173 6日目⑥ さようなら…
クリックありがとうございます♪『NARUTO -ナルト-』で一番好きなキャラはマイト・ガイのひとりぼっちの桜ですw ちょっと意外でしょ~w今、皆さんが「マイト・ガイっすか!Σ(・ω・ノ)ノ!」って言っている驚いた顔が目に浮かぶようです(笑)
まぁ普通だったら一番好きなのはサスケとか言うと思いますからねwでもね…ガイはめっちゃカッコいいんですよ。最初は私も「カカシより強いよ、俺」とか言ってて色物キャラだな~って思ってたんだけど、教え子のリーが大きな手術をする事になった時に『努力を続けてきたお前の手術は必ず成功する!! きっと天国の未来を呼び寄せる もし一兆分の一 失敗するようなことがあったら… オレが一緒に死んでやる!』は、マジで感動した(>_<)それにマジでカカシより強いしw体術っていう1つの物を極めて極めて極め抜いた男、それがガイという男なのですよ(^^♪皆さんももし、ナルトを読むことがあったならガイという人間に注目してみてくださいね~マジで名言の宝庫ですよww
さて今回のお話ですが…そうページ数が原稿用紙12→14に増えた事は今更もう詮無き事なのでいいとしてw本題ですが、今回それを一気にアップしようと思います(><汗)
いや、何とか切ろうとしたんだけど、マジで無理だったんですよね(^-^;切っちゃうとマジで今回のお話の良さが半減するって言うか…w
って事で14ページ、文字数7千文字ほどを一気アップになりますが、良かったら最後まで読んで頂けると嬉しいです。
ではどうぞ今回のお話もお楽しみくださいませ~♪
自分の地位をひけらかすような豪奢な衣服で着飾った老人。
失踪前と変わったところといえば、いつも付けていた装飾品を付けていない事ぐらい。
間違いなく…領主。
「なぜ!!あんたが生きてる!!」
ゴーツの叫びに対しマリアンヌからの回答は無い。
彼女はただ、絶対的優位な立場から余裕の笑みを浮かべる。
「おいおい、君の主人である領主に向かってその反応は無いだろ。生きている事を最大限喜びたまえよ。フフフ」
ゴーツはマリアンヌの挑発的な声など無視してすぐさま2人のメイドに目を向けた。
1人は今も自分の腕を握っている赤髪のメイド。
もう1人はマリアンヌの近くでランタンを手に持ち、静かに立っているメイド。
「そんな!だって!そんなわけが!?」
この2人のメイドが演技をしていた!?
あっしが見抜けなかった!?
そんな馬鹿な!?
どう考えたって、演技なんて出来そうに無い2人じゃねぇか!
特に赤髪の方なんてとても演技なんて出来るふうには見えねぇぞ!
じゃあアレは!
あの2人の反応はいったい!?
混乱する内通者ゴーツ脳内。
一方、その心の内を見抜くマリアンヌ。
夏の月夜の下、まるでゴーツにヒントを与えるかのごとくカーナとコロナにゆっくりと話しかけた。
「カーナ、コロナ、我は今回の一件でお前達には謝らないといけないね。そして此度内通者を見つけることが出来た事について、お前達に最大限の感謝をせねばならない」
誰の目にも、とても謝る気も、最大限とやらの感謝する気もあるとは思えないマリアンヌの横柄な態度。
しかしカーナ、コロナにとっては違うのだろう。
両者とも焦って首を横にした。
「マリアンヌ様、謝らないでください!それに私どもに感謝など不要です!マリアンヌ様のお役に立てたのなら私は本望でございます!」
「私もコロナさんと同じです!マリアンヌ様のお役に立てることこそ私の生きがいです!……まぁ領主が生きていたのは驚きましたけど」
「…カーナさん」
「いえ!驚いただけってだけで!っていうか、コロナさんも領主がピンピンしているのを見て言葉を失ってたじゃないですか!」
「私は驚いただけです。マリアンヌ様のメイドとして、決して絶対にマリアンヌ様に不満などは無いです。そもそもマリアンヌ様の言葉は天上の言であり、行いは全て神の所行、故に全て正しいのです」
「私も不満は言ってませんけど!?」
ピリピリとした場の空気も読まず言い合う2人のメイドを前にマリアンヌは静かに笑う。
「フフフ、我は主人思いの良き臣下を持ったな」
一方のゴーツ。
今の会話を聞いて、色々なことを察し始めた。
「………」
あっしはこのメイド2人の『領主が死んだ』という必死の言動や反応を見て、ヤンの死を確信した。
しかし今のメイド達の会話を聞くに、こいつらは領主が生きている事を知らなかった。
いや、マリアンヌによって、この”2人だけ”が意図的に知らされていなかったと言ったほうがいいかもしれない。
つまり、それはあっしがメイドの反応を見て領主の生死を判断すると考えたマリアンヌの罠。
ここから導き出される答えは…。
「自作自演」
「おや、今の2人の会話だけでその答えにたどり着いたか。しかもこんな危機的状況に陥っても頭の回転がさほど落ちていないのは評価できるぞ。うんうん」
「じゃあ、あの死体は?」
ゴーツは見ていた。
今日の昼、マリアンヌが帰ってきた後、カラスの仮面をつけた奴らがこれ見よがしに領主の丸コゲの死体を屋敷に運んできた。
遠目ではあったがあの人が焼けたニオイに圧倒的な死という存在感。
あれは間違いなく人形などではなく人間の焼死体だった。
それにあの焼死体の体格、、たぶん老人、領主の体格に酷似していた。
疑問ばかりが蓄積していくゴーツ。
マリアンヌは全てを掌握したような、勝ち誇った怪しい笑みを浮かべて、
「やっぱり君なら何処かから見ていてくれていると信じていたよ」
「信じていた?それは…どういう意味ですかね?」
少し本当に少しだが殺意のこもった発言。
瞬間、ゴーツの腕を握るカーナの手にも力が入る。
マリアンヌはまるで蜘蛛の巣にかかった獲物に語りかけるように言った。
「あれはどこぞの村の愚かな老人だ。偶~~然、背格好、年齢が領主と同じ良き人間を見つけてね。領主の変わり、我が策の贄となってもらったよ」
ゴーツは再び考える。
どこぞの村、、つまり周囲の3つの村。
そのどれかに住む領主と似た背格好の人物を。
そして思いついた答えを口にした。
「ナント村、村長コデン」
「正~解♪そして素晴らしいよ!我も覚えていないナント村の村長の名まで覚えているとは。君は内通者の鏡だね」
「………」
「あ~安心してくれたまえ、ナント村の何とかっていう奴は眠ったまま死んだので、痛みなくあの世に行けたはずだよ」
「………」
人の命などゴミ以下。
自分の策に利用しただけ、何が悪いの?
まるでそう言わんばかりに、実に楽しそうに含み笑い続けるマリアンヌ。
一方、黙ったままのゴーツに近づいていく勝ち誇った顔の領主ヤン。
彼は傲慢に言い放った。
「そんなにワシが生きていて困るのかの?ゴーツよ」
「………」
尚も黙り続けるゴーツ。
何か考え事をしているのだろうが、完全な無視。
次第に余裕顔だったヤンの顔が露骨に変わっていく。
無理もない、プライドの高い領主にとって庭士ごときに無視されているのだから。
眉間にシワを寄せ拳は握られた。
鬼の如く、怒りをあらわに大声を上げる。
「ワシを馬鹿にしよって!!この使用人が!!」
いつも使用人やフイレルンを殴っていた拳がゴーツの顔を捉えた。
ゴツっという衝撃と共に怒り狂った声が響く。
「せっかくワシが使ってやったというのに、恩を仇で返しよって!」
1発2発連続で殴りつける。
所詮は老人の拳、大したスピードではない。
しかも振りも無駄に大きい。
例えるのならば、せいぜいマリアンヌと同等程度。
誰でも避けられるだろう。
だが現在進行形でカーナに腕を強く掴まれているゴーツに避けるという行動を取る事は非常に困難。
しかも仮に避けたとして、その避ける行動がマリアンヌへの反抗と捉えられたら自分の命はおそらく無い。
故にゴーツは殴られ続けるのみであった。
「裏切り者め!ワシの国で好き勝手しよって!」
顔を、
腹を、
殴りつける領主。
「ワシは部下に恵まれなかっただけじゃ!!無能なフイレルンに!裏切り者の貴様だ!ゴーツ!!」
だが…。
「アトラスの事もあるから、貴様は特別何もしなかったというのに!!」
いつも咳をして虚弱に思えたゴーツであったが、フイレルンと違ってその膝は屈する事無く、平然と立ち続ける。
しかも笑い声さえ悪魔的に歪め、「へっへっへ」と肩を揺らす。
動揺する領主ヤン。
「なにが…なにがおかしい!?」
「へへへ、いやなにね~。いつもフイレルンや使用人たちがぶん殴られてるのを見てやしたが、どんなもんかと思ってましたが…蚊でも止まったかと思いましてね~」
「なんじゃと!!」
再び殴ろうと近づく領主。
ソレを見て呆れ顔で領主がゴーツを殴っているのを至近距離で見ているカーナ。
”まるで子供の八つ当たりですね”
しかもマリアンヌ様が居なかったら、私がゴーツの腕を掴んでいなかったら、この男は逆に殴られているだろう。
そうカーナが思った理由としては、ゴーツが大したダメージをくらっているようには思えなかったから。
完全に効いてないというよりも、想定以上にこのゴーツという男が病弱じゃなかったというのが原因だろう。
そういえば気のせいか、咳もしていないような…。
そんな事を思いながらも、領主の暴力を間近で見ている。
自然とゴーツの腕を握る手にも力が入らない。
そして更に殴る事、数発。
領主が大きく腕を振り上げたときだった。
「ペッ!」
「うわっ!?コイツ唾をワシの顔に!ふざけおって!」
吐かれる唾、
領主の身体が怒りによってに今までよりもグッとゴーツに近づいた。
その時だった。
「よく聞け、愚かで無能な領主。先にあの世に行く部下のあっしから餞別、最初で最後のアドバイスだね~」
急に静かになるゴーツの声。
自然と領主の声もつられて下がった。
「アドバイスじゃと?何をふざけた事を言っておるんじゃ」
「いいか? あんたはアトラスのあの男よりもそこの皇女を選んだみたいだが、それは間違いだね~」
「何を言っておる?マリアンヌ女王陛下より、あの不気味な男を信じたほうがいいと言うのか!?」
「いいや」
急に始まったコソコソ話。
全員が不信に思う中、
そしてゴーツは断言した。
「両方だ、あんたは両方とも信じるべきじゃ…」
「領主よ、気はすんだかい?」
ヌ~と顔を滑り込ませるように、2人の間に割って入るマリアンヌ。
戸惑う領主。
「え?ええ、このゴミクズにどちらが上か知らしめてやりました」
「それは何よりだ♪だが…人の上に立つ人間がそう怒りをあらわにするものではないぞ。それにゴーツ」
至近距離でゴーツの瞳を見てくるマリアンヌ。
「君のくだらない妄想を領主に吹き込むのはやめたまえ」
その黒く冷たい目は言っていた「これ以上いらん事は喋るな」と。
ゴーツは冷や汗を垂らしながら深く溜め息を吐く。
「タイムオーバーかね~へへへ」
「カーナ、もうゴーツの腕放していいよ」
「ちょっ!?そんな事をしたらワシがこの薄汚れた内通者に!」
「安心しろ。もし何かコイツがしてきたら我が守ってやる、大船に乗ったつもりでいろ」
「おお!それは安心じゃ!」
すぐさまマリアンヌの横に立つヤン。
明らかに、この中でマリアンヌに次いで権力があると言わんばかりの立ち姿。
「へへへ。お二人さん、えらく仲の良い事で」
「残念だったのゴーツ!!ワシはこれからの生涯をマリアンヌ皇帝陛下に尽くすと決めたんじゃ!アトラスなどもう捨てるわ!」
「フフフ、気が早いぞヤン。我はまだ帝位についておらんよ」
異常なほどの領主の信頼を得ているマリアンヌ。
この状況、不思議を超えて奇妙に思うゴーツ。
領主は続けた。
「ワシは昨夜、全てを聞いた!マリアンヌ皇帝陛下の全ての計画を!これからこの国で起こる事全て!間違いない、マリアンヌ皇帝陛下は天才じゃ! 現にワシはこれでもう暗殺に怯える必要も無くなった!なんと言ってもワシはもう死んでおるからな!ハッハッハ!」
「暗殺?」
暗殺?が何なのかは分からないが、領主を信頼させる最後の決め手として、替え玉であるナント村のコデンを領主の目の前で殺したとかそんな所か。
ゴーツはそう考えを巡らせながらマリアンヌに目を向ける。
「よくその無能から信頼を得たもんだね~」
「無能じゃと!?」
また殴りにいこうとするヤンだったが、再びマリアンヌが割って入る。
「まぁまぁ落ち着けヤン。所詮は死にゆく人間の戯言だ、くだらない妄言しか口にしない、耳に入れるだけ時間の無駄というものよ」
「た、確かにそうですな。マリアンヌ皇帝陛下の仰る通りです!ええ!そうですじゃ!」
「フフフ。ゴーツよ、我と領主ヤン・メイザールは昨夜、兄弟の盃を交わした間柄でね。既に王印の場所も把握していたのだ」
「兄弟の盃?いや、それよりも重要なのは王印の場所の把握か」
やはりというか…完全に自分がマリアンヌの手の平で踊っていたと実感したゴーツ。
マリアンヌはたたみ掛ける。
「つまりあとは君を心理的に追い詰めて王印のある調理場にカーナを潜ませればそれで終了だったわけ。理解したかね?」
まぁ調理場に潜ますのはホリーでも良かったんだけど、もしもホリーが監視していた兵士長ソウスが内通者だったら、ホリーの監視能力では役不足の可能性があったからな。
「明日、屋敷を一斉に調べると言ったんだ。君なら屋敷の外に隠すだろう事は容易に想像できたよ、まぁ隠す場所がこの庭であった事はこちらとしては嬉しい誤算かな、最悪外も考えたし」
「………」
「どうしたの?元気ないね?」
「色々聞きたいことがあるんだが、、おそらく、あっしにはそんな時間は無いんだろう。だから最後に1つだけ聞きたいことがあるんだけどね~」
「ん~な~に?」
ピクリと反応するマリアンヌの目尻。
ゴーツは言った。
「あっしが負けた理由、何が1番の敗因だったんですかね~?」
その発言に対してマリアンヌは間髪居れず尊大に答えた。
「慎重は美徳だが、臆病は愚かだ」
「慎重?美徳?…何が言いたいんで?」
「分からないの?」
「ええ、あっしみたいな馬鹿にはとてもとても、もっと馬鹿にも分かるように噛み砕いて言って頂けると嬉しいんですがね~」
その瞬間、空気が変わった。
周囲の木々がざわめき、あんなに五月蝿かったセミたちも一斉に木々から飛び立つ。
そして今までニコニコとしていたマリアンヌの雰囲気がガラリと変わり、纏う空気は全てを威圧し、ひれ伏させる王そのものに変化した。
「その命を早々に諦めている姿勢が気に入らぬと言っておるのだ」
「っ!?」
ゴーツはその声を聴いた瞬間、心臓を掴まれるような感覚に陥った。
足が、手足の震えが一気に加速する。
そしてこのままだと意識を持っていかれると思った所で、再びマリアンヌはニコッと微笑んだ。
空気が和らぐ。
「な~んてね♪冗談だよ♪冗談♪」
そう言って数秒の間を空け少し考えた後、どこか楽しげに目を細め、マリアンヌは言葉を紡いだ。
「う~ん、そうだね~君の敗因、敗因。 我を騙したあの夜、あの夜の”あと”の君の行動は全て愚かだったね。そういう意味では君の敗因はその臆病すぎる性格だよ。もしも君がその震えた足に勇気という力を添えて一歩でも踏み出していたならば、全て…とは言わんが、我が策のいくつかに気付いたかもしれない」
「?」
全てとは言わないが、我が策の”いくつか”に気付いたかもしれない。
だと?
意味の分からない言葉だった。
唐突に吐かれた文言にゴーツは思考する。
いくつか、とは何だ?
何を指している?
まさか。
もしも、
もしも、、自分が動かないと決めたあの夜。
あの夜から後に何度も感じていた疑問。
その全てにマリアンヌが関与していて、尚且つ、マリアンヌの自作自演だったとしたら。。
「いや、でもお流石にそれはありえないね~」
「どうかしたかね?」
この女の脅威度を更に一段、いや、2段引き上げる必要がある。
まぁ…
「今更考えたところで詮無き事かね~」
ゴーツは続けて言った。
「あっしが考えていたよりもあんたは頭が回るようだね~。でも、それでもあの男には全然勝てないよ」
「あの男とは誰のことを言っている?」
「あんたには言っただろ?覚えていないのかね~?アトラスの不気味な男、額の真ん中にホクロ、スキンヘッドで民族衣装のような膝まであるロングコート、頭、顔、腕、至る所に変な文字の刺青のある男」
「あ~言ってね。それで?」
「近い未来、あんたはそいつに出会う。互いの性格を考えれば、おそらく戦うね~。でも…あんたはあの男には勝てない、絶対に。あの世でお前があの男に負けるのを笑いながら観戦してやろうかね~」
挑発にも似たゴーツの発言に、マリアンヌは眉1つ、顔色1つ変えずに「そう」とだけ口にする。
そして、
「さて、ではそろそろ宴もたけなわ、残りの疑問はあの世で考えるといい。領主が少し大きな声を出したせいで、屋敷に居る者たちが起きてきてこの状況を見られると非常にまずいのでね」
「でしょうね」
マリアンヌは冷徹に言い放った。
「カーナ”殺しなさい”」
「はい」
ゴーツは覚悟を決めた。
メイドが履くとは思えないゴツいブーツ、足音から察するに靴底には鉛が仕込まれているであろう重い音が近づいてくる。
ゴーツは自分自身の戦闘能力を心得ている。
自分の戦闘能力は良いとこソウス兵士長の部下ぐらい。
とてもじゃないが、マリアンヌの後ろに控えているカラスの仮面を被っている奴ら、あんなのと相手なんて出来ない。
しかも恐ろしい事に今、近づいてきているこの赤髪のメイド。
コイツのカラスのお面を付けている奴らに命令する言動、初日の夜に領主を殴っていた姿から察するに間違いなくカラスの仮面を被っている奴らよりも間違いなく強い。
どう逆立ちしたとしても、あっしには勝てない。
「ここまでかね。まぁ存外に楽しい人生だったからいいか」
「ん?何か言ったかね?」
「いいえ」
「そう?ああ!そうだそうだ。この6日間、君がどのようにして我の目を誤魔化してきたのかについては、我が勝手に推理して答えを導き出すので安心してくれたまえ。ああ、大丈夫、大丈夫♪ 犯人の名、つまり君という答えが分かったのだから、逆算で式を導き出すなんて我にとっては造作もない」
「さいですか」
夏の夜空の下、カーナはゴーツの目と鼻の先の距離にて立ち止まる。
無言のカーナ。
手には魔道具の大振りナイフ。
後は主人の命令を待つのみ。
カラスは笑う。
人の死を喜ぶように。
領主は笑う。
今まで自分を裏切っていた人間の最後を。
ゴーツにとって最悪の空気。
「………」
ゴーツは目を閉じた。
死を覚悟して。
でもいくら死を覚悟しても、それでも恐怖で歯がガチガチと音を立て始める。
真夏だというのに寒気もする。
数秒後に起こる死という現実。
これに恐怖しないのは難しい。
だから物思いにふける。
自分の人生にしては上等な終わりに。
自分のような人間があの超大国プルートの第一皇女を手玉に取ったのだから。
あっしは満足だ。
だが。
「…え?」
その呆けた声を出したのはゴーツではなく領主であった。
彼は目の前に急に現れたカーナと自分の胸に深く突き刺さっているナイフを交互に見ながら唖然としている。
そして理解の範疇を超えた出来事にこう言った。
「こ、これ…どう…事じゃ?」
誰からも返答は無い。
聞こえるのはカラス達のクスクスという笑い声だけ。
そして無慈悲に引き抜かれるナイフ。
同時に領主の胸からドバドバと血が流れ落ちる。
「ワシ…ワシの…血が…」
手で押さえて必死に止めようとするが止まらない。
ゆらゆらと揺れる領主、やがてその身体は地面にバタリと倒れこむ。
倒れこむ領主の薄れ行く視界に映るマリアンヌ。
その顔は笑っていた。
「領主よ、王印ありがとう。これは我が最大限有効活用させてもらおう」
「どうして?どう…してじゃ?兄弟の、盃、、は?」
「あ~あの件ね」
マリアンヌは今まで耐えていた愉悦の笑みが喉の奥から押し寄せ、吹き出したように笑う。
「あれは~キャンセルで♪」
「は?」
「グッバイ、領主♪ やはり我をあの暑い中、1時間近く待たせた罪は重い。死で償うがよい」
”さようなら、愚かな領主”
閲覧ありがとうございました(`・ω・´)ゞ皆さん、今回のお話を読んでいて領主ヤンの事『まだ”今は”死なないだろうな~』って思ってたんじゃないですか?甘いですね~スピードワゴンの井戸田さんの「あまーい!」ぐらい甘いですね(・∀・)ニヤニヤ
以前も言いましたが、人気作品ならいざ知らず、私の作品はアンダーグラウンドの作品になりますのでそういった予定調和とは縁遠いのでございますよw(*゜▽ノ゜*)おほほほ♪
ではまた次回お会いしましょう♪( ´Д`)ノ~バイバイ
皆さん突然ですが夏バテしてませんか?私はと言うと、ここ数日は工場のお仕事が多くて夏バテ気味ですw
先日もこんな事がありました…工場内での仕事を終え、後は社長の娘さんの部屋のエアコン取り替えをしていた時です。
「じゃあ、今から作業するんでこの辺りどけちゃいますけどいいですか?」
「ああ、すいません!今日来られるの父から知らされてなくて、全然片付けてなくて(^^;」
「いいですよw作業終わったら元の位置に戻すだけなんで。じゃあ作業始めま~す」
そう言って私は小さめの本棚を移動させてた時です。
ゴトッ!と本棚から1冊の重めの本が落ちたのです。
「あ~すいません」
「いえいえ!それ卒業アルバムなんで別に大したもんじゃないのでw」
「一応、ホコリとか付いたらマズいんでシート被せときますね」
「丁寧にありがとうございます」
「いえいえ、卒業アルバムとか替えがきかないものですから」
「お兄さんもやっぱり卒業アルバムとか大切にされてるんですか?」
正直、暑い中、工場の作業を終えた後だったのでフラフラしながら私は言いました。
「あ~卒業アルバムですか?俺は小中高のやつ全部燃やしたんで家に無いんですよ」
「えっ!?も、燃やしたんですか!?」
「はい、要らないんで。アレって重いしかさばるし邪魔でしょ?」
「…ああ」
……その後、社長の娘さんは一言も喋りませんでした。きっと私が疲れていたのを気遣ってくれたからでしょう。
実際、私は家に帰ってきたらバタンキュー(X_X)でしたからねw
という事で皆さんも夏バテ、夏の暑さには気を付けてくださいね~。お喋りだったあの子があなたを見て口数が極端に減ったら、それはあなたが夏バテ気味の合図だと思って問題ないかとひとりぼっちの桜は提言いたしますヽ(^o^)丿




