15 カーナの決死行(2)
クリックありがとうございますm(_ _"m)ペコリ
『週間ユニーク数』まさか『今週の』っていう意味だったとは…
ついさっき週間ユニーク数がまた100以下になってて驚いた「ひとりぼっちの桜」ですww 無知とは怖い物です(( ;゜Д゜))ブルブル
それではどうぞご覧ください。
ん? 洞窟に入るのか?
洞窟に入っていくことは暗くじめじめした土のにおいと、視線の先が開けた青空から割れた岩肌になったことで理解できた。
あれから森の深緑のにおいが無くなって、枯れた土と岩のにおいに変化した。
そして頭の方向が持ち上げられ、登った先に洞窟、どうやらこの洞窟らしき場所がアトラス軍の本陣のようだ。
結果的に敵の本陣まで運ばれてしまったカーナ、ここまでくると自分の進むべき方向を完全に決めていた。
それは逃げることではなく、進むこと
ここでいう進むとは
もちろんマリアンヌの敵を排除すること
カーナは冷たく、でも燃えるように決意する
”マリアンヌ様の敵は私が全てを排除する”
だからこそ今必要なのは情報
「シェリー様が死んだ!?」
「そんなバカな!! プルート軍ですか!?」
ここは入り口から数メートルといった所だろうか?
洞窟に入って最初に話しかけてきた2人の声が近くから聞こえた。
私の乗ったタンカを持っている人間は力なく返答する。
「分からない…ただ、全員が亡くなられている」
とりおき短い会話が終わると私の身体は洞窟の奥に進んでいく。
バタバタと走り回る音が反響している
皆、口から発するのはあの5人が死んだことばかり
カーナは結果的には一撃も自分に傷を負わすことすら出来なかったやつらを思い出す。
あの5人の死亡がそんなに意外なことなのか?
確かに弱くは無かったが、、、
そこまで強いとも感じなかった
アレ程度が死んで驚愕するのであれば…
カーナは両目を閉じて反響する音から洞窟の全体図を脳内に描いていく。
数を正確には把握できないが、この洞窟には相当人数がいる
音の反響具合を考えるとそうとう大きな縦長の洞窟
一定距離ごとに兵士が1人づつ立っている、いる位置は洞窟を照らすために吊るされたロウソクの明りの側、およそ20mに1人。
カーナは飢えた殺人鬼のように標的となる人間達の大まかな人数といる位置を耳だけを頼りに頭の中に叩き込んでいく。
そうこうしている内に視線の先が白色へ
いや、実際には所どころ剥がれ落ちた白い天井が見えた
そして一気に明るくなる視界、そこは洞窟の中だというのにとても明るかった
おそらくシャンデリアもしくは鏡のような物を使ってロウソクの灯りを屈折させているんだろう、周りの岩肌を白っぽく塗っているのも光の反射を利用するためといった所か。
しかし仕事は雑だ、私に言わせれば塗りが甘い、だからペンキが風化してボロボロになっているんだ。私ならもっと完璧な仕事をするのにな…
頭の中に直接届いてくるような消毒液のにおいが甲冑の中にまで入ってくる。
甲冑の中で煙たそうに顔をしかめるカーナ、ここが医務室であることを理解した。
するとカーナの身体はタンカから治療を行うベッドに兵士達の「よいしょ!」という声と共に移された。
甲冑の重量に悲鳴をあげるベッド、ギィーと軋む。
「とりあえずシェリー様の遺体だけここに」
「どうしてここに?」
「とりあえずだ、シェリー様を地べたに横たわらせるわけにはいかんだろうが」
「あっ、なるほど」
「とりあえず他の4人の方の遺体を運ぶぞ」
「はい」
そう言うと兵士たちはカーナの入った甲冑を残して、扉の開く音と共にさらに奥に進んでいった。
× ×
水を打ったように静まり返る空間でカーナは息を大きく吸う
すると湿った土のにおいが肺を満たした、そしてフーと吐く
ゆらゆらと揺れるロウソクのような明りに灯されながら右手を少し動かすと甲冑の金属が擦れるカチャカチャという音が静かな空間で小さく鳴った
そしてスムーズにグーとパーを繰り返す甲冑の右手
カーナは部屋の天井の剥がれ落ちそうな白と岩色の斑点を数えるように呟く
「初めて甲冑を着たが少し動きづらいという難点はあるが、これなら大丈夫だろ」
呟く言葉はまるで暗闇に溶け込んでいくように吸い込まれていった、そしてまた直に真っ暗な無音に戻った。
消耗していた神経を休ませるように身体から力を抜く
人がいないことを完全に把握したので首の骨もポキポキと鳴らす
そしてもう1回深呼吸、今度は人がいないので大きく
「ハーーー、疲れた。 もう嫌になるな」
なんと言っても緊張の連続だったからこれぐらいの愚痴は仕方がない。
もう緊張して喉がカラカラだ。
何か飲み物を所望したいところだ
カーナは甲冑の中でフフと微笑む。
「やつらを皆殺しにした暁には生き血でもすすってやるかな」
小粋なカーナジョーク♪
なぜこんなにもカーナが余裕たっぷりに考えられるようになったかと言うと先ほど兵士たちの会話に起因している。
『シェリー様の遺体、どこに運べば?』
『臨時で死体安置所を作らせた。今からそこに運ぶぞ』
死体安置所 = 人がいない
人がいない = 自由に動ける
自由に動ける= 暗殺し放題
見事なまでの三段論法だ。
マリアンヌ様のお喜びになる顔が目に浮かぶ。
今いる位置も入り口からのだいたい距離感も把握はしてある。
カーナは冷たい金属の中で見聞きした内容を集約、分析していく。
入り口からこの医務室まで269歩かかった
一般男性の平均身長175cmぐらい、私を運んでいる人間2人が同じぐらいだと仮定すると歩幅は100を引いた75cm、重い荷物を乗せてタンカを持っていることも考慮すると70cmといったところだろう。
つまりこの場所は269×70でおよそ188メートルほどの場所
直線距離でないにしてもそうとう広い可能性あり
途中、右折5回、左折7回した
タンカを持った人間とすれ違っても兵士たちと当たらなかったことを考えると、ある程度の道幅を確保した大穴の構造。
まぁ、この医療室の先にも部屋があるようだが…洞窟に穴を掘って作った物だ、この先にまだまだ部屋が大量にあるとは考えづらい。
人数に関しては100人は最低いる。
これは物見やぐらに来た人数からの大まかなものだがまぁ多少の誤差などあって無い様なもの。
そして入り口からここまでにいた人間は気配や喋り声、走って通過する足音から最低20人はいる、念のためにプラス30ぐらい余裕を持って150人がこの本部とやらにはいる。
「ふふふ、余裕だ」
魔道具を持つ人間がいないのであれば多少腕が立つ程度のやつがいたところで私なら殺せるだろう、話を盗み聞く限りあの魔道具使いより強いやつはここにはいないようだしな。
しかも立地状況が素晴らしい、この洞窟は基本的にロウソクの灯りに頼っている、ということはロウソクの明りを消せばあっという間に私の狩場の完成だ。
カーナは人の気配が無くなった医務室で勝利を確信するのであった。
すると扉の向こうから近づいてくる足音。
「おっと人が来たようだ」
カーナは甲冑の中で姿勢を正すように再び死体を演じるのであった。
× ×
扉を暴力的に開ける音
そして1人の人物が数人と共に部屋に入って来た。
「で、シェリーはどこにおるんじゃ?」
しゃがれた老人の声が聞こえた。
上を向いたフルフェイスのヘルムの隙間を白衣の端が撫でる。
嫌な予感がした
「先生、こちらがシェリー様です」
先生!?
もしかして!?
カーナは固まった。
あまりの衝撃的な発言に甲冑の中で口が半開きになる。
「なんで甲冑を着とるんじゃ? これだと顔も見れんじゃろうが。それに死んだ人間を生き返らせることなんて医者のワシでも出来んわ」
どうやら会話を聞く限りこの老人は軍医で間違いないようだ
そしてこれは…まずいそ
軍医なら、私が生きていることがバレる可能性が高い。
「甲冑が取れないんですよ。どうやら繋ぎ目が壊れているみたいで」
老人はギョロギョロした目で甲冑を見入る
そして「う~む」と唸るように首を傾げた。
「確かに壊れておるの。しかし全部が壊れるなんてことあるかのぉ?」
「それだけ壮絶な戦いだったんですよ! おそらく敵は多勢に無勢でシェリー様を袋叩きに違いないです! でないとこの御方が負けるわけが無い!」
「その割には繋ぎ目以外はそんなに損傷しとらんが」
「そんなこと言われたって…、実際に壊れているんですからそういうことなんじゃないですか」
兵士の説明に納得できないのか、老人は言葉を飲み込むように黙った
そして再度、口を開いた
「…で、医者のワシにどうしろと? ワシは防具屋では無いから外せんぞ」
「いや、別に何かをして欲しいわけじゃ…。ただ少しの間このベッドを貸して頂ければそれで結構です」
「なんで生者の為のベッドを死者に貸してやらないといかんのじゃ!」
「シェリー様を地べたになんて置けません!」
少し黙った老人
髪の毛をボリボリと掻く
「分かった、じゃあ一応死亡確認だけはしておこう」
やはりそう来たか!
ランタン片手に覗き込んでくる人影
カーナは咄嗟に目をつぶった
「目は…つぶっとるな。 脈は…」
年老いたシワだらけの指がカーナの手首にピタッと触れる。
カーナは再び右腕の脇に挟んだ石に力を入れた。
そして数秒後、老人は言葉尻に疑問符を含ませながら言った。
「脈は止まっとる。 しかし…妙に暖かい、まるでさっきまで生きていたかのようじゃ」
まずい!この洞窟に入った時から脈を止めておくべきだった!
脈は止められるが、体温までは急には落としきれない。
「それに、こんなに手首細かったかの?」
それは私ではどうしようもない!
「首周りが血だらけじゃから、おそらくそこが致命傷のようだが、その割には首に傷らしい物が見えんような…いっそのこと首部分は顕になって触れるわけじゃし、どんな得物でヤラれたか調べておこうか」
ピンセットのような物を持った手がカーナの目の前を通過していく。
やめろ!首に触れるな!
触れたら傷が無いことがバレてしまう!
頼む!やめてくれ!
無慈悲に目の前を横切っていく白衣の腕
どうする!?
殺すか!?
今、この場で全員!
息遣いから医師を含めて4人!
十分、殺れる!
あとは武器!
ナイフは甲冑の内側の服、無理!
近くにあるのか!?
首は動かせないぞ!
いや!いっそ動かしてしまえば―
「先生、これ以上は」
ドキドキと心臓を鳴らすカーナの目の前を通過する白衣の腕が兵士の手によって止められた。
「これ以上シェリー様の身体に触れることは弄ぶ行為です」
悲痛な口ぶりだった
老人医師は周りの兵士たちの顔を見回すと頷いた
「わかったわい。こいつもこれだけ部下に慕われて幸せもんじゃな」
じ、寿命が縮んだ
…危ないところだった
心臓が飛び出るかと思った
まぁそれは差し置いて、どうやら今の私はツイているようだ
魔道具使いとの一戦ではえらい目をみた反動だろう
誰かが言っていた”運はプラマイ0になる”と
あれだけのことがあった後だ、これぐらいの幸運あってもらわないと困る
などとカーナはちょっとおかしくなったテンションで自分本位の幸福論を展開する
「それにしてもシェリーめ」
軍医である老人はイライラとした指先で私の足部分をコンコンとこつく。
「勝手に死におって」
やめろ、ジジイ、ひき肉にするぞ
「やめてください!中には隊長がいるんですよ」
「こいつの言う通りです!それに先生と隊長は古くからの付き合いじゃないですか!」
「フン、ワシにとっては死んで帰ってくるようなやつにかけてやる言葉などないわ。 …まったく、勝手にワシよりも先に死によって」
哀愁のようなもの感じさせる言葉
カーナは思いました
もう茶番はいいから、早く死体安置所にでも連れて行ってくれ
頼むから…
「先生」
「鎧は後から外せ、とりあえず魔道具だけは回収しておけ」
え? 今、何て言った?
「でも、さっき僕がやりましたけどシェリー隊長、魔道具を手放さないんです」
「何を言っておるんじゃ、そんなもん力ずくでやれ」
無理だよ、お前ら程度の力じゃな
「1人で無理なら3人がかりでやれ」
えっ!さ、3人!?
ずるいぞ!
私は1人なのに!?
「いっせーのーせ、でいくぞ」
「はい」
「了解しました!」
やめて!
「「いっせーのーせ!」」
くそぉ~~!誰が放すか!
これはマリアンヌ様が欲している物なんだ!
………
……
「ぜぇぜぇぜぇ」
「は、放しませんね…」
「ま、魔道具に対する執念が凄すぎる」
はぁはぁはぁ
か、勝った
信念の勝利だ
「最近の若いもんは情けないの。 どけ、ワシがやる」
老人は手術台に足を置くと、足と手に全ての力を注ぎこんで顔を真っ赤にして力を入れた。
「ぬうぅぅぅううううう!!!」
………20秒後
当たり前だがウンともスンともビクともしなかった。
「ぜぇぜぇぜぇ、これ固すぎるだろ! これ本当に生きてるような力では無いか!」
呼吸不全を起こしたような息遣いをしながら老人医師は魔道具から手を放す。
「だから言ったじゃないですか、今僕たち3人がかりでやって無理だったのに」
早く諦めろ
そして私を死体安置所に連れて行け
そうすればラクに殺してやる
甲冑の中で黒い笑みを浮かべるカーナ
その気持ちが伝わったのか、老人医師は諦めのため息を大きく吐いた。
「仕方ない」
老人は何か決心したかのように背を向ける。
そして「よいしょっ」という声と共に重い金属の音が床を打つ。
「この剣で腕ごと切り落とすんじゃ」
ええええええええええええ!!!!!!???????
閲覧ありがとうございました<(_ _*)>
つい先日、私の大好きなアニメが1つ終わってしまいました(;´Д⊂)
この時期になると仕方ないことですが、好きな作品が終わるのは悲しいものです。
『新妹魔王の契約者 BURST』一人っ子の私が思い描く兄弟像がそこにはあった( ˙-˙ )まぁ、あれは血は繋がっていない兄弟でしたが…本物の兄弟でもあんな感じでしょ!きっと!(*^m^*) ムフッ
次回は早くアップできそうなので、次回もよかったら読んで頂けると嬉しいです(。>∀<。)




