17 相容れぬ2人
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ケンタッキーは足の部分が好きな「ひとりぼっちの桜」ですww
今回のお話は年末ですしハートフルな会話を目指して書き始めました、、、ええ、最初は(^.^)ニコニコ
結果は…どうぞご覧ください(笑)
『300人以上のアトラス兵、全員私が殺してしまいました』
その衝撃的な発言がまだ耳に残っている
我々は言われるまま、50人ほどの兵を引き連れて先導するカーナの後を付いて行った。
まずは物見やぐらから
× ×
「マリアンヌ皇女殿下、この倒壊したガレキの山は」
「ああ、おそらく以前はやぐらだった物だろうな」
どうやったらここまで散乱するんだ?
そんなことをマリアンヌの一団が思っていた時、カーナは言った
「魔道具使い以外の死体は本部のほうに持っていかれてしまったので、魔道具使いの死体だけすぐにお持ちします」
カーナはせっせと兵達に指示を出すと、一緒になってガレキを持ち上げてその下から1体の死体をマリアンヌの前に置いた。
「これが件の魔道具使いです」
「…こいつが、ああそうか」
首元がパックリと割れて苦悶の表情で死んでいる魔道具使いシェリー。
その表情からは無念と怒りが見て取れた。
死体を取り囲むように見ていた一団、その輪の中でムンガルは一歩、その巨体を前に出す。
「おや?この御仁はシェリー将軍ですね」
「知り合いだったのか、ムンガル?」
「ええ、このムンガルと戦場で幾度も相見えた好敵手です。アトラスに10人いる10英雄の1人です」
「それはアトラスにいる全員が魔道具持ちの戦闘集団か?」
「ほぅ、マリアンヌ様もご存知だったとは、さすが博識ですな」
「うむ」
そもそも我が知っていたのは母の記した日記に書いてあったからだからな。
「そういえば、7年ぐらい前でしたかな?アトラスが民主国家になった時に将軍という地位、爵位自体が無くなったとか」
「へぇ~、そうなのか。民主主義とはくだらない制度だこと」
そう言い終わるとマリアンヌは何か思いついたかのようにその場にしゃがみ込んむ。
そしてジッとシェリーの遺体を見ながら視線を動かさなくなった。
ムンガルは感傷に浸るように言う
「いや~、よき好敵手だったのに残念です。できればこのムンガル、自らの手によって勝負を決めたかった」
その言葉にマリアンヌの横にいたカーナ
忘れていた怒りの感情を思い出した。
そしてドカドカと地面に怒りをぶつけながら喰ってかかるようにムンガルの前に立つ。
「ムンガル卿、あなたには言いたいことが山ほどあります。 まず!そういう事は先に言っていただけませんかね!わ・た・し!が!行く前に!」
カーナのぶっきらぼうな口調にムンガルは目を細め、威張るように腕を組んでカーナを見下ろす。
「そういった事…? 何のことだ? メイド、お前が何を言っているか、このムンガルには見当がつかん」
「何を言っているか分からないだと!?」
カーナの表情が険しくなった。
身長差を物ともしないように見上げてガンを飛ばす。
「面識があるならもっと詳しい外見を教えろよ。こちとら、おかげさまで似た甲冑を着た人間がもう1人いて苦労した」
「このムンガルの話を聞かず、1人で行ったのはお前の勝手な行動のせいだ」
「マリアンヌ様の指示だ、お前はマリアンヌ様に異を唱えているのか?それは不敬だ、騎士として万死に値する」
その言葉にピクッと反応するムンガルの眉
胸に物がつっかえたかのように、チラリとマリアンヌを流し見る
ムンガルの心配をよそにマリアンヌは2人を完全無視するように魔道具使いシェリーの前にしゃがみこんで、考え事をするように指を額に押し付けていた。
「メイド、お前が言っていることはただの子供の駄々と変わらない。戦場において予想困難な状況は多々存在する、お前はそのたびにこのムンガルに食ってかかるのか?」
「予想困難な状況に陥らせたのはお前の情報が少なかったからだ! もっとマリアンヌ様に正確に情報をお伝えしていれば、このような惨事にはなってないと言いたいんだ!」
「知っている情報は全てお伝えしている」
堂々と胸を張るムンガル
カーナはなおも食い下がる
「ふざけるなよ! お前がこの男と面識があることは今お前が口にしてマリアンヌ様に伝わった、なぜそれを先に言わなかった!?」
「不可能だ。このムンガルが知っているシェリーという御仁、持っていたのは黒槍だった。それに甲冑も着ていなかった、同一人物とあの時分かりようもない」
「声なら分かるんじゃないのか?それは伝えたのか?それとも先の戦いでは逃げるのに必死で錫杖を持つこいつの声も聞こえなかったか?」
連れてきた兵士たちは完全に押し黙った、それは触れてはいけないパンドラの箱だと全員が理解していたから…
しかしカーナはその境界線を簡単に超えて来た。
普段は温厚なムンガルの表情が鋭くなる
「女、たとえお前がマリアンヌ様のお気に入りといえども、これ以上このムンガルに無礼な口を利くとただでは済まさんぞ」
睨むムンガルにゆっくりとカーナは口を開く
「私なら…今回同様、逃げはしなかった」
その発言にその場にいた兵士達の動きが止まった
明らかにムンガルの目が険しくなる
カーナは更に続ける
「大した結果も出さずに爵位を振りかざす、私はお前のような者を騎士とは認めない。私は今回、死にかけたがマリアンヌ様の為に成果を出した」
その言葉にムンガルは鼻で笑う
「運よく不意打ちが成功したからといって調子に乗るな。女が1人で暗殺まがいな出すぎた行動をして死にかけるのは当たり前だ。大方、色仕掛けでもしたんだろ?そしてそのような暗殺まがいな戦法、いかに結果を出そうが、成果とは決して言えん。 それに300人殺した言ったな? 馬鹿は休み休み言え、そんなこと魔道具を持っていたとしても困難だ。お前程度の女に出来るとは思えん。マリアンヌ皇女殿下に気に入られたくてサバを読んだんだろうが、やるならもっと上手くやるんだな」
カーナの手はそっとふくらはぎに忍ばせていたナイフの柄に触れる。
そして無表情で言った。
「取り消せ」
しかしムンガルはもう一度、今度は明らかな挑発を含ませるように鼻で笑う
「しがない女の頼みを聞く耳はこのムンガル、持ち合わせていない」
その瞬間、カーナの脳は目の前の巨体の男を敵として完全に認識した。
別に自分自身がどう思われていてもいい。
しかし主君に対して気に入られたくて嘘をつくなど、あの夜にもうしないと誓ったことだから
その忠誠心を愚弄したムンガルが敵以外のなんだというのだ?
「……もう取り消さなくても結構です」
カーナはムンガルに対して見上げていた顔を逸らしてため息のよう静かに空気を吐き出した。
そしてもう一度ムンガルに顔を向ける、その瞳は冷たい深海の海底のように黒く感情がまるで感じ取れなかった。
「お前のような傲慢で独善的な人間がマリアンヌ様の側をうろつくのはもう我慢ならない」
そしてナイフの柄に完全に掴むカーナ
「お前をこの場で殺す」
周囲の温度が一気に下がったように冷たくなった
今まで置物のように黙っていた兵士たちも、いよいよ自分達はどうすればいいのか?と息を飲むしかなかった。
ムンガルは屈強な鎧をカーナに向け
そして威圧的に見下ろす
「やってみろ、メイド」
その緊張状態の中、土の上にしゃがみ込んだマリアンヌ、黙って立ち上がった。
そして周囲の空気を全て吸うような勢いで大きく息を吸った
「お前らぁ!うるさい!!考え事に集中できないだろ!!」
怒りに身を震わせながら振り返ったマリアンヌ
我慢の限界を達した口で2人言う
「耳障りなんだよ!!さっきから!!我慢ならないのはこっちの台詞だ!!」
言い争いをしていた2人、不意をつかれたように目を点にした。
言葉を失った2人にマリアンヌは収まることの無い剣幕で続ける。
「考え事をしているのは見たら分かるよな!なっ!? おい!ムンガル分かるよな!?」
「は、はい」
「なら喋んな!お前の声はその図体同様でかいだよ!それとカーナ!お前もうるさい!もう息するな!!」
「はい、申し訳ありません!マリアンヌ様! 息するのやめます!……」
「本当に止めたら死ぬだろうが!頭使えよ! もういい!カーナは少し黙ってろ! あともうお前はムンガルと会話するな!」
こいつらとの会話は疲れる
特にカーナ、お前は本当にもう…
「ムンガル、お前に聞きたいことがある」
「ハッ!何なりと」
「この魔道具使いはお前同様、部下に慕われているのか?」
「いやいや、私などそんな、とんでもないです」
渋みのある顔の鼻先をかくムンガル
それを見たマリアンヌ、そんなことを聞きたいんじゃないと頭を振る。
「謙遜とかいらない、それにお前を褒めるために言ったわけでもないし、テレた表情なんて見たくない。今、聞いているのはこの死体の男についてだ、早く答えろ」
「えっ、あっ、すいません」
プッっと吹き出すように顔を背けて笑うカーナ
クソーとムンガルは顔をひしゃげた
「おい、ムンガル」
「は、はい。…そうですね、この男は敵であるこのムンガルですら敬意を覚える人物です。人望があり、部下に慕われていると考えてよいかと」
「それはダイアル城塞の中の人間にも?」
「ダイアル城塞の中にいるやつら全てが部下かどうかまでは分かりかねますが、頼りにされていると言う意味でなら、これだけの御仁です、慕われていると考えてよろしいかと」
マリアンヌは「なるほど」と視線をシェリーに向ける、そしてそのまま背後にいるカーナに言った
「カーナ、300人の死体はあるのだな?」
そう尋ねると、カーナは真横にいるムンガルを一瞥してはっきりとこう答えた。
「はい。もちろんです」
その答えはマリアンヌの口角を含み笑いと共に吊り上げた
「いいことを思いついたぞ、、、フフフ」
「え~と、マリアンヌ様?」
「私は天才だ」
「はい、それはもちろんです。そしてマリアンヌ様以上の天才などこの世におりません」
「ウフフ、そんなに褒めるな、まぁ本当のことだから仕方がないがな。それではカーナ、お前が300人殺したと言うその場所、これから我らの本陣となる場所に行こうか…と、その前に」
我はこの場に着いて、シェリーとやらの死体を見た時からカーナに質問したかったことがあった。
しかし今までしなかった。
いや、正確に言うと見間違いだとすら思って”あること”に関しては質問をしなかった。
だって「なんでこいつは?」と思ったよ、て言うか「何してんだこいつ!?」が一番近い感想だっただろう。
それは何も我だけじゃなくシェリーを見たときに皆が思ったであろうこと
しかしあまりの不自然さに皆自分の目を疑ってしまうほどのこと
でもこのままにしておくと、若くして老眼になったと嘆くか、気持ちの消化不良で寝れなくなってしまうと思った、だからシェリーの死体を見下ろすように指差した。
「1つ聞きたいのだが…」
「はい、なんなりと」
「何でこいつは下着姿…パンツ一枚なのだ?」
カーナは「あ~それは…」と視線を宙に漂わせる
そして言った
「それはちょっと色々ありまして。 それで次に案内する場所なんですがここからだと徒歩で15分ほどかかりますので、マリアンヌ様は再び馬にお乗りくださいませ」
何それ!? めっちゃ気になるんだけど!?
閲覧ありがとうございました!
この2人にはいつか腹を割って話してもらいたかったのですが、どう考えても仲の良い会話にはなりませんでしたww
まぁ~こんな展開ばかりが思いつくのも私らしい?って感じかな、なんて思ったりもしてます(笑)
今後の2人の関係性がどうなっていくのか、みたいなことも期待して頂けると書き手としては嬉しい限りです(*_ _)
ちなみに私の年越しはNHKの紅白歌合戦に出る「μ's」を見て、その後「マジカルミライ2015」という初音ミクの番組を見る予定です。
除夜の鐘?ハハハ♪寒いから行きませんよ、コタツから出るもんか^^♪
それではたぶん今回が今年最後の更新となると思うのでこの言葉で締めようと思います。
皆様!よいお年を!(o≧∀≦o)ノ ゜+。:.




