05 41人の選択肢(2)
クリックありがとうございます(´▽`)
今回も短いので簡単に読めると思います、それではどうぞ(´▽`)
「晴れてお前達は薄暗い牢屋から出れたわけだが、ここでお前達には2つの選択肢が与えられる。 前方のカゴを見よ」
囚人たちは目の前の銅で出来た大きな樽のようなカゴに目をやる。
カゴからは山のように溢れんばかりの剣、そして矢。
「見て分かるとおりその中には各々、剣、または矢が入っている。 我に忠誠を誓う人間は左のカゴに入っている矢を取れ、忠誠を誓わない人間は右のカゴに入っている剣を取れ。数は十分にあるはずだ、ゆっくり考えて慎重に選択するんだな」
マリアンヌはそう言って説明を終えると椅子の背もたれに全体重を預けて、暇を潰すように囚人たちに目をやる。
そして聞こえないような小声で呟いた。
「さ~て暇つぶしにゴキブリの観察でもしよっかな」
訪れる静寂
”お前はどうするのか?”
囚人たちは無言で他の囚人たちの顔を見る。
あえて誰も口にはしなかったが思っていることは皆同じであった。
その中、1人の男がマリアンヌに向けて一歩足を前へ出す。
一際大きな筋肉で覆われた男
顔に無数ある切り傷からは想像出来ないように慎重に、そして言葉を選ぶようにして言った。
「剣を取ったらどうなる?」
野太い低重音の声にマリアンヌは観察する視線を1人の男に向ける。
その瞳は少しは”知能があるサルがいたのか”と丸くなり、ぱちぱちと瞬く。
そして”その発言には感心したぞ”と言うように椅子からずれてきた体を持ち上げてもう一度、座り直して囚人のほうへ顔を向ける。
ゆっくりと左右に揺れる頭。
「別にどうもならんよ」
しかしながら説明するのは面倒くさいなと、大きなあくびを1つ。
「ん~~そうだな、そこにいる赤髪のメイドと我を殺して皆で屋敷を脱出。その後このプルート領から出れるかはお前ら次第だな、まぁがんばれ」
「矢を取ったら?」
続けざまの質問。
まるで包帯ような物で出来た眼帯をした女が緊張してカラカラになった口の中の水分を集めるようにしておずおずと言った。
みんなの視線が集まる中、マリアンヌは答える。
「一生、このマリアンヌ・ディ・ファンデシベルの奴隷として生きて、我のために死んでいく、そんなバラ色の人生が待っている」
眼帯女は囚人服の両腕を抱きかかえるように周囲、特に扉に目をやる。
マリアンヌの瞳はその目の動きを見逃さなかった。
だから嘲笑するように含み笑う。
「安心しろ、この場にいるのは我とそこのメイドだけだ。 お前の好きなほうを手に取れ、ただし」
わざと焦らすように口を閉ざして間を作る。
そして
「一度手に取ったら変更はきかない、よく考えて取るんだな」
「あ、あの、ぼくも、質問いい、ですか?」
手を控えめに挙げたのは周りの囚人より一回り年齢が若い男。
年のころはマリアンヌと同じぐらいか
彼は小刻みに震える足を手で押さえつけながら一歩前へ出た。
「申してみよ」
少年は先ほど質問してきた眼帯の女よりもおどおどとした口調で、一切マリアンヌの顔を見ず、自分のつま先を見詰めながら質問する。
「そ、その、言葉が、嘘でない、という証拠、、証拠はあるんですか」
マリアンヌは「う~む、なるほどな」と質問内容を噛み砕く。
そして少し悩むような素振りを見せると、こめかみを押さえながら小さく首を振る。
「お前の心配しているこの扉の向こう側、いや、屋敷中に我の兵が控えていて、剣を手に取った人間を皆殺しにする。 そうでないとこの場で言い切れる証拠は残念ながら我は今持って無いな」
「そ、それだと、ぼくらは、矢を、、矢を取るしかないのでは、」
「ぼくらだとぉ? 何、俺らまで入れてるんだよぉ! 殺すぞモヤシ野郎!!」
少年はその怒号に怯え、しゃがみ込んで許しを請う。
「ひぃ!ごめんなさい、ごめんなさい」
「カーナ、あの少年の罪状は?」
「アット・シア、年齢16歳、罪状は名だたる騎士たちへの暗殺117件、暗殺未遂20件、一般人、主に貴族ですが、その殺人が50件ほどですね」
「…すごいな」
「この少年が収容されていた囚人の中で一番罪が重いですね」
奇妙な光景に疑問を持ちながら、疑念に満ちた声で「では今、この目の前で行われている現象は、、」と問うと、カーナは客観的にそして総括するように言った。
「はい、揺すりと暴言で捕まった人間が大量殺人犯をいびってる図ですね」
シュールすぎるな。
「未来有望な新人発見だな。 カーナ、もしもやつが矢を取ったなら少し目をかけてやれ」
「はい、マリアンヌ様の仰せのままに」
「さっきからコソコソ何、喋ってんだ」
「いやいや、大したことではないよ」
先ほどからやたらマリアンヌに対して好戦的な揺すり男
謝り続ける少年に言いたい事を全て言い終えたのか、一番最初にカゴの前に立った。
男は迷い無く剣の入ったカゴに手に突っ込む。
「そんなのこっちを取るに決まってんじゃねーかよ。 やっと手に入った自由だ、誰が手放すかよ! 俺が手に入らなくて残念だったな、銀髪のネーちゃん」
そう啖呵を切って揺すりで投獄されたドミニクは剣を手に取った。
「ああ、残念だな」
そう言ってマリアンヌは涼しげに髪をさっと掻き上げた。
木目細やかな銀色の髪がゆらりと揺れる。
囚人たちは見惚れるかのようにその髪を見入る。
そして訪れた沈黙
次に動いたのは、またもや一際大きな筋肉で覆われた傷跡の目立つ男。
「1つ確認してぇんだけど、この矢を取った後にまた牢屋に戻されるのか?」
「いいや、まだこの地下室から出すわけにはいかんが、今後は牢屋は取っ払うつもりだ。つまりお前達が牢屋に戻ることは無い」
それを聞いてカーナは目を丸くする。
「えっ、牢屋取っ払うんですか?」
「だっていらないだろ」
「あの、、デコレーションケーキの完成は…」
「それはお前が勝手にやっただけだ」
作品の未完を寂しがるように肩をガクッと落とすカーナ。
男はカーナのことをまったく気にする素振りも見せず、一番気になっていたことを口にする。
「もしもその扉から外に出たら?」
ふふふ、と怪しく笑うマリアンヌ。
囚人たちの注目を気持ちよさそうに浴びながら答えた。
「お前達はただの肉傀としてバラされた後、家畜の餌になる」
息を飲む41人の囚人たち。
やはりな、と全員が扉の方向を見た。
しかし傷だらけの男だけは扉のほうは一切見ず、そのトラのような目を一層、鋭く尖らせる。
「その言い方だと扉の外には兵士達がわんさか控えているっていうことになるよなぁ?」
「なぜそうなる?」
ハァ?この人数を殺すには大量の兵士がいるだろう、だからお前は余裕でそんな椅子に座っているんだろ。という表情をする男
マリアンヌは少しグーと背筋を伸ばすと先ほどの言葉に付け加える。
「お前達を殺すためには大量の人間がいるとなぜそう思う? もしかしたらお前達全員を殺すのに大した労力はいらんかもしれないぞ、例えば…そこにいる赤髪のメイド、こいつ1人で十分かも」
「クッハッハ! あんな女に何が出来るつーんだ?せいぜいベッドの上でいい声で俺を楽しませてくれるぐらいしか能が無さそうな女。 でも面白い冗談だなお姫様、久々に笑わせてもらった」
「そりゃどうも」
「ということはこの地下室内での自由は約束されるわけか」
「お前達がそれを自由と言うのなら、そうだな」
それを聞いた無数の傷のある男
矢の入ったカゴのに足を向ける。
そしてカゴの前に立つと後ろの囚人たちに向かって言った。
「じゃあ俺はこっちを取ろうじゃねーか」
それを見て小太りの男、ドミニクが馬鹿にするように言う。
「おいおい、正気かよ? お前ともあろうやつが本気でこんな女に従う気かよ、そんな腰抜けだったとは知らなかったぜ」
「クハハハハ、まぁな」
そう言った一際大きな男。
ゴツく血管が浮き出ている手はカゴに入った矢に伸びる
そしてその手が矢に触れようとすると誰にも聞こえないような小声で呟いた。
「バカはお前だ。十中八九あの扉の外には兵がいる、せっかくアンジェラが死んで出れたんだぞ、外に何人いるか分からない状況で喚いてんじゃねーよ。死ぬならてめぇ1人で死んでこい」
絶対に聞こえない距離
しかもその1人の小声の独り言、しかしマリアンヌはその囚人の心を読み取ったかのようにヒールのカカトを地面にコンコンと叩きつける。
「ああ、大事なことを言い忘れていた。 矢を手に取った人間は嘘偽り無い忠誠心を見せてもらう。詳しく何をしてもらうかというと…」
そう言うとマリアンヌは大胆にもドレスの肩の部分をずらす。
露になる透けるような白い肌。
そしてその柔肌には似つかわしくないする矢の傷跡。
囚人たちに見せ付けて、ここだと指差した。
「矢を手に取った人間は全員ココに自分で矢を刺せ、そうして初めて矢を手に取ったということになる。刺さなかった人間は須らく剣を取ったものと考えさせえもらう」
そう言い終えると再びマリアンヌは暇を潰すために人間観察ならぬ、ゴキブリ観察を再開させるのであった。
「ふふふ、揉めろ♪揉めろ♪」
閲覧ありがとうございました(人´ω`)
次回はそんなに間を空けずにアップできるかもです。
なぜなら、すでにほぼ書き終えているからです╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ !
よかったら次回も読んでいただけるとうれしいです(๑•̀ㅂ•́)و✧
現在チェンクロVはツル姫イベントが終りに近づいてます。
私は現在400万ポイント、月曜の昼3時までに目指すラインは900万ポイント(T∩T)
無理じゃね?\(^o^)/オワタ
そもそも緊急で出たレベル80のクエストがエグ過ぎる。号(┳Д┳)泣
浴衣キャラ無し、僧侶も無し、もうほんと…地獄ですよ(笑)
でも最後まで頑張るんだo(・д´・+)!!




