08 裏話 カーナの観察日記(上)
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今回の裏話はテイストを変えてみました。
日記 + 会話みたいな感じなので楽しんでもらえるとうれしいです(๑˃̵ᴗ˂̵)
ちょっと思ったよりも長くなっちゃったので上・下巻の2つに別けます(*∩ω∩)
それではどうぞごらんくださいませ。
取り急ぎなぜ私がこのような物を書き始めたのかを記しておきたい。
あれは剣を手に取った囚人たちを粛清したすぐあとのことだった。
マリアンヌ様は屋敷の外に待たせていた護衛の兵士の所に行く前にこう言われた。
「カーナ、お前はこれから数日間この屋敷、いや地下室から離れるな」
「え!? で、ですがそれだとマリアンヌ様の護衛役が」
そう言うとマリアンヌ様は「問題ない」と首を横に振られた。
ちょっと寂しかった
「あれだけのことを行った我にそうそう何かする馬鹿はおらんよ、それにアンジェラの息のかかった兵士は全員皆殺にしたし、今日から兵士を数人ほど常に付ける、お前は我の身は案じなくともよい。 それよりも心配は地下室の囚人どもだ、逃げられては困る、なにせやつらはこの国において生きていてはならん死人だからな」
「あいつらですか?あいつらはマリアンヌ様のお言葉に感銘を受けて矢を取った連中ですので心配されることなど何も」
「はたしてどれほどの囚人が我の言葉に感銘を受けたかな?」
「全員に決まっています! 何も持っていない囚人たちに”生きがいを与える”素晴らしいお言葉です!」
「あれはただ我がやつらの好むような言葉を選んだにすぎない」
え!?
「あのような誰からも必要とされたことが無さそうなやつらは”お前が必要だ!”みたいな自己を認めてくれる言葉が大好きであろう?」
「え、ま、まぁ確かに」
「だがそのまま伝えては相手を調子付かせる、こちらの戦力が枯渇していることを悟られ足元を見られる可能性もある、だからその言葉を遠まわしに連想できる”生きがい”という言葉を選んだ、そして”与えてやる”という上からの言葉でどちらが上かをはっきりと教える、そう考えてあの言葉を言ったに過ぎない」
な、なるほど、そこまで考えての発言だったとは…
「だが全員がそうでは無かったであろう、あの中にはただ単に生き延びたい人間、それに欲望に忠実なだけの人間もいた」
「欲望というのは?」
「あの傷だらけのデカイ、ゴリラみたいなやつも言ってたろ? 自分は女を犯して人を殺せればそれでいい、みたいなことを」
そう言えばあの野郎、マリアンヌ様に汚い口を
「犯罪という反社会的な行動には中毒性がある。だから止まらぬ、”やるな”と言われるとやりたくなるのが人間の性、まぁ普通はそれを自制心で押し留めれるのだが、やつらの中にはそれが出来ぬやつらが大勢いた、だから我に従えばその甘い蜜を吸える…そういう雰囲気を出しておいた、やつらの顔を見る限りすでに数人はそれが目的であろう、ただ好き勝手暴れれるとでも思っているのだろう。 そして最後の生き延びたいやつに関しては我説明するまでもなかろう?」
たしかに生き伸びる可能性が少しでも高いほうを選ぶ
あの時、肩にさえ矢を刺せば、少なくとも”今日は死なない”そう考えたのか
「人間のみならず生物全般的に言える事だが、命あるものは安全への欲求が非常に強い。普通に考えれば自分の欲望の実現、忠義なんかより自己の生命を優先させるのは生物なら自然な行動だ。そういう意味では前2つの理由で矢を取った人間達よりも素直な精神構造かもしれぬがな、、。しかし、自己の生命を優先すると言うことは我…いや、我々のことすら一切目に入っておらんと言い換えることが出来る、もしすぐに暴動を起こすとしたらこいつらだろう、一応背後には気おつけておけ。 まぁこいつらは痛み、恐怖などといったものに非常に敏感だから、先の惨劇を見せた後にすぐに何かを起こすとは思えぬがな」
「な、なるほど」
「だから我の言葉は全て偽物だ、全員の心を打ち抜くとはとても思えない、そんな我の言葉だからな、やつらが逃げぬ保障が無い。むしろ、お前はやつらが逃げることを前提にこれから行動しろ、誰も信用するな」
「大丈夫です!頑丈な鍵を取り付けておりますので!」
「…その気になったら鍵くらいぶち破って開けれるのではないか?」
あ~なるほど。
私の脳内にはマリアンヌ様に暴言の数々を吐いたあの傷だらけの男がまず浮かんだ。
…やりかねない。
よし、取り急ぎ扉を新調しよう
「ですがあの時のマリアンヌ様は亡きヴァルキリー様を見ているようでした! まぶしかったです!まぶしすぎて、マリアンヌ様から後光差しているのかとすら思いました!」
「たぶんその後光とやらの光を浴びたのはこの世界でお前だけだよ。それに我に母上ほどのカリスマ性は無いよ」
マリアンヌ様は恥じるような素振りなど一切見せず、平然とおっしゃっられた。
そして冷静に自己分析なされるようにそっと顎に手を添えられた。
「少なくとも母上なら我の使ったような恐喝まがいな言葉は選ばぬであろう。 それこそ、お前を使った見せしめなど必要無いそんな全員が付き従いたくなるような言葉を言ったやもしれない。まぁあえて残念な事をあげるとすれば、それがどんな言葉なのか娘の我が予想もつかぬところだ、思いつきさえすれば思ってもいないことだろうがそれっぽく言えたものを」
「大丈夫です!マリアンヌ様ならいずれ思いつきます!」
「そお~?どう考えても永劫、我が思いつく気がせぬのだが…まぁ無いものねだりしたところで無いものは無いのだから仕方がない。 生きるため、己の欲望のため我を利用する輩、それでよいのだ!そういう輩がいてよいのだカーナ、なぜなら我はそいつら全ての心すら利用して、使うだけ使って利用価値が無くなったらボロ雑巾のように捨ててやるのだからな、それが母上とは違う我が道、我の王道だ!フッハッハッハ!!」
心が震えました。
感動して涙すら出そうでした。
やはりこの御方は普通の人間とは違う
「さすがマリアンヌ様!私などが思いもつかない思慮深さ、囚人どもの心すら看破する頭脳に、無礼な囚人どもを許す器量の大きさ!さすがです!マリアンヌ様!」
「フフフそんなに褒めるな、照れるではないか。 それでカーナここからが本題なのだが、一応1週間後ぐらいにまた来るからそれまでに報告書を作っておくように」
「報告書ですか?」
「ああ、簡単なものでよい、経過知りたいだけなのでな。さすがに我の初陣には間に合わぬであろうが、どれぐらいで囚人たちが使い物になるかの指標として見ておきたいのでな」
「あの…」
「なんだ?」
「私は報告書という物がどういう物なのか、見たことが無いので書き方が分からないのですが…」
「マジか?」
「はい」
少し、いや、だいぶ頭を抱えてらっしゃったので
「日誌なら書いたことはあるのですが」
と、言ってみた。
「日誌?」
「はい、研修時代メイドは1日あったことなどを書いてメイド長に渡さなくてはいけなかったので」
「じゃあ、それで」
「ただ私のはメイド長いわく”あなたのは、日誌じゃなくてただの観察日記です!”と言われたこともあるのですが、それでも大丈夫でしょうか?」
マリアンヌ様は遠い目をされた。
そして言われた
「もう、とりあえず読めたらそれでいいよ」
という経緯で私はこの報告書を書くに至った。
ではまず今日マリアンヌ様と別れた後から書くことにしよう。
閲覧ありがとうございましたm(_ _) m
前回のサブタイトルを悩んでいたのですが、いつも感想を頂ける方から「このままでいいじゃない」という心強いお言葉を頂けて、このままでいこうかと考えてます(^○^)
あっ、ちなみに次回なのですがシルバーウィーク中にあげれると思いますので、よかったら楽しみにしてもらえるとうれしいです。




