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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第9章】 英雄の必要条件

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15 笑顔のマリアンヌ、疑う皇帝

クリックありがとうございます♪今期おススメの深夜アニメは「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」のひとりぼっちの桜ですw

皆さん、このアニメはヤバいよ~(・∀・)ニヤニヤ。今期はラブコメが多いんだけど、その中でも圧倒的にエロ……圧倒的に面白いのです(^O^)/特にキャラクターが良いんだけど、私的には苗字は違うんだけど実の妹の周防有希ちゃんが最高です!この子が言った「幼馴染と妹とオタク友達は共存できる」は目から鱗が落ちて、周防有希に私は恋をした(´-ω-`)ドキドキ。こんな妹、何処に居るんでしょうね?何処かに居るのでしょうか?皆さんの周りで見かけたらひとりぼっちの桜までご一報ください(#^.^#)



さて今回のお話ですが…すいません!原稿用紙10ページ越えでございます(-"-)

今回はマリアンヌの交渉術を楽しんでいただけるように書きました、ちょっとしたマリアンヌの言葉の使い方なども注目していただけると幸いです。

では今回のお話もどうぞお楽しみくださいませ~♪



「そこに居るカーナに爵位を与えて近衛騎士のメンバーに加えてください」


 静まりきる王の間。

 全員の頭の上に疑問符が浮かぶ。


 ここに居る誰かマリアンヌのこんな提案を予想出来たであろう?


 カーナの近衛騎士入り。

 考えの斜め上を行く提案。

 どよめく王の間の住人。


 その中で深く考える皇帝。

 玉座で眉間にシワを寄せる。


「………」


 この赤髪の女、カーナが近衛騎士になる事にマリアンヌにとって何の意味がある?

 何の利益がある?

 喜ぶのはカーナだけだ。

 そもそも近衛騎士に加入するという事はカーナというマリアンヌにとっての最大戦力が皇帝である自分の物になるという事だ。

 なぜそんな愚かな提案をする?

 それが分からぬお前ではあるまい。


 そう考えてマリアンヌの真意を問おうとした皇帝にマリアンヌは先んじて言葉を紡ぐ。

 まるで”何ヶ月も前から用意していた言葉のように”言葉はすらすらと口から流れ落ちてくる。


「ああ、もちろん形だけで結構ですよ。父上としても私に付き従う、私の言う事しか聞かない女を手元になんて置きたくないでしょう? なので、そちらの召集命令にも応じない、応じさせない。私が欲しいのは近衛騎士になる事でカーナが得る権利だけです、義務は結構なので、ノーセンキューでお願いします♪」


 平然と口にされる「皇帝の言う事は聞かないが、その権利だけ寄こせ」という発言。

 皇帝の表情に怒りが伴う。


「ふざけているのか?マリアンヌ」


 まるで冷えた刃のような言葉であった。

 背筋が冷えるほどの圧力が王座から振り落ちてくる。


「近衛には入りたいが、われの言う事は聞かないし、召集にも応じない。近衛という最高の地位と権利だけその女に寄こせ?そんなワガママが許されるとでも思っているのか?」


 だがその圧力に涼しい顔のマリアンヌ。

 平然と言うのだ。

 自分が口にしている言葉の何が悪いのか?と。


「許されるでしょ。私は皇族同士の名誉ある賭けに勝った正当な権利の履行を望んでいるに過ぎない。それをこちらは父上のワガママを許すと言っているのです。こちらが折れる以上、そちらもある程度は折れるべきだ。違いますか?」


 あくまで自分はわがままを聞いてあげるというスタンスを崩す事の無い、実に巧妙な言い回し。

 周囲の目もある、即反論しようとしていた皇帝の言葉が喉の奥で掻き消えた。

 玉座から久しく聞かれなかった舌打ちがこぼれる。


「チッ」


 思ってもいなかったマリアンヌの要望。

 皇帝は深く考える。

 思考を巡らす。


 これには何か裏がある。


「なぜそんな事を望む?」


 自分と似ている娘だからこそ分かる、このマリアンヌの望みの裏には何か有る。

 そう確信にも似た思いが皇帝に質問をさせた。

 マリアンヌはそれを察し平然と笑みを浮かべる。


「深い意味はございませんよ。あえて言えば”適材適所”と”感謝の気持ち”ですよ」

「適材適所と感謝だと?」

「ええ、カーナ・マキシマム、彼女の戦闘能力をその目でご覧になったでしょ?メイドにしておくには勿体無い、そもそも決定的にメイドに向いてな…ではなく、彼女にそれぐらいの地位は有ってしかるべきです。それに私に付き従っているにも関わらず努力が一切報われないなんて、主として私も胸が痛とうございます」


 そんな殊勝な気持ちをマリアンヌが持っているだろうが?

 だが、先ほどの慰問先で死んだ3人の部下に対しての言葉も合わせると妙な説得力があるのも事実。


 拭いきれない疑惑が皇帝の中で生まれる中、今まで黙っていたカーナが口を開く。

 その表情は困惑に彩られていた。


「あの…マリアンヌ様、お話の途中で申し訳ないのですけど、、私は別に爵位なんていらないですよ。近衛騎士もまったく興味無いですし…。私はマリアンヌ様のメイドとしてお側に居られれば権力なんていりません。それで十分なのでー」

「いいの、いいの~、お前は頑張っているから♪ それよりもロキの手と口ちゃんと押さえててね♪」


 ゴホン、咳を1つ。

 マリアンヌは胸を張り、皇帝に言った。


「忠を尽くしてくれる臣下とは何よりも代えがたい財産です。私は此度こたびの慰問で部下が3名亡くなった時、心から後悔したのです。あれだけ私の為に尽くしてくれた者たちに私は何も出来なかった。だからわれは…私は何かしてあげたいのです。父上もご存知の通り、彼女はずっと私に付き従ってきた忠臣の中の忠臣、そんな彼女に対しても私は何もしていない、何1つ返しておりません。彼女の主としてこのままでは不甲斐無く、このままでは彼女に対して胸を張れません。だからこそ私の願いはカーナという人間に爵位を与えてあげたいのです。そしてプルートの騎士なら誰もが夢を見る最高位の近衛騎士のメンバーにしてあげたい。女という理由だけで断たれた道を私の手で開いてあげたいのです」


 静まりきる場。

 傍若無人ぼうじゃくぶじんを絵に描いたような人間、自分の意に沿わぬ人間を絶対に許さず、自分の事しか考えないマリアンヌが部下を思ってそこまで言うなんて…。

 言葉を失う王の間に居る住人たち。


 そしてこのマリアンヌの言葉に対して一番反応したのはカーナであった。


 気が狂いそうな激痛の中、口と手首を強烈な力で押さえられたロキの顔に落ちる大粒の涙。

 カーナ・マキシマム、彼女にとって主であるマリアンヌは絶対なる存在。

 その絶対たる主が自分をそこまで評価して労ってくれている。

 この状況で彼女の溢れ出す涙が止まろうはずもない。


「マ、マリアンヌ様ぁぁうぅう、そんなに私の事をぉぉ私は嬉しくて嬉ぐてぇぇ」

「え?ああ、うん。あの、、ちょっと、カーナちゃん黙ってようか。ロキの手と口だけちゃんと押さえててね」


 そんな2人の会話を静かに聞いて吟味している皇帝。

 彼は冷静に王座に座り、両手の指を組みながら考え続けている。

 カーナという女が爵位を手にして近衛に入った事で何が起こるか、何を得るか。を、


「………」


 近衛騎士という存在はプルートの騎士の誰もが夢見る最高位の称号。

 エリート中のエリート。

 絶対神である皇帝を守るという名誉もさることながら、家、金銭、家臣、自分だけの部隊を手に入れ、戦時には何万という兵を率いる事もある。

 それがプルート近衛騎士。


 どれもがいちプルートの騎士としてはこの上ない名誉、権利であろう。

 だが、マリアンヌにとって、皇族にとってはそんなものは何の価値も無い瑣末さまつな物であることは言うまでもない。

 この国で皇族とはどんな立場よりも上なのだから。

 それをマリアンヌが分かっていないとは思えない。

 今更、部下の1人が近衛に入ったからと言っても何の自慢になるというのか?


われの…私の利益の為にやるのではなく、大切な臣下の為になることをしたいと言っている。ダメでしょうか?」


 あざとい表情、上目遣いで見てくるマリアンヌ。

 その表情を見つつ、皇帝は深く考える。


 とても嫌な予感がした。


「………」


 考えられる可能性は2つ。


 1つはマリアンヌの言葉通り本当にカーナの事を思っての発言。

 2つはカーナの為と言いつつ何か裏がある、自分の為に何か画策している可能性。


 今までのマリアンヌの性格を考えれば間違いなく後者。


 だがさっきのカーナの「あの…マリアンヌ様、私は別に爵位なんていらないですよ、近衛騎士も興味無いし…。私はマリアンヌ様のメイドとしてお側に居られれば権力なんていりません。それで十分」という発言。

 それにあの驚き、困惑、戸惑いの表情。


 あれが嘘とは思えないし、演技とも思えない。

 あの反応のどれもが近衛騎士加入の提案を知らされていなかった反応だった。


 つまりこのカーナの近衛入りという交渉はマリアンヌの突発的な思いつき、事前からの企みは無い。

 マリアンヌの言った通り、ロキの手首を切り落として満足し、いつものように気分で思いつきだけでこの提案をしている。

 故にこの提案に裏も表も無い。

 はずなのだが…。


 分からない。


 きゅうすぎる展開に自分が付いていけているか怪しい。

 時間が圧倒的に足らない。

 何か裏があった場合、取り返しが付かない。

 もう少し時間が欲しい。


「マリアンヌ」

「はい、何でしょう?」


 皇帝は両手の指を組み合わせる。

 そして互いの指をこすり合わせる。


「お前は知らんかもしれんが、通常爵位というのはそう簡単に与えられるものではない。しっかりと身辺調査をし、この国に害を与えない者かどうかを確かめねばならん。そして問題ないならわれが承認している。娘の頼みとはいえおいそれとやることは出来ん。お前がその女の近衛入りを望むなら少なくとも半年は…」


 マリアンヌの目が光る。


「ダメです」


 ピシャリと言い切るマリアンヌ。

 思惑を隠した巧妙な皇帝の時間稼ぎだったが、その黒く彩られた目は全てを見透かしていた。


「こちらは既に十分すぎるほど譲歩しています。これ以上の譲歩できかねます」


 今しがた、父上は王座に座りながら指を組み合わせ、指をこすり合わせていた。

 この反応は通常、人間が身体が緊張から落ち着かせる為の行動。

 そして大前提として父上にこのような癖は無い。

 故に、これは無意識に行なわれた反射と考えられる。


 問題は”なぜ緊張しているのか?”という点である。


 歴戦を潜り抜けたあの父上が今更、自分の娘ごときに緊張するとは思えない。

 あるとすれば予想もしなかった突発的な事が次々と起きて焦っているから。

 大陸中から集めた自信の近衛騎士団が女1人に負けたから。

 予想外の結果からの、娘からの交渉。

 しかもカーナの近衛入りを望む。 

 これだけ揃えれば大陸の覇者を焦らせるには十分だろう。


 目まぐるしく状況が動いて頭が追いつけていない。

 焦り、迷い、冷静な判断力の疑問視。

 われの真意を探るためにも考える時間が必要と考えた。

 だからそれらしい理由を並べて時間稼ぎがしたい、と。


 でも時間稼ぎなんてさせませんよ、父上。

 世の中そんなに甘くない。

 特にあなたの娘は甘くないのだ。


「そういう面倒くさい手続きをしたくないから父上に直接お願いしているのです。身元の証明に関しては私が証明します。それで問題ないでしょ?半年も待つですって?約束を反故にされ叶わないので嫌です」

われが約束を反故にするとでも?」


 王錫おうしゃくを強く握り締める皇帝。

 床を強く1度叩いた。

 音と共に心臓を掴まれるような威圧が周囲に波紋のように広がる。


 普通なら立っているのも厳しいであろう。

 だがマリアンヌは涼しい顔でクスクスと笑う。


「ええ、思いますよ。だって父上は今回、皇族同士の名誉ある戦いの結果に難癖を付けているのですから」


 一切退かないマリアンヌ。


「もう一度だけ言いますが、こちらとしてはどちらでもいいのです。父上が私の条件を飲むならそれで良いし、飲まないなら当初の条件どおりロキの腕を貰う。それだけの簡単なお話です」


 カーナの近衛入りにそこまではこだわっていないという表情に仕草。

 王の間に敷かれた赤い絨毯の上で優雅に立つマリアンヌに怪しむ要素は一切無い。

 だが皇帝にとっては、、、。


「何か裏があるようにしか思えん」


 疑いのタネを決して捨てようとしない皇帝にマリアンヌは深い溜め息をついた。

 首を振る。

 銀線の髪は悲しそうに揺れる。


「裏も表も無いのですが、そうですか。私の言葉にはそんなに信用が無かったのですか…残念でならないです。じゃあ仕方ない。仕方ないです、腕いきましょうか♪ カーナちゃん~ロキの腕、切り落としちゃってぇ~♪」


 さっきまで感動の涙を流していたカーナであったが、主からの勅命ちょくめいが発せられた瞬間、ピタッと涙が止まった。


「はい、マリアンヌ様の仰せがままに」


 まるで感情の無い機械のように。

 その足でロキの手首を押さえつけ、その手でロキの口を押さえつけたまま、大きく振りかぶられるカーナのナイフ。

 その切っ先はロキの肩へ向いている。

 ロキは口を押さえつけられながらも必死に叫んだ。


「うぅぅうぅうぅぅううぅ!!!!!!!」


 やめてくれ!

 やめてくれ!


 瞳の奥の瞳孔が開き必死に懇願するロキ。

 皇族でもない目の前のカーナという庶民に対して。

 最早その所作に皇族の品位の欠片も見当たらない。

 だが、それこそが良いのだ。


 そう、マリアンヌにとっては。


「カーナ~♪GOぉ!!」

「はい」


「わかった」


 皇帝の声は静かに響く。

 決して声が大きいわけではない。

 だがその声はしっかりとマリアンヌに届いた。


「何が、わかったのですか?」


 マリアンヌの問いに皇帝は今まで聞いた中で一番深く、長い溜め息をつき王座で足を組んだ。


「…マリアンヌ、お前の条件を飲んでやる」


 マリアンヌは目線を斜め下にそっとずらした。

 だってそうでもしないとバレてしまうから。

 耐え切れないほどの笑みが。

 手が折れていなければ口元を簡単に隠せたものを。


 マリアンヌは唇を必死に噛む事で笑みを押さえ込み、再び視線を上げた。

 柔らかく微笑む。


「条件を飲んで頂き、ありがとうございます。ではどうぞ心行くまで愚かな我が兄、ロキを治療してください。コロナ~治療を手伝ってあげなさい」

「はい!」


 するとなぜか既に治療道具を持ってきていたコロナが治療にあたる。


「カーナさんそのまま手首を押さえて置いてください」

「え、ああ、はい、分かりました」


 コロナの処置は的確でとても素早かった。

 まるで事前に何度もシュミレーションしていたかのような手際。

 急ぎやって来た王城勤務の救護班たちがする事が無いほどの手際であった。


 そしてロキが治療を受けている中、マリアンヌは皇帝に言う。


「あ~そうだ!豪華な式典もそうですが、パレードもしてもらいましょうか!長いプルートの歴史において初の女性近衛誕生、これはめでたい!国民達も盛り上がりますよ~。左大臣、お前が手配を進めておけ」

「え…あの…それは」


 対処に困った左大臣は皇帝を見る。

 マリアンヌは皇帝に向かって微笑む。


「問題は無いですよね?父上」


 皇帝は言う。


「マリアンヌの言う通りにしてやれ」

「ありがとうございます。それでは私はお先に失礼致します、式典の日取りが決まったら教えてくださいませ。カーナ、帰るよ~」

「え?あの!コロナさん、あとはお願いします!」

「えっ!?あ!はい!分かりました!そこの騎士様!その赤髪の変わりにロキ皇子の腕を押さえていて下さい!」


 マリアンヌはカーナたちを引き連れて血の広がる王の間から出て行った。


 義理とはいえ兄のロキ。

 彼のことを少しでも心配する…わけがないマリアンヌ。

 皇帝に直訴した要望が通った今、ロキの命がどうなろうがどうでもいい。

 何ならロキの叫び声と床に広がった血液。

 それらはマリアンヌの顔をこの上ないほどに笑顔にさせた。


「フフフ。じっくりと痛みにもだえるロキを観察し続けるのも一興だが、流石に飽きた。バイバ~イ、ロキ♪ 今日はよく眠れそうだ♪」



閲覧ありがとうございました(`・ω・´)ゞ 

カーナという大切な臣下の為に交渉をするマリアンヌ、理想的な上司像…楽しんで頂けたなら幸いですw


ではまた次回お会いしましょう♪







オリンピックが始まりましたね。私はと言うと結構見ているので寝不足気味ですw

個人的に押しているのは4人で戦う体操女子と男子バレー、男子バスケ、トリック決めまくる自転車のやつかな(^^♪

毎日寝る前が楽しいですね(^△^♪

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― 新着の感想 ―
[良い点] 壊れた玩具(故・下僕)の再利用ww。 [気になる点] >自分の娘だからこそ分かる、このマリアンヌの望みの裏には何か有る── ──ここの部分は、『自分と似ている娘だからこそ分かる』というの…
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