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07 41人の選択肢(4)

クリックありがとうございます。[。゜+.ァリガトゥ。゜+.]*´∀`)ノ゛


ヤバいです、今回でこの章は終わりなのですが(裏話はあります)今回すごくペンが進みました。特に後半、ペンが止まりませんよ(笑)


あとカーナが今回かっこいいです(人∀≦+))!

決め台詞いっぱいです!

いるかどうか分かりませんが、いるならカーナファンは喜んでいただけるかと思います。

よく印象に残る台詞が多すぎると逆に印象に残らないと言われますが…そうならないことを祈るばかりであります(´д`ι)


それではどうぞ、ご覧くださいませ。

 ついに1人目が自分の選択をした。

 それからは今まで、岩か何かで勢いを止めていた川が一気に流れるように、次々と囚人たちは樽のようなカゴに腕を突っ込んでいく。


 ある男は剣を手に取ってマリアンヌを睨みつける。


「生きがいなんていらねーよ」


 ある女は微笑みながら矢を手に取って言った。


「うふ、私は矢を選ぼうかしら。こんなにかわいいご主人様の元で飼われるのら、ペット生活も悪くないわ」


 躊躇ためらいながら刺す者もいれば、迷い無く涼しい顔で刺す者もいた。

 その一喜一憂いっきいちゆうを観察しながら興味深そうに眺めるマリアンヌ。


 その中で最後まで選択をしぶっていたのはあの大量殺人犯の少年だった。

 少年は矢を手に持ってマリアンヌに向かって小さく手を挙げる。


「…軽くでいいですか? ぼく、痛いのは苦手で」


 マリアンヌは満面の笑みで答えた。


「骨に届くほどザクッとやれ」

「そんな…」

「俺がやってやろうか?」


 一番最初に矢を打ち込んだ男

 包帯で自らの傷を止血しながらそのいかつい顔を緩ませて話しかけてくる。


 少年は思った。

 この人に任せたら骨が突き破られる、と。

 首を全力で振る。


「お気になさらず!!結構です!!」



              ×            × 



「カーナ、矢を取った人数は?」

「22名です」

「ふ~ん、半分てところか、予想よりも多かったな」


 いずれ裏切る人間は今からふるいに掛けたほうがいい

 不穏分子ふおんぶんしの除去、だからわざと自分に矢を刺せと無理難題を吹っ掛けた

 にも関わらず半数も残る


 こんなにも残るとは…


 予想に反した結果

 最初に矢を取った男に流し目を送る。


 この男はそれだけの統率力、カリスマ性みたいなものがあるということか?

 あまりそうは見えないが


 ではわれの言葉が心を突いたから?

 そうであって欲しいという願望はあるが真実はどうだか


「まぁ、よいだろう。カーナ」

「はい」


 マリアンヌはコロッと表情を変えてニコニコと微笑んで言った。


「カーナ、剣を手に取った者をすべて殺せ」


 カーナは静かにうなずいた。


「はい、マリアンヌ様」

「矢を取った残りの家畜への見せしめの為にも派手にな」

「もちろんよろこんで」


 その2人の話を聞きいていた全身傷の男

 助け舟を出すように話しかけた。


「おいおい姫さん、本気でそんな女にやらす気かよ?外にいる兵士を入れたくないなら俺が手伝ってやろうか?」


 男は残った半数の囚人を1人で相手にしても十分勝てると判断したのだろう

 手当てを終えた肩を準備運動がてら、グルグルと回しながら自信満々に言った。


 マリアンヌは今にも笑い出しそうな口を押さえる。

 押さえた手の上、指と指の隙間から見える目はニターと笑っていた。


「必要ない、お前も怪我人けがにんなのだからおとなしくしておけ」


 剣を握り締めてじりじりとマリアンヌとの間合いをつめてくる囚人たち

 マリアンヌは扉を背に立つ

 そしてその端整な顔からは想像できないような、どす黒い声で言う。


「お前たちは選択を間違えた。素直にわれの物になっていればよかったものを、、」


 その言葉は囚人たちに確信を与える。


 この女は今から背後の扉を開けて兵士達をこの地下室に引き入れようとしている。

 そう思った勘と頭の切れる数人は足に力を入れて地面を大きく蹴ろうとした

 だが、その直進をふせぐように赤髪のメイドがマリアンヌと囚人たちの視線の間に割り込む。


「ゲス共が、誰に断わってマリアンヌ様に近づこうとしている?」


 カーナはそう言うとゆっくりち囚人たちに近づいていく

 そして大量の剣が入ったカゴの前まで行くと大きく上に蹴り上げた

 宙を舞う銅製のカゴと中に入っていた大量の剣

 飛び交う1本を一瞥いちべつもすることもなくバッと掴むと頭上ずじょうから降ってくる大量の金属音が豪雨のように鳴り響く中、カーナはその無機質で抑揚よくようの無い声で言った。


「マリアンヌ様の御前ごぜんで死ねること、光栄に思え」


 そして静まり返った地下室で肩をらすように剣を2回、3回と腕の周りで転がすと感情の無い瞳が剣を持って構えている囚人たちを捕らえる。


「来い家畜ども」

「上等だ!!いくぞぉぉお前ら!!!」


 囚人たちは一斉に襲い掛かった。

 そして手に持たれた剣は各々、振り下ろされ、突かれ、なぎ払われる。

 ほぼ同時に行われるそれらの行動。

 カーナはその中で振り上げられた剣を持つ男に着目する。


 逃げる、避けるではなく、つま先だけに力を入れて剣を振り上げている男とのを体が触れ合うほどまで詰める、そしてそのまま男の顔に手を当てると力を前方に押し出した。

 男の視界が360度回転して両膝から地面に落ちる

 男の顔が勢い良く落ちた衝撃で苦痛に歪む、だが次の瞬間パックリと割れた首元から自分の噴出す血を見ることになる。しかしその情景を見るのは1人では無かった


 一瞬だった。

 1人の首を切り裂いた後に訪れた見えない風

 カーナの持っていた剣はその一瞬で3人の命を奪い、亡骸なきがらは地べたに横たわった。


 それほど圧倒的な力の差がそこにはあった。

 さすがの囚人たちもこれには無言のまま、口を半開きにしてぼーと立ち尽くす

 しかしそれは矢を選んだ囚人も同じ

 みんな、顔を蒼白そうはくにして血まみれで倒れている囚人を見ていた。


 血がドバーと赤く広がっていく。

 と、同時に足がガタガタと震え始める囚人もいた。


 誰でも分かる。


 絶対に勝てないと


 挑むべきではなかった


 それでも数人は恐怖を振り払うように剣を振り上げて悲鳴のような声をあげて向かって行く。

 しかし、それはカーナ相手では闇雲やみくもに死体を増やすだけの自傷行為でしかなかった。


「ぐぎゃぁぁぁぁ!ぁぁ!」


 断末魔を燃料に変換するように赤い獣は主人の言いつけどおり囚人たちを派手に壊していく。

 それはまるで矢を取った囚人たちに対してこう言っているようであった。


 ”裏切ればお前達もこうなるぞ”


 当て付けのように命を散らしていく囚人たち

 戦いになれば力の無いほうが倒れる。

 それはここに収容された凶悪な囚人なら誰もが分かっていたこと。

 偉そうに啖呵たんかを切ったドミニク

 彼はすでに彼は地べたに横たわっている。


 それを傍観するマリアンヌ

 その手は少しだけ不満そうに自分の腰まで伸びている長い髪の毛をクルクルといじる。


「ふ~む、あの夜の囚人たちよりも凶悪ということだから、もうちょっとは頑張るかと思って期待したが一目散に逃げるか立ち向かうかの微少な差でしかないようだ。では凶悪というのは能力ではなく犯した罪の差ということか」


 マリアンヌは本来、血を見ると「汚らわしい」と嫌悪感を前面に出し大量に飛び散ろうものなら卒倒するような人間だった。

 しかしあの日、あの出来事から感覚が麻痺してしまったのだろうか?

 マリアンヌの口は人の死に慣れ、自然とほころぶほどになっていた。

 そしてそれはもう以前の自分に戻れないということをマリアンヌ自身に知らせる証明だと実感させる。


 マリアンヌはふん、と鼻で笑う。


「過去を振り返るは弱者の選択だ」


 人の命が1つ、また1つ消えていく景色を見詰めながら、マリアンヌは嬉しそうに目を細める。


 人の命を手のひらの上でもてあそべるよろこ

 無慈悲に自分の意志1つで人間の運命を変える力

 この神にでもなったかような遊び

 楽しまずにいられようか。


「まさに神にだけ許された遊戯ゆうぎよな」



 勝てないことを、このままいくと数秒後には命が無いと確信した女の若い囚人。

 靴も履いていないボロボロの足は脇目も振らずにマリアンヌを目指す。

 持っていた剣を投げ捨ててマリアンヌの近くまで走ってくるとその場でひざまずいた。

 そして死を間近まじかにした女は血を吐くような声でマリアンヌに懇願こんがんする。


「お願いです!今から矢を肩に刺します!何でもします!許して下さい!」


 恐怖に硬直する体はひざまずき、ただただ許しを請う。

 ガタガタと震える両肩。

 瞳は気が動転どうてんして焦点が合わず

 ダラダラとだらしなく失禁しっきんして囚人服から流れ落ちる尿

 しかしそれらを気にする余裕も無くなった女は、まるで神に許しを請うように両手を強く、固く握る。


 それを汚らわしい物を見るように冷たく見下ろすマリアンヌ。

 軽く広げた片手をアゴの下に持っていくと、うっとりとした邪悪な笑みを漏らした。


われに剣を向けた人間はすべからく死でしか償えぬ、お前達の元飼い主であるアンジェラもそうであったようにな。 フフフ、お前はどんな声で鳴いてくれるのかな?」


 突き放すような言葉

 気が遠くなっていく

 それでも女は慈悲を求めるようにマリアンヌに手を伸ばした


 その瞬間、女の肌が総毛立つ

 女はごくりと喉を鳴らす

 そして考えが纏まらない頭でゆっくりと振り返った


「誰がマリアンヌ様に近づいていいと言った?」


 するとその瞳には自分に対して剣を振り下ろそうとしている赤い獣の姿が映っていた。


「っ!?!?!?」


             ×              ×


「いた、、、い、、いたい」


 致命傷とも思えるエグるような傷を背中に受けた最後に残った女の囚人。

 その体は床に押さえつけられて後頭部には血を大量に吸った剣がギラリと不気味な色で輝いていた。

 体は自分の意志では既に動かなかった、だから床に顔をつけながらボロボロと涙を流す。


「たすけ、、て、、たすけ、、、て、、、たすけ、、て、神様」


 カーナは言った。


「ではその神であるマリアンヌ様のために死ね」


 剣で勢い良くグチャっ!と押しつぶされた頭部

 中身が炸裂花火さくれつはなびのように飛び散る。

 脳みその破片、片方の眼球、そのようなグロテスクな物が宙を飛ぶ

 そしてそれは矢を選んだ囚人たちの足元近くまで飛んでいった。


 パックリと半分に割れ、中身を晒される頭

 先ほどまで泣いて許しを請うていた女の姿はそこにはもうない

 さすがの極刑に処される囚人たちでも青ざめ、声すら出せない。

 ただ、囚人たちは心から安堵あんどした


 ”自分たちは矢を選んでよかった”


 と


 新鮮な血のにおいが充満じゅうまんする中、マリアンヌはにやりと口元をゆがめる。

 

「ああ、自己紹介がまだだったな、その赤髪の女はカーナ・マキシマム、これからお前らのボスになる人間だ。 カーナ、お前の部下になる人間達に挨拶をしなさい」

「はい、我が神、マリアンヌ様のおおせがままに」


 カーナはその時、初めて機械のような無機質で冷たい表情を崩して囚人たちに笑顔を見せた。

 怯えるように身構える囚人たち


 それを見てカーナは再び無機質な表情に戻した。


「ようこそ地獄へ、歓迎するよ。 私のかわいい最低な家畜たち」



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

【嬉】(´p・ω・q`)ぁりヵゞ㌧♪

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