出来なかった。
「不愉快な声ですね」
疎ましそうにそう呟くと、気持ちを切り替えるように手を軽くあげて後ろにいる人物たちに合図を出した。
「ではそろそろ我々も行きましょうか」
頷く複数の人影たち
どれもカーナよりも背丈が高く、分厚い影
彼らは野太い声で答えた
「はい」
灯りもつけず、月明かりだけを頼りに足を進ませていく人影たち
その先頭で一行を先導するように歩くカーナは慎重なぐらいの歩調で進んでいく。
崖の上からは激化する歓声が聞こえるが、ここはそれがまるで嘘のように静まり返っていた。
カーナが護衛するのはしっかり根付いた大木のような首周りをしている16名
全員、屈強な肉体を持ち、まるでムンガルが分身したようなガタイのやつらだった。
彼らは背に剣ではなくスコップやつるはしを持ち、その身体に纏うのは鎧ではなく動きやすい普通の服装
そんな筋肉自慢のタフガイどもを連れて歩くカーナ
程なくして無事、崖の真下辺りまで着いた。
「ここからは壁に沿うようにして裏側まで移動して行きます、皆さんできる限り物陰から出ないでください」
月の光すら届かない暗闇
鼻先すら見えない中、カーナたちはゴツゴツした岩肌に片手を押さえながら、ダイアル城塞のちょうど真下を崖に沿うように足音1つ立てずに移動していくのであった。
× ×
マリアンヌ様は夕方ごろ眠たそうに目をこすりながらこう言われた。
「魔道具使いとの戦いで疲れているところ悪いが、お前には今晩やってもらいたいことがある」
なんとお優しい方だろう、こんな私を気遣ってくれるなんて
私はもちろん「疲れなどない」と首を振った(全力で)
「何なりと申し付けください!」
「えっ、結構、元気そうだな…。 まぁ元気ならそれでいいや、お前にやってもらいたいのは護衛だ」
「護衛…ですか?」
「お前も知っての通り、今日の深夜に我はダイアル城塞に攻め込む。だが、お前には別行動を取ってもらいたい。いや、厳密に言うと別行動を取る少数部隊の護衛をやってもらいたいのだ」
マリアンヌ様の護衛が出来ないのは残念だが、ご命令ならば仕方が無い
私は再び「はい」と頷く
「今から渡す紙に書いたこの赤い×の付いた場所、そこまである人物たちを護衛しろ、そして任務が終了するまで守れ」
そこまで言うと「そしてここからが重要なのだが」と前置きをして周りに人がいないことを入念に確認するマリアンヌ様
誰もいないことは周囲の気配を感じ取れば明らかだったが、私は水を差すようなことは言うまいと心に蓋をした。
するとマリアンヌ様は小さな声を近づけてこられた
「もしも誰かにお前たちの姿が見られたら…」
少しの沈黙
その瞳は眠気など忘れた瞳
冷酷そのものだった
マリアンヌ様はロウソクを吹き消すようにゆっくりと息を吐いてから言った
「護衛よりも、その人物を殺すことに目的を変更しろ。いいな?確実に殺せ。最悪、護衛対象が全員死んでも構わん」
マリアンヌ様はそっと赤い×の付いた地図を私に手渡された
地図に目を伏せる
×の付いた場所はダイアル城塞の裏側、プルート領とアトラス領を隔てる川に面した所であった
「まぁ、たぶん護衛などいらんだろうが…念のためだ」
「この場所には一体何が?」
そう問いかけるとマリアンヌ様は「お前が知る必要は無い」と被りを振られた
そして話を切るように大きくあくびをした
見かたによっては、めんどくさいから説明しない、、とも取れるが、きっとそれはマリアンヌ様のおっしゃるとおり私が知る必要が無いのだ…
うん、だから言わなかったのだ
そうだ、きっとそうだ
「我は夜中に備えて睡眠をとる。時間になったら起こせ」
「はい、お休みなさいませマリアンヌ様」
× ×
途中から川の中を歩くようになった。
川といっても端の辺りだったので水位も足首ほどで高くなかったが、時に流れが強くなる水流、ゴロゴロと不規則に点在する石たちが行く手を阻んで、身体を持って行かれそうになりながらも一行は進んでいく
そして10分ほど慎重に歩くと指示のあった場所に到着した
カーナは周囲を見回して誰もいないことを確認するとそっと腰に下げていたランタンに火を灯した
「この場所で間違いないですね」
地図を確認すると素早く役目を終えたランタンの火を消す
まだ周囲は暗く何も見えない
分かることいったら今触れている岩壁のゴツゴツした鋭利な岩肌と、足元を流れる冷たい水の音だけ
さっきランタンを付けた時に周囲を確認したが×の付いた辺りに何も変わったものは無かった
それは今現在、既に暗闇に完全に順応したカーナの目を通しても同じこと
「カーナさん、今から作業に入りたいと思うのですが」
「ああ、ええ、分かりました。 私はあなた達を護衛していますので、どうぞマリアンヌ様の使命を全うしてください」
そう私が言うと彼らは背負っていたつるはしやスコップに手をかけた
そして驚くことに手にしたそれを振り上げた
「えっ?」
こいつら何をするもりなんだ?
まさか掘るの?
「せいっ!」
――ガンッ!
屈強な男は手に持ったつるはしを壁に打ち付けた
次に横にいたスコップを持っていた男が次の一撃を岩壁に与える
「でいっ!」
――ガンッ!
太い声と共に岩肌の一部が欠けた
そしてそれを皮切りに次々と振り下ろされるスコップ、つるはし、スコップ、つるはし、スコップつるはしスコップつるはしスコップ
何度も何度も繰り返されるそのチープな行為
カーナは暗闇に慣れた目でその一部始終を事細かに見入る
そして黙る
「………」
いやいやいやいや!
無理でしょ!
肌寒い風が通り抜け、岩壁をゆっくりと削る土煙のにおいと足元を流れる川のにおいが鼻をかすめた。
カーナは黙って掘っている彼らから視線を上げていく
戦闘が始まったことによって真っ暗な先にほのかに赤く揺らめくアトラスの国旗であろう旗
そのあまりの強大な存在感にこう言ってしまった
「スコップとつるはしで、この崖を崩すことは無理なのでは?」
すると屈強な男達の背中がビクッ!と震える
ゆっくりと首だけで振り返る1人の兵士
彼は怯えた背中で言った
「いや、さすがに手作業でこの三日月峠を崩すことは無理だと思いますよ」
そんなに怯えなくてもいいのでは?
昼のことがあったからでしょうけど、過度に怯えられると少し傷つきますね
そんな感想を持ちながらもこれ以上自分の発言によって作業効率を落とすわけにはいけないと、兵士の言った内容に納得したように首を縦にした。
その時、ハッと気付いた。
いや!この考え自体が不敬だ!
あの忌むべきムンガルと同じになってしまう!
マリアンヌ様には何か深いお考えがあるに違いない
カーナは反射的にその考えを振り払った。
「私はただ命令をこなせばいいのだ。 …でもねぇ」
警護しようにも周囲に気配らしいものは一切感じられない
人間はもちろん動物の気配すら
別にやる気が無いわけではなく、事実ここに来る最中を含めてカーナは猟犬のように周囲を警戒し目を尖らせたが何の気配も無かったのだ
目の前に視線を持って行った所で男達の汗まみれの労働風景を観察する趣味も持ちえていなかったカーナ、壁を背に持たれかかった状態で目を閉じて周囲の気配だけに気を配った。
…………
………
……
此処に来てから何時間ぐらいだろう?
やることが無さ過ぎて、時間の経過が遅く感じられるが、腹の減り具合から考えてたぶん3時間ぐらいだと思う
遥か向こうのほうの空が白みがかってきた。
「朝、ですね」
しかしそれでも鳴り止まぬ爆裂音
この五月蝿い騒音にも慣れていた
「戦というのは長いとは聞いていたが朝までやるものなのか」
それにしても音を聞く限り私の持ち帰った魔道具が役に立っているようでよかった
う~ん、誰が使っているのでしょうか?
マリアンヌ様だろうか?
そうだったらいいな
ムンガルだったら…
チッ!
さまざまな感情が入り乱れ、感傷に浸りながら見上げるカーナ
崖の上では戦いが激化している証の音が聞こえる
そしてその時、こちらでも凄い音がした
遠く、上のほうで鳴り続けている爆裂音に匹敵する崩壊音
「っ!?」
音がした方に目をやる
といっても目の前なのだが…
するとちょうどひしめき合っていた岩石たちがガラガラと音を立てて一気に崩れ去る所であった
綺麗に半円状に崩れ去る壁面
そして目の前に現れたのは巨大な穴
一度その口に喰われたら二度と出て来れないかと錯覚するほどの暗闇が広がっていた。
男たちは忍んでいることも忘れて歓喜の声を上げた
「やったぞ!」
「おおぉぉ!!」
「俺達、ついに…」
「あまり大きな声を出さないでください、敵に発見されます」
「あっ、そうか。すいません」
カーナが諭すように言うと男たちは、次の工程に移るようにせっせと地面に転がった岩たちを脇にどけ始めた。
「まったく…にしても」
この大穴はなんだ?
自然に開いたとはとても思えない
まるで元からあった大穴を”誰か”が後から塞いだような感じ
落ちたかけらの1つを手に取る
「完全に周りの岩や土と同化している」
壁を塞いだ人物は相当前にこの作業を行っている
それも1年や2年じゃない
少なくともこの同化率を見る限り、いえ触る限り10年は経っている
実際、私も崩れ去るまでまさか自分が背もたれにしていた先に洞窟があったなんて気付かなかったぐらい分厚い壁だった。
真っ暗で奥までは見えないが、声の反響音を聞く限り100m四方はゆうに越えるぐらい大きな空洞だろうことが想定できる
カーナは崖の上と洞窟を交互に見比べながら言った。
「この先に一体何が…」
「では我々は洞窟の中に行ってきます」
崩れた岩石をあらかた片付け終わった男の1人が今まで布をカバーのようにしていたランタンを取り出してそこからタイマツに火をつけた。
「はい、分かりました。私はどうしましょう? 護衛の為に付いていきましょうか?」
「いえ、あなたはこの洞窟の周辺に人が来ないか見張っておいてください」
「分かりました。では私は引き続きこの周辺を警護しております」
私以外は目の前の大穴の存在をそこまで驚いていないところを見ると、おそらくこれもマリアンヌ様の考えどおりなのでしょう。
気を引き締めるように朝日に照らされたカーナはナイフを握るのであった
………
……
15分経過
「ん?」
靴の下に冷たいサラサラとした感覚
それと同時にビチャビチャという音を耳が感じ取った
視線を落とすと背の高いブーツを越えるほどの水が押し寄せていた。
まずいと思った
「………」
傾斜のせいもあるのだろうが、呼び水のようにどんどん口の大きく開いた洞窟の中に入っていく川の水。
その勢いづく水流を目で追うカーナ
「………」
私はマリアンヌ様の計画は一切聞かされてはいない
だから分からない、分からないが…
これは絶対まずい気がする
そしてそう思った時には口が自然に開いていた
「あの!川の水がどんどんそちらに入っていってますけど! いいんですか!?大丈夫ですか!? 何なら私、何か手伝いましょうか!?」
手伝うとしても何をどう手伝えばいいか分からないがとりあえず言った
するとカーナの声が響いた洞窟の奥からタイマツの火が帰ってきた
「大丈夫です。…というか、作業終了しました」
「えっ、終了?」
屈強な一団の先頭でタイマツを持つ男は、なぜこの女は知らされていないのだ?と疑問を持ちながらもマリアンヌに受けた内容を口にした。
「川に流れる水を分岐する形で洞窟の中に引き入れるところまでが我々がマリアンヌ様より受けた命令なのです。その先は私達にも分かりかねますが命じられた内容は完遂いたしました」
「あ…そうなんですか、では帰りましょうか」
カーナはそう言いながらその場から足早に離れていく。
後ろ髪を引かれるように少し振り返る
いぜんとして川の水は洞窟の中に入っていく
これにいったいどんな効果が?
自然と首が傾くカーナ
仕事を終えた兵士達を連れてダイアル城塞の影と紛れるようにマリアンヌの待つ本陣に去っていった。
「にしても、護衛していたが拍子抜けするほど何も起こらなかったな…」
閲覧ありがとうございました(*・ω・*)/~~~アリガ㌧♪
本来、この視点は、この章を書き始めた時には計画にはありませんでした。
しかしクライマックスに向けてこの視点が必要だと思って追加しました。少しでも皆さんに楽しんで頂けたのなら幸いです(^_^)
それでは皆さん、また((ヾ( ^ -^)ゞ
チェンクロVよ、私は帰ってきた!!
ええ、やりましたよ。
139回で魔法使いの壊れキャラこと「シャウナ先生」を4凸しました!( /^ω^)/ワーイ♪
皆さん!エーゲ海行きのチケットはすぐ返金しちゃってください\(^o^)/
予定よりも少ない数での4凸、残った回数294回。これだけあれば、すぐにマレーナが来たとしても対処できる。川゜∀゜川フフフ
我が計画に狂い無しです!(^^)!
そして現在、魔人が襲来していますが、特攻キャラである「シャウナ」がいるので、敵の装甲がもう……紙ですねww 紙は紙でも水に濡れた障子紙、突けば破れるww
いや~楽しくてしかたないですね(^・^)♬♫




