09 決起集会
クリックありがとうございます(_ _)
最近、挿絵を書いてみました。
下手ですがよかったら見てね(*'▽'*)♪
挿絵がある場合はサブタイトルの横に「※挿絵あり」と記していこうと思ってます、、、まぁ今後、書く予定は未定ですけどね(笑)
目が覚めた。
少しはねた寝癖のままカーテンを開けて外を見ると昼過ぎだった。
まぁ決起集会とやらは夜からだから問題はないが
寝すぎたせいか少し頭が痛かったが、頭を何度か振ってみるとすぐに治った。
いつものように洋服ダンスまで裸足で歩く
そして両開きのノブを開くと、黒いドレスたちが自分を着てくれとせがんでいるように横一列に並んでいた。
マリアンヌは鼻歌混じりに指でなぞるようにドレスを吟味していく
「今日はこれにしようかな」
手をパンパン!と軽快に叩く。
やって来たのは初見のメイドだった。
「あれ?カーナは?」
聞いてみると、どうやらカーナは少し城から出ているらしいということだった。
「まぁいいか、またアンジェラ姉さまの用事かなんかだろう」
そう呟きながら他のメイドに我の身だしなみを整えさせた。
まぁ誰でも一緒だよね♪
「おい、このドレスにその下着だと下着のラインが出るだろう」
「す、すいません」
前言撤回、やっぱりカーナがいいです。
× ×
日がどんどん暮れていき、月が少しづつ顔をのぞかせる時間になったのでマリアンヌは城を出た。
向かうはいつも通りアンジェラの屋敷。
「あっ、そうだ!アンジェラ姉さまはああ言ってたがやはり騎士団の人間は欲しいな」
アンジェラ姉さまへの親切心からマリアンヌは騎士団の駐屯所に寄ってからアンジェラの館に行くことにした。
急な進路変更ではあったが、最寄の駅に寄る程度の手間なのでなんてことはない。
そして騎士団の団長と副団長にアンジェラの館に来るように言った後、迎えに来たアンジェラのお抱え騎士と共に館に向かうのだった。
× ×
館に着くと案内騎士が言った。
「申し訳ありませんがアンジェラ様はただいま屋敷を空けておりますのでしばしここでお待ちください」
木枯らしが木の葉を転がす。
マリアンヌは肌寒そうに両手を抱えながら言う。
「ここでか?」
「はい」
「立ったままだと足が痛い、死ぬ、無理」
「申し訳ありません」
「屋敷内で待てばよいではないか」
「申し訳ありません」
「それしか言えないのか!」
「申し訳ありません」
「生麦生米?」
「申し訳ありません」
「生卵! チッ!役立たずが!アンジェラ姉さまが来られたら報告して明日にはクビにするからな」
「申し訳ありません」
無表情の騎士
年齢はおそらく30そこそこ、髭はいつも整えられている所から几帳面、腰の左に下げられている剣から右利き、プロファイリングだ。つまり何が言いたいかと言うと、こいつに関してはほとんど知らぬということだ。
初日の送り迎えの護衛の時から、まるで顔全体を接着剤で固定しているのかと思うぐらい表情が変わらない。
不気味なやつだが腕は立つらしいし、しかし無愛想すぎる、アンジェラ姉さまのお気に入りでなければとうにクビ確定だな。
苛立つ足で少し待つと我の来た方向からアンジェラがやって来た。
「ごきげんよう、マリアンヌ様。お待たせして申し訳ありませんわ」
「何か城に用があったのですか?」
「ええ、ちょっと野暮用ですわ」
「ふ~んそうか、そういえば今日は我からのプレゼントがあるのだ」
「え?」
「来る前に騎士団の団長と副団長に今夜の決起集会に来るように言っておいたのだ、直に来るだろう」
「へぇ、そうでしたの。それは楽しみですわね、確かにマリアンヌ様に一言言われたらやつらも従うかもしれませんし、しかし外は冷えます、ここには私の部下を置いておきますのでマリアンヌ様はお先に屋敷の中へどうぞ。 ワーナー、あとから来なさい」
「了解しました」
無愛想男はそう言って深々と頭を下げた。
暗い通路を進み、地下室へ。
いつものように先導するアンジェラについていく道すがら背中に問いかけた。
「あの男はなぜ雇っているのです?」
「あの男? ん~~~ワーナーのことかしら?マリアンヌ様のお気には召しませんでしか?」
「気に入る要素がアレにあるのか!?」
「うふふ、愛想は無いけれど命令には忠実で信用できる人間なのだけれど」
信用できてもアレではダメな気がする。
マリアンヌはそう思った。
ドアを進んだ先、ニヤニヤと笑っている囚人達に、それらを監視するお抱え騎士たち。
囚人達は予め決められていたかのように取り付けられた錘を引きずりながらマリアンヌたちを大きな円で取り囲むように移動していった。
「しばらく待ちましょうか」
「あ、ああ」
地下室を見回す、1階に所狭しと有った牢屋が全て無くなっていた。
「なぜ牢屋が無くなっているのだ?」
そう問うと、アンジェラはさも当たり前のことを答えるように
「もういらないでしょ」
「?」
ではなぜ囚人達は鎖に繋がれた錘を吊り下げているのか?
しばらくして…
「アンジェラ様、遅れて申し訳ありません」
ドアから現れたのはアンジェラ姉さまのお抱え騎士、ワーナー。
彼は1人だった。
「え?」
マリアンヌは閉じられた扉をジッと見る。
しかし誰も入ってくる気配が無い。
「なぜ来ぬのだ?…すぐ来いと言ったのに」
「ん?何を待っているのかしら?」とアンジェラは口元を隠してクスクスと笑う。
そして大袈裟に手を叩く。
「ああ! 来るように事前に頼んでいた正騎士連中? マリアンヌ様は本当に悪い子ね、騎士団の団長と副団長を呼ぶなんて、、、来ないわよ、だってあなたが予想に無い騎士団の駐屯所に寄った後、私も急いで駐屯所に行って『来るな』と言ったもの」
「!?」
アンジェラは戸惑うマリアンヌに構わなかった。
畳み掛ける
「うふふ、そんなに驚くことはないでしょう? 私はアンジェラ・ディ・ファンデシベル、皇族の1人なのだから、私の言う事だって聞くわよ」
「でもやつらは我に忠を尽くすと」
「忠を尽くす? うふふ、そんな言葉、この国の人間なら誰でも言いますわよ。 ましてそれが皇族相手なら…、そんな方便を見抜けないほど無知でか弱く育てられた第一皇女マリアンヌ・ディ・ファンデシベル」
あまりの展開の速さにマリアンヌの思考は鈍り、大きな瞳はさらに大きくなる。
「アンジェラ、、、姉…さま?」
その言葉を聞くとアンジェラは、今まで穏やかだった瞳の色をまるで昼夜逆転させたように鋭くさせた。
「姉さま? お前に姉呼ばわりされる筋合いなんて無いわ。その言葉を聞くたびに腸が煮えくり返るようだった、でもそれも今日で終わり」
アンジェラは間を焦らすように押し黙る。
そして言った。
「だってマリアンヌ、お前は今日死ぬのだから、この暗い地下室で」
「えっ?」
何を言っているか分からなかった。
マリアンヌは焦点の合ってない視線を向ける。
「じょ、冗談、ですよね?」
その問いにアンジェラは口元は笑みを浮かべながらも声はおお真面目に返答する。
「冗談でこんなこと言わないわ」
「あなたは我の右腕になると」
「今まで一切おかしいとは思わなかったの? あなたの為に私はなけなしの軍を譲り、交渉が下手なあなたの為に正騎士と交渉して軍を出すところまで懇切丁寧にやる。何1つ出来ない世間知らずのお姫様のためにそこまでする馬鹿、いると本気で思っていたの?」
絶句するマリアンヌ。
アンジェラは続ける
「あなたは実に愚かしい。 私という存在が現れたら、とたん依存を始め、自分で考えることを放棄しはじめた」
アンジェラは今まで耐え忍んだ自分を労わるように腕を組む。
「それは王たる器の無い証拠、そんなあなたの為に私はこの一ヶ月、骨身削ってあなたに尽くした、それも全て私の目的のため」
「目的?」
アンジェラは閉じられている扉を視線で確認する。
そして扉の前にいる囚人達を見て、全てうまくいっているという確信をもつ。
だから言った。
「カーナが欲しい」
そう言った後、アンジェラは大きく息を吐く。
「お前はカーナの価値を見誤っている。 カーナがいなくなると自分を守らせる人間がいなくなる?正騎士に守らせても遜色ない?彼女と正騎士、騎士団がいれば? そんなものカーナと比べると全てかすむ。 彼女は使い方さえ間違えなければ騎士団なんかよりもっと輝く、あの子の能力は人間のそれを大きく超えている。 しかしそれはあなたの知るところではない、つまるところお前にカーナはもったいない、だから死になさい」
「嘘だ、そんな理由だなんて、それならもっと早く、我を殺すチャンスはあったはずだ」
「ただお前を殺してはカーナは手に入らない、あれはもう異常よ。 昔、聞いてはいたけれど数年ぶりに彼女に会って本当なんだと痛感したわ、カーナにとってマリアンヌという存在は比喩でなく本当に『神』そのものなんだと」
アンジェラは目の前にいるマリアンヌを捉えるのではなく、扉の先、屋敷の外にいるであろうカーナを見るように
「どう頑張った所で彼女の心は私には向かない、そして私のためにその武力は振るわれない、たとえ親友の私が懇願したとしても…。それほどお前が彼女に与えた忠誠心という十字架は」
そう言ったアンジェラは「いいや、違うな」とかぶりを振る。
「あれはそんな生易しいものではないわね、呪いの類と言っても遜色ないわ、そしてその呪いは強く彼女自身の心を縛り付けていた。 だから私はあなたに近づいた、カーナを手に入れるには必要な手順を踏む必要があると考えたら。まずマリアンヌという存在の片腕、ナンバー2になること、そして一緒にマリアンヌを支える存在だとカーナに知ってもらうことが重要、そして仕上げとして初陣前にマリアンヌが死去、犯人は私が殺す。カーナの前には死に絶えた殺人犯と物言わぬ死体のマリアンヌが1体。 結果、カーナと私は亡きマリアンヌの意志を引き継ぎ共に手を取り合う、私の軍として。 どう?素晴らしい案でしょ?」
マリアンヌは既に声が耳に入っていないのか、蹲って抱えた頭を強く左右に振る。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」
駄々をこねる子供のように。
そして見上げる。
「なぜ、みんな、私を、うらぎる?」
壊れた人形を哀れむ素振り1つ見せないアンジェラ。
高圧的に見下ろす。
「何をいまさら。 こういった事態を引き起こしたのは他ならぬあなたでしょ。あなたが兄弟同士の争いを望んだ」
「違う!私はっ!アンジェラ姉さまとこんな関係になることは望んでない」
「だとしたらお前には決定的に覚悟が足らない、全てを敵に回すだけの覚悟、信頼するから裏切られる」
そして出会ってから初めて彼女は我に対して声を荒げた。
「その覚悟も無しに私たち兄弟に挑むな!」
座りひしゃげた足は既に威圧されて力が抜けていた。
そしてそれは心にまで侵食していった。
アンジェラは荒げた声の波を戻すように笑みを浮かべる。
「そうそう、私からのプレゼントをあなたはいつも楽しみにしていたのでしたわね。 今宵もあげなくてわ」
飲み込みづらい唾がマリアンヌの白い喉をゴクリと動かす。
そして乾いた口はオウムのようにただ反芻する。
「プレ、ゼ、ント?」
「ええ、あなた処女でしょ?」
「え?」
「男も知らずに処女のまま死んでいくのは同じ女として不憫、見知らぬ下賎なやからに犯され、犯され続けてボロ雑巾のようになってから惨めに死んでいくといい。それがあなたにピッタリよ」
我の視界が歪んで聞こえなくなっていく中、アンジェラ姉さまは最後の言葉を言うのだった。
「これが私からの最後のプレゼントよ。 王位継承権第一位、マリアンヌ」
閲覧ありがとうございました(_ _)
長かった日常パートがやっと終わりましたね、日常なんてつまらないことの繰り返しです。…現実なんてクソゲーだ(つд⊂)
ここからが私の書きたかった物語になっていきます。
よかったら付いて来てね(>人<;)




