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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第7章】 一夜で滅んだ村

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176 6日目⑨ あの時、聞けなかった答え

クリックありがとうございます♪ この夏【にじさんじ甲子園2022】のまめねこ高校の軌跡にホロっと涙したひとりぼっちの桜ですw

まさか私が甲子園関係で泣く日が来ようとは…(笑)


ご存知で無い方に説明いたしますと、私が感動したのは、にじさんじがYouTubeで毎年行っている【「パワプロ」の「栄冠ナイン」モードをゲーム内時間の3年間プレイし、にじさんじライバーをもとにした選手でチームを作成。その後対戦させる】というパワプロの大会なんだけど…今まで私は1回も観たこと無かったんですね。VTuber興味なかったしw

でも私が最近ハマっている壱百満天原サロメさんが大会に出場されるレオス監督に1位指名された事から、ちょっと観てみようかな~( ^ω^ )って思って見始めたんだけど…。泣いたねw

まぁ簡単に時系列的に説明するとね。


『他の高校が上振れで上手くいっていく中、レオス監督率いる楽園村立まめねこ高校だけが超下振れ、観るのも辛い育成期間、コメント欄は荒れに荒れ、飛び交う罵詈雑言、それでもレオス監督は文句一つ言わずに前を見続けた。次第にコメント欄もアンチコメから応援コメントでいっぱいに…そして最後の夏、、、あなたは泣きます( ノД`)シクシク…そして思うだろう。パワプロ2022のオープニングはまめねこ高校の物語だったんだな…て。そして遂に本戦、他の監督たちが作った選手たちは明らかにまめねこ高校よりも格上。結果は全てのチームにフルボッコだドン♪状態(>_<)ファン的には観るのも辛い、本戦のコメント欄は「もう止めてあげて~(つ_<)」でいっぱいに。でもレオス監督は最後まで明るく応援し続ける。そして全ての試合が終わった閉会式、まめねこ高校はもちろん最下位。レオス監督は「皆をもっと強くさせたかった、残念だけど楽しかった」と気丈に振る舞うんだけど、でもゲスト解説で来ていたレオス監督が2位指名して捕手として名前を借りていた樋口さんが最後に発言した「まめねこでよかったよ」これによってレオス監督は号泣、周りの監督たちも「レオスが気丈に振る舞ってたの俺たち分かってたよ!」「すげぇよ!お前!」と号泣、私も泣きました(´;ω;`)ウゥゥ』


みたいな感じだと思ってくれてよいかとw

良かったら観てみてね~♪まぁ3年の夏まで地獄の放送だけど(笑)あと本戦も…まぁキツイけどwでも青春を感じて最後にめっちゃ泣けるからw




さて、今回のお話ですがゴーツ勧誘編になりますwまぁそんな編は無いんですけどw

何にしてもマリアンヌがゴーツをなぜ勧誘しようと思ったか、その詳細が少しですが語られます、原稿用紙12ページ越え、文字数は7千文字オーバーですが良かったら最後まで読んで頂けると嬉しいです(..)

ではどうぞ今回のお話もお楽しみくださいませ~♪



 死を覚悟したゴーツ。

 だが死んだのは領主、ヤン・メイザールだった。


”さようなら、愚かな領主”


 なぜ自分が死んだのか?それが理解できないままに絶命した領主。

 再び目を開けてその無残な亡骸を確認したゴーツは一瞬、思考が追いつかず放心状態になった。


 それを見てクスクスと薄く笑うマリアンヌ。


 今、この状況は彼女にとっての完全勝利。

 しかも数日前の完全敗北からの逆転劇。

 これを当の本人が喜ばずにいれるわけが無い。


 流れる銀線の髪も宙を嬉しそうに舞う。

 でもそんな時だった、カラスの仮面を被っているリックスが小さく、だが確実にここに居る全員に聞こえる暢気のんきな声で仮面の内から呟いた。


「うわ~てっきり、”殺せ”の方かと思ってたのに、”殺しなさい”の方だったか。マリアンヌ様はやっぱり意外っつ~か、なんつ~かな~」


 何気なしに呟かれた言葉であったが、そのワードが口から吐き出された瞬間、マリアンヌから笑みが消えた。

 言葉無くゆっくりと振り返るマリアンヌ。

 そして視線をリックスの被っている仮面の目の部分に向ける。


「リックス・フィンラード」


 名前を呼ばれた瞬間、リックスはまばたき、呼吸、身体全体が凍りついたかのように止まる感覚におちいり、自分の死を覚悟した。

 そして僅かな間を置いて、ささやくような声がリックスの鼓膜を揺らす。


「いいか?今日1日黙っていて。絶~~対に喋っちゃダメだよ」


 一見優しそうに聞こえるが、恐ろしい程に圧力をともなった声だった。

 その場に居た全員の背中にゾワリと悪寒が走るほどに。


 今までと違って間違いなく敵に向かって放つ声色。

 全てを強制的にひれ伏させる絶対的王の顔。


「…っ」


 連続殺人鬼である人間すら一瞬で震え上がらせるほどの絶対的な恐怖。

 身体中から冷や汗が一気に吹き出るリックス、完全に顔が恐怖で染め上がる。


 唾を飲み込む音すらはばかられる空間。

 そして彼は瞬時に理解する。


 これは罠だ!これからどんな言葉だろうが、たとえ「はい」だろうが声を発したら自分の命は無い、と。

 だからリックスは凄い勢いで首を何度も縦にした。


 了解!了解!了解! 

 と。


 マリアンヌはそれを見て忌々しそうに歯をギリッと鳴らした。


「チッ! ほんとまぁ、危険察知能力の高い男だこと」


 大きな舌打ちを挟みつつ、再びゴーツに顔の向きを戻すマリアンヌ。

 彼女は年相応の無邪気な笑みを貼り付ける。


「さてさて、では楽しいお話をしようかね。ゴーツ君」


 一方、未だ若干青ざめた表情のゴーツ。

 嫌にでも視界に入ってくるのは領主の無残な死体。


「なぜあっしが生きているのか聞いてもいいですかね~?」

「なぜって…約束したじゃない」


 さも平然と”約束”という言葉を口にするマリアンヌ。

 だが当のゴーツには何の事を言っているのか分からなかった。

 その表情を見てマリアンヌは再びクスクスと笑う。


「忘れたのか?まったく、忘れっぽい男だな~。ここに来た次の日、君がわれの質問に対して口を渋るからわれが約束してあげたでしょ。”今後、お前の命の保障はしてやる”だから知っていることを言いなさいって。だからわれにはお前を殺せないんだよ。あ~残念だね♪」


 飄飄ひょうひょうと語るマリアンヌ。

 それが心からの言葉で無く、何か裏がある事は誰の目にも明らかではあった、特にゴーツにとっては。

 彼は苦笑しながら、こう返した。


「それはそれはありがたい御言葉ですが、それは守っていただける約束と考えてよいものなのですかね~?そこに転がっている死体を見る限り、マリアンヌ皇女とした約束はもれなく反故ほごにされるように思えて仕方ないんですがね~?」


 どこまでも失礼で、どこまでも嫌みな言い口にカーナがゴーツを睨みつける。


「ゴーツ・コイル、お前は自分の立場が分かっているのですか?マリアンヌ様が仰っているのであれば、それが真実であり嘘などという事は」

「カーナ、われにリックスに言った言葉と同じ事をお前に対して言わせないでくれない? われは事前にお前になんと言った?」

「も、申し訳ありません!もう絶対に喋りません!」


 溜め息を吐きつつ。


「ゴーツ、君の不安も分からないではないが、それは馬鹿が過ぎる質問だ。やめろ、君の価値を下げるばかりか、われの見る目が無いように見えてしまう。君なら分かるはずだ、その程度の答えは」


 試すような言葉。

 彼の脳内でフラッシュバックするのは、よく変人軍師に言われていた『軍師になりたいなら考え続けろ、脳は考えるためにあるんだ』という言葉だった。

 嫌々ながらも考えるゴーツ。


 染み付いた習慣からなのか、答えはすぐ出た。


「領主と違って既にあっしを生かしておく合理的な理由が無い。つまり嘘をつく必要も無い」

「よい、よいぞ。正解だ」


 最低ラインはクリアーだな。


「ゴーツ・コイル。君に大切な話がある」


 真っ暗な真夏の夜。

 月明かりだけがマリアンヌを照らしているような幻想的な風景。


 別に演出したわけではない。

 だが月はちょうどマリアンヌの真上に昇り、彼女だけを照らしていた。

 それによって銀線の髪がキラキラときらめく。


「ゴーツ・コイル、我が所有物となれ。君にはその栄誉を受ける権利がある」


 まるで運命をつかさどるように言った言葉。

 カーナやコロナ…いや、狂信者以外でも見惚れるであろう状況と言葉であろう。

 だがなぜかゴーツにだけはまったく響かなかった。


 彼はただ一言こう言ったのだ。


「ゴーツ・コイル…か」

「ん?君の名が何か気になることでも?」

「いやなに、色々と感慨深く思っただけですがね~。因みに皇女殿下殿のその提案を丁重にお断りした場合、あっしはどうなるんですかね~?」

「…何もしないよ。ただ、全てが終わるまでは要らん事はしないで欲しいので、われの監視下に置かしてもらう」

「詳しく言うと?」

「別にいつも通り生活しておいてもらって一向に構わんよ。数時間おきにカラスの誰かがお前の所に来るだろうが…まぁ日々の健康確認ぐらいだと思ってくれたまえ」

「皇女殿下殿の言う要らん事とは何を指しているんですかね~?」

「それはくだらない質問だ。答えるに値しない。別の質問に変更したまえ」


 まだ何かを試されている?そんな事を思いながら質問を続けるゴーツ。


「所有物になれって話ですが、あっしに、あんたの軍師にでもなれって言うんですかね~?」

「えぁ?軍、師?」


 目を点にするマリアンヌ。

 彼女にとってその言葉は全く予想していない言葉だった。

 大きな疑問が頭に乗っかるように首を傾げる。


「なんで庭士のお前に軍師なんて役職を求めねばならんのだ?ちょっと頭が切れて戦略が練れる程度で軍師なんて大役出来るわけないだろ」

「え…ああ、そうですね」

「というか、君がいかに勉強したところで軍師にはなれないだろうしね」


 冗談を言うように呟いた言葉だったが、ゴーツはすぐに反応した。


「それはどういう意味だね~?」

「ん?」

「なぜあっしは軍師に向かない?」

「逆になんでそんなに聞きたがるの?」


 ただの庭士がここまで軍師への執念めいた言葉をなぜ口にする?

 夢か何かか?

 コイツの経歴は事前に調べた。プルート生まれではあるが小さいときに両親は病気で他界、天涯孤独、軍師にはおろか戦争にすら関わっていないし、軍学校に通っていたという事実なんて無かったはずだ。

 経歴から軍師になりたかった…みたいなものは全くもって読み取れなかった。


 ああ、でもそういえば、、


「君って反乱軍に戦略を伝えていたよな?それも相当理に適った戦術を。なるほどなるほど、庭士の仕事の傍ら夢である軍師の職を」

「いいから教えろ」

「そんなになりたかったの?まぁ…説明ぐらいしてやらんでもないけど」


 ふむ。と、一拍間を置いて自身の考えを纏めるマリアンヌ。

 やがてこう口にした。


「君に大局は描けない。だから向いてない」

「っ!?」

「この6日間で君の性格はだいたい理解した。秘密主義で狡猾、臆病、異常なほどの慎重さを有し、自己保身の塊だ」


 完全に言葉を失っているゴーツ。

 マリアンヌは構わず続けた。


「軍師とは策をこうじて軍を勝利へ導く者だ。 われはね…別に全てを攻撃一辺倒こうげきいっぺんとうの策を取れとは言わん、守るのも大いに結構、逃げるのも一時的には許してやる、だが我が軍師になるのであれば勝利以外はいらん。求めているのは圧倒的な勝利、われあだなす人間は王道の名の下に殲滅、根絶やしだ。停滞は敗北、われの為に勝利を得ようとしない姿勢は論外だ。…詰まる所、君に野望は持てない、故にわれの野望を描けない、だから君はこれからどれだけ勉強しようが、経験を積んだとしても軍師には決してなれない。少なくともわれはいらない。お前を軍師にするぐらいなら、ここの軍師であるフイレルンの方が100倍マシだ。 以上、これが貴様が軍師に向かない理由だ」


 素晴らしい。

 完璧な証明だ。

 これでゴーツ君もニコニコ顔で納得してくれるだろう。


 ニコニコ顔のマリアンヌ。

 一方のゴーツは…


 とてつもなく不機嫌だった。


「ボロカスに言ってくれてどうもだね~。で、お偉いお偉い頭脳をお持ちの皇女殿下殿はこんな役に立たないあっしにどんな雑用をやらせたくて仲間に引き入れようとしているんですかね~?」


 え、なぜ?

 なぜあからさまに機嫌が悪くなる?

 そしてその敵意に満ちた言い方は何だ?

 お前が言えって言ったから懇切丁寧こんせつていねいに説明してやったのに…。

 100点の証明だっただろう?


 何がいけなかったのか?

 それがそれが分からないままではあったが、マリアンヌは質問に答えることにした。


「君にやってもらいたいのは、そこにたむろしているカラスの仮面を付けた者たち、彼らはわれ直属の暗殺部隊なんだけど…今、偶然にもそのカラスのボスの座が空席でね。君にこいつらのボスという役職を頼みたい」

「ふぇっ!?」


 その奇声を発したのはゴーツではなく、マリアンヌから喋るなと言われていたカーナであった。

 彼女は「カラスのボスって私では!?」という気持ちから心からビックリして絶句している。


 マリアンヌは一切気にせず説明を続けた。

 声質は悩みを吐露するように。


「カラスはね、、実力はある面々なのだが、いかんせんトップ不在という事もあって上手く機能しなくてね、ずっとどんな人間に上に立ってもらおうか考えてたんだけど。秘密主義の塊であり狡猾さを併せ持つ、臆病、病的なほどの慎重さ。君こそ暗殺部隊のボスの座に相応しい人材だ」

「あの…マリアンヌ様」


 それはとてもか細い声だった。

 マリアンヌは面倒くさそうにカーナを見た。


「カーナさ~、今大事な話しをしている最中なんだけど?」

「あの…その…すいません。でも、私は?」

「あ?」

「私…カラスのボスでは?」

「あ~~うん。お前はクビ♪」

「!?」


 とんでもなくショックを受けているカーナを他所よそにマリアンヌはゴーツを見る。


「暗殺部隊のボス?あっしが?へへへ」


 馬鹿馬鹿しいと笑うゴーツ。


「おや?何がおかしいのかね?とても名誉な職だぞ、少なくとも辺鄙な場所で1人行なう庭いじりよりはな」

「これが笑わずにいられますかね。あっしに暗殺なんて芸当出来るわけないでしょうに。意味が分からないね~暑さで頭がおかしくなっちまったんですかね~?頭を冷やすなら噴水があるからどうぞ冷やしてください。それともあっしがそんなに強く見えますかね~?へへへ」

「とてもありがたい提案だが、頭を冷やすのは君のほうだ、そして意味不明なのはこちらのセリフだ。 なぜ組織におけるトップの人間が自ら汗水たらして実行部隊同様に働かねばならないんだ?トップのする事は他にあるだろ?われは君の才を買っている、暗殺部隊を率いる人間としての才をね」

「暗殺部隊を率いる人間の才ってなんなんですかね~?」

「その質問に答える気は無い、なぜならもう十分に答えたから。われが言ったことを思い出してみろ、それで全く分からないなら君に価値は無い」


 外見上、40代に届くか届かないかという年齢のゴーツ。

 彼は思う。


 自分には戦闘経験なんて殆ど無い、暗殺は…苦手でもないが得意とは言えない。

 一方、目の前に居る不気味なカラスの仮面を被った奴らは。


「言っちゃ~悪いですがね~、そこに居るカラスの仮面を被った奴らがただもんじゃない事ぐらいあっしにも分かる。相当強いんだろうね~」

「ほ~よく分かったね♪ 全員が凶悪な殺人を多数起こした未来有望な死刑囚たちだよ。君の部下になる者たちだ、今後も増やしていく予定だから楽しみにしていてよいぞ」

「へへへ。そんなに強い奴らが奴らが、おとなしく庭士であるあっしの言う事を聞くとは思えないんだがね~。命令に背く部下なんて敵よりも厄介ならない存在だ」

「ほ~学のある言葉を言うではないか。うん、良いね。 う~ん、そうだな…ならその時はわれか、そこに居る赤い髪の女に言え。すぐ言う事をきかないそいつを殺しやる、1人で足らなければ2人、3人、あっという間に君が手足のように使える舞台の完成だ」

「またまた、ご冗談を」

「ん?冗談なんて言ってないけど?」

「いや、だってそんな…自分の部下だろうに?」

「だから?なに? われの言う事を聞かずにを通して命令違反をする阿呆を殺して何が悪いの?」

「え、、でも」


 最初「冗談だろ」と思っていたゴーツではあったが、月下に照らされたマリアンヌの瞳は一切笑っていなかった。

 つまり冗談ではなく、本気で自分が報告すれば部下を殺すと言っているのだ。

 自分の常識の枠外に居る存在にゴーツの背に緊張の汗が滲む。


「まるでこの状況、悪魔との契約みたいだね~」

「それは言い得て妙な表現かもしれないな。だが元来、悪魔との契約とは対価を支払った代わりに望みを叶えると言う。ではまず君は支払うべき対価とそれによって得るものを聞くべきではないかね?」

「あっしが暗殺部隊のトップになった暁には何を得れるんで?」

「フフフ」


 マリアンヌは高らかに言った。


われのすぐ後ろで世界を掴むわれを見る事が出来る権利だ。君の人生においてそう何度も起こらないであろう夢チケットを君に進呈しよう!」


 着ている黒いドレス同様、黒々とした瞳は爛々と輝き、銀線の髪はこれから起こる未来を予想し嬉しそうに踊る。


「ゴーツ・コイルよ、世界は血と恐怖と叫び声で満ちているぞ。どうだね、1回ぐらいは大望を夢見てもよいのではないか?」

「支払わなければならない対価とは?」

「君が支払う代償は過去の君すべてだ。暗殺部隊を率いるのだから経歴などは全て無かった事にしてもらわないと困るからね」

「つまりゴーツ・コイルは死んだことにすると?」

「その通りだ。どうせ大した人生ではなかっただろうし、構わんだろ?」


 その底意地悪い笑みを浮かべたマリアンヌの問い掛けに、ゴーツは特に何も思う事無く、だが過去を少しだけ懐かしみながら答えた。


「そりゃ価値はそんなに無いんですがね~」


 その何処か他人事な言い口に僅かな違和感を覚えたマリアンヌではあったが、どれだけ思考を巡らせても明確な答えは出なかった。

 故に言葉を続けた。


「質問は終わりでいいのかね?」

「質問、質問、そうですやね~。もう聞きたい事はないですかね~」

「そう。それは何よりだ。で、回答はいかに?」


 その後、ゴーツは黙り込んで考え始めた。

 それも結構な時間を使って。

 一方のマリアンヌはその様子を見て思考する。


 果たして命がある事にホッとし安堵しているのか。

 われの申し出に喜んでいるのか。

 それとも未だに自分の命の危険を感じて怯えているのか。

 うつむき手は口元へ、暗がりで俯いているから表情が上手く読めない。


 やがて大きな生唾を飲み込む音が聞こえた。

 そして顔を上げたゴーツは言った。


「お断りだ。悪魔に魂を売り渡してまで叶えたい高い欲望なんて、あっしは持ってないんでね~」

「…そう」


 まるで沈黙が永遠に凍り付いてしまったかのようだった。

 やがてマリアンヌは言う。


「じゃあコロナ、暗いしゴーツ君を部屋まで送って差し上げなさい」

「はい、マリアンヌ様の仰せがままに」

「…あっしを今は、殺さないのかね~?」

「だ~か~ら~~、今もなにも、殺さないって言ってるだろ。 この論争はもう飽きた、もう帰ってよいぞ。我らは今からこの領主の死体を切り刻んで天国で領主が笑顔になれるよう埋葬せねばならんのだ。コ~ロ~ナ」

「はい。ゴーツ・コイル様、どうぞこちらへ」


 コロナの先導の下、屋敷に戻っていくゴーツ。

 彼はその最中一度だけこちらを振り返り、月明かりに照らされているマリアンヌを見た。

 言葉は無い。

 ただ無言で見た後、そして去っていった。


 一方、ゴーツの居なくなった庭にて。

 見えなくなった背中に向かって、マリアンヌは言葉を投げかけるのであった。


「何が君の琴線きんせんに触れたか、未だにそれがわれには分からない事が実に悔しい。そしてそれを迂闊うかつに口にした自分の言動を心から悔やんでいるよ。君は是非欲しかったな~残~念」



閲覧ありがとうございました(__)皆々様、今回のお話を読みながらゴーツが仲間になるって思ったんじゃないですか~?(・∀・)ニヤニヤ。残念ですね~ならないんですね~wというか、そういう皆様が望む予定調和がサラッと書けるなら私は今頃人気者だったでしょう(*´Д`)ず~ん。

では私らしさを追求しつつ、また次回お会いしましょう♪(^_^)/~バイにゃ!





皆さん、戻したで(=_=)

前回のガチャ大爆死から早1週間と少し。826を目前にして現在の私のパワーストーン数は2500オーバー、100連分まで戻しました(∩´∀`)∩わーい。

いや~~辛かったwそして頑張ってミッションをクリアーしてかき集めたですw

あとは826の強キャラを待つだけでござるよ♪(´∇ノ`*)オホホホホ♪前回は爆死したので、次は神引き出来るはずやで♪

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >ゴーツという人間を自分の臣下にした後、何をさせたい─?── ──取り敢えず、この地を内乱させたいであろうアトラス側に、虚偽の情報を掴ませて撹乱させるとかかな。 [一言] え~…。こ…
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