189 7日目⑬ 一夜で滅んだ村②
クリックありがとうございます♪今期オススメの深夜アニメは『推しの子』のひとりぼっちの桜ですw
皆さん、推しの子の第一話観ました? ええ、あの初回90分という時間のイカれたやつですw
私はね…実は他の作品を皆さんにおススメするつもりだったんです。でもね、あの凄い第一話を観て気持ちが変わったよ。今期の第一位はコレや(≧◇≦)あの第一話のクオリティは映画やwっていうか、アニメ史上最高の初回放送だったと思います!100点!
皆さん、まだ観ていないという方がいらっしゃったら是非とも観てほしい。一切のネタバレをしたくないので内容は言いませんが、、90分見終わった後、私と同じ ( º_º ) ←こんな放心状態な顔に10分ぐらいなると思うのでw
じゃあ第二話以降も私と一緒にテレビ放送を楽しみましょうね~♪
さて今回のお話ですが…ページ数聞きたい?(T_T)原稿用紙14ページ、文字数は9千文字ちょっとw大丈夫!1万文字はいってないから(><)!
まぁ~え~と(→_→)ちょっと長いけどぉ、切りのいい所までって思ったらこうなっちゃいました(>_<)ゆっくりでもいいので読んで頂けると嬉しいです♪
今回のお話はなぜオート村にあった山賊の財宝がナント村に移動していたかですが…それはきっと勘のいい皆さんなら気付いている事でしょう。大切なのはそこに持っていくまでの順路、追い込み方、今までこの地で積み重ねてきたモノたちをどう使うかだと思っています。そしてもっと見どころなのは…いや、それは黙っておきましょう(*´▽`*)
ではどうぞ今回のお話もお楽しみくださいませ~♪
時は遡り、シジモルーナが目覚める1時間ほど前…。
…………。
……。
「マリアンヌ様、オート村の住人達を連れてまいりました」
器用に、そして高く積まれていく死体の山を満足そうに眺めながら、マリアンヌは連れて来られたオート村の住人たちを見る。
無理矢理連れて来られた村人達は酷く怯えている。
漁師の屈強な身体をした成人男性は数人、真新しい殴られた痕がある。
おそらく連れて来られる時にでもこのカラスに殴られたのだろう。
「ごくろう。ではお前も死体の山を作る作業に従事しろ」
「仰せがままに」
オート村の住人達だけじゃない、屋敷に居た領主の部下も全員来ている。
もちろん軍師フイレルン、兵士長ソウス、料理長ボラン、そして庭士…いいや、内通者ゴーツも。
その皆が今現在、マリアンヌの前で作られていく死体の山を見るなり絶句している。
そして無残に腹の臓物を晒している死体を見るなり、四肢が切り裂かれている死体を見るなりその場で吐いている者も多数いる。
そんな人々を無視するようにマリアンヌは短く言った。
「さてさて、ではそろそろかな?」
マリアンヌはメイドの1人に視線を送った。
するとメイド達はすーと離れていった。
そして数分後。。
コロナがこの場に居るオート村、領主の部下達全員に聞こえるように声を張り上げた。
「マリアンヌ様!使用人全員でこのナント村を探し回ったのですが、奪われた財宝の量が合いません!圧倒的に足らないのです!!」
その発言に息を飲んだのはもちろん財宝の強奪者たるオート村の住人達であった。
老若男女、須らく恐怖で震えだし、渇いた喉を唾が通過するゴクリという音が妙に大きく聞こえる。
彼らは思う。
このまま財宝が見つからなかったらきっとこのマリアンヌという女は他の村に財宝があるか部下達に捜索を命じるだろう。
そして俺達オート村に財宝の殆どがあることを知ったら、オート村の住人達も反乱軍の人間だとバレてしまう。
そうなったら自分達オート村の人間もナント村の人間達同様の末路を辿ってしまう。
つまり目の前の地獄のような大量虐殺は対岸の火事じゃない、今となっては数時間後の自分達の姿。
「おお~!それは大変だ!なぜ無いのだ~コロナ~!?」
何て臭い演技だ。
そんな事を思いながら、もくもくと死体を運ぶカラス達。
コロナは尚も大声で続ける。
「おそらくですが!見逃しがあったのだと思います!もう一度、探せば見つかるかと!」
「そうだな!その通りだ!では今からと言いたい所だが、今は死体の山を作るのに人手が必要だからな~~!そうだ!あと1時間ほどしたらもう一度探すことにしよう!」
「分かりました!!」
なんだこの不自然な会話は。
と、死体を運びながら仮面の下でクスクス笑うカラス達。
だが当の本人たち。
財宝の略奪者たるオート村の住人達は冷や汗を流しながら互いに目配せを交わす。
そしてオート村の村長であり反乱軍副リーダー、若き村長ボアは慌てて小声で仲間に何かを指示を出した。
するとすぐさま屈強な漁師の数名がそっとこの場から離れていった。
「………」
マリアンヌやカラスはその行動を横目で追いながらも、あくまで止めることなく見なかったフリをする。
そしてまた黙々と作業をこなしていくカラスやカーナたち。
次々と作業的に積まれていく死体。
人を物のように扱う面々。
まるで胸に鉛でも押し込められたような重苦しい空気が辺り一帯を飲み込んでいた。
しかし、そんな中であっても生き生きと現場を指揮するマリアンヌ。
「早く、高く積み上げろ!この男が目覚める前にだ! ほらっ!カーナ!そこはもっと平らにしろ!上に椅子を置くんだから安定しないだろ!」
「えっ!?い、椅子を置くんですか?こ、ここに?」
「当たり前だろ?ずっと立ってたら疲れるだろうが」
「あの…この死体の山、上に行けば行くほど不安定で椅子を置いたりするは危ないですよ」
「フッフッフ♪バカめ~、それは既にコロナに大きな絨毯を屋敷から持ってくるように言いつけている。人が折り重なっている不安定な場所だからこそ、分厚く大きな絨毯を置いて重圧を分散させるのだよ。ハハハ、我ながら賢いアイデアだろ♪」
「そもそも手が折れている状況下で、死体の山に登る事自体が危ないですよ。止められたほうが…」
「我の行なおうとする行動が間違っているとでも?」
「いえ!そんな!マリアンヌ様が考えられる事に間違いなんてありません!はい! あ、カイル!そこもっと平らです!マリアンヌ様が乗るので安定するように筋肉が多い成人男性の死体を選びなさい!」
ビシッと背筋を伸ばして指示を出しているカーナ。
一方のマリアンヌ、
「ふ~まったく、この芸術は我が王座に座ったときに完成するというのに…。ん?」
その時、マリアンヌはまだ積まれていない死体の1つに目を細めた。
「おい、カーナ。 その顔の半分つぶれた娘、確かシジモルーナの幼馴染であったな?」
「えと…たぶんそうだったかと」
「そうか、うん。そうか。。」
「マリアンヌ様?」
「あ!良い事を思いついたぞ♪ その娘の死体は我の座る椅子の近くに横にしておけ、顔が縛り付けられたシジモルーナと合うように向けてな」
「あ、、はい?わかりました! カイル~!」
「聞こえてるっつーんだよ!」
「ムフフフ、それにしても可愛い寝顔をしているね」
さてさて起きた時、この屍の山を見たシジモルーナはどんな顔をするのだろう?
怒るかな?
それとも泣くのかな?
どっちにしても絶望した表情が見たいな~。
ああ、楽しみだ~。
「シジモルーナ!!」
おや?
もう来たか。
領主の屋敷の面々、オート村の住人、そして最後にやって来たのは。
カラスに連れられてやってくるトゥールの住人、孤児院の子供たちであった。
そしてもう1つのメインディッシュ…。
「そんな!!嘘よ!!」
修道服に身を包んだ2人の女性。
その内の1人、若い方の女性が必死な形相でこちらに走ってきた。
化粧っ気のない素朴な顔。
神に仕えている慈悲深い修道士。
シスター・ミラ。
その姿を確認したマリアンヌは即座にカーナに視線を移す。
「分かってるな? 絶~~対に、動くなよ」
「あ、でも危な…」
「返事は?」
「…はい」
大きな板に鎖で縛り付けられているシジモルーナに近づいていくシスター・ミラ。
手を伸ばす。
だがその眼前に数人のカラスが立ちふさがった。
「っ!?」
正面のカラスはシスターに向かってカタコト混じりにこう言った。
「その男ヲ助ける事許さナい」
「な、なぜですか!?私は弟のように思っているシジモルーナを助けたいだけで!」
「神ガ許されナい」
「神!?それって!」
月明かりはまるでマリアンヌだけを照らすように…。
辺り一面の血溜まりを踏み分けるように…。
血や内臓のニオイが充満する方向からマリアンヌがゆっくりとシスターの前にやってくる。
「罪人は人ではないよシスター」
「マリアンヌ皇女殿下!?」
死体が山となる地獄の中、銀線の髪をなびかせ不謹慎にも無邪気な笑みを浮かべている。
「どうか時が来るまでトゥール村の人々、子供たちと一緒に仲良く雑談でもしながら待っていてくれたまえ」
「何を馬鹿な事を言って!そんな事よりも!シジモルーナを下ろさないと!」
その時、シスター・ミラは見た。
マリアンヌのすぐ後ろ、、カラスの1人が高く積まれていく死体の山を、”とある女性の死体”を担ぎながら登っている所を。
その娘はシスターにとって妹のような存在だった。
「クチャネちゃん!!」
「何度言えば分かる?シスター? この芸術作品に近づくことは何人たりとも許さない」
「芸術!?何を馬鹿な事を言っているんですか! それにクチャネちゃんまで!何でですか!?何で殺したのですか!?」
「あの口うるさい低脳女は反乱軍のメンバーだった。しかも幼馴染であるシジモルーナに意見を述べれるほどの高地位にあるメンバー、顔面半壊の刑で死刑は必然な流れであろう?」
「っ!」
この反応、やはりというか当たり前だが、クチャネも反乱軍の活動をしていることをシスターもよく”知っていた”ようだね。
悪は滅せねばならんというのに。
悪いシスターだ。
「その反応、どうやら君も騙されて”知らなかった”ようだね。 我もビックリした、こんな歳若き女も反乱軍とは…いやはや、恐ろしい世の中だよ」
「それでもこんな…いっぱいの人を…殺して」
飛び散っている人間であった物の破片。
家は破壊され火が付けられている。
残された壁にはまだ新しい血痕が多数残っている。
酷い村の様子を改めて見てシスターミラは呟いた。
「酷い」
「まぁナント村の住人を全員を殺したわけだから、この惨状も仕方ないよ」
「全員!?」
てっきり半数ぐらいは捕らえられていると思っていた。
あまりの多くの死体で直視できなかったが、この積まれた死体の山がナント村の全員で構成されている…。
嫌悪よりも先に吐き気を催すシスター・ミラ。
その反応を嬉しそうに眺めるマリアンヌ。
「もちろん全員だよ♪だってそうしないとこの死体の山を築けないしさ、仕方ない犠牲でしょ?」
「全員を殺す必要がどこに!」
「あ~犯罪者は人だけじゃないよ♪あとそいつらが住むボロい家とも呼べない貧乏臭い犬小屋のような建物は全て燃やしたよ、いや~木造建築だけあってよく燃えた燃えた♪」
「皇女様!なぜこんな事をされたのですか!?」
何を今更、というわざとらしい表情を作るマリアンヌ。
その黒々とした瞳は悪びれる事無く、ただ自分は正義を成したのだと克明に語る。
「ナント村の人間が反乱分子だと判明した。シジモルーナが皇帝陛下の勅命でこの地を収めていた領主ヤン・メイザールを殺害した。我の留守中を狙って我の財を奪い取った。吊るされるには十分な理由だと思うのだがね?」
「そりゃ何人かは仕方ないのかもしれませんが、全員殺したのよ!子供やお年寄りも!全て!こんなっ!」
シスター・ミラの即答にマリアンヌは呆れた態度を隠そうともせずにやれやれ大きく溜め息をついた。
「シジモルーナ率いるナント村の若者が相当数、反乱軍に所属していた。事前に本人に聞いた事で分かっている。村の若者のほとんどだぞ?他のナント村の人間達が知らなかったとは考えづらい。また我から奪った財宝も持っていた、故に共犯関係と確信できる、故に極刑は免れない。違うか?」
「対話で解決できるはずです!!」
あ~またその手の話か。
嫌いなんだよな。
虫唾が走る。
「犯罪者どもと対話をしろと?それにさ~対話を放棄して領主を殺して、我の財まで奪った。先に対話の放棄をしたのは反乱軍側だ」
「人と人は話し合えば分かり合えるはずです!!殺してしまっては何の解決にもならないです!!どんな事があっても諦めるべきじゃないわ!」
痒い。
痒いな。
身体全身が痒いよ。
「何度言えば分かる? 罪人は人ではないよシスター」
「罪人も等しく人です!なぜ犯罪行為を行なったか、それを私たちは知らないといけないのです!」
あ~~計算も打算もない感情動物が語らう感情論は聞いていてイライラする。
無駄なんだ、無駄なんだ、すべてが無駄なんだ。
脳細胞が沸騰するんだよ。
「知ってどうする? 罪の背景が分かったとしても、彼らの行なった罪は軽くはならない。全員の死刑は決定事項だ」
「こんな残酷な事、絶対に神はお許しにならないです!」
真っ直ぐな瞳。
居もしない神を信じきっている清く真っ白な心を持つ瞳。
イライラする。
神ごと殺してやろうか。
「君達が信じる架空の神が許そうが許すまいが、我にとってはどうでもいい事だよ、シスター。 この地は現在、プルートが占領している。プルートにおける神は皇帝である父上であり、その子である皇族の我だ、我が許すか許さないかが重要である。 そして我はこう考える…犯した罪に対して罰は絶対に行なわれないとならない、信賞必罰は世の理。君達の信じる神とやらは罪を憎んで人を憎まずと言うのかもしれないが、実際に罪を犯すのは人だ。罪を犯した人間には、たとえ子供であろうが厳正なる罰を与えねばならん。それが被害者にとっての救済にもなる。どうだ、我はこれ以上ないほど公平な神でしょ?」
「本当の神はこんな非道な行いはしません!それに許すことをしないのであれば、世界から争いは一生無くならない!」
「争いは無くなるよ、相手を滅ぼせばそれ以上の争いは起こりようがない。要は徹底的にやるかやらないかの違いだけ。それにさっきから許せ許せと口煩く言うのであれば、まず君が率先して我にお手本を示すべきではないか?そう…我のこの行いも許してくれてもよいのではないかな?」
「そんなの屁理屈よ!どれだけの人の未来を奪ったと思っているのですか!」
「何度言ったら分かるの? 犯罪者に未来など不要だ、彼らも屋敷襲撃時に領主の部下を数人殺して未来を奪っている、老若男女、全て死で償え」
「そ、それは領主様が酷い圧制をしたから、その」
「おやおや、悪は殺していいという安直な考えには反対ではなかったのか?それに領主が酷い行いをしていたからといって、部下も好き好んでやっていたかは分からないじゃないか。嫌々やっていたかもしれないのに…」
言っておいてなんだが、そんなわけがない。
だって死んだのはあの兵士長ソウス部下たち。
アイツの部下が嫌々民衆を虐げていたとは考えづらい、おそらく喜んでやっていただろうな。
自業自得な結末だ。
「でも…あの人たちは楽しそうに村で好き勝手」
「証拠は無いんでしょ?人の心を覗き見ることは出来ない、死んでしまったのなら尚の事」
どこまで行っても平行線の会話。
極論、殉教者と無神論者。
今まで生きてきた道があまりに違う2人。
互いが互いを相容れない。
交わらない人生観。
強く睨むシスター・ミラ。
鼻で笑うマリアンヌ。
「ん?そんなに怒って我を睨むなんて、よっぽど我が憎いんだね。お~怖い怖い。ひ弱な我は怖くて怖くて死んでしまうよ。でもいいのか?君の信じる神様は人を憎んでいいとは言わないのではないかね?だって、ほら…許すことしか出来ない無能な神なのだから。フフフ」
「っ!!」
あからさまな挑発を繰り返すマリアンヌ。
彼女はまだ続ける。
「でもさ~我を憎むのは、そもそもお門違いだよ。我はこの地を平和にするために訪れただけ、故に悪であるナント村の住人達を罰した。今回それがたまたま君の知り合いだったから怒っているだけだろ?」
自分の信じる神すらゴミ同等と論じるマリアンヌ。
自然とシスター・ミラの拳が強く握られる。
だが自分の信じる神は暴力で物事を解決する事をお許しにはならない。
耐えるシスター・ミラ。
一方、握られた拳の強さからミラの行動を読み解くマリアンヌ。
口元緩み、マリアンヌの悪意はどんどん増長する。
「さぁ分かったら、トゥール村の住人がいる場所に戻りたまえ。こちらはまだ色々と準備が残っているのだ」
「準備?準備っていったい何の?」
「決まってるじゃないか♪ 全員が見ている前で君が弟のように思っているシジモルーナ君を処刑するためだよ♪」
「っ!?」
周囲の燃えゆる家々を背景にマリアンヌは嬉嬉とした表情を見せながら嬉しそうに語る。
包帯の巻かれたマリアンヌの手は天高く掲げられる。
「彼を縛り付けている下にいっぱい、い~っぱい薪を置いてね、燃やすんだ~。すると生きながら燃え死ぬ。皇帝陛下が領土とする地を荒らした罪人の最後としては最高だと思わないか?ハハハ♪」
「ふざけないで!!」
シスターとして、、いいや、シジモルーナの事を弟のように思っていたからこそ、マリアンヌがこれから行なおうとしている行動は看過できなかったのだ。
殉教者だとか無神論者とかもう関係ない!
シスターらしからぬ鋭い視線と共に歩みを進めるミラ。
既にシスターの目には、マリアンヌは人の死を喜ぶ悪魔にしか見えなかった。
そして勢い良くマリアンヌと目と鼻の距離まで近づくと、修道服を纏った腕は大きく振り上げられた。
「マリアンヌ様!」
事前に止められても尚、動き出しそうになるカーナの足。
でもマリアンヌに強く止められた。
それが強くカーナの身体を縛り付けた。
ではマリアンヌに避ける事が可能なのか?
いいや、マリアンヌの身体能力を考えたら手が折れていようがいまいが避ける事はまずもって不可能。
つまりこのシスターの平手は当たる。
間違いなく。
そう誰もが思った。
だがそのシスターの手はマリアンヌの頬、数センチの所でピタリと止まった。
そう、まるで時を止めたかのように。
理由はシスターの手がマリアンヌの頬に当たる瞬間、恐ろしく冷たい瞳をシスター・ミラに向けながら言った小声の一言。
『いいのか?子供を殺すぞ』
それはとても小さな言葉だったが、シスターの一番の弱点を的確に突く言葉であった。
そして、その言葉が嘘とは到底思えないほどのドス黒い声で放たれる。
しかも1人の一般女性に向けられる視線としては、あまりにも強く心臓を締め付けるような冷たい視線。
手足にも力が入らない。
立っていられない。
「…っ」
完全な恐怖下で動きを止めるシスター・ミラの身体。
顔や修道服の下、冷や汗が、震えが止まらない。
息もしづらい。
睨んだ者の足を強制的に地面にひれ伏させるような威圧的な視線を尚も送りながらマリアンヌは言葉を淡々と紡ぐ。
「その行動はどういう意味を現しているの? まさか我の頬を叩こう何て恐れ多いことを思ってるわけじゃ無いよね?そんなわけ無いよね~? だって我はプルートの皇女だもん、王位継承権第1位だもん。その高貴な頬を殴ろうものなら君の後ろに居る孤児院の子供たちを殺す事になるんだもん」
「な、っな、なぜそんな事を!?」
明確に孤児院の子供というワードに更に硬直が一瞬溶けたように言葉を発するシスター。
目論見どおり。
マリアンヌは胸の内でウキウキワクワクする心を抑え込みながら平然とした口調で述べる。
「秩序を乱した悪は罰を与えるのが上に立つ者の役目だからだよ」
「ち、違うわ!そんな話をしていない、何であなたを叩く私じゃなくて子供たちを!その…殺すなんて!」
「罪に対して確実な罰を課すのが我の信条でね。君が我を殴って、君は我の部下に殺される。。そうなると君は我への恨み節が残るにしても、一定の満足してあの世に行くのだろ? そんな”恵まれた死は”罰にならないじゃないか。罰というのは人を悔い改めさせる側面もある、だから君が我を1発殴るごとに君の一番嫌がる孤児院の子供たちを1人づつ殺していく、君の目の前で1人づつ…。君が一番嫌がることを体験させる。そして君は自分の犯した罪を自覚するだろう。激しく後悔するだろう。これこそが我なりの君へ対する罰だ」
それは静かな声だったが、恐ろしくぞっとする声だった。
残酷すぎる言葉の数々にシスターの拳は強く握られる。
「最低よ。そんな考えが平然と思い浮かぶなんて!あなたは最低よ!」
「ありがとう。本来ならこの場で殺している所だが、今回は褒め言葉として受け取ろう。さぁ問答が終わったのならトゥールの住人が居る場所に戻りたまえ、君の可愛い子供たちが待っているよ」
恐怖に駆られながらも顔をしかめ眉間のシワを深くするミラ。
一方、マリアンヌはまるで悪戯が成功したように笑みを深める。
「シスタ~ゴーホ~ム♪」
「っ…。」
わざわざこんな夜中に自分と一緒に連れて来た子供たちは人質の意味合いもあったのか…。
様々な感情が入り乱れながらシスターはトゥールの村人たちがいる所に戻っていく。
吊るされ、縛られているシジモルーナを置いて。
「フフフ、最後はちょっと面白かったな」
「マリアンヌ様!大丈夫ですか!?」
「ああ、カーナ大丈夫だよ。面白かっただろ?」
「え!いや、全然楽しく無いです!マリアンヌ様が怪我をされたらどうしようかと…ヒヤヒヤしてました!」
「え~~!ギリギリを突くのがヒヤヒヤドキドキして楽しかったのに?まぁいいか、お前は作業に戻れ」
「え、あ、はい、分かりました」
「フ~~フ~~フ」
そしてマリアンヌが鼻歌を歌いながら40分ほど。
死体の山もほぼほぼ完成の様相を見せていた。
そうこしていると、視線の端でさっき離れていったオート村の人たちがマリアンヌたちにバレないように戻ってきた。
その動きをしっかりと確認するマリアンヌ。
口の端を上げる。
「思ったより早かったな。さてさて、では次のフェーズだ」
マリアンヌはメイドの居る方に視線を向ける。
するとコロナを筆頭に使用人たちがそっと輪から離れていった。
そして数分後…。
再びコロナがこちらに向かって走ってきた。
「マリアンヌ様!荷台が!奪われた財宝の残りをこの村の目立つ場所で発見しました!」
そんなに目立つ場所に有ったのなら、なぜさっきの捜索で見つける事が出来なかったのか?
急に現れたのはなぜなのか?
そんな事はマリアンヌ側の人間は誰も口にしない。
だって全員が分かっているから。
なぜ急に現れたか。
”本当の犯人が誰なのか”
だから現在進行形で息を飲んでいるオート村の人たちをホッとさせるためにマリアンヌはこう言った。
「ね?ちゃんと探したら出てきたでしょ?ナント村の奴らが全て悪行をやったんだからナント村に我の財宝が無いとおかしいもんね♪」
× ×
再び時間は巻き戻り1時間後、現在。
…………。
……。
閲覧ありがとうございました(__)どうでした?マリアンヌとシスターの会話。シスターがマリアンヌの真の姿を知って敵と認識してからの会話。結構ドロドロしてて楽しかったのではないでしょうか?(・∀・)ニヤニヤ
個人的にはマリアンヌの「争いは終わるよ、相手を完全に滅ぼせば…」っていうのがマリアンヌらしくていいな~って作者としては思ってたりしますw
ではまた次回お会いしましょう♪(`・ω・´)ゞシュバ!
前書きで『推しの子』をオススメと言い、本来は他の作品をオススメしたかったと言いましたが、その作品とは私が以前から知っていて漫画も全巻持っている『僕の心のヤバいやつ』という作品です(^_^)/
みんなこの作品知ってる?陰キャ男子中学生と美少女中学生のラブコメのお話なんですけど…主人公の男の子は最初クラスの端でひっそりしてる中二病だったのですが、巻を重ねるごとにカッコよくなっていくのですよ、人間的にw行動とか言動も、嫌みと皮肉しか言えない私よりも完全に歳上w
女の子の方も魅力的でスクールカーストでは上位、中学生でモデルをやってて普通ならこの2人に接点なんかないじゃん?でも2人の距離感が絶妙でヤバイよwニヤニヤが止まらないし、マジで良い作品!しかも巻が進むごとに面白さがドンドン上がっていくので、よかったら皆もアニメの前に漫画買ってみて( ^^) _U~~絶対に後悔しないからwだって私何回も見直してるから(笑)
で、肝心なアニメの方なんだけど…押しの子の第一話が凄すぎたのであんまり評判になってないけど、さっきも言った通り、漫画が巻を進むにつれて面白くなっていく感じだから今からでも遅くないのでアニメもオススメ出来ると思いますぜ~(^w^♪




