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01 誰も居ない早朝にて…

クリックありがとうございます♪最近は暑いので外での仕事中、水に濡らしてブンブン( >_<)ブンブン振ると冷えるタオルを使っているひとりぼっちの桜ですw

皆、アレいいよー(^^♪ぬるくなったら再びブンブン( >_<)ブンブンすればたまた冷たくなるのでずっとひんやりとするから外仕事にはピッタリなのだ♪


さて今回のお話ですが、、お待たせしまた!新章開幕であります(*''▽'')!3人の旅芸人に扮したカラス。彼らは果たしてマリアンヌの物語の裏でどのような動きをしていたのか…。


いや~難産だったw目指すは10話に纏めるというスローガンの下、(出来るとは言ってないw)YouTubeの切り抜き動画のように必要な所をピンポイントで描く手法、やっていきたいと思います(^-^;

それで今回のお話を読む前に、良かったら前回の7章「25、2カ月前(8)」から「30、2カ月前(13)」を読んで頂けるとすんなりと今回のお話に進んで頂けると思うので良かったら読んでね♪

もちろん読まなくても出来る限り理解できるように頑張って書いたけどねwあっ、因みに今回の文字数は原稿用紙9ページ、6千文字ほどなのでw


では今回のお話もどうぞお楽しみくださいませ~♪



 まだ誰も起きてはいない早朝。

 少しひんやりとした空気の中、朝露あさつゆがキラキラと瞬く。

 そんな中、24時間絶対に在住するはずの門番がなぜか居ないプルートの裏門前にて涼しい顔をして待機している3名が居た。


「………」

「………」

「………」


 旅芸人に扮した3名は出発の時をただ待つ。

 ただし仲間意識など一切感じらない一定の距離を開け保ちながら。

 彼らはまるで3人が互いを牽制しあうように。

 そして目線の先にある城下町、その建物と建物の間、細い道の先、パン屋の店主が仕込みの為にドアを開けた辺りで3名の中でリーダー格である女が口を開いた。


「そろそろ出発の時間ね、ボスたちはまだかしら?」


 踊り子ラン。

 胸元が大きく開いた露出度が高い妖艶な踊り子の服を着用し、誰も居ない裏門の柱に寄りかかっている。

 暇を持て余すかのように流れるような長い黒髪をクルクルといじる。


「ふ~ふ~ふ♪早く来ないかなぁ~どんな宝石よりもキラキラしてる至極の宝石マリアンヌ様ぁ♪」


 吟遊詩人シャルドネ。

 いつもの奇抜な髪型を隠すように目元すら隠れてしまいそうな広いつばの帽子を被り、各所に宝石や貴金属が散りばめられた豪華な服を着用、最高級品のリュートを小脇に抱え石材の上で足を組む。

 鼻歌は陽気を奏でている。


「………」


 護衛兼荷物持ちオム。

 いつと同じく黒いローブを被り自分の顔すらも隠している。

 ローブの端から見えるは銀に輝く軽装備、その腰に付けている剣や腕に付けられた小型の盾に至るまでマリアンヌの指示によってプルートの名工が作り出した一品の数々。

 彼は一言も発せず物静かな雰囲気で立っていた。


 彼らこそ今回サンティエールに旅芸人として潜入する事になったマリアンヌ直属の暗殺部隊カラスのメンバーであった。

 彼ら3人の共通点は凶悪犯罪者であること。


 だが彼らは3人は互いの顔すら一切見ない。

 視線すらも送らない。

 会話など必要ない。

 待っているのはただ自分達の主だけなのだから。


 そしてその後も続く沈黙。

 待ち人が来るまで続くと思われた沈黙だったが、そんな沈黙の中、3人の内の1人、そいつだけは暇に耐え切れなかった。

 広いつばの帽子が傾いて落ちてしまうほど大きなあくびをすると、


「あ~~~あ、暇だなぁ」


 さっきから何も喋らないオム。

 彼はただ黙って地面を見ていた。

 それを見て微かに口元を緩ますシャルドネ。


「ね~ね~オムぅ♪ その指大丈夫ぅ~?」


 その視線の先、オムの左手小指には包帯が巻かれていた。

 先日マリアンヌに対してサンティエールへおもむく条件を飲ませる為に自ら折ることになった小指。

 シャルドネの口元がどんどんどんどん緩んでいく。


「見事なまでに折れちゃってるけどさ、痛そうだねぇ」


 いつもの甘ったるい声。

 心配などしていない、マリアンヌたちが来るまでのただの暇つぶしであることは明らかな声色。


 だから眉1つ動かさず沈黙を守ったままのオム。

 少し遠くから一瞬、こちらをチラリと見てきたランも黙ったまま関わる気は無いようだ。


「………」

「ね~ね~、その指で剣振れるの~?わたしたちの護衛役として来るわけでしょ?ちゃんとしないとマリアンヌ様も怒るんじゃないのぉ?」


 無言はつまらないから喋れと言わんばかりに”マリアンヌ”というワードをわざと口にするシャルドネ。

 するとオムは顔を上げ、直立不動のまま涼しい顔で答えた。


「問題ない、元より問題ないように利き手でない方の小指を折ったんだからな」

「あ~あれってやっぱり狙って小指を折ったんだぁ♪でもさぁ~『この作戦に参加する条件がある!』なんてさ、マリアンヌ様に偉そうに言っちゃって見ていてハラハラしちゃったよぉ。本当に生きてて良かったね」


 見え透いた嘘ばかりを口にするシャルドネ。 あの時1、2を争っていいほどオムに殺気を放っていたのはカラスの中ではこの目の前に居るシャルドネだった。

 この指の怪我にしても一番喜んでいる節まである。


「ってかぁ~改めて思うんだけどさぁ~もっといい方法があったんじゃないの~?指なんて折らなくても、可愛くお願いしたらマリアンヌ様ならきっとどんな条件を飲んでくれると思うなぁ」


 飲むわけないだろ。

 と、オムは門の外に向かって溜め息を吐く。


「あの時はああするしかなかった。俺の希望である無条件のアトラスへの帰還、大量の金、そしてもしアトラスに居れなくなった時の保険。これら全てを一度に叶える為には小指程度は惜しんでいられない」

「え~とぉ、確かアトラスに残してきた娘さんの為だっけ?その為に金貨200枚と、もしもアトラスから追われたときの住む場所。でもさぁ~それを得るために自分の命が無くなったら意味無くない?実際、あの時結構ヤバかったよね。マリアンヌ様ピキピキだったよぉ」

「それはお前には関係ない、俺はちゃんと道案内と護衛役をやる。護衛をするのに折れた小指はなんら問題ない。俺に任された仕事をこなすだけだ」


 その回答を最後に一方的に会話を打ち切るオム。

 その後また黙って下を向いてしまった。

 フードを被っているから顔色がやっぱり分からない。


 つまり暇を持て余しているシャルドネにとっては…。


「まぁ~ね~。私には関係ない…そうだけどぉ……つまんない男」


 わざと聞こえるように呟いた。

 そして再び訪れる沈黙。

 この上なく居心地の悪い空間。


「………」

「………」

「………」


 数分の時を経て東の空からゆっくりと太陽が上がっていく。

 そして近づいてくる新たな門出を祝うかのような車輪の音。

 やって来たのは3人にとってのボス、カーナ・マキシマム。

 彼女は御者の乗っていない馬車を1台引いていた。


「おはようございます、皆さん、ちゃんと寝坊もせず揃っているようで何よりです。時間厳守は人として最低限度の常識、私の部下である皆さんが常識を持ち合わせているようで安心しました」


 キョロキョロと周りを見渡すシャルドネ。

 御者も居らず馬を引くのはカーナだけ。

 シャルドネは馬車の中を見た、中には自分達が旅で必要な荷物がたんまりと入っていた。


「あのぉ~ボスぅ、マリアンヌ様はぁ?来るって言ってたよね?」


 するとカーナは冷や汗を掻きながら少し視線を逸らす。


「えっ…あの…マリアンヌ様は日々の疲れを癒すためまだ休まれていて、、その…今日は来られません。なので見送りは私だけです」


 それを聞いて察する3名。


「マリアンヌ様は寝坊かぁ~」

「私たちを見送ると昨日は豪語していたのに」

「最後に話しておきたかったんだけどな。チッ」


「いや、あの…皆さん、違うんです。マリアンヌ様は今、夢の中から皆さんを見送って…」


「つまりマリアンヌ様は人としての常識を持ち得ない非常識な人間だとボスは言っているわけね」

「あ~あ~マリアンヌ様に言っちゃお~♪」

「………」


「ちょっと!やめてください!!私は一般論を言っただけで、マリアンヌ様は神なのでその範疇には入りません!なので非常識ではありません!!分かりましたね!?言わないでくださいよ!?」


 まぁ正直言うと、3人にとってこんな朝早くにマリアンヌが本当に自分達を見送るためだけに起床するかと問われると否であったので、この事態は想定の出来るものだった。

 だがそこはマリアンヌが大好きなシャルドネ。

 彼女は心の奥底から残念そうに肩を落とすと、


「まぁ分かってたけどね。でも最後にどんな宝石よりもキラキラなマリアンヌ様見たかったなぁ~」


 お前はマリアンヌ様を何だと思っているんだ?

 宝石かなにかか?

 と、思いながらもカーナは話を続けた。


「え~ごほん!あなた達が事前に紙に書いて所望した数々の品ですが、既にこの馬車の中に詰め込んでいます。衣服や食料、金も含めてマリアンヌ様に感謝しなさい」

「わぁ~い♪感謝感謝の大感謝♪…え~とぉ、ボスぅ。わたしがお願いしてたものは?馬車の中?」

「あ~これですね。はい」


 カーナが懐から手渡した小袋。

 小袋を開くと宝石がキラキラと七色の光を放っていた。


「宝石だぁ~!わぁ~い!ありがと~ございますぅ~♪」


 身体全体で喜びを表すシャルドネ。

 カーナは怪訝けげんな顔をする。


「一応聞いときますが、これらの宝石の使用用途は?」

「移動中は暇だからぁ~このリュートちゃんをわたし使用にデコるんですよぉ」


 やはりか己のデコに手を当てるカーナ。


「これも一応聞いておくのですが、それの意味は?」

「テンションが爆上がりますぅ♪」

「なるほど、そうですか」


 聞く意味なんて無い。

 コイツはそういう人間だ。

 切り替えねばならない。

 マリアンヌ様の命令さえしっかりとこなすのならば。


「では出発前の最終確認です。あなた達は旅芸人『銀線宝歌ぎんせんほうか』として私たちよりも一足先にサンティエールに向かってください」

「あ~わたしの考えた名前だぁ~!」

「ええ、素晴らしい名前です。マリアンヌ様の美しい銀線の髪は宝そのもの、それを歌い広める芸人としてこれ以上ない名前。マリアンヌ様は少し渋い顔をしていましたが個人的には最高だったので強くプッシュした所、マリアンヌ様も首を縦にされたのでこの名前で決定となりました」

「やっほ~い♪」


 なぜマリアンヌが渋い顔をしていたのか、それが何となく分かったランとオムはなぜこいつらがこの名前をそこまで押すのか心底理解できなかった。

 ランは自身の黒く伸びた髪をかき上げる。


「その銀線宝歌という名はいいとして、話の続きを聞いてもいいかしら?そろそろ一般人も起きてくるわよ」

「ああ、そうですね。話を戻します。あなた達銀線宝歌は、サンティエールへ先行して潜入し、領主ヤン・メイザール及び現住民達の信頼を得て、現地の情報をこちらに送ってきて下さい。特に反乱軍の密な情報をマリアンヌ様は欲しております。あと、あなた達の正体がバレない事が前提ですが、領主側に反乱分子達と繋がっている内通者居る可能性が高いので、可能なら探し出して下さい」

「身分を偽り続けている内通者…軍師フイレルン、兵士長ソウス、庭士ゴーツ、料理長ボランの中に居るとされている、だったわね」

「ほんとに居るんですかぁ~?」

「マリアンヌ様が言っている以上、居ると思って行動して下さい。ですが、さっきも言った通り、あなた達の正体がバレない事が前提です。マリアンヌ様から聞いているでしょうが、あなた達の正体がバレたら計画が全て崩れると仰られておられました」

「マリアンヌ様にとってはまさに獅子身中しししんちゅうの虫。でも領主は容疑者に含まなくて本当にいいのかしら?」

「はい。マリアンヌ様は、領主は内通者ではないと言い切っていたので、領主は内通者候補から除外していいでしょう」

「言い切っていた…その理由は私は聞いていないんだけど、ボスはなぜ領主が内通者で無いのか、その理由をマリアンヌ様から聞いているのかしら?」


 戸惑うカーナ。


「いいえ、私も聞いてはいませんが、マリアンヌ様が仰っているならそうに決まっています」


 いつもの盲目的なまでの回答に目を細めるラン。


「何か言って無かったかしら?」

「そう言われましても…う~ん」

「ヒントになるようなことだけでも」


 そんな時だった。シャルドネが、宝石の小袋から視線をこちらに向けたのは。


「ランさんは何でそんなに気にするの?」

「それは知っているほうが潜入するときに…」


 ランは、一瞬身体を固くした。

 甘ったるい声に子供っぽい仕草。しかし、瞳に宿っているのは闇深い疑惑の色。 

 まるで敵を見る目。


「マリアンヌ様が言っているんだからそれでいいじゃんか?それ以上の理由がいるのぉ?いらないよね?」


 頭を振りつつ溜め息を吐きだすラン。


「…そうね。私が悪かったわ。ボス続けて」

「え?もう思い出さなくていいんですか?」

「ええ、マリアンヌ様が言っていた。十分な理由だわ」

「そうですか。ならラン、あなたは踊り子としてリーダー役として2人を纏めながら計画を成功に導いてください。この潜入ミッションの肝はリーダー役であるあなたです」

「もちろん。すべてはマリアンヌ様のお望みのままに」


「シャルドネ。あなたは、吟遊詩人として疑われないように振舞って下さい。あと、マリアンヌ様の密命も忘れないように」

「はぁ~~い♪」


 密命、ランとオムは自分達に聞かされていない何か。

 同時にそれはランとオムが信用されていないという証明。


「オム、あなたの仕事は護衛役兼サンティエールまでの道案内です。護衛は…この2人必要はないかもしれませんが、それでも怪しまれたら困るので護衛に見えるようしっかりと護衛役をこなすように。元アトラス兵、土地勘があるのはあなただけです、道案内は本当に任せましたよ」

「了解だ、サンティエールまでの道のりは頭にしっかりと入っている」

「そうですか、それはなりよりです。これ馬車の手綱、御者は護衛役であるあなたがやりなさい。もちろん出来ますね?」

「ああ」


 カーナは苛立ちを秘めた瞳で馬車の手綱をオムに手渡した。


「あと、オム・カッツァ。あなたに関しては、今すぐにでも私自らぶち殺してやりたいところですが、マリアンヌ様のご命令です。仕事をキッチリこなしなさい。そうすれば、あなたの願いは全て叶える、マリアンヌ様からのお言葉です」

「全力を尽くすとマリアンヌ様にお伝えしてくれ」


「では皆さん全ては神であらせられるマリアンヌ様の為に。行きなさい」


「じゃあ行ってきまぁ~す!」

「それではボス、一足先に行って待っているわ」


 馬車に乗り込むランとシャルドネ。オムは馬車を操るために前方へ。


「じゃあ馬車を出すぞ」

「ええ」

「ゴーゴー♪」


 カーナの見送りによって裏門から出て行く馬車1台。


 一方、早朝1人残され裏門に立つカーナ。

 彼女は重い溜め息をつく。


「不安です、本当にあの3名で大丈夫でしょうか?ま、信じるしかありませんよね」



閲覧ありがとうございました(`・ω・´)ゞ

新章いかがでしたか?まず切り取ったのは3人の出発した所、まぁ~安パイな感じでございましょうか( ´艸`)w

ではまた次回お会いしましょう♪(^^)/






皆様、夏が来ましたね(T_T)暑いですね(T_T)……って事は皆さんも私と同じく観てるよね?

(。´・ω・)ん?「何を?」ですって?

ハッハッハ(^□^)!決まってるじゃないですか『にじさんじ甲子園2023』ですよ!去年からハマって観ていますが、めっちゃ面白いよ♪特に私の押しているレオス監督が今年も参加しているので超~盛り上がってますw

……まぁ転生選手は引けなかったんだけどね(>_<)でも!去年に比べて栄冠ナイン事態は上振れ気味だし応援しがいがあるので、私も出来る限りリアタイ視聴で応援してます。

皆さんも良かったら一緒にまめねこ工科高校を応援しましょうね~。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 密命って何か気になる! 裏切った時の対処法とかかな? 裏切った時の連絡手段がいるから宝石の入っている小袋または宝石自体に何かあるのかな? シャルドネが持っていて一番疑われないのが宝石だ…
[良い点] カーナさん、戦闘以外は相変わらずポンコツだな~ww。 [気になる点] シャルドネがマリアンヌ様を信奉している理由は、神々しく『綺麗』だからなのかな。 ランは、シャルドネに威圧された時に身…
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