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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第4章】 初陣!三日月峠の戦い
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23 月夜の夜に・アトラス編(2)

クリックありがとうございますm(_ _ )m


一番好きな遊戯王のカードは「サウザンド・アイズ・サクリファイス」

こんにちはひとりぼっちの桜です(^_^)


今回のお話は「20 月夜の夜に・ムンガル編」の後半場面のアトラス視点になります。

「20 月夜の夜に・ムンガル編」と一緒に読んでもらえると楽しんで頂けるように精一杯工夫をしてみました(^^♪

少しでも喜んで頂けると幸いです。


それではどうぞご覧ください♬




「ドドリス隊長、討ち死に! 一騎打ちにて敵、将軍に破れました!」


 悲報は馬に乗って足早にダイアル城塞に届いた。

 気を紛らわすために動いていた元副官の足がピタリと止まる

 そしてそのまま額に手を当てて感嘆かんたんする


「………」


 あの性格だ、ある程度の予想はしていた。

 想定していた1つとはいえ、こう言わずにはいられない。


「ムンガルと一騎打ちなど、なんと愚かしいことを」


 1番愚かしい選択だ

 勝てるわけが無い

 少し名の通った武将であっても魔道具も無しに”あの”ムンガルに挑むなど愚かしいにもほどがある


「もしそれでも魔道具無しでムンガルと一騎打ちで勝ちたいと言うのならプルート国、近衛部隊隊長でもある大将軍クルウェイでも引っ張り出さないと分が悪い」


 外殻塔の上から自軍の状況ならぬ心境を確認するように見下ろす

 すると耳に入ってきたのは兵士たちの混乱におちいった声の数々であった



「どうするんだ!?ドドリス隊長が死んだ後、どうすればいいんだ!」

「俺が知るか!!」

「落ち着け!こういった場合は次に階級の高いシェリー隊長に指揮権が移る!シェリー隊長に指示をあおげばいいだけだ」

「シェリー隊長は森の中だろうが!今からどうやって指示を仰ぐんだ! 敵はもうそこまで迫ってるんだぞ!」



「情けない」


 空に浮かぶ月に向かって呟いた。


 現在、この軍においての事実上の最高責任者が死んだ

 本来こういった場合、その次に階級が高い人間が引き継いで陣頭指揮じんとうしきを取るのだがそれもない

 まぁ、私がこの軍に入ったことによってシェリー殿率いる尖鋭部隊が森の中の部隊に合流したこともあるのだとうが、それを考慮したとしても、これは…


 蜘蛛の巣を突いたように慌てふためく城内、既に全員の酔いは完全にさめていた


「どこの国の軍だろうが頭を潰されるともろいという共通点は変わらないようだね」


 そんな兵士達をよそに元副官は考える。


「………」


 やはりドドリスを引きとめられなかったのは痛かった

 認めたくは無いが、あの老体は私には無い統率力があった

 私が長年得ようとしたが手に入らなかったもの


 それは年老いた年齢と経験がなせる技か?

 それとも彼自身が生まれもって持ちえていた産物か?


 討ち取られた以上、もはや本人に問うことすら出来ないか


 何にしてもこの状況を何とかしなければ

 ということは今現在、一番の懸案事項けんあんじこうは頭を失ったこの部隊にどこまでの自力が残っているか…か


 兵士は夜空に顔を向けて声が拡散するように言った。


「ムンガルとその部隊はドドリス隊長の部隊1千を押しのける形でこちらに向かってきています!ここまで来るのは時間の問題かと!」


 ドドリス死亡からここまで10分も経っていない

 にも関わらず、すぐそこまで攻めてきている状況を考えると、おそらくムンガルの部隊にいる爵位しゃくいを持つ3人の誰か…いや全員かもしれないが、事前に示し合わせていた可能性が高い。

 一騎打ち終了と同時に結果がどうであれ攻め上がる算段を立てていたのだろう。

 ということはドドリスが勝とうが負けようがこの結果は変わらなかったということか


「まったく、敵になって初めて実感するとはね」


 本当に白旗をあげたくなるほど優秀な元部下たちだ


 しかしうらやんでいる時間は無い

 もちろん悩んでいる時間も無い


 戦況は不利ではなく、こちらの圧倒的有利

 不利に見えるとのは実質の大将を失ったことによる士気しきの低下からくる幻影

 数もこちらが圧倒的に多い

 そもそもダイアル城塞を押さえている時点でそうそう敗北は無い

 ならば私が取る方法は


 元副官は頭の中で廻らせた思考をそのまま声に乗せた。


「すぐに城塞の正門を閉じてください!」


 ひょろっこい棒のような体からは想像も出来ない大声だった

 城内の兵士達が少し止まる

 だが、すぐに言葉の意味を理解した1人の兵士がこう言った


「しかしまだドドリス隊長と共に出た1千の兵が戻っていません! 彼らが戻るまで待ったほうが」

「そんなことをしていたらムンガルの部隊がこのダイアル城塞に入ってきてしまう!そうなってからでは遅い、手遅れになる前に早く城壁じょうへきを閉めなさい!」

「そうなったとしても、こちらには城内にまだ2千の兵がいます!1千の兵と協力すればたったムンガルと1千の兵など-」

「プルートの兵を甘くみてはいけないよ。 特にムンガルの部隊はムンガルだけが脅威なのではない『鉄壁のムンガル』これはムンガル将軍が長い月日を共に駆けてきた部隊と共に手に入れた異名であって他ならない」


 元副官は自分の喉元に指を押し当てると真横に線を引く


「だからこそドドリス殿も簡単に敗北した」


 たじろぐように周囲にいた兵士たちは後退あとずさ

 それを目で確認すると最後に止め刺すように元副官は全員に向かって言った。


「いいのかい? プルートに負けても?」


 外郭塔にいる元副官を見上げる何千もの兵

 全員の生唾を飲む「ごくり」という音が聞こえた

 そして次の瞬間、全員はすぐさま行動に移した


「すぐに城門の閉鎖に取り掛かれ!」

「ハイ!」


 ………

 ……


 程なくして城門は閉じられたのであった。


「城門閉鎖完了しました!!」

「そう、ご苦労様」


 これで唯一の進入経路は絶った、ネズミ一匹とてもうダイアル城塞に入ることは出来ない。

 あとは


「すぐに矢を放ってください、その中に仕込ませるように毒矢を混ぜてです」

「ハッ!了解しました!」


 じきに矢の効果を示す報告が元副官の元に届いた

 結果がかんばしくないという悲報ひほうであった


 例えその現状をあたりにしなくても、例えその報告の詳細を聞かなかったとしても、元副官にはこの結果は事前に分かっていた。


 彼らプルート軍は長年に渡ってこのダイアル城塞を守ってきた

 それは裏を返せば城塞の内部構造も知り尽くしていることを意味している

 どこから矢が飛んでくるかも手に取るように分かるのだろう

 しかも防衛戦に長けたムンガル将軍が先頭しにいるのであれば尚のこと


「やはり、こうなりましたか」


 一方、城門の前からは攻め上がってくるプルート軍と篭城ろうじょうしながら迎え撃つアトラス軍に挟まれる形で取り残されたドドリスの部隊が「開けてくれ!」と叫ぶ声が分厚い壁越しに城内に入ってきた。


 元副官は黙って首を振る

 それどころが無情とも思える策を兵たちに言うのであった。


「城内にある油を坂にまいてください、樽ごとで構わない」

「油ですか!?」

「ええ、そのあとすぐに火を放ちます」

「そんな非道な」


 元副官はどうかつするように近くにあった壁を叩いた


「それほどのことをしないとやつらは止まらない!」


 攻め立てるようにドスのきいた声で更に続ける


「いいのかい?ここにいる全員が皆殺しにされても? 相手はドドリス殿を一刀両断する豪腕の持ち主だよ」


 しばしの沈黙

 兵士はコクリと頷いた


「わ、分かりました…」


 次々と城壁から投げ落とされる油入りの大樽おおだる

 燃え上がる下り坂を遠目で見下ろす城壁塔の番人

 安堵のこもった大声で言った


「プルート軍、引いていきます!」


 その報告に歓喜の声を上げる城内の兵たち

 全ては元副官の思いどおりに進んでいく形勢


 元副官は勝利を確定させるべく最後の指示を出した。


「続けて岩を落としてください」

「えっ!?岩ですか!?もう敵は引いています!必要ないのでは?」

「追撃に手を抜くと次は自分達が手痛いしっぺ返しにあいます。早くしてください、時間を置けば置くほど相手に付け入られる隙を与える」

「は、はい」


 やるなら徹底的に

 こちらの被害が1千出たとしても、相手にそれ以上の被害を与えればいい


 元副官は今まさに城壁の上から落とそうとしている大岩を背に一服するようにパイプに火を入れようとした。

 まさにその時であった

 門の向こうがまぶしく光ったのである

 そしてその後、岩の砕け散る音がここまで届いてきた


「っ!?」


 何事かと顔を向ける元副官


「この光り、、、、」


 自然現象が放つ光ではない


「間違いなく魔道具」


 そこから連想される人物は1人しかいない


「まさか…シェリー殿」


 あの10英雄が裏切ったとは考えられない

 ということはこの攻撃は敵がシェリー殿から奪って使った魔道具

 おのずと答えは出た


「殺されて魔道具を奪われた」


 殺ったのはムンガルとその部下たちだろう

 アプリ、シグレ、ヒナタ、この3名は特に強い

 いかにシェリー殿と言えどこの4人から一斉に森からの奇襲を受けたのなら勝てないのも頷ける。


「ただ、森と一体化したこちらの部隊をどうやって発見できたのか…」


 ブツブツと独り言を並べながらうろうろと歩く元副官

 それを見て1人の兵士が質問を投げかける


「もしかしてシェリー様が裏切ったんでしょうか?」


 不安そうな声だった


 そんなわけが無いことは皆の方が分かっているだろうに

 妄言もうげんでも言わずにはいられないほどの動揺が広がっているということか


「それを考えるのは後だよ。今はただ耐えるんだ、大丈夫だよ。魔道具が1つ増えたところでこの城塞は決して落ちない」


 おそらくムンガルたちは魔道具の援護射撃を盾に撤退するだろう


「どうしましょう!落とす岩を次々に破壊されています!」


 ギリッと元副官は奥歯を強く噛む


「これ以上の追撃は難しいですね」


 悔やむように肩を落として舌打つ

 しかし次の瞬間には元副官は切り替えるようにいつものような冷静な物言いに戻った。


「敵は撤退します。ここから先は最低限の追撃で結構、追い討ちまでは考えなくていいよ。 それよりも城外に残ったドドリス殿の部隊の被害を防ぐようにしてください」

「ハッ!」


 出来ればここでムンガルの部隊に大打撃を与えておきたかったが仕方がない

 ここはこちらの戦力を取り戻しつつムンガルが峠を下り切ったら、すぐにでも全ての門を取り戻して戦況を立て直しましょう。


 しかしこの元副官の計画は再び声を上げた城壁塔の番人によって白紙に戻された。


「ムンガルとその部隊、尚一層なおいっそう猛攻を強めてこの城塞へ向かっております!」

「そんなバカな!?」


 ムンガル、何を考えている!?

 魔道具1つでこのダイアル城塞が落とせるわけが無い

 これ以上、城塞を攻めたとしても得るものは無く、ただ無意味に兵士を死なすだけ

 そんなことが分からないほど無能ではない

 いや、そもそも”そんなこと”を許さない人間だ

 それがムンガルという人間


 本当に…


「本当に私はムンガルと戦っているのか?」


 頭がパンクしそうになる


 その動揺が伝わってしまったのか、中間クラスの階級の兵士までもが動揺した口で指示を求めてきた。


「ど、どうしましょう!?」


 元副官はまるで棒のように立ち尽くしていた。

 しかし顔だけを敵がいるであろう方向へ向けると、自分自身のこれまでの経験を己に信じ込むように断言した


「落ち着きなさい。きっとすぐに敵は撤退するはずです。それまで全力で耐えるように城内の兵士全員に伝えてください」

「了解しました!!」


 しかしこの後、元副官の想定は外れる事となる

 止まない矢

 鳴り止まない怒号

 そして結果的にプルート軍の攻撃は朝方まで続いたのであった



最後まで閲覧ありがとうございましたm(_ _"m)ペコリ


次回は「月夜の夜に」の最後の視点、○○○編になります。

○の中に何が入るのかは「21 重罪」の中にヒントを入れておりますので、次回更新まで予想して楽しんで頂けるとうれしいですヾ(嬉'v`嬉)ノ

まぁ、問題にしたところで「21 重罪」を見たら明らかなので、問題にもなってないかもです(笑)


では、また次回( ´ー`)ノ



とんでもない事が起きました。

非常事態です、エマージェンシーです(( ;゜Д゜))ブルブル


チェンクロVなんですが…なんと!まだ2ヶ月先に来ると思っていた、私の狙っていたマレーナの後に来るはずだった、魔法使い最強クラス「魔人の恩師シャウナ」が来ることになりました、、、しかも今日(>_<)!


実を言うと私の計画では500連でマレーナは確実だと思っていました、そしてマレーナを引いた後に250連は残っている状態でシャウナという予定だったのに…

それがまさか、マレーナの前に「シャウナ」を持ってくるとは…企業の決算前だからか(/_<)


なんにしても「シャウナ先生」がこのフェス限定である以上、引かないという選択肢は私にはありません(>_<)

たとえまだ433連しか貯まっていなくても…

今から全力ガチャです=┏(゜ロ゜;)┛!


もしも…もしもの話ですが、、、

私が道半ばで倒れた時は、私の骨はエーゲ海の綺麗な海にまいてください。

あの世で美人の人魚と結婚するんだ(´ー+`)


それでは皆さん…逝ってきます!(`・ω・´)ゝ


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