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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第4章】 初陣!三日月峠の戦い
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05 準備不足? or 世間知らず?

clickありがとうございます(*_ _)ペコリ


今回のお話は実は前回と一緒に出そうと思ったのですが、前回の中にも回想部分があったので、読みづらくなるということもあったので2つに別けました(^.^)


ではどうぞご覧ください



 あれは城を出て数時間後、昼の時間帯のことであった。


「ん?」


 まずここでふとおかしなことに気付いた。

 われが手にしているんのはティーカップ、中には香り立つ紅茶。


 いや、でも…


 そう思いながらもティーカップを持つ手を動かし、もう一口

 そしてぽつりと言った。


「やはり味が変わってる」


 でもその結論はおかしいのだ。

 なぜならぼんやりとだがカーナの手順を見ていた。

 午前中にも1回飲んでいる。

 その時はなんらおかしなところは無かった。

 入れた茶葉もいつもの物


「にも関わらず摩訶不思議まかふしぎな、これは一体いかなることか?」


 眉を曇らせているマリアンヌにカーナが心配そうに話しかける。


「どうかされましたか? 何か私が不手際でも」

「いや、不手際が無かったから悩んでいるのだが」


 念のためにもう一口


「なんかこれ、味がおかしくないか?」

「味がおかしい、、、、まさか毒!?」

「マジかよ!お前! ぺっぺ!!」


 即行で窓を全開にして勢いよく顔だけ出すマリアンヌ、頑張って唾を吐き出している傍らでカーナが紅茶を1口。

 そして口に含むと「あ~なるほど」と納得してマリアンヌに毒ではないと首を振った。


「水が少し痛んでいますね、おそらく今日は天気もよく気温も高かったのが原因かと」


 な~んだ、毒じゃなかったんだ。

 よかった♪

 そっか、水が痛んで…痛む?

 そ、それは、おまえ、、、まさか


「き、きさまは、腐った水をわれに飲ませたのか?」


 ワナワナと動転するマリアンヌの黒目。

 そこでカーナはやっと自分がマズイことをしたのだと理解した。

 即行でマリアンヌの怒りをなだめる為、両手で「落ち着いてください」と目の前の空気を押さえつけるようなジェスチャーする。


「で、でも!加熱処理してますから大丈夫です!」

「大丈夫じゃねーよ!!」

「毒じゃないですよ」

「ある意味、毒のほうがマシだよ!!もう紅茶はいい!食事にするぞ!」

「はい!すぐにお持ちします!」


 そしてしばらくしてカーナが持ってきたのはクリームシチューであった。


 香り立つ匂いが鼻孔を通じてマリアンヌの脳内を刺激する。

 しかしそれは甘美な匂いではなく「ん?」と、疑問符が頭から飛び出す香りであった。


 先の紅茶の一件があるので恐る恐るスプーンを手にしてシチューをすくい、口に運ぶ。


「いかがですか?マリアンヌ様? 一応毒見をした際にはなかなか美味しかったのですが」


 うん、おいしくない。

 っていうか完全に不味い。


「これなんというシェフ作ったのかな?」


 作ったシェフの首を跳ねてやろうとカーナに聞いた。

 すると彼女は答えた


「えーと、たしかルイダ、いや、ルーダだったか、、、その兵士が作りました」


 おっと、シェフですら無かったか

 これは参ったな


「なんでシェフがおらぬのだ?」

「なぜと言われましても…」

「では言い換えよう、なぜ宮廷料理人が随伴ずいはんしておらぬのだ」


 普通ならここで”そんな贅沢言うなら戦場に来るな!”と一喝したいところだが、カーナにその選択肢は無い。

 つまり彼女が取るべき言動は


「えっと、、、、戦に必要が…あまり、ちょっと、無い感じだからかな~っていう感じではないかと」


 お茶をにごす回答だった。

 しかしマリアンヌは濁したお茶をひっくり返すように詰め寄る。


「必要あるだろ、だって現にこれは不味いよな!?不味いよな!な!? それになんか…」


 もごもごとシチューの中に入った肉を舌で転がす。


「なんか固いしさ、塩っぽい、というか肉が全体的に味付けが辛すぎるぞ!これを作ったやつは味覚障害だろ!」

「それは作った人間のせいではないです。こういった進軍中、戦中の場合は保存が利くように肉製品は塩漬けにしますので、それが原因かと」

「え?じゃあこの塩分大量投入の肉が続くのか?」


 マリアンヌはスプーンで肉をつつく


「え、まぁ…はい。でも私も食べましたけど、結構イケるかと思うのですが」

「それはわれの味覚がおかしいと言いたいのか?」

「いいえ!滅相も無い!不味かったです!」

「じゃあ下げろ」

「はい」


 イソイソと片付けるカーナ 

 信じられないとマリアンヌは問いかけた


「みな、これを食っているのか?」

「みなとは…一般の兵士や騎士たちも含めてですか?」

「うん」

「一般兵ですと戦中に肉はほとんど振舞われません、豆や野菜がベースとなるので。騎士でも、爵位が無い場合はそう違いが無いので肉が出るのは決戦前か勝利後ぐらいかと」


 いや、別に肉だろうが豆だろうが野菜だろうが旨ければレパートリーに文句は無いのだが。

 聞いているのはグレードだ


「貴族も?」

「爵位を持っている方などは優先的に肉を食べれます」

「肉って…これのこと言っているのか?」

「はい、だいぶこれよりもグレードは下がりますが」


 これ以下って何?

 この世に存在するの?

 そんな物が?


「ということはよく戦場に出ていた亡き母上もこのようなものを食したと?」

「リーシャ様は貴族の出なのでそうなりますね、しかし20年以上前ですので保存技術を考えるともっと酷かったかと」

「もっと?」

「えっと場合によっては、、、、腐った肉とか下手すと獣や魔獣の死骸しがい

「ごめん!やっぱり聞きたくない!」


 脳裏に映るは母の笑顔、しかし実際は獣の死骸をすすっていたと?

 考えたくも無い!


「ちなみに父上もか?」

「さすがに皇帝陛下の場合は同じ物をとはいきませんが、今回のマリアンヌ様同様の特別に作らせたものになるかと思います。マリアンヌ様の言われる新鮮な肉や魚などが常にあるというわけにはいきませんので」

「なんてこった」


 この20年、戦の技術は向上しても新鮮な食品の保存技術、そして野外の調理法などは進化していなかったとは…

 そして進化させようとした者すらおらんかったとは…


「この世界は間違っている、これは城に帰ったら早々に改革が必要だな」

「マリアンヌ様」

「なんだ?」

「このお食事ですが、まだ調理用のテントのほうに鍋ごと結構残っているのですが…」

「捨てろ、こんな物をわれが食えるわけが無いだろうが」


 吐き捨てるように言うマリアンヌにカーナはしかしと付け加えた。


「でも食料も無尽蔵ではないので、今回の城塞攻略がどれほどの日程になるか分からない現段階で捨ててしまうのは少しマズイような…士気にも関わるような」

「じゃあ、兵士達にでも振舞え。マリアンヌ様がお前達に力をつけて欲しいと言っているとか付け加えてな」

「はい、わかりました」


 カーナはそう言うとテントから出て行った。

 マリアンヌは真剣な表情で考える。


 飲まず食わずといくとして、昔、母上に聞いた話では人間は2週間は水だけで生きてゆけるらしい。

 ということは水分の摂取に関しては多少の我慢をしてでもるしか無い。


「仕方ない、断腸の思いで最低限だけ飲もう。大丈夫、クスリだと思えば…」


 今回のダイアル城塞までの片道3日、ということは往復で6日。

 つまり城塞攻略に割ける日数は、我の命の灯火が燃え尽きる2週間、14から6を引いた8日間で行わなければならない。


 うん…楽勝だな

 というか楽勝にしてみせる。

 1週間も何も食わない状態でいるとさすがにわれでも頭に糖分が回らず、考える力が低下してしまうからな


「まったくなんと厳しい初陣だ、戦とはかも辛いものだったとは」


 ということはあと問題となるのは…


 マリアンヌはちょうど帰ってきたカーナの袖の部分をくいくいと引っ張った。

 そして恐る恐る口を開いた。


「カーナ、花を摘みに行くときはどうすればよいのだ?」

「花ですか?」


 カーナは不思議そうにそう言った後、テントの一部分をめくり上げ、目の前に広がるのどかな草原風景の先を指差す。


「たしかこの先を半日ほど行った所に天然の花畑があります。今の季節ですとキバナコスモスが見ごろかと。それはもう美しいオレンジ色が一面に広がっているだとか…行かれますか?」

「なんで本当に花なんぞ摘みに行かねばならんのだ?」

「えっ、でも今、花と」

「トイレだよ!!」


 ああ、そいういうことか!と心の中で手をポンと叩くカーナ。

 自信を持って答えた


「そのへんで」

「出来るか!!!」



 ああ、自分の準備不足が嘆かわしい。

閲覧ありがとうございました<(_ _*)>


今回はかなりコミカルな感じだったので楽しんで頂けたのなら幸いです(*^_^*)

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