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魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第3章】 最低な家畜たち

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06 41人の選択肢(3)

clickありがとうございます(〃v〃)


涼しくなってきましたね、私は暑いのが大の苦手なのでうれしい限りですヾ(*´∀`*)ノ キャッキャッ♪


それではどうぞお楽しみください。



 ”忠誠を示すために自分で矢を刺せ”


 傷だらけの男は姑息な思惑をマリアンヌに看破かんぱされ、心まで見透かされたかのようにピタッと止まる。

 当然ながら矢に触れようとしていた手もその動きを停止させた。


 その中で声を荒げたのは既に剣を手にした小太りの男

 揺すりで投獄されたドミニクだった。


「おい、お前ら!この女こんな馬鹿げたことを言ってんぞ! 剣を取ってこいつをぶっ殺そうぜ! たとえ外に人がいたとしても、これだけの人数がいりゃ」


 囚人の突然の宣言に怒るわけでもなく、まるで死にゆく虫を見るような瞳を向けるマリアンヌ。


「おいおい、人を先導せんどうするような真似まねはよせ。せっかく牢獄から抜け出せたのだろう?今まで無かったお前達の選択肢だ、自分の道ぐらい自分で決めるべきではないかね? まぁ、そんな安い言葉でぞろぞろ動くのであればとうにアンジェラの側に立っていただろうから、お前の言葉を止める本質的な意味は無いのだが…」


 これだけは言いたくてね、とマリアンヌは微笑みかけるように付け加える。


「お前に人を先導するほどの話術も無ければカリスマ性も無い、剣を手に取ったなら少し黙っていろ」

「俺が待ってやる理由なんてねぇだろうが!」


 マリアンヌは「硬いことを言うなよ」と悪戯いたずらめいた顔で言うと更に続ける。


「理由はどうあれわれはお前達が毒殺されるところを助けてやったんだぞ。 1つぐらいわれの言うことを聞いてくれてもよいのではないか? それにお前の言う通り外にわれの部下が控えているのならば、急ぐ必要ないではないか。 むしろこの選択を最後まで見守ることによってわれ従う人間、つまりお前達からすると裏切り者が分かる、これはこのプルート領から脱出するのに有意義ではないかね?」


 反論する言葉が出てこないドミニク

 地団太を踏むように強く地面を蹴る

 そして顔は苦虫を噛み潰したように変形する


 その2人のやり取りを無視するように無数の傷のある男は問う。


「てめぇはなんで俺達の足かせをを取った?」

「なぜって、そんな物を付けていたら重かろう? あえて理由を問われるのであれば親切心だよ」


 嫌らしい笑みを浮かべるマリアンヌ。

 男はその挑発に乗らなかった。

 そしてその眼光は刺すようにマリアンヌに向けられる。


「アンジェラは足かせを絶対に取らせなかった」

「そうだろうな、おもりがあればお前達も簡単には逃げられんだろうし、反抗されたところで周りの騎士たちを使えば簡単殺せるからな。だがそれが逆に言うと、そこまで評価されていたのだからお前達も嬉しかろう」

「お前を殺す手伝いをしろと言ったときですらだ」


 マリアンヌは目じりを少し細める。


「それは初耳だな、1階の囚人たちは殺すつもりだったのだろうから外さぬ理由は分かるが、お前達の足かせは外すつもりだったのだと思っていたな。 ということは、アンジェラは最初から」

「ああ、俺たち囚人を生きてここから出すつもりなんか無かったんだろうな。だから俺はアンジェラに付くのを止めた。わざわざ死期を早めるようなことをしたくないねぇからな」


 ”俺は?”


 この言葉にマリアンヌは引っかかった。

 その言い方だとこの男がアンジェラに付いていくのをやめて、その結果、他のやつがそれに賛同して同じ行動を取ったという意味にみ取れる。


 ではこいつが囚人たちを先導したのか、、、?

 少し調べてみる必要があるな。


 そして初めて目の前の囚人に興味を持ったように視線を向ける。


「こちらからも1つ聞きたいことがあるのだが、アンジェラは君に対して何か言っていたかね?」


 その質問に疑問符を頭の上で転がす男。

 質問の意図いとを考えるように答える。


「俺に? 全員に対してマリアンヌを犯して殺す手伝いをしろと言ったが」

「言い方を変えよう、それは誰に向かって話しかけていた?」


 さらに疑問符が増える質問

 男は答える


「全員」

「本当に?」


 心の中、記憶すら見透かすようなマリアンヌの瞳。

 その瞳はあやしく、そしてなまめかしく、この男の心を捉えて離さなかった。


 悪魔に魅入みいられて魂を抜かれる

 その言葉がピッタリとハマるように囚人の男は、まるで操られるように記憶を辿たどると、口を開いた。


「そう言えば、何回も俺と目が合った気が…」

「ほぅ、そうか」


 マリアンヌは確信する。


 アンジェラは気付いていたんだ

 この男を説得する意味を。

 この男の発言力の高さを。


 実質こいつさえ説得できれば全員が動く可能性が高い

 実際、この2階にいる囚人もあの時いたなら、われは既に死んでいただろうしな。


「それで俺の質問の答えは?」

「答え?なんのことだ?」


 とぼけるマリアンヌに男はムッとした口調で


「なぜ俺達のおもりを外した?」


 最初はこのままはぐらかしてやろうかと思ったが、男の瞳は回答を聞くまで引き下がらなそうだった。

 マリアンヌはやれやれと首の骨を鳴らす。


われはお前達に与えてやりたくなったんだよ。本当の自由というやつを」

「一生お前の奴隷として生きていくことのどこが自由なんだ?」

「お前は変えたくないのか?人生を」


 マリアンヌはそう言うと全員に向かって言った。


「ここから出てお前達はどうするつもりだ? 少なくとも、この辺り、プルート領の息のかかる場所では生活できぬであろう、ということは逃げ惑いながら隠れるように生活するのか?それとも敵国に亡命するか?できぬよな、お前達は亡命できるほどの財も情報も何も持っていない、ならば盗賊まがいに落ちるか? それがお前達の言う自由か?」


 マリアンヌの言葉は心に直接訴えかける。


われからするとそんなのは自由に不自由しているようにしか見えぬ。人間は生きがいが無いと手にした自由を本当の自由とは思えない。そうじゃないか?だからお前達は満たされていない、生きながらにして死んでいる。 だからわれのために生きるという名の自由を与えてやる」


 強い絶対的な意志を伝えるように目の輝きを強めるマリアンヌ。


われの物になれ、それが其方そなたたちの自由だ」


 ”生きがいを与えてやる”


 その言葉に大部分の囚人は反応した。

 まるで今までそう言って欲しかったかのように


 しかし目の前にいた囚人だけは違った。

 彼は戦いに明け暮れた傷だらけの腕を煙たそうに振る。


「俺にとっては生きがいなんてどうでもいいこった」

「どうでもいいとは?」

「言葉の通りだ、俺の欲しい物はそんな高尚こうしょうなもんじゃねぇ」


 その言葉、その視線にマリアンヌは真っ直ぐに見詰め返して問いかける。


「その強靭きょうじんな筋肉は何のために手に入れたんだ? ここから出て何がしたいんだ?」


 男は問いに迷うことは無かった。


「俺は人殺しが大好きだ、そして女を犯すのが大好きだ。 好きなように人を壊したい、ふんぞり返った貴族どもやお偉い騎士ども、泣き叫ぶ人間の顔を見ながら頭蓋骨ずがいこつを握りつぶしたい、泣き喚く女を殺した旦那の前で無理やり犯したい、目に付く女は全て犯したい、そんな最高の人生をおくりたい。生きがいなんてクソくらえだ」


 その答えを聞いたマリアンヌ。

 溜めていた息を「プッ!」と吹き出す。

 そして端整たんせいな顔の変形を隠すことなく盛大に笑った。


 ひとしきり笑い終わると、上下する肩をなだめながら


「くだらない、くだらなすぎる、知能が発達する前の猿となんら変わらんではないか! しかし単純な思考過ぎて逆にこれ以上ないほど笑える、お前は最高のクズだよ、気に入ったぞ」

「で、答えは?」

「お前の努力しだいだな」

「気に入った!」


 顔や腕に無数に傷のある大柄の男はマリアンヌの体を舐めまわすように見て言った。


「俺は姫さんに付いていってやる。 ただし俺を満足させてくれるあいだだけだ。満足できなくなったら、その綺麗な顔や体をボロボロに犯した後に殺すぜ」


 ”私のマリアンヌ様を殺す?”


 カーナの眉がピクリと動く。

 すーっとカーナの表情が変わっていく。

 そして震度1ぐらいからゆっくりと震えだすコブシ。


 その傍らで優雅ゆうがに椅子に座りながら組んでいた足を組み替えるマリアンヌ。


「うふふ、きもめいじておこう」


 男はその言葉を聞くと、おもむろに矢を手にって一切、どうじること無く突き刺した。

 鍛え上げられたブロックのような筋肉に矢がめり込む。

 そして矢を力いっぱい引き抜く。

 矢尻やじりに付いていた血がマリアンヌの足元に飛び散った。


「これで満足か?お姫様」


 眉1つ動かさずに自分を刺す男にマリアンヌは嬉しそうに答える。


「ああ、お前は合格だ」



閲覧ありがとうございました(о ̄∇ ̄)


もう少しでこの章も終わりになりますが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 _| ̄|○)) 頼む!お願い!この通り!



チェインクロニクルVですが、、、、


やりましたよ!900万ポイント達成しましたよ!

+。:*ヤッター(o(>∀<)o゛ヤッター。:☆

そのかわり日曜は1日地獄でしたけどね(笑)


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