17 裏話 旅の終着点
クリックありがとうございます♪3期も終え、映画化も発表されたウマ娘。いつか…ソシャゲじゃなくてコンシューマーにならないかな?って期待しているひとりぼっちの桜ですw
ワンチャンあるんじゃないかな?っと思っています('ω')ノ今プレイされている方々には申し訳ないのですが、だっていずれソシャゲって終わるじゃん?(´;ω;`)ウゥゥ。でも運営からしたらこのまま素晴らしいコンテンツを眠らすのは勿体ないと考えると思うんだよね~ベタ移植ってわけにはいかなくても、あれは元々パワプロのサクセスみたいな作りだし、ちょっと工夫したらいけると思うんだよね~CS版w
あ~あ、やりたいな~ウマ娘(+o+)
さて今回のお話ですが、この章の終わりのお話となります。つまり銀線宝歌の最後のお話となるわけです。仲良く過ごした?かは置いといてw2カ月に渡って旅をした3人の終着点、皆さん、楽しんでくださいね(^^♪
あっ、ページ数は原稿用紙15ページ文字数9千文字ほどになってしまいましたが、、いや、あの当初別けようとも思ったのですが(3つぐらいに別けたら毎週アップ3週分だし…)どうしても話の流れ上一気にアップした方が美しかったので、そのままアップする事にしました。
ちょっと多いけど、ゆっくりでもいいので最後まで読んで頂けると嬉しいです( ^)o(^ )♪
ではどうぞ銀線宝歌の最後のお話、お楽しみくださいませ~(^_-)-☆
まさか、こんな結末が私たちに待っていたなんて…。
サンティエールを出発して1日ほど。
深い森を突っ切る形でプルートへ帰る道すがら、ガラガラと何台もの馬車の音がこだまする。
時刻は昼辺り。
360度、森の香りがする中、アトラス方面とプルート方面の境目近くの森林地帯で止まる馬車。
それは偽りの旅芸人、我々銀線宝歌の旅の終わりを意味していた。
まぁ、そもそも偽りというだけあって何の仲間意識も無かったから大した感慨深さなんか覚えようもないけどね。
「さぁ降りるわよ」
「いや~シャバの空気は旨いぜ~」
「リックス、それはわたしたちと乗っていた馬車の中が牢屋のようだった言っているのかしらん?」
「あ~ダリぃな~くそが」
「シャルドネさん何でここに止まるの?」
「シアくん、知らないのかい?オムさんだよぉ、オムさんと別れる為に止まったんだよぉ」
一足早く馬車を降りるカラス達。
ぶつくさ言いながらも木々の奥、葉の隙間に至るまで人目が無い事を入念に確認。
「いねぇな、誰も」
「居ないわね」
「周囲ニは誰もイない。マリアンヌ様伝えテくる」
ホリーはそう言うと一番豪華な馬車に近づく。
すると満を持したかのようにマリアンヌたち3名が馬車から降りてきた。
談笑を交えながら…。
「いやはや、久しぶりに馬車に乗ったが疲れたね~。へへへ」
「あなたは馬車に乗ってただけでしょう。疲れたとか言わないで貰えます? それよりもマリアンヌ様、手は大丈夫ですか?」
「うむ、コロナの薬が効いているようだ。全く痛くない」
先頭はマリアンヌ。彼女は黒く塗られた口紅で朗らかな笑みを作り、いつもの黒いドレスに身を包んでいる。
次に降りてきたのはカーナ。彼女はすぐ後ろの男に文句を言いつつも周囲を警戒しながら降りてくる、いつものまったく似合っていないメイド服で。
そして最後に降りてきたのは私たちカラスの新たなボスとなった男、ヤン・メイザール。彼はラフな服装で馬車から降りてきた。ゴーツ・コイル時代と違ってボサついた黒髪はオールバックにして清潔感があり、疑心に満ちた目、何も信じていないマリアンヌの深遠な黒い視線とも違った、泥のような嫌な視線だ。
「見れば見るほど痛々しい手だね~。しかしそれも領主を勝手に殴って負ったわけだから、お姫様の自業自得だとも言えるがね~」
「自業自得とは酷い物言いだな、ヤン。 この負傷はね…我をクソ暑い中、長時間待たせた罪を我自ら裁いたからこそ負った傷、故にこれは名誉の負傷というのだよ」
「ヤン!マリアンヌ様に対して自業自得なんて失礼な事を言わないでください!マリアンヌ様はお優しいから私たちの代わりにヤンに天誅を…ってあれ? ヤン、、あなたもヤンで、殴られた老人のヤンもヤンなわけで…って事は私はこういう時になんて言えば…、どっちのヤンが、あれ?旧ヤン?新ヤン?」
「あんたさん、めんどくさいね~」
そうこうしている内にマリアンヌの背後、使用人たちが違う馬車から降りてきた。
「マリアンヌ様、私たちはどうしたらよろしいでしょうか?」
今、マリアンヌにいち早く駆け寄ってきたのは、名は確か…コロナだったか、
医療に精通したメイドとはコイツの事だったのか。
マリアンヌの手の骨折を的確に治療した人間。
要注意人物の追加ね。
「ちょっとした休憩だ。なので小休止した後にすぐ出発する。お前達は少し休んでいろ」
「分かりました」
その返答を聞いてコロナ以外の使用人たちが、これ以上の危険な何かは無くやっとプルートに帰れるんだとホッとした顔をしている。
「………」
この場に止まった理由、小休止を納得している?
マリアンヌは使用人たちにはオムの事は言ってないのかしら?
まぁわざわざ皇女が使用人たちに、オムが元アトラスの兵だとか、約束を守ってアトラスに帰すとか全てを説明する必要も無いか。
切り替えるように視線を移す。
すると反対側、オムとの別れの前にカラスが集まって話をしていた。
個人主義の集団だから軽い挨拶程度だが、私も声をかけるべきだろうか?別にかけたい言葉なんてないんだけど…それでもここで話しかけないのはおかしいかしら。
私は怪しまれないようにオムに別れの言葉をかける事にした。
「オム、あなたのおかげでつつがなく今回のミッションを終えることが出来たわ。事前にあなたから教えてもらったこの地の習慣、食文化、考え方、どれもが貴重で道案内だけではなく、それらがなければこんなにすんなりと事は上手くは運ばなかったでしょうね。ありがとう」
私が口にしたのは全て嘘で塗り固められた感謝と別れの言葉であった。
だってコイツが居なくてもアトラスの地の事は知っていた。
この言葉が嘘である事をこの場において私と目の前のオム、そして近くで済ました顔で突っ立っているウィノだけが知っている。
だがこの言葉をあえて今ここで口にすることが重要だと私の勘が訴えかけているのだ。
「気にするな、俺も俺の為にやっただけだからな」
「それでも銀線宝歌のリーダーとしてはお礼を言わないとね」
「フッ、偽りの旅芸人だったがな」
粘りつく泥が含まれているような嫌な視線、我々の新たなボスであるヤン・メイザールがこちらを見ている気がするから。
もちろんあからさまにあちらを見る事が出来ないから確信は持てない、だからこれはただの私の勘だ。
でも間違いなくヤンはマリアンヌたちと話しながらこちらに対して盗み見るようにし、聞き耳は立てているだろうと思うのだ。
「じゃあね、オム」
「バイバ~イ、オムさぁん♪ アトラスに行っても元気でねぇ~♪」
「ああ、お前らも達者でな。嘘の旅芸人だったとはいえ結構楽しかったぞ」
私の心配もまったく知らないシャルドネが私たちの会話に参加した事で実に自然な銀線宝歌の別れが演出できた。
そしてそうこうしている内にマリアンヌがこちらにやって来た。
銀線の髪をなびかせて。
後ろにカーナとヤンを付き従えて。
「別れの挨拶は終わったか?」
「はい!深きご配慮ありがとうございます!」
夏の木々が茂る森の中、ピシャリと姿勢を正し、深々と頭を下げるオム。
こういう所作を見ていると、彼が元アトラス兵だなと再認識させられるわね。
「別に構わないよ。此度の結果、我は非常に満足している。1週間で紛争解決、100点の出来だ。これであの忌々しい義兄ロキの腕か王位継承権どちらかを奪い取れる。 それもこれもアトラスの地を知る君が居なければ無理だっただろう、ランも思い通り反乱軍に取り入る事も出来なかったであろうしな。だから約束通り金はやるし、万が一の逃げ場所も用意してやる。カーナ」
「はい。 オム・カッツァ、これがあなたが望んだ金貨200枚です」
手渡されたのはたっぷりの金貨を飲み込んだ革袋と何かが書かれた小さな紙切れ。
「ありがたく頂戴します」
ずっしりとした金貨の重みが手に伝わる。
軽く革袋の口に目を落とすオムの口元が自然と緩む。
表情もそれに引っ張られるように柔らかくなっていた。
おそらく困難なミッションを終えた安堵感と大金を得た事、故郷に帰れる事、アトラスに残してきたまだ小さい娘に会える事が要因だろう。
カーナは今渡した小さな紙切れを指差す。
「あと、もしもあなたがアトラスに追われた場合ですが、一緒に渡したその紙に書かれた場所に行きなさい。匿ってくれる手筈になっています。もちろん娘さんも一緒に」
「ありがとうございます!」
再び感謝の言葉。そして貰った金貨の入った皮袋を懐に仕舞おうとしたその時、マリアンヌは言った。
「ちょっと待て」
「え?」
「ちゃんと金貨の枚数を数えろ」
それはとても意外な物言いであった。
「え、いや、そんな、わざわざ数えなくても」
戸惑うオム。
それもそうだろう。
貰った金貨を皇族の前で枚数を数えるなんて失礼すぎる行為。
カイルなどの無法者ならいざ知らず、それを知っているオムがやるわけがない。
だが、
「後から枚数が足らなかったといちゃもんをつけられると不快だ。早く数えろ」
「あ、ああ、なるほど。分かりました!数えます!」
一生懸命数えるオム。
「あ、ありました。大丈夫です!はい!」
あの感じ、本当に数えたかは怪しいわね。
革袋から取り出さずに、入ったままで中の金貨を数える。
ちょっと厳しい作業だもの。
数えたフリって所かしら。
まぁ、あのお姫様が数えろと言っている以上、断るのも難しいものね。
「そうか、じゃあ君とはさようならだ」
「はい!何から何までマリアンヌ様には感謝し切れません!この金があれば全てを取り戻せます!アトラスでの生活も家族も!」
再び頭を深々と下げるオム。
マリアンヌは包帯に巻かれた手をヒラヒラと振る。
「別に礼などいらん。結果を出した人間には褒美を取らす、それだけの事だ。信賞必罰は世の理だからな」
「ありがとうございます」
さてどうしたものかしら。
私は額に手を当てて空を見上げる。
今回マリアンヌの策は見事成功した。
紛争解決という困難なミッションをたった1週間で完遂。
これでマリアンヌはこの地を平定させ、皇族争いも優位に立てるだろう。
また1つ皇帝の座に近づいた。
それは喜ばしい。
けれど。
コイツは私の秘密を知っている。
しかもマリアンヌは自分にとって100%協力的かは置いといても、オムという間者をプルートに送る事に成功した事になる。
オム・カッツァ、最早生かしておくには危険すぎる存在。
だが、だからと言って私が自ら殺すなんて事は出来ない。
本国に知らせを送るなんて危険なマネももちろん出来ない。
事前のオムの話を信じるのならば、私に害をなす事をオムが率先してやって来るとは思えないわ。
でもこれはただの口約束。
オムが裏切らない保証はない。
やはり一番良いのは本国に自然な形で…
今自分が取れる最善手を導き出そう思考を巡らせ、視線を落としたラン。
その時だった。
一瞬、冷たい空気が鼻先を掠めたのは。
私がそれをカーナが魔道具を発動させた事によって起こったものだと認識したのは、オムの心臓にナイフが突き刺さったのを目にした時であった。
「「は?」」
カラス達、マリアンヌの使用人たち全員が目を丸くした。
だが誰よりも驚いた表情をしていたのはオム。
「っ!?」
胸が熱く痛い。
息が苦しい。
枯れる声はただ見たままを口にする。
「刺さ…れた?むね?心臓…なんで」
そして生い茂る雑草の上に倒れるオム。
立ち上がることは出来ない。
血が地面を塗らす。
出血量が既に致死量だと物語っている。
近づいてくるマリアンヌ。
さっきまでの朗らかな表情は何処へやら…。
憎しみに歪んだ形相で、氷のような眼差しでオムを悠然と見下ろす。
彼女は言った。
「条件があります」
「…ぇ」
「条件があります条件があります条件があります条件があります。2ヶ月前、君が我に吐いた言葉だ。覚えてるよね?」
急に圧迫されていく場の空気。
そこにあったのはサンティエールで全ての策を成功させて喜んでいる視線などではなく、凍るような視線であった。
その目を見た瞬間、血の気が引いた。
全員がゴクリと生唾を飲み込む。
唇が、手足が伝播するように震える。
「君にとってあの言葉は高が知れている他愛無い言葉だったのだろう。でもね…我があの時どれだけムカついたか、、君分かってないよね?あれから2ヶ月、時が経てば経つほどに君への憎しみは膨れ上がったよ…。ねぇ~?今だから聞くけどさ、誰に向かって条件なんぞ出している?我を脅すようなマネしよって。しかも4日間慎ましく過ごせだと?身の程を弁えろ劣悪種以下の塵芥風情が」
もうオムは声も出せない。
だがそんな事は関係ない。
死ぬ寸前、マリアンヌは嬉しそうに言った。
「我に楯突いた者の報いは死だ、例外はない、存分に味わえ。って、あ~もう死んでるか♪」
心から嬉しそうに笑うマリアンヌ。
それを見てやれやれと近寄ってくるヤン。
「やっぱり勿体無いんじゃないですかね~?事前に馬車でその男を殺す事は聞いてはいたが…、アトラスで諜報活動を行う事ができ、先々を考えた時に手引きできる存在、そんな貴重な間者をアトラスに送り込めるのはこれ以上ないアドバンテージ。しかもアトラスの地で死んでもこちらは一切痛くも痒くもない。捨てるには勿体無いと思うがね~」
「それについては事前に説明したであろう。これは損得勘定の話ではない、我のプライドを傷つけたのが何よりも重い罪という話だ」
「そうですよ、ゴーツ・コイ…じゃなくてヤン・メイザール。マリアンヌ様は深く傷ついたんです、だから愚かなオムは死んだ、それだけの話です」
血の海に散らばる金貨。
死体となったオム。
マリアンヌは吐き捨てるようにそれらに背を向けた。
「では帰るぞ」
「あの…マリアンヌ様。オムにやった金貨拾わなくてもいいんですか?」
するとあからさまに不快な表情をするマリアンヌ。
「はぁ?お前は我に一度やった金貨を卑しくも拾えとでも言うのか?」
焦るカーナ。
「い、いえ!すいません!」
はぁ~と溜め息。
「捨て置け。その金は我がこの不届き者にやったものだ。これで我がその金を拾おうものなら、約束だけ守らせて金惜しさに約束を反故、殺したみたいになるだろうが。そのような下賎な行為、小物がすることだ。お前は我に恥をかかせるつもりか?」
「あっ!なるほど!確かにそうですね!マリアンヌ様がこんなはした金を惜しんだりしませんもんね!」
馬車に戻ろうとするマリアンヌ。
その中、空気を読まずに、、。
いいや、読んで尚、自らの命を危険に晒してでもマリアンヌに意見を述べる人間が居た。
「あぁ、あのぉ!」
声が上擦った。
天高くピンと伸ばされた手。
マリアンヌは少し目を細める。
「何?シャルドネ」
「こ、こ、この金貨、拾ってもいいですか!?」
マリアンヌの目の端がひりつく。
自然と声も硬くなる。
「何度言えば分かるの?我がコイツを殺したのは金が惜しくてではなく、出発前のコイツの無礼な行いについて許せないと」
「だからマリアンヌ様は間違いなくオムにお金を支払いました!このお金はもうマリアンヌ様の元には戻りません!」
「ん?ん~?」
「わたしは勝手にそれを拾うだけです!今回の慰問で先に潜入したご褒美的な!」
これ以上ないぐらい必死にお願いしてくるシャルドネ。
金貨200枚もあればプルートに帰ったら好きなだけ宝石が買える!
その必死さが目にまで現れている。
マリアンヌにしても今回の褒美と言われると無下にはしずらかったのだろう。
「…まぁ、それなら……いいけど」
「わぁ~~い!マリアンヌ様、マジ天使!マジ神!!」
「いいから、そういうの。早く拾えば?」
「はぁ~~い!!」
偽装とは言え、数ヶ月間に渡って寝起きを共にしてきたオム。
だが仲間の死よりも血に濡れた金貨を一心不乱に拾い集めるシャルドネ。
彼女にとって仲間なんて何の価値もなかったという事だろう。
「わぁ~~~い!!生きてて良かったぁ!!オムさん死んでくれてサンキュー♪」
1人だけ拾う事を許されたシャルドネ。
それを見ているカラスたち。
その中で1人。
リックス・フィンラード、彼は羨ましくて羨ましくて仕方なかった。
「俺も拾っても良いでしょうか!!」
え?お前も?
あからさまに怪訝な表情をするマリアンヌ。
「………」
無言のマリアンヌ。
すぐ背後ではカーナが睨んでいる。
このままではいけない。
そう感じたのだろう。
瞬間、土下座を決め込むリックス。
額を地面にこすりつける。
そこから彼は決して頭を上げる事無く地面に向かって声を張り上げた。
「俺も今回の慰問!マリアンヌ様御大将の為!暑い中!とても暑い中!2階の外壁に張り付いてまいりました!全てはマリアンヌ様の為に!だからこの卑しい卑しいリックスにもこの地面に散らばった金貨を拾う許可を下さいませ!!おなしゃぁーーす!!!」
このふざけた土下座を見るのも2度目。
流石にイラつくだろう。
そう思った。
だが…。
「………」
何度見ても、、なんと、なんと見事な土下座だろう。
手だけではなく額も地面にめり込むかのようにして行なわれた土下座。
見た者全てがコイツをゴミと認識し、コイツと関わるだけ時間の無駄だと悟り、イラつきを忘れてしまいそうな土下座。
実際、それを目の前で見たマリアンヌの怒りは沸点から氷点下まで下がり、完全に消え失せていた。
それはもう溜め息するのすら億劫になるほどに…。
「アホくさ。もう~勝手にしていいよ。カラス全員で勝手に拾え。我は先に馬車に戻る」
「え!?カラス全員!?ちょっとマリアンヌ様!全員である必要は無いんっすよ!!拾うのは俺とシャルドネだけでいいんすよ!ちょっと!!マリアンヌ様!!聞いておられます!?ってシャルドネ!?お前拾いすぎじゃね!?」
「うるさい!!早い者勝ちだぁ!!」
「くそぉぉぉがぁぁ!!負けねえぇぞぉぉ!!」
なんと浅ましい奴らだろうか。
必死に血で汚れた金貨を拾っている。
プライドは無いのだろうか?
そんな事を考えながらもマリアンヌはふと思った。
血をべったりと吸い込んだ金貨200枚。
だが正確に述べるとその内訳は血を吸っているのは7割の金貨、残りの3割、60枚ほどは綺麗なまま。
「………」
信賞必罰は世の理。
だからこそオムには褒美もやったし罰も与えた。
ならば他の者たちには?
何もやらないのはかわいそうなのか?
「ふむ、功を成した下々の者に恵んでやるのも王の資質か」
マリアンヌは醜い2人、そして今まさに拾おうかな~と思っている数人のカラスたちに向かって言った。
良い事を思いついたと、
「ああ~ちょっと待って」
ピタッと動きを止めるシャルドネとリックス。
他のカラス達も足を止める。
「お前達カラスが拾ってよいのは血が付いている金貨だけだ、血に濡れていない3割はお前達が拾ってよいぞ」
そう視線を送られたのはコロナを含めたマリアンヌの使用人たちであった。
彼ら彼女らは戸惑っていた。
「特にコロナ、お前は手の事で非常に世話になった。我からの小さな褒美だ」
「い、いえ!そんな!とんでもない!私はマリアンヌ様のお役に立てればそれで!」
「そう? まぁ、それなら他の使用人が拾えばよい、お前達も頑張ったのだからな。あ~安心してよいぞ、もちろん国に帰ったらまた別の褒美もくれてやるからな。なんと言っても我は心が広いからな」
「流石はマリアンヌ様です!感服しました!」
「だろ?カーナ。我は優しい王なのだよ」
機嫌よく笑いながら馬車に帰っていくマリアンヌ。
後ろにはカーナとヤンも付いてくる。
マリアンヌは皮肉気味な笑みを浮かべた。
「ヤン、お前は拾わなくていいのか?」
「いらんでしょ? あっしが望めば金、地位、女、すべて頂けるんでしょ?ならこんなはした金を拾う理由があるとでもお思いで? へへへ」
「…可愛げが無いな~」
「そうですよね!卑しくも地面に這いつくばって拾えばいいんですよ!お前なんて!」
「でも我好みの答えだよ」
「ですよね!私もそう思ってました!!」
「カーナだったっけ?…あんたさん、ちょっとばかし情緒おかしくないかね?」
3名は談笑をしながら馬車に戻っていく。
まるでオムの死が無かったかのような雰囲気で。
「カーナはこういう奴だ。これからは同僚になるのだからお前も慣れろ」
「これに慣れろと?」
「これ!?これって何ですか!?ヤン・メイザール!私の方が先輩ですよ!?」
全ての問題を片付けて満足気なマリアンヌ。
自分は特別だ。
選ばれた存在だ。
自分以外は全てゴミ。
それらを疑いすらしていない堂々と、そして傲慢な後ろ姿。
月明かりのような美しい銀線の後ろ髪、それ見ながらランは無言で周りに視線を配る。
「………」
死んだオム。
一心不乱に金を拾うシャルドネ。
「まさか、こんな結末が私たち銀線宝歌に待っていたなんて…ね」
一抹の寂しさ、虚しさのようなものは感じる。
でも何よりも…。
正直、私は運が良いと思った。
これで私の秘密を知るものが居なくなったのだ。
そしてマリアンヌ・ディ・ファンデシベル。
あなたはオムを殺して満足そうにしているが、これは完全な失策よ。
あなたはオムを殺すべきではなかった。
今回の一件で理解した。
神はあなたを愛しているかもしれない。
けれど、あなたは神を愛してはいない。
だってあなたは神を信じていないから。
だから今回のような事になった。
あなたは最後の最後にミスをした。
他ならぬ、あなた自身の手で。
「フフフ」
”その行動のツケが、いつかあなたの首を落としに来ないといいわね”
「楽しい旅だったわね」
閲覧ありがとうございました(__)いかがでしたか?銀線宝歌という偽物の旅芸人、その最後のお話、実に私らしい終着点を皆様にご用意できたのではないかと思っておりますw
因みにこの結末、予想できた方はいらっしゃいましたか?(* ̄▽ ̄)フフフッ♪いないんじゃないですか?だってオムを殺す事によっての利益なんてマリアンヌ側には一切無いですもんんねw
でも私はこの結末をどうしても書きたかったのです。
だって…この決断をする人間だからこそ、マリアンヌはマリアンヌなんじゃないですか(笑)
そしてこれでマリアンヌのサンティエール編が本当の意味で終わるのですが…大変な長旅でしたねwいや、前章である7章がとんでもない話数かかったとかは置いといてwマリアンヌの配下であるカラス、それがこのサンティエールの旅路でオケトラ、ペリモン、オム、3名も死んでしまった(>_<)実に苛烈な旅でございました。。
ん?『3名の内2名を殺したのはマリアンヌじゃね?』ですって?
…ハッハッハ( ´□`)!何を言っているんだかw冗談はよしこちゃんですよww
次回からは次の章になりますが、次の章はアツいよ~色んな意味でw
ではまた次回お会いしましょう♪(^〇^)/~
1つの章の終わり。つまりそれは私が皆様にブックマークと評価をお願いしなければいけないという鐘が鳴ったというわけですが…。
その前に1つ私とお話をしませんか?
突然ですが皆さんは、なぜ私が毎回毎回前書きで「クリックありがとうございます」と言うのか、その理由をご存じでしょうか?気になってはいないでしょうか?
…そうですか、そうですか!気になりますか!
うん、うん♪よぉござんしょ、お教えしましょう(^v^)!
私はね…読まれる以前にクリックすらされない悲しみを知っているからです。
皆様もご存じの通り、ここは小説家になろうの最底辺、いや…その更に下、アンダーグラウンドにある小説です(><)
煌びやかな小説家になろう通りがあるとしたら、ここは通りから一歩外れた裏道、そこにあるマンホールを下った先にある地下にあるような物語です。
普通はね…誰も来ません( ノД`)そもそも見つけられないですからねw
初見なんて1話アップして多くて10人、平均は5~6人、少なかったら2~3人。それが当作品です( ;∀;)
でも皆さんは数ある作品から頑張って当作品を見つけてくれて、読んでくれたわけじゃないですか( ^^ )それは私にとって何よりも嬉しい事です。それはもちろんブックマークとか評価とか抜きにしてという意味ですよ。
私はね、ここに来てくれた全ての皆さんに心から感謝しているのです。
クリックしてこの私を見つけてくれたことを…。
だからこそ私は毎回「クリックありがとうございます。閲覧ありがとうございました」と言うのです。
例え皆さんが聞き飽きようとも、例え皆さんがもういいよと思おうとも。
自身が感謝の気持ちを忘れないように、
来てくれた事、見つけてくれた感謝を忘れないように、
言い続けていくのです。。
………
……
…
どうです、皆さん?|д゜)チラッ
と~っても良い話を聞いて感動したんじゃないですか(・∀・)ニヤニヤ。
どうです?ブックマークとか評価付けたくなったんじゃないですか?(・∀・)ニヤニヤ。
いいんですよ(^^♪感動ついでにブックマークとか評価押しちゃっても(∩´∀`)∩ヒューヒュー♪
ん?何ですか皆さん、なになに?
『ブックマーク、評価してあげようかな~と思ったけど、最後の一文がイラっとしたからやっぱや~めとこ』
ですって?
…ひ、酷い(>△<)!あんまりだ~ちょっと調子に乗っただけじゃん!(><)!




