13 チラつく銀色の影(3)
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皆、運営から最高にユニークなアンケート調査来てるから、答えたいなら答えてみるのもいいかもね♪ まぁ商品が当たるかは別だけどねww
さて今回のお話ですが、私はまだ諦めてませんよ(; ・`д・´)キリっ!前回は失敗しましたが全力でマリアンヌの容疑を晴らすべく、前回よりも更に一生懸命に頑張りました!
何が言いたいかと言うと、今回、原稿用紙16ページ、文字数1万1千文字ですw
いや、皆の言いたい事は分かるんやで(;''∀'')汗
「流石にさ…もっと賢いアップの方法あるでしょ?」とか言いたいんでしょ?
分かるよ(´・ω・`)ショボーン
マリアンヌの容疑を晴らすとか茶番は置いといてw私だって思う事はあるんだよ…。
でもさ…
思っちゃったんだもん…
この16ページを美しいと(._.)仕方ないんだもん( ノД`)シクシク…
ではどうぞ今回のお話、もの凄く長いけど、よかったら最後までお楽しみくださいませ~♪
「顔、、体格、声すらもなりたい人間と瓜二つになれる。自由自在に姿を変えられる魔道具。彼女はそれを百面相の仮面と呼んでおりました」
その言葉が監獄長の口から発せられた瞬間、時が完全にフリーズした。
そして、そのままたっぷりと数秒間にわたって固まった近衛の面々。
サボンという凶悪犯は如何様にして脱獄したのか?
その全てとは言わないが一定数の謎は解ける可能性のある魔道具、それが急にここに来て出てきた。
本来なら喜ぶべきであろう。
だが、クルウェイもグロエも、その顔に晴れやかにならない。
曇ったまま。
いや、むしろ雨。
理由はもちろん、この変装出来る魔道具の所持者。
その裏に居るであろう人物の存在が大きい。
それはこの国において決して疑ってはいけない人間。
疑惑すら持ってはいけない人間。
皇族への非礼はそのまま死刑台に直行する。
だから2人共黙り込むしかない。
グロエに関しては推理すらしないようにしている節まである。
迂闊な事を口にしたら死に直結するかもしれない。
「………」
こんな話の流れに持っていったフミナガですらも言葉を失っている。
最初はちょっとカーナをおちょくるだけのつもりだった。
ずっと堪っていた、数年前この国に半ば強制的に連れて来られた不満。
正々堂々1対1ではなかったにしても、制限があり全力を出せなかったにしろ王の間で女に負けたという不満。
その女にリベンジしようと思ったらそれを止められた不満。
それらの不満を解消するためのほんのお遊びのつもりだった。
名無し兄妹の能力が露見して、後から主であるマリアンヌに怒られれば…ぐらいの気持ちだった。
それが藪をつついたら蛇ではなく、自分の身体をひとのみする程の大蛇が出てきたのだ。
想定外もいいところだ。
言葉なんて出てきようはずもない。
一方のカーナ。
彼女は近衛騎士たちと別の理由でしばし呆然とし、言いようの無い不安感に襲われていた。
心臓の鼓動が早くなるのを感じる。
小さく、とても小さくカーナの声が出た。
「え?あれ?」
おかしい。
こんなはずじゃなかったのに。
てっきり、剣から火が出るとか水が出るとかそんな感じかと思ってたのに。
マリアンヌ様の疑いを晴らすつもりがこれは。
流石のカーナですらも他人に変装できるという魔道具、それがあることによって難攻不落の地下脱獄から脱獄出来る可能性が出てきた事に気付いた。
誰も口を開かない。
クルウェイ、グロエ、フミナガ、そしてカーナ。
それだけじゃない、残りのメンバーも表情は硬い。
サボンの影に銀色の何かがチラつく。
出来ればチラついて欲しくない。
なんとも言えない重い空気だった。
そんな彼らを見かねて監獄長はランタンを持つ手、その逆の手、2本の指を立てた。
「このような事になる可能性が高いと思いましたので、私は妹の能力を言うのを恐れていたのであります。そして恐れながら申させて頂きます。皆様が名無し兄妹の妹の方の魔道具の能力を聞いてマリアンヌ皇女殿下を疑っておられるのかもしれませんが、マリアンヌ皇女殿下が脱獄に関与しているとは万が一にも考えられません。その理由は2つあるであります」
監獄長はランタンの持っていない方の手に錠前を持ちながら説明する。
「名無し兄妹の妹、彼女は確かに魔道具を使ってサボンに成り代わる事は出来るかもしれません。特に彼女はその演技力も卓越しておりましたので長年共に仕事をしてきた我々をも騙せるかもしれません。しかし彼女にはこの錠前の開錠は出来ません。この錠前を開けるには私の持っている鍵か、予備として持たせている副監獄長が持っている鍵、この世で2本しか存在しない鍵のどちらかが必要となります。そして我々は鍵を盗まれるという失態は犯していないし、犯さないであります」
そう自信満々に豪語し、監獄長は腰のベルトに引っ掛けていたジャラジャラとした鍵の束を外すとその内の1本を落ちている錠前の鍵穴に突っ込んで回した。
カチッという鉄の音と共に鍵は開錠される。
「間違いなくこれは特注で作らせた錠前です」
「別にカーナの主を悪く言うつもりは無いが、所詮は鍵だろ?んなもん、ピッキング?だったか。盗人がやるあれで開ければいいんじゃね~のか?俺の部下にも何人か出来る奴いるぞ」
お前は私の味方なのか敵なのかどっちなんだよ!?
ノズルが鍵という物の脆弱性を問うと監獄長は首を即座に横にした。
「ありえないであります。この錠前は特別製でこの凶悪犯たちが居る房の中でもここにしか使われていない特注物になるのでありますが、鍵を渡された時も『とても複雑な構造で作った人間以外でピッキングなどはそうそう出来ないから絶対に無くさないで欲しい』と作らせた腕利きの職人が豪語しておりました。鍵を使わずにピッキングなど不可能であります」
そう監獄長が自信満々に口にして近衛騎士たちが納得している最中、カーナの脳裏にとある人物の甘ったるい声がフラッシュバックした。
”わたしってぇ~超~~器用だからぁ~どんな鍵でも開けれちゃうんですよねぇ~物作りって構造を理解する所がスタート地点って言うかぁ~そこでセンスが問われちゃうのだ♪わたしってぇ~超天才だから~♪ボスも鍵を無くしたら言ってねぇ~格安で開けてあげるよぉ~”
有料かよ!!
「あっ!」
急に出た「あっ!」というカーナの言葉。
手で口元を押さえたが既に遅い。
当たり前だが周りの視線が集まる。
ノズルが問いかけた。
「なんだ、カーナ?思い付いた事でもあるのか?」
「え、いや、、」
ヤバイ!誤魔化せ!
死ぬ気で乗り切るんだ!
ここで私が鍵を開けられる人物に心当たりがあるなんて事言うわけにはいかない!
何か別の事を言わないと、、
何か、何か、、
「いや、あの…あれ、おいしそうだなって」
「は?」
何とか誤魔化すために苦し紛れにカーナが指差したのはサボンが食べなかった昼食であった。
既に冷え切ったクリームシチューにパンが数個。
美味しそうかと?と問われると、特段そうでもない。
近衛騎士たちの冷たい視線がカーナに注がれる。
「意地汚い娘だ」
「まったく品位の欠片も感じられない、近衛騎士という自覚を持って頂きたい。私は恥ずかしい!」
「ハハハ、面白いお嬢ちゃんだ」
「カーナ、近衛の叙任式で昼飯を食べ損ねたのは分かるが、、今は我慢しろよ」
最後にクルウェイが深い溜め息を吐いた。
「………はぁ~。食べたければ食べていいよ。もう調べたから」
「あ、、え?はい。いただきます、、、うん、冷たいけどおいしいですね」
コイツ本当に食いやがったよ…。と近衛全員が呆れている中、カーナはパンをシチューに浸しながら胸を撫で下ろす。
ふ~良かった、何とか誤魔化せたようだ。
危なかった。
それにしてもこれおいしいな。
そうこうして、カーナが食事に舌鼓を打っていると、仕切り直すように監獄長がマリアンヌがサボン脱獄に関与していない2つ目の理由を述べ始めた。
「2つ目の理由ですが、名無し兄妹が今回の脱獄に関与しているとするなら、おそらく備品交換に乗じて商人に扮した形でこの地下牢獄に侵入してきた事になりますよね?」
「妹の顔を見ていな言いいてぇ~んなら、顔や体格を変えれる魔道具で変装して入って来たんじゃー」
「いえ、そもそも商人達は1回目2回目共に目元まで隠れるフードで顔を隠していました。商人として危ない橋も渡る事があるので顔はあまり知られたくないという事でしたので」
「おいおいおい、顔を隠していたなら変装すら必要ないじゃねぇーのか。別に皇女殿下がどうとか言うつもりは無ぇが、顔を隠すのもそれっぽい理由を言っているようだが、やっぱり商人の中にその妹が居たんじゃねぇのかい?」
首を横にする監獄長。
「顔うんぬんの話ではないのです、フミナガ卿。 確かにあの姿形を隠した商人たちに一切の不審な点が無かったかと問われたら、、思い返せば商人たちが来た1回目、ボヤがあったあの日…1人だけ何も作業をせずに優雅に、と言うか偉そうに指示出しをするわけでもなく立っているだけの人物には何か見ていて不思議な違和感、、恐い?恐怖?と言いますか、変な感覚を覚えましたが、そういった違和感を置いておいても。商人たちが右大臣様の紹介である事が無実である何よりの証拠であります」
「あ~どういうこった?俺は馬鹿でね、端的に俺にも分かるように教えてくれないかい」
「大臣という職は偉大なる皇帝陛下に仕え、支える者の職です。その右大臣様が例え王位継承権1位のマリアンヌ皇女殿下の為とはいえ脱獄に手を貸して皇帝陛下の考えに背くような事をするわけが無いのです」
皇帝陛下は皇族に楯突いたサボンの死刑を望んでいる。
特に今回の件は自分の実の弟である皇族を襲っただけではなく、弟の子供2人をサボンは殺害している。
皇帝からすると甥にあたる人物を2名もだ。
極刑は免れないし、皇帝もそれを望んでいるだろう。
にも関わらず右大臣がマリアンヌに手を貸すのは皇帝陛下に背く、いや、この国そのものに反旗を翻すのと同意。
バレたら極刑、死刑は免れない。
果たして右大臣という人間が、いいや、この国に住む人間の何人がそんな愚かな行為をするだろうか?
特に右大臣、左大臣はこの国の軍事と政を取り仕切っている両輪。
皇帝陛下の信頼も他より厚い。
そんな人間が皇帝陛下を裏切るわけが無い。
右大臣が協力しなかったら、商人の中に変装できる妹をこっそり入れる事は出来ない。
つまり、元拷問官である名無し兄妹は今回の件には無関係。
この監獄長の論述はこの国に住んでいる者なら誰でも理解できる事柄。
故に反論できない空気は沈黙を生んだ。
少しして、監獄長に追従するようにクルウェイが口を開く。
「確かに考えてみれば万が一にも右大臣がマリアンヌ様と繋がっている事は無いな」
「なぜだ?コイツの言う事も分かるが、客観的に見てやはり怪しいは怪しいだろ。それともお前も右大臣が皇帝陛下を裏切る行為はしないという監獄長の意見に賛同しているのか?」
フミナガの問いにクルウェイはカーナの方に顔を向けて言った。
「まぁ、それもある。あの太鼓持ちしか能が無い人間が皇帝陛下に牙を向くなんて事をするとは到底思えない。だがそれと同じぐらい自分には確信を持って言える事がある」
「確信を持って言える事だと?」
「ああ、マリアンヌ様の陣営にはカーナが居る。それで右大臣は絶対にマリアンヌ皇女殿下に手を貸さない」
これから口にする事を知っている者はごく一部だから他言はするなよ。と前置きをしてクルウェイは言った。
「10年ほど前の事だからお前は知らないだろうが、右大臣は近衛騎士団長だったんだ」
「「は??」」
フミナガと近くで椅子に座っていたノズルは今日1日の中で一番驚いた。
彼らの中で右大臣という男は”なぜ軍事を取り仕切る人間がこの豚なのだ?”という疑問しか持ちえていない人間である。
要するに無能。
まぁこの国は左大臣が優秀だし、軍事に関しても軍師や将軍達がやるので何もしなくていいわけだから問題は起きてはいないが、それでも近衛騎士団長だったというのは流石に自身の耳を疑わざるおえない。
近衛騎士団長は皇帝陛下を守る一番重要な職。
お遊びで出来はしないし、代わりがきかない職。
「おいおい、下らねぇ嘘はやめてくれクルウェイ。アイツが近衛騎士団長だったなんてお天道様がひっくり返ってもありえないだろ」
「俺も副団長の意見に賛成だぜ団長よ。あの無能そうなデブに騎士団長、、いや、騎士をやってたは冗談過ぎるぜ」
驚きを通り越して疑いの目を向けるフミナガとノズル。
それもそうだろう。
彼らがこの国に来たのは数年前、その時には既にクルウェイが近衛騎士の団長であった。
そしてその前はカーナの父親が団長だったのだと思っていた。
というか、そう聞いていた。
「それは右大臣が自分の経歴で無かった事にしたからな」
次にクルウェイ以外の近衛騎士、グロエとキューリが苦々しく口を開く。
「確か、就任1日目で辞めたんでしたよね?」
「ああ、そうであったな。思い出したら腹が立ってきた、あの騎士団の面汚しめが」
彼らもどうやら右大臣の近衛騎士団長の話を知っているようだ。
「カーナ・マキシマムという人間は右大臣にとって、やっと就任した近衛騎士団長という地位をたったの1日で手放さないといけなくなった原因、元凶だ」
「どういう事だい?」
「どうしてそこでカーナが関係する?」
フミナガとノズルが疑問を呈する中、そこでグロエとキューリ、その時代を知っている2人がハッと目を見開いた。
「右大臣が負けた子供はそこの小娘だったのか!?」
「まさか…!いや、なるほど。そう考えれば今この強さも納得がいきますね」
肩でクルウェイが長い溜め息を漏らす。
「右大臣は当時10歳ぐらいだった亡くなった前近衛騎士団長の一人娘であるカーナに1対1の模擬試合で負けて近衛騎士団長を辞めたんだ。そして10歳ぐらいの少女に負けたなんて知られたら彼の立場が無くなってしまう。だから、そもそも団長に就任してなかった事にしたんだ。叙任式前に皇帝陛下に辞退する申し出をした」
そしてその後に自分が近衛騎士団長に就任した。
クルウェイはそう付け足した。
「なるほどね~、確かにそれだとマリアンヌ皇女殿下に協力するとは思えないな」
「因みにその事を知る騎士たちの中では未だに右大臣は幻の騎士団長と呼ばれている」
「死ぬほどダセぇ二つ名だな。だが理解したぜ、確かにあの右大臣がカーナの主であるマリアンヌ皇女に協力するとは思えないわ」
皆が次々と納得していく中、カーナだけは違った。
過去を思い出し、思い出に浸るわけでもなく。
彼女は右手に銀のスプーンを握り、シチューを口に運びながら皆の推理における決定的な間違いを気付いていた。
「………」
違う。
既に右大臣はマリアンヌ様に弱みを握られている。
あの右大臣の秘密が暴露されれば右大臣は失職、間違いなくそのまま死刑。
ここにいる皆は知らないだろうが、私への恨みがどれだけあろうが右大臣はマリアンヌ様の命令には絶対に背けない。
つまりマリアンヌ様という存在は”右大臣を操って商人とカラスを入れ替える事が出来、尚且つシャルドネというどんな鍵でも開けれる人間を持っていて、しかも顔を姿を変えれる人間までその手中に置いている世界で唯一の人間”という事になる。
という事は何か…?
本当にこのサボンの脱獄はマリアンヌ様が計画したと?
マリアンヌ様が計画してヤンが指令を出してカラスが実行した?
え~~~うそでしょ~~。
でも、どれだけイレギュラーな要素が追加されてマリアンヌ様が怪しくなろうが、推理を進めるに連れて誰に誘導されているわけでもなく自然とマリアンヌ様ではないという結論に行き着こうとしている。
少し俯瞰して客観的に見ると不自然な流れ。
これは偶然起こった事なのか?
いや、マリアンヌ様の側でマリアンヌ様の策を見てきたから分かる。
マリアンヌ様がたてられる策はいつも事前に人がどう考えてどう動くか予測してたてられる。
万が一、自分に疑いがかかった時、自然に疑いが晴れるように策を練る御方。
あの御方の策に偶然は存在しない。
つまりはこの話の流れすらもマリアンヌ様の策である可能性が高い。
そう考えると…この不自然な流れも全てに合点がいく。
「………」
いや、いやいやいや!
落ち着け私!
牢屋の鍵はシャルドネが開けられるとしても、私の叙任式が始まった午後にはこの地下牢獄と地上を繋ぐ道は土壁で塞がっていたはずです!
だって副監獄長は私の叙任式の警護に来ていたのだから!
午前中に商人に扮してここを出たはずのシャルドネがどうやって、午後その後に鍵を開けるというのか!?
カーナは口に硬いパンを放り込みながら真剣に考える。
今日【午前中に商人が来て備品交換】→【午後になる前に商人達は地下監獄を出て行った】→【昼食を看守がサボンに届ける、錠前の鍵はかかっていた】→【昼から始まった私の近衛騎士叙任式、副監獄長も警備に来た事で地下へと続く道が閉ざされる】→【昼食から少し時間を置いた後、看守が見に行くとサボンが煙のように消えていた】
無理に決まっている!
それに昼食時には鍵がかかっている事は看守が確認している!
その時にはシャルドネは既にこの牢獄から出ている!
鍵が開けられない!出れない!
「まさか」
見つからないように地下牢獄内に隠れていた?
シャルドネだけが。
他のカラスのメンバーは帰って、シャルドネだけが隠れてこの地下牢獄に。
…いや、バレるだろ。
ここの看守はそこまでザルじゃない。
いかに複雑な構造の牢獄とはいえ看守たちの目は誤魔化せない。
でもワンチャン、天上に張り付いていたらバレないのでは、、?
いや!そもそもリックスやホリーじゃないんだから、そんな曲芸みたいな真似はシャルドネには出来ない!
と言うか、出来たとしてもその後はどうするんだよ?
サボンとシャルドネ、2人で仲良くこの牢屋を抜けたってその後に待ち受けているのは地下と地上の道を塞ぐ土壁だ。
分厚い土壁の前では牢屋の鍵なんて粗末な問題だろ。
副監獄長が帰って来るまで絶対に地上には出れない。
じゃあやっぱり、マリアンヌ様は関係ないのでは?
「………」
いや、でもな~。
右大臣という商人を偽装できる存在。
シャルドネという鍵を開けれる存在。
そして見たことも無い名無し兄妹という姿形を変えられる元拷問官の妹という存在。
難攻不落のプルート地下監獄、その脱獄に必要であろう要素が3つも揃っている。
こんな偶然あるものなのか?
そんな折、カーナはふと会話の流れを静観してみた。
この行動をした理由は脳が疲れてきたからという、休ませたいだけの行動だった。
だが、そのおかげであることに気付いた。
先ほどよりも近衛たちのマリアンヌに向かう疑惑がこれ以上ないほど自然に晴れていっている。
まるでこの場に居る全員が思考を誘導されているかのように。
もう、誰も疑ってない。
先ほどは少しだが不自然な流れだったのに。
監獄長が説明した鍵の存在と右大臣の存在が大きかったのか?
という事は、マリアンヌ様は自分に容疑がかかった際に右大臣の存在に行き着くように、鍵の存在に行き着くように策を練られた?
監獄長が説明すると予想して策を練った?
マリアンヌ様ならありえるな。
監獄長は付け加えるように最後に言った。
「皆様に皇族の方が脱獄などに関与しているわけが無いとご理解いただけたようで幸いであります。因みに皇族を襲った人間にこんな事を言うのも何ですが。。私には未だに信じられないのであります。サボンという人間は脱獄するような人間には思えない。彼は死を受け入れていた、生を諦めて、人を殺したという自分の罪を悔いていました。だから正直、私としては誰かがサボンの脱獄に手を貸したなどという事はありえないかと。奴ならそんな申し出を断るはずです。死を受け入れて逃げるとは思えないのであります」
「しかし実際に逃げていますよね?誰かの協力が有ったか無かったかは置いといて」
「はい。だからこそ私は彼の心を変える何かがあったとしか思えないであります、、。それこそ”まるで人の心を狂わせ、歪める、何か”が彼の身に起こったとしか」
”まるで人の心を狂わせ、歪める、何か”
か。
…え?なに?
マリアンヌ様の悪口を言っているのですか?
殺すぞ。
看守如きが偉そうに。
マリアンヌ様は人々の心を救済して導いてくださる偉大な先導者!
つまり神だぞ!
それを人の心を惑わす悪魔みたいな言い方するなんて万死に値する!
貴様、夜道には気をつけろよ。
「どうかされたでありますか?カーナ卿、なぜ私を睨んで?」
「え、あの…ごちそうさまでした」
「あ、いえ、ご満足いただけたようで何よりです」
ヤバイ。
サボンという犯罪者の心を意のままに操る存在。
マリアンヌ様ならいとも容易くやってのける気がする。
という事はこれやってない?
やってるよね。
方法なんて分からないけど、私の勘が言ってる。
マリアンヌ様…やってますよね?
そして、もしそうだとしたら私の知らない所で今日、何かとんでもない計画が動いていた事になる。
「……ふぅ」
食べ終わったので手にしたスプーンを銀のトレーに置き、深く考える。
お腹が膨れたのでちょっと眠気が襲ってきたが頑張って考える。
「………」
果たして、もしサボンの脱獄がマリアンヌ様の立てた計画だったと仮定した時、私はここに居ていいのか?
マリアンヌ様は私がここに居る事を予想していただろうか?
あの全ての事象を操るマリアンヌ様だ。
人々が知らぬ間に言動や行動を手の平の上で操る本物の神。
ならば、きっと私如きの行動なんてお茶の子さいさいで予想可能のはずだ。
うん、じゃあ大丈夫か。
…いや、でも冷静にマリアンヌ様視点に立った時、サボンが脱獄した当の場所に私が居ていいとは思えないんだよな~。
それに名無し兄妹とやらの能力を私のせいで近衛に露見してしまったわけだけど、マリアンヌ様が事件の黒幕だとしたら、名無し兄妹の能力は出来うる限り秘匿したいはず。
もちろん知られたとて問題ないように、その後自分には罪がかからないように策を弄しているのだろう…というか、そうなってるし。
でもわざわざ私の思考や行動を読んで操って近衛たちに流布させる理由が分からない。
そんな自虐的な事をして何の意味がある?
無いよね?
つまり私がここに居ていい理由が無いのでは?
「………」
え~どうしよう、完全にここに居ちゃいけない感じだ。
やっちゃったのかな?
私…やった?
やはりあの時、
ノズルに誘われた時、
無理にでも帰るべきだった?
「………」
だって!ノズルが!それっぽい事言うから!!
私!悪くないですよ!マリアンヌ様!
ノズルが悪いんです!
私は被害者です!!
名無し兄妹の魔道具だって私はマリアンヌ様の疑いを晴らしたかっただけなんです!!
「どうしたんだ、カーナ? 酷ぇ汗だぞ、それに目もなんか凄ぇ泳いでいるし。お前の主であるマリアンヌ様が無実だって分かったってのに、、どうした?」
既にカーナの中で疑惑は確信にまで至っていた。
胃の辺りが不安で痛む。
「いえ、べ、別に」
ヤバイ。
ヤバイ、帰りたい。
私の心の安寧の為にも今すぐ帰りたい。
「ノズルさん、ノズルさん」
「ん?なんだ?」
「あの…なんて言うか色々やる事…が有るのを思い出したので帰っていいですか?」
カーナの口調にどことなく歯切れの悪さを感じ、ノズルは首を傾げた。
「色々やる事って?」
「色々は色々ですよ!」
色々…。
そう、
マリアンヌ様への謝罪とか、謝罪とか、謝罪をするんですよ!
「じゃあ私、帰るんで止めないでくださいね。さようなら」
「いや、お前ちょっと!」
ここから近衛騎士たちがカーナを止めようとしても、カーナの足は止まらない。
例え止めるのがクルウェイであってもだ。
力ずくでも帰ってやる!
最悪、魔道具使うからな!
そんな強い決意を持ったカーナの前に大声を出して1人の看守がやって来た。
「近衛騎士の皆様に大切なお知らせが!!」
彼は地下牢獄最奥のこの場所に駆け込んで来て声を更に張り上げる。
「報告します!!皇族であられるプロフェン・ディ・ファンデシベル様のお屋敷が何者かに襲撃を受けました!プロフェン様の安否は不明!至急、近衛騎士の皆様にはここを発ってプロフェン様救出に向かって頂きとうございます!!」
突如舞い込んできた知らせに監獄長も含め全員が驚愕する。
「なんだと!?プロフェン様が!?」
「皇族が!そんな馬鹿な!!」
「おいおい、うそだろ。護衛は何をやっていた?」
「プロフェン…あ~サボンの被害者か。てか、この国で皇族を狙うなんて、襲った奴、相当気合入ってんな」
例え王位継承権が無かったとしても、この国で皇族を襲うなんて暴挙はそうそう起こらない。
襲えば成功、失敗問わず賊に待っているのは凄惨な死。
この国の殆どが皇族を神と信仰する皇神教の人間達。
つまり皇族を襲えば子供から老人まで全国民が襲い掛かってくる。
愚かな賊如きが逃げられようもはずが無い。
そもそも1個人を神と称しているぐらいなので警備が強固過ぎて襲えない。
だからこそ犯人が誰だ?どうやって襲った?という意味も含めて聞いた全員が驚くのだ。
因みにどの皇族が襲われようがマリアンヌが無事なら別になんとも思わないカーナ。
彼女は別に驚きもしなかった。
と言うか、再び帰る為の足を前へ動かす。
が、クルウェイはそんなカーナを呼び止めた。
「カーナ。君にも予定があるのかもしれないが、この国の中で皇族が襲われるなんてあってはならないの非常事態だ、ここは近衛騎士として手伝ってもらうぞ。今は1人でも戦力は欲しい」
「いや、でも私はマリアンヌ様の騎士であってその」
「全ての責は自分が負う。最悪、後から自分がマリアンヌ皇女殿下に謝罪する。付いて来い」
「……はい。分かり、、ました」
閲覧ありがとうございました(T△T)とても長い文章いかがでしたか?皆さんが少しでも楽しんで頂けたなら作者として嬉しい限りです。そして……皆さんの目を見るに…どうやら私はマリアンヌの疑惑を晴らすことが出来なかったのでしょう(。-_-。)私の文才が至らないばかりに、、無念です(><)くそぉぉ!
ではまた次回お会いしましょう♪( ´Д`)ノ~バイバイ
皆、聞いてよ~~~( ノД`)シクシク…
何かさ~さっき小説のアクセス解析を押したのね(=_=)
すると、凄く変わってたの。。
いや、個人的感想だけど悪い意味で変わってたの。。
そもそも読み専の皆は知らないかもだけど、アクセス解析っていう機能が有ってね。その機能はどれぐらいの人が読んでくれたかっていうのが分かる便利な機能だったの(私みたいな底辺作家には特にw)
それがこの度、レイアウトも全部変わったわけだけど、、めっちゃ分かりづらい(>_<)
今までよりもグラフとかを多用して分かりやすくって思ったのかもしれないが…一目でパッと分かる方がいいよ。。(。-_-。)本当にここの運営は個人的にはだけどいらん事しかしないんだよな。。
今の私の心情としては「もう見づらいし、見るのやめよ(*n*)」ですよw
いつか慣れるのかな??
……いや、待てよ。果たして本当に運営がこんな改悪を許すだろうか?無能と言えども自分たちの利益だけは確保しようとするクズのような頭を持っている運営がそんな改悪を……?
ハッ(゜Д゜)!!分かったぞ。。
もしかしたら運営は私にこう言いたいのかもしれない……
『才能の無いお前の為にアクセス解析見づらくしておいたお(^○^)♪ え?理由?ハッハッハ!お前は才能無いんだからアクセス解析なんて見る暇あったらもっと書けよって言いてぇんだよ(^〇^♪投稿が活発になればなるほど我々運営はエロ広告で儲かるんだぜぃ(^^♪還元??するわけねぇ~だろうがタコ助が(# ゜Д゜)!!』
という意味かもしれない。。
く、、、くそぉぉ(つy<)運営……嫌いだ。。。




