表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女と呼ばれた少女 -少女は死体の山で1人笑う-  作者: ひとりぼっちの桜
【第7章】 一夜で滅んだ村

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

159/392

27 2ヶ月前(10)

クリックありがとうございます(^J^)♪小中高とクラスメートの名前と顔を全員覚えられた事のないで有名、ひとりぼっちの桜ですw

だってさ人間の顔って基本似てるじゃん?覚えろって言われても…ねぇ(笑)

運悪くプリントを配る係りになった日にゃ~、私だけ神経衰弱をやっている感じでしたよw


「え~と(この名前は女だから…あっちの列のここかな?)はいo(-_-;*)」

(注意、先にこの人かな~?っていう3名ぐらいは当たりを付けておいてください)


「え?〇〇君、これ私んじゃなくて〇〇ちゃんのやで」


ハズレだと分かったこの瞬間、この瞬間が大切です!

私はその子の視線の動きでどの子が正解の人か察します。

絶対に間違った子は一瞬、視線がその子にいきますから、諦めず目を離さないのがポイントです。


「あっ!ほんまやごめんな~(^^)……(助かったぁ~(>_<)あっちかよ!)」


こういった事が続いた結果、私は人の視線を読むことが得意になってしまいましたとさ。。



今回のお話ですがちょっとページ数が13ページ、8千文字近くになっちゃったw前回は6ページぐらいだったので落差はありますが、3連休もあるのでゆっくりでもいいので読んで頂けると嬉しいです(^^♫ではどうぞご覧くださいませ~♪



「あなたは何を考えているんですか!?」


 オムの傲慢な一言にカーナは声を張り上げる。

 怒りを抑えられないのか顔は自身の髪同様に真っ赤であった。

 しかしオムは無言で今もなおそのフードは俯いたまま。


 苛立たたしい気分で視線を尖らせるカーナをよそにマリアンヌは再び問い直す。


「カーナ、ちょっと黙って。念のためにもう1度だけ聞くけど、今なんて言った?」

「条件があります」


 瞬間、地下室内の空気は硬直し、時が進む速度すら遅く感じた。

 空気が変わり、一気に緊張感が高まる地下室内。

 服の布地が擦れる音すら大きく聞こえる中、肩を落とすマリアンヌ。

 低い声がした。


「その言い方は勘に障るな」


 そして有無を言わさぬ迫力で言った。


「カーナ、どういう事だ?」


 慌てふためき、必死に頭を下げるカーナ。


「も、申し訳ありません。私の指導が足らないばかりにマリアンヌ様に不快な思いをさせたこと心からお詫び申し上げます」

「そんな事を聞いてない!あのメモは何だったんだ!4番目でこれってどういう事だ!?」


 もちろん囚人達はカーナが書いたメモなどと言われてもちんぷんかんぷん。

 4番目という言葉すらも囚人達には隠語いんごとして処理されている。


 しかしカーナにとっては違う。

 脳裏のうりには鮮明に残っている。

 だって書いたのが数時間前の事なのだから。


 信用できる欄の4番目に書いたのはオム・カッツァの名であったことを。


 でも、そもそもあのメモ自体、マリアンヌから「勘でいいから」と前置きされてから書いた物、責任の所在を語ればカーナには一切謝る必要も無いだろう事柄であった。

 だがそこはカーナ。

 完全にその事を忘れているマリアンヌに必死に頭を下げた。


「申し訳ありません!私の目がくさってました!今すぐオムが了解の2文字を言いたくなるようにします!」


 振り返るカーナ。

 ひたいとこめかみにはビキビキと血管が浮かび上がっていた。


「あなたという人は」


 囚人達の中には反抗的な者も当然多い。

 というか、当初ほぼ半数が反抗的な人間であった。

 だがそれでも、カーナはもうこの場に表立って反抗するものはいないと思っていた。

 実際、あのカイルですら相当におとなしくさせた実績から。

 しかしオムの今の発言、絶対的な主人に対して「条件がある」という言葉は、今まで力でひれ伏させてきたカーナにとって己の逆鱗に触れさせるには十分であった。


 ワナワナと震える拳。


「あなたはどれだけマリアンヌ様の前で私に恥をかかせれば気が済むんですか?『はい』と言えばいいんですよ。マリアンヌ様に対してそれ以外の言葉なんてありえないですよね?それにさっきのカイルの口ぶりもそうです。舐めているんですか?殺されたいんですか?あなた達という存在は…」


 一歩、また一歩近づいてくるカーナ。

 とても20そこそこの女が放つ殺気とは思えない。

 恐怖でおかしくなりそうだ。


「俺はマリアンヌ様に従うし、反抗する気も一切ない。だがそれでも無条件に全てに従うわけじゃない。条件さえ飲んでくれれば」

「黙れ」


 言葉を言い終わってからは一瞬だった。

 次のまばたきが終わる頃にはカーナは足に力を込めて一瞬でオムの間合いに入って来た。

 フードの下のオムの表情が凍りつき、血の気が引く。

 そして打ち込まれる鉄のような拳。


 人並み外れた速さは重さとなって破壊力に至る。

 容赦ようしゃなく打ち込まれた一撃はオムの胸板を貫いて肺にまで達するような威力であった。


「っヵ!」


 ふらつく足。

 既に分かってはいたがとても女とは思えない一撃であった。

 激痛で顔が歪む。


 これが本気のカーナ・マキシマムか。

 分かっていたがとんでもない威力だ。

 訓練として相対した時は別次元。

 よくこんな物を何発もカイルは耐えれるな。


 オムはそう思いながらも足に力を必死に入れてその一撃を耐えた。


「グッぁ、、はぁ、はぁ、私は」


 自分にはカイルほどの驚異的なタフネスは無い、ならば覚悟という名の根性で耐え抜くしかない。


「私は…マリアンヌ様と、、争いたいわけではないです。本当なんです」


 そして彼は両手を肩の高さまでかかげる。

 自分に戦闘をする意志は無いと精一杯の意思表示をした。

 わざとカーナではなくマリアンヌに向けて。


「何を今更」


 視線を鋭くするカーナであったが、それと同時にこの目の前の男がわざと自分の拳を受けたような、そんな違和感を感じざるおえなかった。

 もちろん避けられるわけが無い1撃で放った自信はある。

 だが避けようとしないのは、どうも解せない。

 こいつの実力なら反応ぐらいは出来ただろうに。


 そんな鋭い視線を横顔に受けながらもオムは止めなかった。


「条件が、あります。マリアンヌ様、話を聞いてください」

「さっきから五月蝿いと言っているんですよ!」


 激しい口調で拳を握りなおすカーナ、もう1撃がオムに叩き込まれるのは時間の問題だと思われた。

 だがマリアンヌは机を爪で叩いた。


「カーナちょっとタイム。オム、話を聞いて欲しくば~そうだな…あっ!指を折れ、今すぐ。そうすれば―」


 ただの戯れ言、冗談のつもりだったが、マリアンヌの言葉が言い終わる前にペキリッという小さな何かが折れるような音が聞こえた。

 音の鳴ったほうに顔を向ける。

 すると激痛に耐え、その後に押し寄せてくる苦痛、嗚咽、それらを押し殺すオムの姿が映った。

 彼の小指は真横に曲がっていた。


「うぐ…ぐ…、折り、ました。話を」

「誰がマリアンヌ様に口をきいていいと言いました!もうあなたは」

「待て」


 手を払うような動作で怒鳴り声を上げるカーナを押し止めるマリアンヌ。


「…許してやる。言いたいことがあるなら言ってみろ。オム・カッツァ」

「ありがとうございます!」


 ひたいにかいた汗をローブの裾で拭うとオムはマリアンヌの気が変わらないうちに口早に言った。


「この作戦が成功に終わったあかつきには、私をアトラスに帰して頂きたい!娘が国に居るのです、まだ小さい子が」

「ん?」


 どういう意味だ?とマリアンヌは思う。


 こいつは、いや、こいつらはカーナに無断でたまに外に出ている。

 アンジェラに完全に捕まっていた時ならいざ知らず、現状ならその気になれば逃走は容易なはずだ。

 娘とやら居るのなら尚の事。


 まぁ逃げた後、怒り狂ったカーナが追走してくるかもだけど。

 でもそれもアトラスの領土まで入ってしまえばカーナの手からも逃れれるだろう。

 てかわれが流石にカーナを止めるし。

 にも関わらず帰りたいだと?


 こいつの真意がまったく読めない。


 どこかに落ちず、しばらく首をひねっていたマリアンヌだったが


「勝手に帰ればよかろうに。そうだ、この慰問の件が終わったら、お前をこの国から…いや、国土から叩き出してやる。二度とプルートの領地に足を踏み入れられると思うなよ。言っておくが本来なら即この場においてお前を殺している所だが、一時的にもわれに従い、自分の指を迷い無く折った貴様へのわれの恩情だと思え。因みにお前は今から幽閉ゆうへいするが、それでいいな?」


 とは言ったがやはり殺しておいた方がいいか?

 生かしておいても損は有っても得は無いし。

 でも今勢いで恩情とか言っちゃったな~、示しが…。 というかそれよりも、誰を最後の3人目にしようか。

 こんな事になるとは思っていなかったから次の候補なんて決めてなかったぞ。

 カイルは…ダメだ、こいつの行動を計画の一部に組み込むにはイレギュラー性が強すぎる。


 心底困ったように、ふー、と溜め息をついているマリアンヌに、オムはまるでマリアンヌの考えている事が分かっているように告げた。


「それで本当によろしいのですか?」

「はい?」


 はぁ!?コイツ、マジで何言ってんの!?


「マリアンヌ様も先ほどおっしゃった通り、私は元アトラスの騎士です、アトラスの土地にはここに居る誰よりも知っているかと。そんな人間を無駄に幽閉して、マリアンヌ様の人生がかかった此度の作戦の潜入に使わなくても本当によろしいのですか?」


 何が言いたいのだコイツは…。


 マリアンヌはぽりぽりと頭を掻く。


「ああ?何なんだお前は?何が言いたいわけ?あ~もうイライラするな!」


 ゴクリという生唾を飲む音が聞こえた。

 オムは覚悟を決めてぐっと目を閉じ


「私は」


 オムはこの時をずっと待っていた。

 プルート軍に捕まり、早々に捕虜の価値無しと判断され死罪が決定し、もうダメだと一度命を諦めた。

 だがその後に幸運にもアンジェラという皇族によって命を長引かせることに成功した。

 そしてカーナという女の無茶な修行を耐え抜き生き。

 今やっと。


 覚悟を決めたような表情だった。


「私はプルート軍に捕まる前、アトラスで追われておりました」

「……え?」


 アンジェラの資料に無い情報にマリアンヌは長く美しい銀線の髪を揺らし、怪訝けげんそうな顔を浮かべている。


「どういうことだ?お前は戦争で捕虜になったのではないのか?」

「表面上はそういう風によそおいましたが、私はわざとプルートに捕まったのです」

「わざと?何のためにそんな事を…」

「私はアトラス軍の中で中規模な部隊を率いておりました」

「それは知っている」


 だからこそ今回の潜入にお前を選ぼうと思ったのだから。


「アトラスという国では民主化が進んでおります」

「そうらしいな」

「このプルートという国では軍事に関わる事柄に必要なお金は、上からの意向で何処にどういう風に使うかを決められますが、アトラスでは軍部に一度お金が入ってその後、部隊長に裁量権が与えられ、使い道を一任されます」


 何を言いたいのかさっぱり分からない。


 不機嫌まる出しのマリアンヌ。

 肩は怒らせ、黒く塗られた爪はせわしなく机を叩く。


「はぁ、で?」

「魔が差してしまって…。さ、」

「さ?」

「最初は少しの金額だったのですが、全然バレなかったので少しづつ金額が膨れ上がって、私は、私の部隊に入って来たお金を使い込んでしまいまして、それがバレたのです」

「ん~?うん、、、へ?使い込んだ?」


 マリアンヌの脳が高速で回り始める。


 つまりプルートがアトラスに捕虜交換を持ちかけた際、アトラス側は一切話しに乗らなかったのは『金を使い込んだ奴など、そちらで早く殺してくれ』という意味で、アトラス側がその事を言わなかったのは自国の恥だと思ったから、言いたくなかった。

 程なくしてこいつはアトラス側の思惑通り処刑が決まり、だがそこをアンジェラに拾われたという事か?

 ってことは、、


 ってことはだよ!もしかしてコイツは服装が自由だと言われているにも関わらずいつもフード付きのローブを着込んでいるのは、万が一にも自分の事を知っている人間に姿を見られるのを防ぐためか?

 プルートなら行商人も多い、オムの事を知っている人間がいるかもしれないための偽装。

 そして今それをわれに打ち明けた、条件という言葉を用いて。


 つまりここから導き出される答えは…。


「もしかして、遠まわしにわれに対して金を融通しろと言っているのかな?」


 オムは首を縦に振った。そしてご名答と告げ、にっこりと答えた。

 だがそれがやせ我慢なのは額からしたたる冷や汗の量で明白であった。

 マリアンヌという人間に敵対するとここまで重々しい空気になるのかと、改めて実感しつつ、オムは冷や汗で染みる目を拭いながら言う。


「決してマリアンヌ様にとって莫大な額ではありません」


 オム自身どれだけ自分が今から危険な橋を渡ろうとしているかは自覚している。

 客観視で最低でもアトラスで最強の10人、10英雄クラスの力を所持しているであろうカーナという女だけでも恐ろしいのに、ここにはマリアンヌに心酔しんすいしている人間も数人いる。

 代表的な人物を挙げればさっきのシャルドネだ。

 今もニコニコしながらこちらに顔を向けているが、瞳の奥では一切笑っていない。


 もちろん個人としての戦闘能力は決して低くない自負はある。

 アトラスでは実力が評価されたからこそ部隊を任されたのだから。でもプルートに捕虜として捕まってこの囚人達と出会って、騎士でもないやつらにも関わらず、自分より強い人間がゴロゴロいる事実。

 そいつらが今自分を凝視している、敵対心を持った目で。

 マリアンヌが一言『殺せ』と命じれば全て終わる。


 ではマリアンヌに対してあまり好意的に思っていない者、自分と同じようにどっち付かずの者はどうなのかというと、自分に対して哀れみを越え、呆れにも似た目を向けていた。

 まるでこれから死にゆく人間を「ああはなりたくない」とせせら笑っているような視線で。


 つまりは味方0、四面楚歌しめんそかもいいところだ。


 でもだからこそ、オムはここまで来たらもう止まるわけにはいかなかった。

 彼は艱難辛苦かんなんしんくを乗り越えて、今ここにいる。

 震える声を鼓舞するように息を吸い込む。


「後…もう1つ、可能性は低いと思いますが、もしも私が今後マリアンヌ様との関係がアトラスにバレて私と家族がアトラスに追われた場合、どこでもいいです、住める場所の都合もつけて貰えるとありがたいです。もしもそれを叶えていただけるのなら私はあなたの剣となり盾となる事をここに誓います。私は人生をやり直したいんです!」


 流石に自分の部下が主人に金をたかる愚かな姿を見て怒りが表情に隠せなくなってきたカーナ。

 大きな舌打ちが響く。


「チッ」


 これは交渉などではなく、取引、いや、脅しとも取れる類のものだ。

 マリアンヌという自分にとっての絶対神に交渉を持ちかけるというのすらもありえないのに、その先を神に望む無法者。

 それが自分の部下という失態。


 殺すべきだ。

 殺すべき人間。

 殺さないといけない人間。

 マリアンヌ様が許しても許してはいけない。

 まさに害悪そのものだ。


 もうカーナは止まらない。

 目に殺意が宿った。


「あなたは」

「黙れ、カーナ、手を出すな。これは命令だ」

「り、了解しま、した」


 カーナはあくまで命令通りに頭を下げる。

 殺意を必死に押さえて。

 しかし下げられ、下を向いた顔は怒りで染まっていた。


「ふ~やれやれ。忠誠度が高すぎるのも困ったものだ」


 とりあえずはカーナの殺気を押さえ込む事に成功したマリアンヌ、カーナを横目にオムに最終確認をとる。


「つまりオム、君は金をよこせば今回のわれの策に全面的に協力すると言いたいわけだな?」

「はい、その通りです。そして命を掛けても計画をやり抜きます」

「命…ねぇ」


 偉そうに騎士道っぽい事を言った所で、所詮は金の為だろうが。

 まぁ、それでも確かに真実味の沸かない”忠義”というあやふやな言葉を使われるよりも金の為と割り切られて言われた方が、何倍も信じられる言葉ではあるが。。


「カーナ、こいつの実力は?」

「囚人の中で数えて上から7、8番目ぐらいですね。元騎士という事で悪くない動きでしたし、部隊を指揮していたと言われても頷ける実力かと。私の課した戦闘訓練もそつなくこなしました、しかしそれでも単独の戦闘能力という事を考えると…、ラン、シア、カイル、この辺りと比べると数枚以上劣ります」


 10人ほどの囚人の中で7~8番。

 それゴミじゃないの?

 いや、それでも見知らぬアトラスの土地を知っているというのはプラス評価と考えられるだろう。


 それに…。


 そしてカーナとのやり取りを思い出す。

 今回の潜入でサンティエールに送り込もうと思っているランという人間、こいつはこの目の前のオムよりも信用できないとカーナが紙に書いていた事実を。


「………」


 カーナの話を総合すると、今回選抜した3人の中で間違いなく1番強いのはランだ。

 そのランが裏切る可能性が無いとは言いきれない現状。

 ではこのオムという男を金で雇ったと考えれば、ランを監視する人間としては誰よりも適任になるやもしれない。


 マリアンヌは逡巡しゅんじゅんしていた問題に答えを出す。


「結論から言おう、お前の功績しだいでは考えてやってもよい。因みにお前が着服した金額はどれぐらいだ?」

「金貨で50枚ほどです」


 …うん、なるほど。

 50枚か。

 う~ん50枚?


「シグレそれは高いのか?」

「相当高いかと、物価の高いこの国でも何不自由なく暮らせる金額です」

「分かりづらいな、具体的にはどれぐらい?」

栄華えいがを誇るプルートの皇族であられるマリアンヌ様の財力を考えれば1日で使われる額でもなんらおかしくない微々たる金額かと」


 なんだ、はした金か。


「で、お前はいくら欲している?」

「100…いや200枚!」

「大きく出たね」

「マリアンヌ様が4日間慎ましく過ごして頂ければすむ金額です」

「フフ、面白い事を言うね」

「飲んでいただけるなら、私は今後この国で見た全ての事を墓まで持っていく覚悟でございます。それにもしもマリアンヌ様が皇帝になったあかつきにはアトラスに進行する際、私はあなたのしもべとしてアトラス側から手引きいたします」


 マリアンヌの瞳に思考の色が混ざり始め、その色はどんどん深くなる。


「なるほど…ね」


 こいつの言う通り、今回の慰問の後、われが皇帝となりアトラスという国家を滅ぼそうと思った時、敵国に手引きできる人間を作れるのなら金貨200などはした金だ。

 という事はこいつの申し出はわれにとってプラスか?


 恐ろしいのはこいつが裏切る可能性だが。


 こいつ自体、われから金を受け取っている事実が存在するわけだから、それはイコールこいつがアトラス側からしても裏切り者と認識される事と同意。

 われを裏切るという事は、アトラスに対して自分が裏切り者だと公言するのと同じ。

 故にわれを裏切る可能性は低い。

 こちらの情報は漏れづらい。

 特にこちらの切り札であるカーナという人物の力がどれだけ強いかという情報はまだ知られたくない。

 われが行動を起こすまで金貨200枚で平穏無事に過ごしてくれるのならば…。


「悪くは無い提案だな。しかし」


 とはいえ、コイツはさっき”もしも”と吐いた。

 こちらの懸念材料を先に取り除こうとする所は評価できるが、それでもわれが皇帝になるという決定事項を『もしも』何て言葉で片付ける辺りの無神経さ、大層勘に障るな。


 それに、もしも敵国であるアトラスに…。

 ………

 ……


 その後、数分間、視線を外してマリアンヌは考え込んだ。

 通常は長くとも数十秒で結論を出すマリアンヌであったが今回はいつもより黙りこむ。

 肘を机について、指で何度も自身の額を小突く。

 周囲からは何を考えているか分からない表情で。


 やがてマリアンヌは夢からめたかのように瞳の奥に冷たく黒い明かりが宿ると、一拍おいて黒く塗られた口はゆっくりと開いていった。


「いいだろう、金貨200枚、その条件を飲んでやる」

「本当ですか!?」

「ああ、だかここから先、お前に言葉は要らぬ。というかこれ以上はお前の声を聞きたくない、現状お前に対すわれの高感度はいちじるしく低い。よってお前に求められているのは1にも2にも結果だ、目に見える形で明確な結果を出せ」

「ハッ! 必ずや命に代えてもマリアンヌ様の此度の計画、成功に導いて見せます」



閲覧ありがとうございました<(_ _*)>

ではまた次回お会いしましょうヾ(´・ω・)ノ゛ΒΥЁ



皆さん、もう気づいているかもしれませんが、少し前37ページストック出来た~ヾ(嬉'v`嬉)ノって喜んでいたひとりぼっちの桜でしたが、アップする前に見直しをしていると「ちょっと書き足してみよ~」って衝動にかられやってたら、、増えちゃってwもしかしたら50ページ行くかもね。状態です(笑)

誤字脱字の見直しって怖いね(つ_⊂)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ