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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第10章】 表と裏の2つの部隊(表)

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27 裏カジノ(1)

クリックありがとうございます♪地獄の稲刈り、そして夏ずっとやってたエアコン取り付け地獄もひと段落したひとりぼっちの桜ですw いや~~地獄だったねw思い返してみると…思い返したくないぐらいです(´;ω;`)ウゥゥ



さて今回のお話ですが…あのキャラが出てきますよw4人の若獅子、その1人であり、カーナに致命傷を与える作戦を考えた彼…。

ではどうぞ今回のお話もお楽しみくださいませ~(^^♪あっ、因みに今回も原稿用紙9ページ、ほぼ10ページ分になっちゃったww



 そこは薄暗い部屋だった。

 しかしだからといって狭いわけではなく、100人以上は入れる壁などの仕切りは存在しない大きなワンフロアである。

 そして昼だというのに窓という窓には薄いカーテンがかけられ、光は薄っすらとカーテンの隙間から入ってきて、その淡い光と室内の壁に付けられているランタンが怪しく室内を赤く照らす空間。


 足元を見てみる。

 出入り口から真っ直ぐと長く続く赤い絨毯。

 選ばれた者だけがその上を歩けると言わんばかりの高級絨毯。

 そしてその足元の先。

 そこではバカラ、ポーカー、ブラックジャック、ルーレット、シックボン、グラップス。様々な賭け事が執り行われていた。


「それではお客様方、お賭けください」


 カラカラとルーレットを回る玉の音。


「うぉぉぉおお!!やったぞ!!」

「あああ!くそぉぉ!!」


 勝つ者、負ける者、それこそ様々であるが皆、総じて興奮して賭けに没頭している。


 ここは超大国プルートにとって非合法であり非公認の場所、しかしプルートから黙認されている裏カジノである。



 本来カジノという場所は胴元どうもと店側が勝つように出来ている。

 もちろん個人単位、運などの要素によって勝つ人間もいる。

 連日勝つ人間もいるだろう。

 それでも店側がトータルで客側に対して損をすると言う事はありえない。

 客が来る限り店全体で見ると勝ち続ける。

 それが賭場である。

 だがそんな完成された仕組みの中、1人の例外が数年前この裏カジノにやって来た。


 それは大人ではなく分不相応な小柄な少年であった。


 ボロボロの服を着た少年。

 その少年はその時、全てを失っていた。

 没落貴族の1人息子。

 親が財産を食いつぶし、いよいよ家自体も失う一歩手前という状態。

 そんな危機的状態で裏カジノに残りの財算全てと自分自身の命を賭けてやってきたのだ。


「この財産を金に変えてくれ。それで賭けをする、足らなきゃオイラの命も金に変える」


 当初は店の者は誰もが少年を見て思った。

 自暴自棄になった哀れな貴族のガキが一発逆転を夢見て分不相応なカジノにやって来たと。

 こいつは借金漬けにして奴隷候補だと。

 しかも身分は貴族だ、最高のカモだと。


 だが彼らの思惑は完全に外れることになった。


 裏カジノにやって来た彼はその卓越した博打センスと抜群の勝負勘は元より、ギャンブルに勝つに必要な要素を全て持ちえていた。


 ギャンブルの仕組みを事前によく勉強し、情報収集を徹底し、諦めず、感情に左右されない、負けの原因を瞬時に分析し次の勝負に挑む、ストラテジー通りにプレイする。

 そしてこれらの要素に加え賭博センスと勝負勘。

 少年は店側が多数持っている店で勝ちを重ねて、あれよあれよという間にここ、一番賭けのレートが高いこの賭場までやって来て裏カジノを潰しかけるほどの大金を得た。


 この一番レートが高い賭場で少年が賭けを行なったのはたったの一晩の話ではあったが、店側の人間は当時この夜の事を悪夢と呼んだ。

 そして少年はたった数日、もっと言えばこの一番レートの高い賭けを行なった一晩で没落して金も爵位も全て失った家をたった1人で再建させた。

 本当だったら、その時の少年の気持ちとしてはどちらかが破滅するまでやろうという悪魔的な考えであったが、危機感を覚えたカジノ側はそこで少年との賭けを強制的に終わらせた。そこまで少年が稼いだ金額を即支払う事で。

 裏の世界であったとしても…いや、裏の世界の賭場だからこそ信用が命なので多額の金額が満額支払われた。

 だがそれと引き換えにほぼ出禁状態になった少年。

 この裏カジノの人間たちにとってその少年の名は悪夢そのもの。


 そしてその少年の名は…


「フルハウス♪」


 高レートのVIPルーム。

 そこで1人勝ちしている青年は高級ワインを一口含みキャッハッは♪と笑う。


「…お客様の勝ちです」


 一方の店側の人間であるディーラー。

 周囲のベテランに比べてまだ若いそのディーラー。

 せっかくキッチリとセットされた髪型が焦りと混乱で乱れている。

 彼は冷や汗をかきながら負けた分のチップを支払う。


「………」


 もう何連敗だ?

 まったく勝てない。

 こんなに強い客なんて初めてだ。

 これ以上の負けは許されない。

 ボスにバレたら自分の命が危うい。

 でもどうすれば…。


「おい、早くカードを配れ」

「は、はい」


 連戦戦勝の青年。

 彼は今日、ここに来れた幸運に口元を綻ばせる。

 最高の気分である。


「お!!ファルヴィ、来てたのか!」


 そう口にしながら向うのテーブルからやって来たのは常連の男であった。


「あ~お前か、何年ぶりだ?久しぶりだな」

「お前が暴れまわった頃だから6~7年ぐらいじゃないか?偉そうなガキが俺に金を渡してこの賭場の作りについて聞いてきたあの時の事は今でも覚えてるぞ」

「キャッハッは♪あの時はありがとよ」

「もう来ないものかと思ってたけど…にしても今日もめっちゃ勝ってるな。そんなに勝ってると、また元締めに睨まれちまうんじゃねぇの?」

「キャッハッは♪ オイラはただ遊んでいるだけだ。何も悪い事をしていない、オッケ?」


 ファルヴィと呼ばれた青年はとても小柄で女の子にも見える童顔、マシュマロカットの髪型でケラケラ笑う。


「まぁオイラに勝つなんてイカサマでもしない限り無理だろうけどな♪」

「イカサマなんてお前すぐ見抜くだろ?」

「その通り!イカサマが通じるなんて考えてる馬鹿がまだここに居るなんて思わないけど、そこのお兄さんはオイラを知らなかったみたいでね。さっきイカサマしようとしてたから先に止めといた。まぁイカサマを後に指摘してやっても面白いと思ったけど、今日は純粋に賭けを楽しみたかったんだ」


 ファルヴィの前に高く詰まれたチップの山。

 あの事件から何年も経過していた事で悪夢の一晩を知らない従業員が元少年であるファルヴィを通してしまった結果である。


「もうここは来ないって言ってなかったか?」

「勝ちすぎてここの元締めのジジイに睨まれてるからな。キャッハハ!」

「じゃあ何で来たんだ?もう金は相当持ってるだろ?」

「最近は嫌な事が続いてさ~、超~~~ムカつく女がドンドン出世していくんだよ。信じられるか?許せねぇんわ。で、来たわけさ♪来る前は嫌な予感がしたんだけど、来て正解だったな」

「へ~お前がそこまでムカつく女って誰だ?」

「誰ってそりゃ~もちろんカ……。いや、やっぱりいいや。1金貨にもならない事はしない主義だった。忘れてくれ」

「そこまで言って忘れろは無いだろ」

「忘れたほうが身の為だ。いいか?深淵を覗いたら、深淵もまたこちらを覗いているんだ。死にたくなければ関わるな」


 何の事を言っているのか分からなかったが、ファルヴィの「本当に立ち入るな」という雰囲気を感じ取って話題を変える常連の男。


「そういえばファルヴィ、あの話、聞いたか?」

「ん?何だ?」

「プロフェンの話だよ」

「ああ、賊に殺されたんだろ?」

「それはそうなんだが、賊は賊でもどうやらここの奴らが飼っているガキみたいなんだ。しかも物取りって話だ」

「ガキ…か」


 ここの奴らが上手く借金漬けにしたガキ共を奴隷みたいに使うのは有名だが、、アレか。

 ヤバイ仕事なんかをやらされる使い捨ての都合の良い駒。

 オイラ数年前に負けたら同じ目になってたかも…

 いや、オイラは負けないけどな。


 で、そいつらが皇族を殺して金品を盗み出した…と

 、、、ん?

 って事は、ここの奴らが金欲しさに皇族を襲ったって事?


 いや、それは絶対に無いだろ。

 この国で皇族に手を出したら死罪だ。

 犯人が貴族だって許されない、すぐにプルートの騎士が殺気だった目でやって来る。

 いくら皇族が金を持っているからといっても襲う奴はいない。

 この裏カジノを経営しているあのジジイがそんな馬鹿な真似はしない。


 じゃあ飼われているガキが勝手にやったって事になる。

 そこまで馬鹿なガキたちだったのか?

 まぁ馬鹿だからここの奴らにいいように使われているんだろうけど。。


 それでも、、。

 何か引っかか…おっ♪


「おっと!4カードだ。残念だったなディーラー♪さっ、払え♪」

「っ!?」

「どうした?払え♪」


 ディーラーに詰め寄るファルヴィ。

 すると1人の男が奥の部屋から眉間にシワを寄せツカツカと近寄ってきた。

 40代後半、黒尽くめ、あからさまに堅気かたぎじゃない武闘派の男。

 用心棒も兼ねていると言わんばかりにそいつは偉そうに足を組み、椅子に座るファルヴィを見下ろす。


「おい」


 パッと見、女の子にも見える童顔で小柄な青年、ファルヴィ。

 一般の市民であれば震え上がるような男の言葉、視線にも動じない。

 いや、動じないどころかその態度はテーブルに置かれたチップの山同様に大きく。

 武闘派の男に対しても臆する素振りはなく、ニタニタと笑う始末。


「なんだ?久々に来たお客様におもてなしでも出してくれるのか?」

「支配人!?」

「お前は黙っていろ」


 ディーラーに支配人と呼ばれた男。

 この男こそ最高レートの賭場を仕切る事を許された人物である。

 男は目の前に居るマッシュルームカットを愉快に揺らしながら笑う『それ』、山のようなチップを見て、苦々しそうにこいつをこの裏カジノまで通した部下達に苛立ちを湧き上がらせながら更に強くファルヴィを睨みつける。


「もう帰れ」


 相手に有無も言わさない言葉。

 周囲が不穏な空気に包まれる。

 ファルヴィの近くに居た常連の男はこういう状態に慣れているのか、巻き込まれまいとすぐさまファルヴィを見捨てるようにテーブルから離れる。

 テーブルの前、1人きりになるファルヴィ。

 だが当のファルヴィは怯む事無く皮肉な響きを帯びた声で。


「帰れ?それはどういう意味で言ってんだ?オイラが何かしたか? それともここはルールを守っている客に対して大勝おおがちしているっていう理由だけで締め出すってわけか?」

「今帰れば見逃してやる」

「少し来なかった間にここの従業員は客に対する態度を忘れちまったようだ。気分良く楽しんでいるお客様に対して帰れ?今来れば見逃してやるだって?寝言は寝て言え」

「ここまで稼いだ金は支払ってやる」

「オイラが稼いだ金を支払うのお前達の義務だろ」

「もう十分稼いだだろ?っつてんだ。おい」

「十分かどうかは店側が決める事じゃない。オイラが決める事だ」


 他の客達と違って逃げる事が出来ない目の前の若いディーラーは今もただあたふたと慌てふためいている。

 そんな中、ファルヴィは落ち着き払った口調の後、また1口ワインを飲む。


「なかなか良いワインだ。支配人って事はお前が選んだのか?それとも部下かな?何にしても良いチョイスだ」

「………」

「そう怒るなよ、ただの雑談じゃないか。でもまぁ、オイラも悪魔じゃない。そうだな~~金貨1000枚、払うなら帰ってやるよ」

「ふざけるなよ」

「ふざけてない。オイラは今200枚稼いでいる。今日は最低1000枚稼ぐ予定だった」


 額に血管を浮かべながら憤怒する支配人の男。

 それを無視しつつ、ファルヴィは再びワインを飲みながら絵画でも鑑賞するように支配人の男をまじまじと眺めるとしゃくに障る笑みを浮かべる。


「それとも、その懐に隠している魔道具で力づくでオイラを追い出すか?」

「っ!?お前!」

「何で分かった?って顔だな。分かるよ、所作と視線で。オイラを誰だと思ってるだ?あの時、お前達のイカサマを全部見抜いた人間だぞ」

「…あれは従業員が勝手にやった事だ」

「あ~確かあの時、オイラに多額の金を渡してそういう事にしてやったんだったな。悪い悪い、昔の事で忘れてた。オイラもあの金で更に掛け金を増やせて儲けさせてもらったんだがらな。キャハハ♪ってかお前、あの時居たのか?流石にあの時はまだ支配人じゃなかっただろうし…いや~出世したね。めでたい♪めでたい♪」

「ガキが調子に乗るな」

「調子に乗ってるのはお前だろ?ルールを守って楽しんでいる客に対して帰れだの、調子に乗るなだの。どれだけこの店は程度が低いんだよ」


 その後、黙ったまま見合う両名。

 男は殺気のこもった目で懐に手を入れる。

 おそらく魔道具であろう。

 ファルヴィはそれを見て椅子の肘掛に立てかけている三つ又の槍。

 皇帝陛下から直々に下賜かしされた槍で触れた対象の重力を操る魔道具。

 それに手をかける。


「オイラを簡単に帰せると思うなよ。本当は久しぶりにちょっと遊んでお前らに損害を与えてやろうと思っただけだったが、お前の態度で気分が変わった。今度こそ、この店を潰してやるよ」

「貴様、ここを誰が支配しておられるカジノか分かって言ってるんだろうな?」


 ファルヴィは「ふぅ」と小さく息を吐いてから言う。


「お前こそ分かってるのか?オイラはルールを守っている善良なお客様であり貴族様だ。それを脅迫めいた脅しなんかしやがって。それとも力でなら追い出せる、勝てると思ってるのか?あの時はオイラも十分稼いだから手打ちで帰ってやったが、あの時と違って今のオイラは強力な魔道具を手に入れた。裏のルートで手に入れたゴミ魔道具で勝てると思ってるなら来いよ」

「あの時、ガキだったお前を追い出した中に俺はいた。当時ボコボコにしてやればよかったよ」

「へ~そりゃ因縁めいたものを感じるな。リベンジマッチってか」


 もはや一触即発の空気になったその時、急にザワザワと騒がしくなっていく入り口辺り。

 ファルヴィ含めて全員の目が入り口へ向かう。

 入り口のドアは閉まっているが、何やらもめているようだった。


「何だ?」


 ファルヴィを帰そうとしていた支配人の男も客同様に目を細めた瞬間、ガタイのいい男が入り口付近から凄い勢いで吹き飛んできた。


「うぉっ!?」

「なんだ!!」


 紅い絨毯に転がる明らかに大柄の男はこの裏カジノに入るにあたって入場券を確認していた男であった。

 それが泡を吹いて白目を剥いて倒れている。


 いったい何だ?

 目の前のファルヴィの事だけでもいっぱいいっぱいなのに、、

 これ以上の面倒事は困る。

 ボスになんて説明すれば…。


 支配人の男がそんな事を思った矢先、それらは店内になだれ込んで来た。


「店の者及び客、誰1人動くな!!」



閲覧ありがとうございました(`・ω・´)ゞファルヴィが出てきましたね、3日物語では彼の事を元天才賭博少年ぐらいにしか書いていませんでしたが、話数を重ねた今その詳細が明かされていく…こういう感じが好きなのですw皆さんも何となく3日物語(裏)を思い出してもらえたなら作者としてとても嬉しいです♪そして次回はガサ入れやで~w

ではまた次回お会いしましょう♪(^v^)





空の軌跡のリメイク版が発売されましたね♪私は当時PSPでやってたから、PVとかゲーム実況で見てめっちゃ綺麗になっててビックリしましたw

…え?「あなたは買わないの?」ですって?…買わないよ(T_T)だって声優変わってるもん。

いや、色んな事情で声優を変えないといけないのであれば仕方ないし、私は認めて買ってたよ。でも前の声優さん存命だし、今も声優やってるし、なんで変えたん??しかも更に腹が立つ事に、全員声優を変えたわけじゃなくて数人は残しているの、、ね?「なんで?」って言いたくなるでしょ?


私からすると原作のリスペクトを捨てて、原作ファンを切り捨てた、今の旬の人たちをいっぱい起用して新規層を取り入れたいな~~(・∀・)ニヤニヤ。っていう制作側のさましい気持ちが見えて気持ち悪かったの(>_<)だから買わないの(><)買いたいけど買わないの(>△<)!

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― 新着の感想 ―
読んでてファルヴィって誰?となったよ笑。読み返したら、シグレに対して心底嫌悪して不満とストレスから精神的に参っている4人の中の一人か笑。 これまた、絶妙にタイミングが悪い時にカジノに来店しちゃったね…
感想一覧
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