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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第4章】 初陣!三日月峠の戦い
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02 醜き争い

クリックありがとうございます<(_ _*)>


今回と次回は前回の出陣の前のお話になります。

出陣でマリアンヌが民衆や兵たちに言った言葉、その中のどれだけが嘘だったかを探す要領で楽しんでいただけるとうれしいです(∩´∀`)∩


それではどうぞごらんください。



 話はマリアンヌが出陣する5日ほど前にさかのぼる。

 ちょうど別の場所でカーナが囚人達に「ボウガンを避けろ」と無理難題を吹っ掛けていた頃、城の王の間にて激しい論争が起こっていた。


 天井から吊り下げられ、燦然さんぜんと輝くシャンデリアの下、血の繋がらない兄弟が言い争う。


「いつから兄上はハイエナになられたのですか?」

「ハイエナとは異な事を言うなマリアンヌ。俺のどこがハイエナだと?」

「横から妹の功績を奪い取ろうとする浅ましい行動に言動、盗賊にすら劣る、だからハイエナ、どこか間違っていて?」

「かわいい妹から、功を奪い取るなど俺に出来るわけがないだろう。まったく言いがかりもはなはだしいな」

「クルヘルス地方の戦いはわれが本来担当するはずだった、そのために用意もしていた、にも関わらずそれに横槍を入れて奪い取ったことを恥ずかしいとも思わぬとは、、、そこまで落ちたか」

「この戦いは我が軍にとってとても大切な物になる、だから俺に回ってきたに過ぎない、それを恥ずかしいとは思えないな」

「その言い方だとわれだと戦に負けると言っているように聞こえるのだが?」

「魔女のお前では、だれも臣下が付いて来ないのだからこの戦いは勝てぬだろうよ」

「は?魔女?」


 急に振って湧いてきたような言葉に目を点にするマリアンヌ。

 そのか細い首はキョトンと斜めに傾いた。


「おや~、お前は知らなかったのか? ハッハッハ!こりゃ傑作だ!お前が城内、いや、プルートに住む者、全てからなんと忌み嫌われて呼ばれているか知らんとは!なんなら優しい兄である俺が教えてやろうか~?」

「その話の流れで魔女以外のお答えなら是非お聞かせいただきたいですね。ですがもし魔女なのでしたらあなたの言語理解力は人間以下、犬畜生のハイエナということになりますがね」

「グヌヌヌ、マリアンヌゥゥゥ」


 顔を真っ赤にして歯軋りをするロキ。

 怒りに震える指をマリアンヌに向けた。


「魔女だぞ!?民衆からそんな呼ばれ方をしている人間が皇帝になれると思っているのか!?」

「民草にどう思われようが問題は無いですね、われに意見するやつなど全て処刑台に送ってやればいいだけの事、それともあなたはいちいち民草の顔色をうかがって生活しているのですか?もしそうなら、あなたに皇族の資格などありません。 それに…まぁどんな呼び方であったとしてもハイエナよりはマシですしね」

「そう呼んでいるのはお前だけだ!」

「そう急かさなくても、そんな浅ましい事ばかりしていたらすぐに城内、場外、国外、大陸全土に広がりますよ。おめでとうハイエナ皇子」

「そのハイエナ皇子に初陣を取られてお前はさぞ無念だったな」

「ええ、兄様の言う通りです、よく分かってるじゃないですか、だからこそ納得できないのですよ。 われが犬畜生に劣るとはどうしても思えないのでな」

「適材適所だ、お前にこの戦は任せきれん! それだけのことだと知れ!」

「前線は兵に任せ、作戦の立案は軍師に任せる、自分は一番安全な最後尾にて待機、ずいぶんとロキお兄様にお似合いのお仕事ですね。その辺にある置物でも出来そうな仕事だ」

「小さい頃からお前はそうやって、俺のことをぉコケにしよってからにぃ~」

「小さい頃?いつのことを言っているのだ? それに何をそんな女々しいことを言っているんだ、男のく・せ・に」


 その言葉で今まで何とかギリギリ最後の一線を留めていた枷が吹き飛んだ。

 ロキの顔中の血管が血を噴いて爆発する。


「女の分際で偉そうにぃ、男の俺に意見してんじゃねぇぇ!」

「男であるだけでそんなに偉いなら、お前がわれに勝っているのは”それだけ”ということだな。よかったな運よく男として生まれて来れて、女だったら何のとりえも無いお前など売り飛ばされて娼婦が関の山であったのだからな」

「俺は実際に武勲を立てている!何人もの武将の首をはね、それでもなお傷1つ浴びることなく戦場から帰ってきている、口だけのお前とは違うのだ!」


 腰まで伸びた黒い長髪を自慢するように翻しながら自分の武勲を口にするロキ。

 その言葉にしばし考え込むマリアンヌ


 黙るマリアンヌを見て、ロキは言い返す言葉が無いのだとほくそ笑んだ。


「ハッハッハ、俺はお前とは違うんだよマリアンヌゥ」

「武勲…ねぇ」


 マリアンヌは考える、ロキという人間の行動、そしてこいつの取り巻きが取る行動を。

 そして推測した内容をロキにだけ聞こえるようにささやいてやる。


「強き兵達に守られ、誰でも勝てそうなぐらい弱った相手に勝ったところで何の自慢になるのですか?」


 すると見るからに目が泳ぎ始めた。


「っな!?なぜ…」

「おや、その表情、当たりか?」

「貴様っ!マリアンヌ、俺にカマをかけたな…お前は、いつもいつもぉ俺をバカにしやがってぇぇ」


 小さく肩を震わせて睨み付けてくるロキ。


「どう頑張った所でお前の処遇は今後変わらん!それどころか城から一歩も出れない!」

「痴れ物が、お前にそんな権限などないだろうが」

「俺だけがそう言ってるんじゃねぇよ!」

「ほぅ、では誰がそんなことを言ったんだ?」

「我の考えじゃ」


 横から差し込むように皇帝が口を開いた。

 この場の空気がピリッと引き締まる。


「お前の最近の言動、行動は目に余る。われはこれ以上のお前のワガママを認めるつもりは無い」


 マリアンヌは破裂寸前の風船のように納得いかないと怒りを込めながらも、我慢して反論する。


「アンジェラの1件をおっしゃっているのであれば、あれは正当防衛、皇族、しかもその中でも王位継承権一位の私を暗殺しようとした、この罪を考えれば適切な罰を与えたまでにすぎません」

「お前を処分するという意見も出ている」

「処分!?何のですか!?」

「それに、この由緒正しい王の間を血で汚した罪も重い」


 その意見には賛同したい気持ちも無くは無いが…

 ここは同意するわけにもいかん


「ふ、拭けばよいではないですか」

「血で汚したこと事態が問題なのだ、そのような者に皇帝になる資格は無い」


 くそ~、アンジェラめぇぇ。

 死してなお、まだわれの邪魔をするか。


「ではなぜロキなのですか? 他の兄弟ではなくロキに任せる理由をお聞かせください」

「今までの功績を考慮した結果だ」


 どういうことだ?さっきから父、皇帝陛下がやけにロキの肩を持つな。

 アンジェラのことがあるからわれの肩を持たぬまでも、ここまでロキに肩入れするのは…

 もしや、われの知らぬ間に、何か密約が取り成されたのかも。

 でないと、ここまで示し合わせたような会話が行われるのはおかしい


 しかしこのままだと本当にわれが戦場に出ることなく次期皇帝が決まってしまう。

 状況をが悪すぎる、ここは少しでも空気を変えよう。


「皆はそれでいいのか? アール兄様、このままだとロキが皇帝になってしまいますよ」


 状況を一変するために周りにいた兄弟達に問いかけるようにそう言うと、長男アールは涼しい顔をして言った。


「今回はロキに任せることになったのだよ」


 マリアンヌは完全に確信を持った。


 こいつがこんなに簡単に引くわけが無い!

 ロキとの間に取引でも交しやがったな!


 その後、周りからマリアンヌに注がれる冷たい視線


 どうやら思っていた以上に形勢が悪い

 これを自業自得と捉えるか

 それともアンジェラの怨念と捉えるか


「フッ、惨めだなマリアンヌ、そうやって口しか出すことが出来ないんだからな」


 …殺すぞ、ロキ

 全てこいつのせいだ

 いっそのことカーナを使って殺ってしまおうか?

 いや、さすがにカーナと言えどもロキの取り巻きの騎士全てを殺せるかは疑問だ

 なら闇討ちなら。

 いやいやいや!ダメだ!今ここでロキが死んだら間違いなく疑われるのはわれだ、ということはアンジェラをああいった形で殺してしまった以上、皇族に手を出したらわれであろうが処刑台行きは確実。


 ぬぅ~、これ以上は粘ってもわれの立場をさらに悪化させるだけか。

 ここはおとなしく引いておこう。

 待っていればいつかチャンスはやってくる、その時に備えて


 今は我慢しておいてやる

 愚兄ロキよ

 いつかこの借りを何倍にもして返してやろう


「では此度こたびの戦は兄上にお譲りしますよ、どうぞ好きなだけ功をお立てください」

「お前に兄などと呼ばれたくない」

「そうですか。それじゃあ私はこれで…ん~、お前の名前なんだっけ? 忘れてしまったな。ハイエナでよいな、ではなハイエナ」

「このアマァ~」

「なんだ?ハイエナという名が気に入らなかったか? じゃあ名前を言ってみろ、薄汚い思想で漁夫ぎょふの利を得ようとすることぐらいしか出来ぬハイエナよ。 どうした?ほらっ、言ってみろ、ハ~イエ~ナ」

「マリアンヌ!この場でたたっ切ってやろうか!!」

「やってみろ。お前もアンジェラ同様、さらし首にしてくれるわ」


 そう言い終わるとマリアンヌは立ち去るために扉に足を向けた。


 その時だった。

 王の間の重厚な両開きのドアが勢いよく、そして音を立てて開けられた。


 両肩で息をするのは騎士になりたてのような若者。

 皇帝グローリーは怒号する。


「痴れ者が!誰が入ってきていいと言った!!」

「も、申し訳ございましぇん!しかし、至急お伝えしなければならないことが出来たの、ゆえ」


  青年はまだたどたどしい言葉遣いで弁明する


「誰がこんなボンクラをここまで通した!」

「恐れながら皇帝陛下、彼は私がダイアル城塞へ向かったムンガル将軍につけた者です。それが急ぎ帰ってきたことを考えますと、内容をお聞きになったほうがよろしいかと」


 左大臣がそう助言すると、皇帝を挟んで反対にいる右大臣も同意する。


「私もそう思います」

「…よかろう。 おい、申してみよ」

「ハッ!ありがたり、すいません!ありがたき、しゃやし、しわわせ、幸せ」


 何か、見ていて痛々しいな。


 青年はガチャガチャと鎧の音を鳴らしながらマリアンヌたちの横を通過した、そして皇帝陛下の前で肩膝ひざをついてひざまつく。

 そして彼は次の瞬間、ここにいる人全てが予想もしなかったとんでもないことを言った。


「ダイアル城塞が陥落しました」

「な、ん、だと?」


 マリアンヌは他人事のようにその時、思った。


 こいつぁ~嵐がおこるぜ♪

閲覧ありがとうございました(人´∀`).☆.。.:*


今回は兄弟の言い争いがメインでしたが、お楽しみいただけましたか?怒り狂う兄にマリアンヌの返答の数々、なかなかいい感じに纏まったかなって思ってます(^_^;)


ちなみに一人っ子の私の兄弟のイメージは兄と妹はケンカなんてしないんですけどね(*^_^*)

なぜかと言うと私が大学時代に出会った友達、加藤君が20の時に5歳下の妹と一緒にお風呂に入ったと私に言ってきたのが原因でしょう。


私はその時思いました「うん、兄弟ってそうだよね(。>∀<。)!やっぱり世の中の兄弟は私の考えていた通りだったんだ(≧ω≦)!」と。

あ~あ、私も欲しかったな~兄弟ぃ。・゜・(ノД`)・゜・。


あっ、すいません話が脱線しすぎましたm(__)m

ちなみに次のお話は3連休のどこかであげようと思っているので、よければ読んで頂けるとうれしいです(^^♪

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