表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第7章】 一夜で滅んだ村

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

271/392

139 2日目⑭ 孤児院と宿屋の村・トゥール③

クリックありがとうございます♪先週の土曜日に「煉獄さぁぁぁ(ノД`)ぁぁん!!!」と叫んでいたで有名なひとりぼっちの桜ですw 

いや~素晴らしい内容でしたね!(^^)!鬼滅の刃の映画、相当良いと評判には聞いていましたが実際見て、映画ってダイジェストみたいな感じだからあんまり好きじゃないって思っていた私も、初めて心から感動しましたよw敵が逃げた時なんて炭治郎と一緒で「この卑怯者(゜Д゜)ノ!!」って言ってたもんw 素晴らしい映画だったから見てない人は見なきゃ損でござるよ( ^ω^ )



さて、では今回のお話ですが…ちょっとページ数がアレで気が付いたら原稿用紙15ページいってました(;''∀'')

一応、最初は切ろうかな~?って思ったんだけど、これは切らない方が美しいと思ったのでそのままアップしますねw

文字数は7千500ぐらいあるので、まぁゆっくり読んでくださいなw因みに次回は1~2ページ予定ですw何て言うか…、だって、その方が美しいんだもん(>_<)ページ配分が下手なんじゃなくて、私は美しさ重視なの(>△<)!


ではどうぞ今回のお話もお楽しみくださいませ~♪



 教会と孤児院が一緒になったような外観の建物。

 その中に足を踏み入れるとシスター服の成人女性2名がマリアンヌたちを迎えてくれた。

 割と唖然あぜんとした表情で。

 まばたきも忘れて。


 まぁ見たことも無い銀の髪に高価な漆黒のドレス、そして何より絶世の美少女。

 このシスター2人の反応も仕方ないのかもしれない。


「こんにちは。シスター」


 少し腐った木のニオイが鼻をかすむ中、この上なくニッコリと微笑むマリアンヌ。

 彼女はゆっくりとシスター2人に視線を向けた。


「ふむふむ」


 目の前のこのシスターは若いな。

 シスター特有の修道服のような服装をしているので正確な体格は分からないが、背は普通、痩せ型、化粧は薄い…いや、してない?

 指先にマニキュア無し、髪も自分で切ったみたいな感じ。

 金が無いから?

 もしくはオシャレに興味が無い、田舎なのでそれが普通なのか?

 良く言えば純朴、悪く言えば地味。


 奥の歳のいった方のシスターは…普通のババアって感じだな。

 でも流石は年の功、貫禄はこちらの方がだいぶあるね。

 だがこちらのババアもだいぶ痩せている。


「すいません!子供たちがお客さんに失礼な事を言ったりしませんでしたか?」


 そんなシスターの言葉にマリアンヌは小さく笑う。


「フフフ、可愛い子供たちじゃないか」


 心にも無い言葉を笑顔で口にする。

 するとホッと胸を撫で下ろすシスター・ミラ。


「それは良かった。それで、え~と、どちら様でしょうか?」


 どちら様?

 ふ~ん、なるほど。

 ん?あれ? ということは、この女は文字が読めないのか?

 いや、でもそうなるとつじつまが…。


「あの…どちら様で」


 考え事をしているマリアンヌの隣でカーナが言う。


「こちらの御方はプルートの王位継承権第一位、マリアンヌ・ディ・ファンデシベル第一皇女殿下です」


 カーナがそう紹介すると、2人のシスターはあまりに予想外の言葉にその場で凍りついた。

 そしてコンマ数秒遅れて、


「「えぇぇぇ!?」」


 と、驚いた。

 だがマリアンヌはその反応を無視する。


「驚いている所悪いんだけど、ここに座る場所は無いのか?」

「シスター。マリアンヌ様はどこかに座りたいと仰っています。どこか座る場所は無いのですか?そもそもこんな玄関にずっとマリアンヌ様を立たせたままでよいと思っているのですか?」


 鋭いカーナの視線に顔の向きを右往左往させるシスター2人。


「えっ!じゃあえ~と」

「シスター・ミラ、大広間でいいんじゃない?後ろにも御付きの人がいっぱい居るし」

「そうですね!シスター・エサリー。えと、では皇女様こちらへ」


 そう言ってマリアンヌたちが通されたのは大広間。

 おそらく普段は子供たちやシスターが食事を取っている所だろう。


「ふ~ん、ここが大広間」


 歩きながらも周囲の物に目を配るマリアンヌ。


 木製の椅子や机、そのすべてが長年使い続けてボロボロ。

 窓はひびが入っている箇所も所々ある。

 床は玄関と同じく相変わらず軋む。

 しかし、遠くに見える食器棚、そこに置いてある皿、それらは比較的綺麗。


「すいません、こんな場所しかなくて。どうぞそこにお座りください」

「別に構わん、最近は座れるだけマシだと思う程度には心身ともに鍛えられてきたのでな」


 マリアンヌがギィという音と共に椅子に座ると、対面する形で2人のシスターも座った。

 マリアンヌはその2人の顔を交互に見る。

 そして切り出す。


「ところで、この村の村長はどちらだ?」


 若い方のシスターが緊張した面持ちで小さく手を上げた。


「あ、私ですけど」

「そう、意外だね。そしてえらく若い、てっきりそっちのお前が村長だと思ったんだがね」

「本当はそうするべきだったんでしょうけど」

「私がこの子を押したんです!前のシスターに育てられたこのこの方が私より相応しいと思いまして!」


 この建物を見る限り金が無いのはすぐに分かった。

 しかし金が無い割にはこのシスター2人の服装は比較的綺麗だ。

 さっきの気色悪いガキ共もだ、泥や土で汚れてはいたが穴やほつれなどは無い。


 これはもう確定と考えてよいのかもしれないね。


「ふ~ん。まぁどちらが村長でもわれとしては一向に構わないのだけどね。では、気分を変えてお話しましょう。女同士だ、午後のひと時、楽しい話に花を咲かせるのが普通であろう?」

「あの…これ、どうぞ」

「ん?」


 小さな女の子は怯えた手に持ったコップをマリアンヌの前に置く。

 それは先ほどマリアンヌに近づいてきた女の子であった。

 彼女が持って来たのは何の変哲も無い水。

 しかもマリアンヌの目には若干濁っているように見える。


「ぇぇ」


 なんだこの泥水は?


「すいません、大したものを出せないので、よかったら。リース、ありがとう戻っていいわよ」

「は、はい」


 え?これを飲めと?

 無理無理無理無理無理無理無理。


「いや、いやいや、結構だよ。話だけを聞かせてもらえればそれで十分だ、本当に」


 主人のその焦った素振りを瞬時に感じ取るカーナ。

 凄い小声でマリアンヌに耳打ちをしてくる。


「大丈夫です、ニオイを嗅いだ限り毒などは入っておりません」

「いや、そういう心配をしてるんじゃなくて」

「どうかされました?」

「いやいや、今は全然、あの…喉とか渇いてないから、カーナ飲みなさい」

「そうですか?じゃあ。ゴクゴク…プハー!美味い!」


 満足そうに水を飲みきったカーナ。


 こいつが居て本当に良かった。


 そう、マリアンヌが胸を撫で下ろしていると、シスター・ミラがこう切り出してきた。


「それで、なんでこんな村に皇女様か来られたのですか?」


 やっぱりこの質問は来るよね。


「ただの慰問だよ」

「慰問っていうのは?」


 またか。

 田舎者には慰問の一言で伝わらない事が多いな。

 ええい、疲れるな。


「まぁ旅行みたいなもんだ。 それはそうと、ここは何人で経営しているんだい?畑には年寄りが多いように見受けられたのだがね」

「私と横に居るシスター・エサリー、2人で何とかやっています。基本的に宿屋はシスター・エサリーがやってくれている感じですけど」

「ふ~ん2人で孤児院と宿屋を切り盛り。。それは大変そうだね」


 なるほど、なんとなく合点がいった。

 この2人は忙しくてこの村を離れる事が出来ない。

 だから掲示板も見てない。

 だからわれの存在すらも知らなかった。

 という事は、イコール他の村との交流もあまりないのか?


「でも大丈夫です!子供たちが助けてくれていますので!」

「ふ~ん、そうか。なるほど、なるほど。いい子たちなんだね」


 さっきカーナが言っていたここに住んでいる孤児の数はおおよそ30~40。

 コイツらとの共同生活、普通に考えれば作業量はかなり多いだろう。

 さぞ男手おとこでも欲しかろう。


「そうなんです!あの子たちは自分達が親を失って一番辛いにも関わらず、お手伝いをやってくれる子達なんです」

「ふ~ん、それはそれはエライね~。でもそんなに村の手伝いばかりしていると勉学などはおろそかになってしまいそうだね、文字ぐらい読めないとこれからの世の中、生きていくのに困るだろうに?」

「はい、だから最近は子供たちに勉強もさせているんです!最初は子供たちの中には勉強部屋で机に座るのすら嫌がっている子もいたんですけど、机の位置を変えてみたりして、それで色々試行錯誤していって、するとどんどん子供たちも文字を覚えていって最近では私よりも上手く文字を書ける子達も出てきたぐらいで」


 マリアンヌがこの目の前のシスターに合わせて話すと、面白いぐらいにシスター・ミラは口を開く。

 嬉しそうに語るシスター。

 マリアンヌはひたすら考えを巡らす。


「それはそれは素晴らしい学習能力だね。元から頭が良かったに違いないね~」

「はい!私もそう思ってます!戦争さえなければ彼ら彼女らもこんな生活はしていませんし、もっと」

「それに教える人間も優秀だったんだろうね」

「そりゃもう!」

「誰が教えているの?」

「え!?」


 息を飲むシスター・ミラ。

 白々しく首を傾けるマリアンヌ。


「なぜ、そんなにも驚く?教える人間がボンクラでは、どれだけここの子供たちの地頭が良かろうが学習の能率が下がり結果が出ない。君の喋り口から教え手が優秀なのは手に取るように分かる。ならばわれが教え手の方にも興味を持ち、誰なのかと質問するのは普通だろ?」

「いや、その、まぁそうですね」

「でしょ? で、質問に戻るけど誰が子供たちに教えてるの?」

「それは…」


 シスター・ミラは見るからに動揺している。

 そして次の瞬間、助けを求めるように瞳だけを横に、座っている先輩シスターを見た。

 シスター・エサリーは頷く事無く、机の下、手だけを伸ばしてシスター・ミラの膝をトントンと叩く。


 これら一連の動作はマリアンヌに気付かれないように最小限の動作にて行なわれた。

 一緒に生活しているからこそ分かるアイコンタクト。

 普通の人間なら気付かないであろう動作。

 現にカラスの半数は気付いていない。


 しかし、残念ながら今、真正面に座っているのはマリアンヌ。

 彼女がそれを見逃すなんてありえない。


「わ、私がみんなを」

「君じゃないでしょ?」


 先輩シスターの声を遮るマリアンヌ。

 その黒く塗られたアイシャドーに口紅はまるで”お前は黙っていろ”と言わんばかりに先輩シスターに圧をかける。


「先輩である君は基本的に宿屋の方を色々やっているんだろ?さっき言ってたじゃない。それに客もいるんでしょ?宿屋の仕事っていうと…炊事洗濯掃除、あとなんだろう?まぁなんでもいいや、ならばこちらに来て子供たちの勉強を見る時間までは流石に無いはずだ、違うかね?」


 嘘を指摘しつつも怒るわけでもなく、穏やかな口調のマリアンヌ。

 その不気味さを感じつつ、シスター・エサリーは冷や汗をかきながら頭を下げる。


「すいません、間違えました。私じゃないです」

「でしょ?なら君、若い方のシスター。君が教えているの?」

「え、ええ。はい、そうです」

「ふ~ん、なるほど。合点がいったよ、ありがとう」


 嘘だな。

 ここで今、この若いシスターに文字の読み書きをさせてみても面白いが。

 だがそれは流石にやめておこう。

 追い詰めすぎるといけないからね。

 でも嘘を付いた報い、これぐらいは許されるだろう。


「勉強部屋見せて」

「なっ!?な、ぜでしょうか?」

「勉強嫌いだった子供たちがそれほど勉強に熱の入る勉強部屋、一度でいいから見てみたいではないか。プルートの教育の参考にもなりそうだしな。いいだろ?いいよな?プルートの皇女が頼んでいるのだから」

「今はあの…!部屋が散らかってまして!皇女様にお見せできる状態ではないのです!ね!シスター・エサリー!」

「そ、そうです!私たちも皇女様をご案内する時間も無いので!」


 尋常じゃない冷や汗の量。

 必死な2人。


 滑稽。


 マリアンヌはそれをあざ笑うように、


「別に子供が居ることを考慮すれば多少の散らかりなど気にはせん。案内も必要ない、勝手にわれがこの建物の中を見回る」

「なんで、ですか!?」

「なんでも何も、、そうんだな…慰問だから?」

「困ります!!」


 マリアンヌは大袈裟に眉を寄せた。


「なぜ?」

「なぜって、その」

「まさか…われに対して嘘とかついてないよね?」


 天真爛漫てんしんらんまんなマリアンヌの笑みに少しだけ黒色が混ざる。

 机を挟んで真正面でマリアンヌはゆっくりと喋る。

 威圧するわけでもなく、ただゆっくりと…。


「プルートの支配下にある村、それなのにも関わらず皇女であるわれに嘘なんてついた日には。。そんな事をしたらわれはお前達全員を殺さないといけなくなってしまうよ。だからもう一度だけ聞くね、われに嘘とかついてないよね?」


 さて、コイツらはどう答えるのだろうな。

 いや、答えなんて既に決まっている。


「嘘なんてついてません!本当に散らかっているので!」

「ええ!本当なんです!」


 何と愚かで滑稽な姿だ。

 そして本来のわれなら、ここでもっと詰め寄るところだが、、。

 これ以上は遊びが過ぎるのでやめておこう。


「そっか、本当に散らかっているのか。じゃあ見て回るのは無理か~本当に残念だ~」


 と、だけマリアンヌは口にした。


 そして未だ萎縮しているシスター・ミラ。

 いや、よくよく見るとシスター2人とも身体は小さく震えていた。


 子供たちも全員殺すと平然と言い放つ目の前の少女。

 その言葉が嘘でないのは本能的に分かってしまった。

 今までの人生において見た事も無い、その冷たすぎる瞳。

 戦争で殺気に満ちた騎士達の目、狂気を孕んだ盗賊達の瞳、そのどれよりも暗く恐ろしい瞳。

 それに対してただの一般人であるシスターたちが恐怖しないなんて不可能。


 シスターたちの震えがどんどん強くなる。

 嘘がバレたら。。子供たちが。。

 そんな時だった。


「「シスターをいじめるな!!」」


 その声は扉の外から聞こえた。

 マリアンヌたちが顔を向けると子供達は大広間の扉の前に居た。

 自分の何倍もの背丈があるカラスたちに物怖じしそうになりながらも声を上げていた。


「「っ!?」」


「お許しください!まだこの子達は小さく、皇女殿下がどれだけ偉大な人間か知らないだけなんです!」

「あなたたち早く外に出て行ってなさい!」


「フフフ」


「え」

「皇女殿下様?」


 急に笑い出すマリアンヌに黙るシスター2名。

 マリアンヌはニコニコと笑う。


「別に怒らないよ。実にシスター思いの良い子供たちじゃないか。恐怖に屈せずわれに挑まんとする姿勢も天晴れだ。因みにカーナ、ここに来て何分経過した?」


 懐中時計を確認するカーナ。


「14分です。マリアンヌ様」

「十分だろう。よし、帰るぞ」


 立ち上がるマリアンヌ。


「え、帰られるんですか?」

「うむ、君達も忙しいみたいだし、これ以上邪魔したら悪いからね」


 ホッと胸を撫で下ろす先輩シスター、エサリー。

 だが隣のシスター・ミラはマリアンヌを引き止めた。


「あの私も質問しても?」

「え?質問…ああ、まぁ構わんよ。許す、何でも聞け」

「ここに来た理由が旅行という事は」

「慰問ね」

「慰問!はい!慰問という事はこの辺を見て回っているわけですよね?」

「そうだね、そして今日見て回る村はここが最後、あとは屋敷に帰りシャワーを浴びるだけだ」

「3つの村を見て、あの領主、あ、様を何とかして頂けるのでしょうか?」

「何とかって?」

「あの…言いづらいのですが、あの領主様はこの土地にやって来てからやりたい放題しています。だから皇女様なら何とかして頂けるのではないかと思って」


 何とかもなにも、ここに来た初日にボコボコにして牢に入れてしまった…とは言えないよな。


「因みに具体的にはどうして欲しいの?」

「え?具体的にですか…それはその」


 言葉を詰まらすシスター・ミラにマリアンヌは淡々と言った。


「殺して吊るしてやろうか?」

「え!?なぜ?」

「なぜって、だってやりたい放題する領主が憎いんだろ?」

「それはそうですけど、何も殺す事は」


 コイツは先のナントに居た無礼な老人よりもある意味酷い。 

 まぁ何も知らないシスターならこんなもんか。


「何なら首を切り落としてやろうか?そうすれば頭はボール代わりになるやもしれぬぞ」

「そんな事を冗談でも言わないで下さい!!人の命はそんなに簡単に絶っていいものじゃないんです!」


 吐き気がする。

 胸糞が悪い。

 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。


「………」


 緊張感がボロボロの室内で充満していく。

 そんな中、マリアンヌは再び口を開いた。


「それはすまなかったね、シスターである君にはあまりにブラックジョーク過ぎたようだ。でもね…」


 全ての感情を押し殺し、マリアンヌは実に穏やかに淡々と言葉を紡ぐ。


「夢を持つのは自由だ、希望を人に託すのも自由だ。しかし、現実を見せようとしないのはいかがなものかな?」

「どういう意味ですか?」


 マリアンヌは目を細める。


「別に。お前ら帰るぞ」


 玄関まで歩いていくマリアンヌはしかし何かを思い出したかのように足を止める。


「幸せな時間とは、幸せを自覚していない時間である」

「え?」

「君は自覚している、若いのに稀有けうな存在だよ。これもシスターという職がなせるものなのか?それとも…。まぁ何にしてもわれは気付けなかった…だからそこだけは評価してやる。カーナ」

「はい」

「1枚」

「はい」


 快活に返事をするカーナ。

 するとマリアンヌの居る場所からシスター・ミラの近くまでやって来る。

 そして


「シスター、手を」

「はい?」


 こぼれ落ちる1粒のコイン。


「これは…?えっ金貨!?」


 それはキラキラと金色に輝く金貨だった。


「不愉快な思いをさせた詫びだ。受け取れ」

「でも金貨なんて!1年はこの村全員が生活できるぐらい高価な物ですよ!?受け取れません!」


 これ1枚で1年もいけちゃうの?

 1日の間違いじゃないのか?

 どこぞのアホが銀貨を渡していたから、われは金貨を選んだが、1年って…。

 コイツらどれだけ生活水準が低いんだ?


「本位では無いにしても子供たちも怯えさせてしまった。その詫びだ」


 そうこうしていると子供たちも寄って来た。

 子供たちにとっても金貨なんて生まれてから見た事も無い品物。


「わぁーー!!すごいきれい!!」

「僕にも見せて!」

「私も!私も!」


 先ほどまでマリアンヌを恐れていた恐怖心はどこへやら…。

 子供たちは取り合うように金貨を見ている。


「こら!みんな、皇女様の前で失礼でしょ!」


 必死に子供たちを制止させようとするシスター2名。

 クスクスと笑うマリアンヌ。


「構わぬ。喜んでもらって何よりだよ」

「でも本当にいいんですか!?話をしただけなのに!?」

われにとって金貨1枚など日々食すパンの一欠けらと大差ない価値だ」


 流石にもう帰ろう、そう思い言葉を切ろうと思ったマリアンヌであったが、最後に興味本位からこう口にした。


「最後にこちらからも1つだけ質問いいかな?」

「え、ええもちろん」

「君は子供たちの為に死ねるかい?」


 再び訪れる不気味な空気。

 質問の意図が分からないシスター。


「え?それはどういう意味でしょうか?」

「大した意味では無いよ。 ただ、君はシスターとして戦争孤児たちを多く助け導いている、だから大切な子供たちのために君は命を張れる人間なのかな~?って思っただけだ。君は子供たちを守るために死ぬぐらいの覚悟はあるのか?」

「死ねます。私にとって子供たちは未来だと思っています」


 その瞬間だけはマリアンヌに臆する事無くシスター・ミラは言い切った。

 マリアンヌはその答えを聞くとそのまま大広間から出て行く。

 その答えに満足したのか、それとも不満だったのか、それはマリアンヌが後ろ姿からでは計り知れない。

 ただ、マリアンヌはこの言葉だけを言い残した。


「素晴らしい答えだ。その金貨、有益に使ってくれたまえ」



閲覧ありがとうございました(*´ω`)♪次回は早めにアップしようかなwだって1~2ページだからねw

ではまた次回お会いしましょう♪ ヾ(@б▽б@)ノbyebye~~♪






さて、では皆様お待ちかね、今期の深夜アニメ、実際全部見終わったらどれが一番面白かったかの結果発表の時間ですよ~(*'▽')♪


始まった当初は【うらみちお兄さん】をオススメしておりましたが、実際見終わってみると……


1位は…


【かげきしょうじょ!!】でしたw


正直これは意外でしたねw内容としては宝塚歌劇団みたいな感じなので、女性向けであんまり私が好きな感じじゃないんだろうな~~((+_+))って思ってたんだけど、見終わってみるとダントツの1位でしたw

学校に入学してどんどん力を付けていく主人公たち、声優さんたちの演技力も相まって凄く引き込まれるのですよ!ロミオとジュリエットなんて超~~~~~カッコいいから(゜д゜)!って事で皆さん、これは是非サブスクなどで見ることをオススメいたしますぞい☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] マリアンヌ捜査官の心を見透かす様な探りがシスターを襲う!!。 シスター!。動揺しちゃダメーーっ(笑)!!。疚しい事しているって、バレバレや~ん(笑)。 [気になる点] シスター・ミラは、最…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ